いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

さかや【長野県 野沢温泉】~宮大工が建築したという自家源泉の源泉かけ流し湯屋を有する老舗旅館、郷土料理を割烹に昇華した創作和会席はスタンダードながらも丁寧美味な食したい上信の旨味~

 さかやさんは野沢温泉の中心街にあって、シンボルである大湯の隣に建つ好立地です。お宿で完結できるクォリティがあるのに、温泉街散策や外湯巡りなど、野沢温泉のハイライトを手軽に楽しむことができます。常盤旅館さんと同じく、むしろ連泊して野沢温泉を堪能するには最適宿であることは間違いありません。野沢温泉においてはかなりの老舗旅館で、伝統的湯屋で自家源泉を源泉かけ流しの湯で満喫できます。立て構えは大型旅館のように見えますが、総部屋数は29部屋で、高級旅館なのに気忙しくなく過ごせる雰囲気があります。

※記事の内容は宿泊した当時の内容となっていますのでご参考程度に。最新の情報は各々ご確認下さい。

旅情

 訪れた冬季は大雪が降り旅館の前が凍結し大変なことになっていました。こちらは翌日、温泉で溶かしたのか地熱で溶けたのか平和な風景になっていました。野沢温泉と言えば幼少期の頃からお世話になっている民宿が定番ですが、2020年に訪れた常盤屋旅館さんでも同じように思ったのは「まさか、自分がさかやさんに泊まる日がくるとは・・・」と感慨深い。

 玄関は雪国らしい2重扉となっています。宿の大きさからして小振りな入り口です。

 画像奥にあるロビーでチェックインの手続きです。女将さんらしき方から館内や風呂の説明を丁寧に受けました。

 ロビー奥にはエレベーターがあり周辺には新聞や雑誌類が置いてありました。

 エレベーター側から振り返ると多くの書籍が置かれた書庫もあります。

 ロビーからフロント方面を見返します。左手には喫茶スペースです。

 ロビーからは中庭を臨むことができます。見えている雪の量は一日で降雪したもので一晩で50㎝以上積もることもある豪雪地帯。

 玄関あがって右手には売店があります。野沢温泉街には沢山のお土産屋さんがあるので、この売店ではどちらかというと郷土品のような物が多い印象でした。

 売店横からはスロープが付いています。

 スロープを行くと館内唯一の自動販売機があります。

 さらに進むと乾燥室があります。部屋にエアコンが付いていることが当たり前になっているので、ウェアーなどの衣類系は部屋の方が良く乾くかなと思います。

 1階は後にしてエレベーターで2階へ。すぐに個室のお食事処が目の前に。

 食事の時間になると扉は開け放たれます。

 大小はありますが、このような感じで完全に区切られた個室となっています。

 流行り病以降は、一定ランクのお宿はこのスタイルに改装されていることが多くなりました。

 個室のお食事処の前にある廊下を進んで行きます。

 廊下には、どなたが書いたのか「がんばらない」という文字が飾ってありました。 がんばるから疲れるという心理。その通りだと思います。

 2階の窓には雪が迫っています。丁度、ロビーの反対側に来たところですが、建物の構造が少々変わっておりまして2階だけ何故か中庭をぐるりと周回できるようになっています。

 最初に女湯。館内履きの数からすると凄く賑わっているようです。

 女湯隣には囲炉裏の湯上がり処があり冷水の用意がありました。

 野沢温泉から輩出されたオリンピック選手は多数。記念品を飾っているお宿も多く、さかやさんにも展示物がありました。

 湯上がり処の前を抜けると男湯があります。

 男湯の隣にはマッサージチェアも置いてあります。

 ただ、人の往来が多いこの場所ではリラックスするには、少々人の目が気になるような・・・。

 1階2階はパブリックスペースで、3階は白鳥という大広間と客室となっています。

 4、5、6階は客室だけとなっています。建物は古いですが内装はかなり綺麗にリフォームされています。

 翌朝、お風呂へ向かう途中に見た中庭はさらに積雪があったようです。

 

