いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

茶六別館【京都府 天橋立 宮津温泉】~古めかしい文化財のお宿が残された宮津温泉街、文化財となってもおかしくない料理旅館では美食京会席を麗しくサーブする和ステイ~

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 同じ宮津温泉街には有形文化財に登録された茶六本館という旅館があります。本館のすぐ近くには「茶六別館」という料理旅館があります。こちらの別館も本館に負けず劣らずの文化財のような木造建築の威風堂々の立て構えのお宿です。そして、料理旅館と謳うだけあって繊細な料理を味わうことができる美食宿です。

旅情

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 玄関に車を着けるとお宿のご主人さんらしき方が出迎えてくれました。荷物をおろして車は時世柄かセルフで50m程離れた所にある駐車場へ。旅館というよりは一軒家のお屋敷の様にも見えます。

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 玄関から道路を回り込んで勝手口にあたる裏手です。玄関から奥に建物が続いており、やはり旅館よりも豪邸屋敷という雰囲気です。

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 玄関口は大きくはない。客室数11部屋のお客さんを向かえるには丁度良く、品のある面構えです。

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 玄関からお邪魔するといきなりこの風情です。正面の腰掛の横に立っている柱は何の木でしょうか。天井は白樺のような白い木と杉皮のような飾りがあります。

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 入って左を向くと上り框があり、玄関戸は小さいですがエントランスに入ると意外にも広々としています。しかし、大きな靴脱石です。

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 上がり框を上がって振り返ると反対側には帳場があります。そして画像右手はロビーとなっています。

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 天井を見上げると竹細工と大きな梁のあしらいが目に入ります。

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 ロビーにはパンプレットが置いてあり、通常であればここでコーヒーなどもいただけるのかもしれません。

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 茶六別館さんの建物はいつほどの建造かは分かりませんが、やり直したような箇所もあれば画像の様な部分的に網代をあしらう天井飾りがあったりと楽しませてくれます。

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 青矢印が玄関とロビーになっています。廊下奥には売店があります。

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 玄関から出た廊下の天井も大きな杉板?の網代天井。

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 レトロな木の窓枠と元々は縁らしき欄干のところに女性の色浴衣が置いてありました。チェックインの際に女性は一枚お好きな物を選べます。

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 色浴衣が置いてあったところから中庭を眺めます。建物はこの中庭をぐるりと囲むように回廊のような造りとなっています。玄関から左回りにぐるりと回ってみましょう。

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 ロビーと玄関の隣には売店があり、いわゆるお土産というよりは丹後ちりめんなどの郷土の名品が置いてあるといった内容でした。

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 お土産処の横には暖簾のかかったお部屋があります。こちらはランチやディナーも楽しめるレストランのようです。そして、朝は朝食会場となっています。

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 売店前廊下の引き戸は訪れた時には窓が開け放たれ換気が成されていました。暖冬だということであまり寒くもなく、虫もいない季節なので風呂上りには心地よいほどです。

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 中庭を覗いてみると灯篭には火が入っています。ぱっと見は特段変わった庭ではありませんが、赤丸のところに風情ある仕掛けがあるので後程。

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 廊下を振り返ると売店と玄関が見えます。2階の廊下からも中庭を見下ろすように建物があるのが分かります。

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 廊下の端まで来ました。青矢印は男女別の浴場があります。赤矢印が1階の周回コースです。

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 上画像の青矢印左を曲がると、手前の赤矢印には男湯、青矢印は2階への階段、黄矢印は女湯があります。ピンクの矢印には湯上がりの夕涼み処があります。

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 厳かにある茶六別館さんの浴場は男女入れ替え制となっています。

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 上画像のピンク矢印からは湯上がりの夕涼み処へ出ることが出来ます。

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 夕涼み処からの後ろ庭の景色も見事です。隣には客室があり贅沢にもこの庭を独占できるお部屋のようです。

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 お風呂と湯上がり処から回廊へ戻ります。画像からは分かりにくいですが、青矢印の所にトイレがあります。

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 各部屋にはプライベートなトイレが増設されている昨今。リフォームされず残るトイレはお風呂の前の用足しのためでしょうか。

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 引き戸を開けると2つ個室の用足し用の扉があり、真ん中には手洗い用と思わしき「かけひ」があり、レトロな風情をそのままに残してあります。改修せず是非ともこの姿のままであって欲しいものです。

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 レトロトイレ前を通り、玄関前に戻る折り返し廊下には飛び石の埋め込みがあります。反対側からも見えた赤丸の所には壁を切り取った所にも「かけひ」があります。

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 切り取られ所から中庭を除くと「かけひ」に加え、反対側の建物を仰ぎ見ることが出来ます。設計された方の心情は分かりませんが、色々な角度から中庭の景色を楽しめるように作られているようにも感じます。もちろん屋外と通じているので、この廊下は実質は外です。冬の時期はなかなかに冷えました。

