いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

山田屋旅館【長野県 野沢温泉】~温泉街中心から外れた小さな路地に面し、静寂な空間で源泉かけ流しの内湯と2ヵ所の外湯を楽しめる。郷土の料理とひっそりまったり隠家の温泉旅館~

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 昔ながらの旅館スタイルがそのままに残る山田屋旅館さんは、全7部屋という小振りの旅館です。昭和館が残る館内はまさに湯治のお宿の情景を残し、天然記念物の麻釜(おがま)から引き湯された湯舟を持っておられます。

旅情

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 訪れた時は突然の大雪となりました。雪に馴染みがない方からすると積雪量は多く見えるかもしれませんが、幼少期から野沢温泉にお世話になる身としては、温暖化の影響もあってかなり少ない印象。20年以上前、この時期は身の丈を越える雪がありました。除雪の労力は減ったが畑の作付けには困ると定宿のご主人のお言葉。

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 玄関前は車一台が通れるほどの小道です。駐車場は目の前にあるので不便はありません。

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 どのくらい小道かというと雪が降ってしまうと、普通車も通るにはぎりぎりの道幅です。野沢温泉街はこのような小道がたくさんあり、散策していても旅情を楽しむことが出来ます。

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 玄関口は小さく田舎の実家に帰ってきたような感覚です。雪国らしく玄関には除雪道具や長靴が置いてありました。

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 玄関右を見ると左に下への階段があり、右には靴箱があります。

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 帳場横の下への階段には浴室への案内があります。改築を繰り返したような後があり、ダンジョンのようになっていて面白いです。案内してもらったお部屋もこの階段の先にありますが、まずこの建物からめぐってみます。

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 上を見ると増し増しの配線があります。古いお宿によく見る光景はここでも変わらず。

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 赤矢印が下階への先ほどの階段です。そのすぐ裏には下駄箱と共同の洗面所があります。昔ながらの旅館なので、洗面とトイレは共同となっています。奥の青矢印へ。

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 下駄箱の裏手には上りの階段があります。

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 まるで文化財の建物の一部を見ているような木造屋です。長く野沢温泉に訪れていながら、こんなレトロな旅館があったとは知りませんでした。

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 上がって右には襖の部屋、左は洋室のような開き戸の部屋があります。廊下がかなり狭く肩幅のある男性だと横にならないと通れないかもしれません。2階はこの2部屋だけでした。

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 階段を下りて帳場の裏にきました。正面の障子一枚の向こうは帳場です。そして、青い3対のスリッパがある右手は、襖一枚で隔てられた向こうはすぐに客室です。なので会話は筒抜けなるとう湯治宿らしい雰囲気ですが、鍵もない部屋もあるようなので現代の宿泊に慣れた方は好みが分かれそうです。訪れた時にはほとんどが常連さんのようでした。

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 1階の散策は終わり地下へ下りてきました。地下といっても建物は傾斜地にあるので実質は1階部分です。スキー場の宿らしく乾燥室があります。廊下奥に進むと右手に宴会場があります。

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 まだお客さんが帰ってきていないのか、スキー用具はまだ干されていませんでした。

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 宴会場はかなり大きく20人ぐらいの宴会なら余裕のあるキャパシティです。玄関棟のお客さんはこちらでの食事だったのではないかと思います。

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 大広間から続く隣の小部屋には小さな舞台もありました。かつては宿を借り切っての宴会なんかもしていたのでしょうか。

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 大広間を取り囲むように廊下が付いており、行きつく先にはアルコールとソフトドリンクの自動販売機があります。自動販売機前には上へ上がる階段と奥には男女別の内湯です。

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 浴場前には何故か御婦人のトイレは開き放たれていますが扉はちゃんとあります。

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 ここはレトロな小便器と和式トイレ。玄関のある棟のトイレは確認しませんでしたが、足腰に不便のある方は問い合わせた方が良いかと思います。

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 浴場前から振り返ってみると、左の茶色の引き戸どうやら調理場で、その隣の廊下は広間を周りこんでやってきた廊下、2階の部屋へは緑の絨毯を上ります。

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 緑絨毯の階段を上がってくると、1.2.号室の部屋があり、3段の階段の先にはもう1室あります。

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 階段を3段上がった奥には「つつじ」と表札が付いたお部屋があります。館内ではここが最も最奥となています。

 

お部屋

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 お部屋は建物最奥の「つつじ」に案内してもらいました。

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 間取りは本間8畳+3畳程の縁側+踏み込み1畳+和式トイレ+洗面です。

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 玄関戸を開けると1畳程の踏み込みのような廊下があります。鍵が付いていないという口コミはありましたが、つつじのお部屋には鍵が付いていました。

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 玄関入ってすぐ左に和式のトイレがあります。レトロなタイル張りで古いですが綺麗にされていました。