お部屋

 案内して頂いたのは303号室の「こごみ」というお部屋です。

 玄関戸を開けると1畳程の踏み込みがあり右手にはトイレとシャワー。左手には主室があります。

 野沢温泉では外国人客がとんでもなく多くなっておりニセコのようです。大浴場が苦手な客のために増設されたのか、新しいシャワーブース。

 あつらえは和洋融合したホテルスタイルです。日本人でも外国人でも使いやすい折衷なお部屋です。

 踏み込みを通り過ぎるとすぐに洗面所があります。ホテルの様な洋間から縁に当たる部分は床の間や枇杷棚があるいきなりの和空間。和人洋人どちらでも寛げる間取り。

 和室からの景色は玄関屋根に積もった雪&雪。雪に圧迫されて窓が割れてしまう危険があるのか、窓際は除雪がされていました。

 窓はガラス、襖、障子の3重だったので、室温はとても温かく保温されます。

 お茶出しはなかったのですが、茶セット一式に高級旅館にあるドリップタイプのコーヒーと紅茶の用意。日本式の茶葉と急須のセットはありませんでした。

 冷蔵庫は昔ながらの引き抜くと料金が発生するタイプ。ですが、冷蔵庫は野沢温泉の湧き水をあらかじめポットに用意してくれています。そのまま呑むもよし、コーヒーにも合わせてもよし。野沢温泉の湧き水は、汲んで帰り米炊きに料理に使ったこともあります。まろやかな中性的な天然水です。

 アメニティ類は高級旅禍からすると充実というわけではありませんが一式の備えはあります。

 

お風呂

 男女別の内湯とそれに併設された露天風呂が1カ所ずつと、貸切風呂が1つあります。さかやさんの自家源泉は67度もあるにもかかわらず、加水をせず源泉掛け流しで湯を楽しめます。

 敷地内から自然湧出しているという源泉の泉質は単純硫黄泉となっており口に含むとやや酸味のある濃厚玉子臭です。酸味があるのに分析表ではアルカリ性とありツルツルとした肌触りがあります。湯上がりはしっとりもしているが、硫黄泉なので時間が経つとカサカサしてくるので、化粧水や乳液は必須です。

 男女の湯舟はほとんど同じ造りとなっているので、男性側の湯屋で参考になればと思います。

内湯

 脱衣所から漂う硫化水素臭は早く入りたくなる衝動に駆られます。湯屋に入ると湯気全体が硫黄で溢れかえっています。洗い場は部屋数からすると少な目なのですが、男湯側では混み合うことはありませんでした。温泉地に行くと、必ず温泉好きばかりが集まってくるという先入観があるので常に誰かがいるイメージを持ってしまいがちです。

 さかやさんの湯屋は決して大きい物ではないのですが、天井の湯気を逃がす伝統的な造りは壮観です。

 内湯の湯舟は3つあります。奥から超あつ湯、あつ湯、適温と温度設定が異なる工夫がなされています。

 源泉湯口はいずれも激あつの湯です。右の湯口は少量の湯を2本に分けているのは湯冷ましの工夫でしょうか。左も多くはないのですが1本の湯口。

 一番小さい湯舟は透明度があり超熱の源泉に満たされています。お宿の方が調節されたのか深夜の就寝前にいくと、熱いが入れる温度になっていました。単純に夜になったので温度が下がっただけ?