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 赤矢印の暖簾から玄関のある廊下まで戻ってきました。すぐ隣にある階段を2階へ上がります。

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 階段を少し上がって見下ろすとまた違った情景が目に入ります。

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 階段を上がりきると、踊り場のような所はアンティークな雰囲気が満載で時代を忘れてしまいます。階段の欄干部の装飾も職人の遊び心でしょうか。

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 階段の欄干を周りこんで反対側に来ました。二階部分も中庭をぐるりと囲むように回廊となっています。左の廊下を中庭を見下ろすように進みます。

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 丁度玄関上の廊下から中庭を見下ろします。建物の外観は内装から想像には至らないほうどに新しく見えます。

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 廊下の角までやってきて振り返ると赤矢印が上がってきた階段、青矢印にはさらに廊下があり客室があります。今回の宿泊では青矢印の先にあるお部屋でお世話になりました。

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 玄関上にある「海人」という名前のお部屋の入り口には網代の装飾がありました。各お部屋にはこのような装いが仕掛けられています。

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 泊まっていたお客さんはチェックアウトした後のようで、扉が開いていたので少し覗かせて頂きました。二間のダブルベッドが入ったお部屋のようです。

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 中庭を回り込むように左の廊下を奥まで行きます。

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 行きついたところは浴場の真上の廊下です。こちらの客室の扉はモダンな感じに取り換えられてありました。

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 廊下の奥まで行くとお部屋があり裏庭を見下ろす窓があります。

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 窓からは見下ろすと、お風呂から出てすぐにある縁側の夕涼み処があります。

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 2階最奥の廊下には浴場へ下りて行く階段もついています。男女の浴場を挟んで真ん中についていた階段です。

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 楽しかった館内散策もいよいよ終わりです。赤矢印が浴場方面で最後の角を曲がります。青矢印が最初に上がってきた階段方面です。

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 最後の角を曲がると竹と桜?の天井が印象的な廊下があります。

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 上がってきた階段までもどって気付いたのが何ともユニークな飾り窓。開けなかったので分かりませんが、どこかのお部屋の窓でしょうか。この茶六別館さんの建物も言ってる間に文化財に登録されるかもしれません。

 館内はとんでもなく掃除が行き届いて埃の1つもありませんでした。チェックアウト前にはお掃除係の方が、館内を水拭きまでしておられました。神奈川県箱根の塔ノ沢温泉にある福住楼でも同じような光景を目にしたのを思い出しました。こういうきめの細かさはお宿だけでなく、お料理や温泉へのこだわりにも出るのだと思います。

 

お部屋

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 案内して頂いたのは茶六別館さんで最も安価な「老松」というお部屋です。

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 踏み込みは2畳程で新しくリフォームされたような形跡があります。

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 玄関戸を開けてすぐ左に安心のシャワートイレ、目隠しの衝立の柱を挟んでバス、奥には本間があります。

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 バスは1畳程の広さしかないですが、混合栓なので共同浴場が苦手な方には有難いかもしれません。ちなみに温泉ではないようです。

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 立派な掛け軸が飾っていある本間は8畳。生花が床の間に活けてあります。座卓が好みですが、足腰が悪い方の対応でテーブル席になっていました。

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 座卓ではないので床でゴロゴロというには・・・関係なしに床でゴロゴロしました。畳とのスキンシップは最高です。夕食が部屋食対応なので、足元が不自由な方のための配慮でしょう。

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 テレビが置いてある琵琶棚の壁には竹の装飾の埋め込み、床柱の壁はすっぽりと刳り抜かれています。

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 琵琶棚の天井は網代天井、琵琶棚の地袋には陶器の取っ手が用いられています。

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 お部屋への案内後は、ザラメが入ったえんどう豆の変わったお菓子と抹茶をいただきました。

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 広縁にはソファーが置いてあり、洗面所周りのアメニティも充足しています。反対側には冷蔵庫もあります。

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 広縁の天井はやはり竹細工の網代に、欄間は桜?梅?の飾りがあります。

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 玄関の真上に位置するので、とてもいいお部屋ですが、眺めは市営?のテニスコートが前にあります。

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 アメニティ類は不足はなく女性には高級旅館らしく使い切りのフェイスアメニティ。冷蔵庫は有料ながらも自由に使えるスペースがあります。冷蔵庫の「いろはす」はサービス品でした。

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 翌朝には扉を開けると朝刊の配達もありました。高級旅館ならではのサービスです。

 夕食後のお茶セットの入れ替えは当然のようにあり、高級旅館の当たり前のようなサービスはぬかりはなく。

 