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 玄関正面のガラス引き戸には洗面所と風呂があります。かつては特別室のような扱いだったのか館内唯一の風呂付のお部屋ではないかと思います。蛇口は温泉成分によるものか黒く変色していました。施設維持ということもあるかと思いますが、少々もったいない感じもします。洗面は現役で使えますが、お湯はでませんでした。

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 玄関右の引き戸を開けると純和室のお部屋が目に入ります。雪国らしく炬燵があるのは嬉しい限りです。

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 本間は広々の京間8畳です。感染症対策に布団は広げたら、すぐに寝ることができるようにセットされていました。

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 どなたの書か分かりませんが、書額がお部屋に飾られてありました。

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 広縁には古風な和クローゼット。窓はとても大きく取ってあり雪見窓からの光がとてもまぶしい。

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 広縁からの眺めは野沢温泉街の外れと山の冬景色が情を添えます。

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 お布団横にある見たことのない変則な床の一種でしょうか。ここには空の冷蔵庫が置いてあります。

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 冬季はエアコンではなくガスファンヒーターでした。プロパンなのに燃料費が大変そうです。客側としてはエアコンよりも暖かくありがたい暖房器具です。

 アメニティはフェイスタオル、バスタオル、浴衣、丹前、歯ブラシはあるが髭剃りは無しです。金庫と空の冷蔵庫はありました。温泉街には薬局等の日用品の販売もあり、酒屋やスーパーもあります。コンビニも一軒ありますが、繁盛期はすぐに品物はなくなります。車であれば10 分程で2軒のコンビニがあります。日用品は概ね温泉街内で揃ってしまうかと思います。

 

お風呂

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 山田屋旅館さんから坂を少し上った所にある、天然記念物「麻釜」からの引き湯が主です。

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 温泉街にある他の源泉との混合泉となっています。とにかく野沢温泉の源泉は熱い!!ですが、山田屋旅館さんの湯舟は程よく温度調整されています。男女別の湯舟が1つずつで入れ替えはありません。泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉。肌触りは柔らかく口に含むと強硫黄味が特徴的です。温泉街を歩いていても、そこかしらから硫黄の薫りが漂うほどです。野沢温泉は源泉によっては濁りを持つこともありますが、麻釜からの引き湯は無色透明で酸化しない新鮮湯を山田屋旅館さんで味わうことができます。

内湯

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 脱衣所には綿棒と備えはドライヤーとシンプルです。

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 扉を開けるとシャワーが1基と3人で手狭に感じる小さな浴場です。構成は男女とも同じようになっています。

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 湯温は入りやすい37~38度程度の湯温を維持してかけ流しです。ただ、投入量は多くないとしても、源泉の温度はかなり高いので、入浴者により加水が可能なので湯温は一定しないかもしれません。

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 湯口の源泉は多くはない注ぎです。源泉はかなり高温で掛け流し口に手をやると触れるには熱すぎるぐらいです。少しずつ足しながら自然に冷めていくかけ流しです。白と黒の湯の花が浮遊して、こそばゆい様に体を撫でていきます。

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 切り口からは投入量も少ないので溢れ出す源泉はひそやかに。

外湯

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 野沢温泉には無料もしくは寸志で利用できる外湯が13ヵ所あり、山田屋旅館さんからは徒歩1~2分圏内にある「麻釜湯」か「河原の湯」がお勧めです。

 

お料理

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 朝夕共にお部屋食でした。最初から一気出しの配膳です。泊まるお部屋によってはお食事処になるかもしれません。味付けは創作田舎料理でありながらも、素材も良く旅館と言うだけあって丁寧に仕上げてあります。宿泊費からすると冷と温の料理を分けて配膳していただける配慮は素晴らしい。

 お品書がなかったので、給仕係の方から聞いた内容と、実際に食べた感触から献立を作っています。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

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【先付】:鯛の山芋とろろ

 何とも面白い蓋が乗った器が熱々で配されました。

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 蓋を開けるとユズと醤油の香り。蒸したタイに甘味の強い醤油出汁を注いで、粘りの強い大和芋?を掛けユズ皮を散らした一品です。

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 タイの種類はマダイかレンコタイか? お出汁が割下のように濃い味で、とろろがその濃い味をまろやかなに仕立て、タンパクなタイの浸けダレとなり馴染み絶妙。

 

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【向附】:ボタン海老、蛸、信州サーモン

 タコはまさかの生ダコです。しっかり歯応えに海甘味。紅身の説明はなかったのですが、恐らく信州サーモンです。メスニジマスとオスブラウントラウトサーモンの掛け合わせです。淡水魚の青臭さと海水魚の海ミネラル感がない雑がないまろやかな味わいです。とろりとした甘味と食感でサーモンにはない品があります。

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 ボタン海老は特大で尾の部分だけでも7~8㎝ぐらいありそう。なので、エビ味噌も多くこちらは対照的に磯が濃い。

 