 透明の湯は酸化が進んでいない新鮮湯の証拠です。白と黒の湯の花が沈殿しており、身体を沈めると、こそばゆいぐらいに肌を撫でて身体に収まります。

 湯の花をゴミやら汚いという方も多い昨今。良泉を表す湯の花を濾さずに泳がせているのはリピーターが付くのは頷けます。昔の野沢温泉は、この情景が普通で湯から上がると湯の花も身体に付いてくるのが普通でした。昔に比べると泉質の濃さや湯の花の量は、かなり少なく感じると現地の方から聞きました。

 幼少の頃よりお世話になっている野沢温泉。当時は「こんな激熱の湯に入るやついるのか!?」と思っていましたが、年を重ねて身を沈めると至極に思う。

 超熱の湯に注がれる源泉のみ飲泉ができるようです。脱衣所には飲泉用のコップが置いてありました。

 温度調整の秘密として、超熱→あつ湯→適湯のほうへ湯がオーバーフローしていく仕組みになっており実に無駄がない。

 あつ湯に注がれる源泉は薄めることなく温度調整されたかけ流しのようです。

 竹筒以外にも湯口が付いており、かつては湯温調整に箱に溜めて冷ましていたのか。

 左は「あつ湯」の湯舟。右の長方形の湯舟は40㎝はないほどに浅い「寝湯」スタイルとなっています。訪れた冬季でも長湯をするなら丁度良い「ぬる湯」となっていました。

 ゆるゆると入るには寝湯を、フレッシュな源泉を楽しむなら透明な湯を。

 あつ湯から寝湯へのオーバーフローも申し分ない湯量が見て取れます。

 本当に効率性のよい湯使い。

 湯舟の縁からはオーバーフローが常にあります。外湯にいけばオーバーフローは当たり前の野沢温泉。数少ない自家源泉のオーバーフローは希少。

 微妙に肌感など泉質が異なる外湯との入り比べも面白い楽しみ方です。

露天風呂

 男女の湯舟では若干趣きが異なりますが、景色や仕様はほとんど同じのようです。表に出ると白濁の露天風呂とサウナがあります。

 サウナ前には水風呂もあります。

 源泉の温度が高いということもあるのか、露天風呂の源泉はかなり微量です。

 露天風呂といっても景色はありません。屋根がないため豪雪になると入っていることもままならないかと。冬季は午後9時までの利用とありましたが入浴は自由でした。温度管理がされないため、翌朝はかなりの「ぬる湯」となっていました。これはこれで一定数好きな人がいるかもしれません。

貸切風呂

 記事をしたためた時点での利用状況は不明ですが、訪れた時はこちらから直接聞かないと貸切風呂の案内がありませんでした。しかも、21:00までの利用だったので、貸切風呂の利用希望があるならチェックインの際に尋ねることをお勧めします。

 貸切風呂にはシャワー2基とfamily仕様です。

 一番風呂でしたが、淡い緑色の濁りがありました。

 湯舟は大人2人小学生2人で丁度和みの空間が得られる大きさ。

 湯口の湯量は熱すぎるためトロトロと注がれます。

 どこの温泉地もそうですが、源泉の温度が高すぎると掛け流しにするにはタンクに溜めるか注ぎ量を調整するなど工夫が難しいところ。

 当然のように注ぎと同じ量のオーバーフローがあります。硫黄泉や酸性泉、源泉温が高いような温泉地では、湯量が少なくとも、それだけで殺菌効果が高く湯量が少なくともその泉質を身に沁み入ることができます。

 脱所のアメニティ類は充実しています。

外湯

 さかやさんの隣には野沢温泉のシンボルである大湯があります。いつも鬼の様に混み混みですが、思い出の一湯に訪れてみてはどうでしょう。

 

お料理

 朝夕ともに個室のお食事処でいただきました。さかやさんの料理は、薄味でもなく、濃い味でもなく、適度な塩加減や醤油が使われた口にしやすい味付けです。郷土料理も盛り込みながらも、素材を活かしたお品が並ぶ京風仕立てとなっています。

 献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。ただ、配膳していただいたのは海外の実習生の方。色々と説明に違いが有るような無いような。実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

 最初の配膳には食前酒、前菜、台の物、蒸し物、香の物です。

 

【食前酒】:果実酒

 「あんずのお酒です」と説明がありましたが明らかに梅酒でした。最近ではあっさりとした甘さ控えめの物が多いですが、さかやさんのものはトロミのあるまったりとした甘さがあります。少し胸にじゅわりとくるような少し酒度がある呑み心地です。

 

【前菜】:前菜彩々

 一枚板に盛られたバラエティに富んだ前菜は、素材を大切にした丁寧な味付けをしてあります。この前菜が楽しみで、さかやさんに訪れたと言ってもいい。

①いもなます:北信地方の郷土料理であるジャガイモのなますは、水で長時間さらして灰汁を抜くというのが一般的だそうです。油で軽く炒めて甘味を持たせてほんのり酢。毎度ですがジャガイモと言われなければ分からない。

②信州サーモンかぶら:信州サーモンは桜チップの燻製にしてあり、極微の酢味カブラと共に口に入れると燻しと酸味の絶品美味。

③蕎麦信田巻き:やんわりと味付した揚げで信州そばを巻き上げてイワナの卵の醤油漬けをトッピングしてあります。イワナイクラは鮭イクラよりもタンパクな味わい。ポッキーのような物は香ばしい揚げ蕎麦です。

④ぜんまい煮〆:塩漬けにしてあったものを、塩抜きして炊いた物で余計な味付けはほとんどなくゼンマイのそのままの味をいただきます。色取りにニはンジンを添えてあります。

⑤芋茎胡麻和え:シャクシャクとしたズイキを醤油などで煮て下味に。練りゴマと摺り胡麻を合わせたゴマがとても豊潤な和え。

⑥合鴨大根:冬大根の中までしっかりと炊き上げて、箸がするりと滑り込む柔さにしっかり醤油味。合鴨は赤身を残し旨味を閉じ込めたローストにしてあります。小振りながらも噛めば噛むほどにジュわり肉汁が溢れます。

⑦柚子釜岩魚南蛮:完熟のユズ皮を器にしてあり、南瓜?のユズなます、紅白レンコンの甘酢、岩魚の南蛮漬けを盛り込んである小さな宴です。3品それぞれ酢加減が異なり別々の調理をしているようで手が込んでいます。

⑧レモン芋:サツマイモの丸十レモン煮です。こちらもレモン風味は緩やかで、かなり柔く煮てあります。

⑨湯葉真丈、たまご味噌漬け:口に入れると何の真丈かと吟味していて献立を見たら、ちゃんと湯葉と書いてありました。刻んだ湯葉が練り込んであるようで、しっかりと味わうと確かに湯葉のほのかな香り。添え付けは卵の黄身を味噌で漬け込んだもので、麹が効いてとてもまろやかな味わい。

⑩お米の胡桃田楽:炊いたお米を半殺しにして砂糖甘味を強く持たせた赤味噌にクラッシュした胡桃を混ぜ合わせた五平餅のようです。

⑪茸山葵和え:酒粕ワサビ漬けは大胆に輪切りにしてシメジとナメコに和えてあり、ワサビ辛いというよりはワサビ甘いをシャキシャキで爽やか。

 

【蒸し物】:じゃがい芋万頭

 席に着く前に固形燃料で温められていました。なので、時間通りに席に着くとベストタイムでいただける一品。あまり目にしたことがないタイプの器です。

 上部の鉢をとってみると固形燃料が熱を放っていました。

 しばらくするとクツクツと餡が沸騰をし始めます。献立は「じゃが芋饅頭」とありますが、おこわの餡雑炊のような見た目です。煮たジャガイモを裏漉し、甘味噌と具材を包んで道明寺粉で衣を作っているとのご説明。粉というよりは餅米に近い粗びき。

 やはり、ジャガイモらしい感じはない。ただ、前菜のジャガイモなますのような甘さとゆっくりとした芋の炭水化物の薫りはあります。解釈としては「ジャガイモのペーストを甘味噌に溶いてシイタケを練り込み荒目の道明寺粉で包んだ」かな? 餡のお出汁は何度も吟味するが分からず優しすぎる。塩もやはり強くない。モチモチ食感とジャガイモ味噌は変わった田楽のようでもあり、やさしい餡は雑炊のようでもあります。