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【焼物】:田楽茄子

 本来なら夏野菜ですが、訪れた冬にしては珍しい大振りのナス。品種はなんでしょう。素揚げにしてから、取り分け易いように切れ目を入れ、甘味の強い金山寺味噌のような甘い風味の田楽です。チーズを回し掛けてオーブンで焼き上げているのか。ナスの歯ごたえは夏ナスのようではなく、しっかりとしているが果肉からじゅわりとナス出汁が溢れます。さらに甘味とコクのある味噌はチーズとの相性がいい。手順が多そうなので面倒な一品で美味い。

 

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【台物】:信州牛の陶板焼き

 何ともすばらしい肉厚のサシの入った信州牛です。厚みは1cmぐらいあります。そして、色合いがまた食をそそり部位はおそらく脂がよく乗るロースっぽい。

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 タップリと固形燃料を用意してくれてあったので、じっくりゆっくりと焼いていきます。3切れの肉は、レア、ミディアムレア、ウェルダンで焼き上げてみます。私的には脂が乗っていると、よく火を入れる方が旨味が分かり好みですが、表面はこんがりと中は赤身が残るミディアムレアが今回は一番旨い。味付けは、珍しい「おろし梅ポン酢」。梅の香りが大根おろしに入り、脂が乗る和牛を包み込み、口当たりはさっぱりなのに、肉汁が口の中で混ざると白米が止まりません。

 

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【揚物】:丸十、おくら、舞茸、榎木

 てんぷら4種盛で温かく配されます。画像は見易く盛りを崩しています。やはり、キノコ国の長野県は茸が美味い。マイタケの焙煎したかのような豊潤な香りは黒舞茸でしょうか。

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 エノキは最初見た目からは想像できない程にパリパリに仕上げてありました。乾燥エノキの天ぷらだったのかもしれません。お野菜のサツマイモ、オクラもサクサクの衣。加味は濃い味の天つゆ。

 

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【酢の物】:ナメコみぞれ和え

 おろし大根のみぞれにナメコときゅうりを、上品な甘酢で和えて高座の藍の器にとても映えます。この甘酢は前に出過ぎず素材を活かす、とてもやさしい甘味と酸味。ナメコのヌメりが卸しによく絡み胡瓜の青味でさっぱりと。新鮮ナメコは風味が豊かです。

 

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【食事】:白米

【留椀】:キノコと豆腐のおすまし。

【香の物】:野沢菜漬け

 白米は野沢温泉産でしょうか。一粒一粒が際立って糖度が高く甘い。信州牛と食すると肉も米も幸せタイムです。キノコのおすましは濁りのないキノコ出汁?昆布出汁?山のお宿のお澄ましは普段使わない食材のお出汁の香りがします。具材はマイタケ、ナメコとキノコ香りと大豆豊潤な豆腐。香の物は当然の野沢菜漬け。山田屋旅館さんの物は塩加減がとても緩く食べやすい。

朝食

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・目玉焼き、ウィンナー、サラダ(サニーレタス、キャベツ、胡麻ドレ)

・白菜お浸しマヨ添え

・ほうれん草ツナ盛り

・揚げ天、椎茸、車麩の煮物

・鯖の胡麻みりん焼き 高菜炒め

・焼き海苔

・白米、大根と若芽の味噌汁、野沢菜古漬け

・バナナヨーグルト掛け

 目玉焼きで一膳、サバで一膳と白米が止まらない懐かしさを憶える家庭的な朝食でした。有難いのは全体としてのお野菜の多さです。ウィンナーを巻き込んだ目玉焼き、サバ、煮物の練り物以外はお野菜です。白菜のマヨ和えに加え、小鉢のほうれん草と、味噌汁のたっぷり扇大根は冬野菜の美味しい所をいただけました。全体としては冷めたお料理なのは仕方ないですが、煮物は温かくお宿の規模や料金からすると出来る限りの有難い気遣いです。

 

まとめ

 レトロなエントランスがある棟は自分のような年頃には懐かしい情景です。ホテルというスタイルに慣れた方には好みが分かれるお宿かと思います。しかし、若い方にも数寄な方がいるようで古風なスタイルに興味がある方もいるようです。時代ということもありますが、かつての日本の旅館そのままの情景が残りがそのまま残っています。飾らない素朴で美味しい田舎料理と、温泉好きには内湯と外湯で心身を癒すにはコストパフォーマンスが良いお宿ではないでしょうか。

宿泊料金

 クーポンなどの割引はなく「Yahooトラベル」から予約しましたが、ポイント加算などはなくほぼ定価だと思います。 源泉かけ流しの内湯に、彩の良い信州牛が入れ込まれた献立で、年始の価格としてはお得感はかなり高いかと思います。

宿泊日:2021/冬季

旅行サイト:Yahooトラベル

プラン:信州アルプス牛・ステーキ付プラン<ご利用人数でお選びいただく 和室6畳~10畳 お部屋食>

部屋タイプ:和室

合計料金:27200円(2人)

加算ポイント:123p

野沢温泉 山田屋旅館 宿泊予約

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