 

【お造り】:川鱒博多昆布〆め 鯉あらい 信濃雪鱒レモン添え

 山の魚だけで構成された拘りのお造り3種盛りです。

 川マスは昆布で旨味を引き出して、まろっと熟されています。博多という調理法は昆布で織り重ねたことを表現しています。歯切れのよい昆布味は主張せず追い味だけで、川マスは昆布の相乗効果により深まった紅身味。

 チェコスロバキアともポーランドとも原産はどこなのか。養殖目的に輸入されたシロマスを信州では雪鱒と称しているそうです。日本の別の地域でも他の呼び名もあるそうです。マスなのに紅身ではなく、名前の通り白身ですが不思議と紅身のような味わいもあるという良い所どりの魚のようにも感じます。

 コイは捌いてから氷水で締めてあるが、ゴリゴリの洗いではなく弾力はほどよく残してあり、コイを清涼というのは変ですが嫌な感じがない旨味を残してあります。付け添えの酸甘味を控えた酢味噌はコイの旨さを引き立てます。加味は生かんずり、本ワサビ、薄口醤油でいただきます。

 

【温物】:鶏つみれ塩仕立て

 色彩豊かな陶器の椀の蓋を開け、口に含むと薬膳スープのような香りが気になります。具材はエノキ、しめじ、菊菜、ニンジン、大根、こんにゃく、マロニー、ごぼう、薬膳らしい食材はありません。何だろうかと思って閃いたのがセロリ!カツオ出汁にセロリの緩い風味だけを煮出してあるのかもしれません。献立に塩仕立てとあり余計な味付けはなく、素材のまま旨みを出汁と共に楽しむ椀なのでしょう。

 

【主菜】:信州三枚肉 味比べ源泉焼き

 鶏、豚、牛の3種は信州黄金しゃも、みゆきポーク、蓼科牛です。お野菜はパプリカ、タマネギ、エリンギです。

 献立には源泉焼きとあります。トップはグリルのような網焼きですが、網の下は鍋になっていて源泉を注いでおり、軽く沸騰して焼きと蒸しが両方入る仕組みになっているようです。

 味付は雪塩、練りトウガラシ、本ワサビです。

 しゃもは流石の身の締まり具合でニワトリとは明らかに異なる鍛えられた歯応え。このシャモにはトウガラシが良くあい、噛むほどに溢れる脂質にグモグモと弾力があり旨味を堪能できます。

 みゆきポークは赤身のヘレとかかな?赤身だが脂の乗りが良くとても柔らかい滑らかなシルキー豚味です。蓼科牛は和牛とホルスタインの交雑種なのに、味わいは和牛に近い。部位はロースでしょうか。いずれも脂が強くワサビがとても合います。霜降りの脂加減で口の中は旨味が広がり飲み込むのがもったいない。温泉効果なのか全体的に肉全体が柔らかく仕上がって深みがあるように感じました。

 

【お食事】:きのこのあんかけご飯

【香の物】:野沢菜、べったら大根

 あんかけご飯とは? と、興味津々に待っていたら・・・止椀の代わりも兼ねてのキノコスープです。香の物もあるので、掛けても掛けなくてもセルフでお好みで。

 初見なら掛ける以外の選択肢はなく。お出汁の下味は不思議味でキノコの風味が強いのかと思ったらそうでもなく匂わないキノコ。軽く醤油に酒の甘さを持たせてあるような餡は濃い味ではく茸味が立つ餡。たっぷりキノコは、マイタケ、エノキ、原種エノキ、シメジの4種に加えネギをたっぷりと盛ってあります。白米単体でももちろん美味しいのですが、あんかけご飯にすると「おじや」のように、米がキノコ旨味を吸い上げ絡み合い箸が進みます。

 

デザート】:杏仁豆腐

 デザートは口に入れるとアーモンドが濃厚な杏仁豆腐でした。彩りにはミント、味変には酸味が強めのイチゴソースです。

 地は硬くはなくどちらかという緩く高級な中華料理とかで出てきそうなやつです。牛乳ではなくココナッツミルク?にアーモンドパウダーを使っているのかと思うほどにナッツ味がとにかく豊かです。

朝食

 朝食も同じ個室でいただきました。朝ご飯も手抜きのないお手製の物ばかりで、夕食と同じく味付は優しくあります。

・リンゴジュース

・山女魚の一夜干し

・サラダ(レタス、トマト、キュウリ、ニンジンドレッシング)

・梨

・厚焼き玉子

・切り干し大根

・ほうれん草おから和え

・山葵昆布

・湯葉豆腐

・高野豆腐煮物

・焼き海苔

・香物(野沢菜、梅干し)

・味噌汁(豆腐、海苔、ネギ)

・白米or麦とろ御飯or温泉粥

 アユやアマゴではなく珍しいヤマメの一夜干しは脂が締まって普段口にしない川魚の風味を楽しめます。サラダのドレッシングはさすがにお取り寄せか。でも、味が整い過ぎておらず自家製でしょうか。食べた感触はパックかなと思ったのですが、凄い弾力で伊達巻きのような甘いタイプです。切り干し大根やおから和えも手作り感たっぷりの味わい。山葵昆布も自家製のようで山葵の茎と昆布を混ぜ合わせかなりのピリ辛にしてあります。ご飯は粥、麦とろ、白米の3種から選べます。おかわりも3種からチョイスできるうれしい選択肢。

 湯葉饅頭はどうやって固めてあるのか噛み応えがあり中には根野菜と椎茸のきんぴらを包んでありました。饅頭は餡に浸されて温かく配膳されましたが、さかやさんのお出汁の正体は自分ごときには分からず。

 お食事処の出入口にはコーヒーのサービスもあり、お部屋に持って帰ることもできました。

 

まとめ

 野沢温泉は温泉街全体が硫黄の匂いに包まれています。さかやさんの自家源泉は鼻を突くほどの硫黄の香りで、野沢温泉の古き良き源泉を思い起こします。昨今は湯の花をゴミと勘違いされる方も多く、湯の花を濾しているところも多くなっています。しかし、さかやさんでは湯の花はそのままに浮遊させており、浴槽から上がると身体に付いて上がってきます。泉質は異なりますが、白骨温泉や酸ヶ湯温泉のような濃厚硫黄泉に匹敵するような成分の濃さで、湯上がりに身体をシャワーで流しても沁みつきとれないw 野沢温泉街の外湯にはかつてそのような浴場もあったのですが、観光リピーターが増えたのか加水が多くなっているのも事実。まぁ、どの源泉も熱すぎるので水で埋めないと基本入れないのですけど・・・。

 料理は創作的な和会席ですが、癖や棘がなく素材の風味を楽しめるのに、薄味でも濃い味でもなく、こだわり派にも、そうでもない派にも、ターゲット層が幅広く美味しくいただける物でした。正直なところ繫盛期ということもあり、ゆっくりと味わいながら食べる我が家でも、一品毎の配膳時間の感覚が長く感じました。サービス面ではそれ以外は絶対リピートで宿かなと思います。是非に他の季節料理も味わってみたい。

宿泊料金

 年末年始での宿泊でしたが、記事をしたためた2023年12月では、まずこのお値段で泊まることは難しいかと思います。当時でもかなり安く宿泊できたかなと思います。常連さんが多いのか繁盛期には一般的な予約サイトではあまり目にしないような気がします。

宿泊日:2022/年末年始

旅行サイト:じゃらん

プラン:【じゃらん冬SALE】【1泊2食】【天然自家源泉】美花の湯と創作和食で上質な時間を過ごすプラン

部屋のタイプ:【禁煙】コンパクト和室or和風ツインルーム

合計料金:43560円(2人)

クーポン:春セールがお得になる3000円クーポン

支払い料金:40560円

加算ポイント:1087p

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