お風呂

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 茶六別館さんには男女別の浴場が1つずつあり、それぞれに露天風呂が併設してあります。時間帯により男女入れ替え制となっています。泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物泉とあります。

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 男女の浴室は入れ替え制となっており、源泉量が少ないためか加水、加温と消毒循環となっています。聞きは残念だが源泉分析表を見ているとナトリウムと塩化物の数値がやたらに高い。温泉らしいツルッとした感触はあり、やや微塩味を呈した温泉感に消毒臭は全く感じられません。お宿の方に尋ねてみると共同源泉の湯量はかなり少ないそうで注ぎ足しながら使っているようようです。加水も多そうですが消毒臭はほとんどなく、無味無臭で誰でも気兼ねなく入れる泉質となっています。

小町の湯

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 温泉好きの方が来訪する、というお宿でもないので、客室は満室に近いようでしたが常に空いていた浴場です。浴場は大きくはないですが窓が大きくとられているので開放感があります。

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 4人入ると窮屈な大きさの湯舟の淵はヒノキ。壁も新しくヒノキの香りが充満していました。

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 通常左画像のような湯量ですが、右画像のよう湯口からダバダバと勢いよく溢れ出すぐらいのお湯が投入されます。そうすると、お湯の温度は下がる。もともと16,7度ぐらいしか源泉温度なので源泉の追加でしょうか?源泉が入れ込まれているためか湯口の真下には海辺の温泉らしく砂が沈殿していました。ある意味、湯口に砂があるのは源泉が入っている証拠なのかなと個人的には思ってみる。

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 内湯の切り口からは、相当量の溢れ出しは循環湯でしょう。湯舟内には吸い込み口が1つあり、お湯は常に新鮮に感じられ、源泉量は少ないですが加水循環放流にしているようにも見えます。

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 小町の湯の露天風呂は溢れる気配もなくこちらは完全に循環湯のようで気にならない程度の消毒臭がありました。

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 庭の手入れはされていて露天風呂からの情景はなかなかのものです。

太郎の湯

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 小町の湯と浴場の造りは同じです。

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 内湯は少し大きく1人追加の5人ぐらいで一杯の湯舟です。

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 こちらの湯口は常時このような感じにドバドバですが、小町の湯のような温度が下がるようなことはなく。循環によるものか元々硫黄成分が少ないのか、硫黄のような臭いはありません。

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 フローの切り口もほとんど同じ構造です。追加投入があるのかないのか・・・にしても完全循環にしては湯はしっかりとしていて気持ちよく、消毒臭がほとんどないのが不思議です。

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 内湯船から直接外に出るという、本来庭であった所に後付けされたと思われる甕風呂があります。

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 露天の甕風呂は、赤矢印が吸い込み口で青矢印から加温循環されているようでした。「かけひ」からは随時ぬる湯と思わしき源泉が注がれ、オレンジの矢印からは甕の外へ循環ではない放流がなされていました。「かけひ」からの注ぎが源泉なら、この甕風呂だけは加温循環放流にしても、きわめてかけ流しに近いかもしれません。真相はわからず。  ただ、循環にしても加水にしても消毒臭は無いに等しい、新鮮湯のように入れるので源泉量は少なくても気持ちよく入浴できることは間違いありません。

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 脱衣所にはフェイスタオルが常備され、ウォーターサーバーも完備されています。洗面台は簀の子でえらく古風に仕上げられていました。男女別の化粧水類もぬかりはなく用意があります。

 

お料理

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 夕はお部屋で、朝はお食事処でいただきます。お部屋によって食事処が変わるようです。厳選された旬の素材を贅沢に使用しながらも、繊細に手を加えられたお料理はうなりをあげてしまいそうです。ほんとに調味料1つをとっても良い物を使っておられると思います。一切の雑・濁りを排除して、良い旬彩・食材を透明感のある調理でストレートに美味く仕上げてあります。癖がない料理ばかりで、口に入れてゆっくりと口の中で踊らせると、味の深みと込みが分かりやすいのに、家庭の素材や調味料では再現できないわww無理無理wwと思うものばかりです。

 献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。内容に関しては説明して頂いたものと、実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

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【食前酢】:紅芋酢

 注ぐとハートが現れる可愛らしい杯。地元の宮津にある飯尾醸造さんが作っているという、はちみつ入りのムラサキ芋の食前酒です。お酢なのでアルコールはなく、思っている以上に薫る紅芋に品のある酸味が何ともたまらない。

 

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【先付】:3品

・柿砧巻き 黄身酢

 黄身酢は酸味を控えめに卵黄の深みがありながらもサッパリとした初めの口当たり。しかし、潤いよくトロリとしてキヌタ巻きによく馴染みます。きぬた巻きの大根の酢は黄身酢とは対照的にやや強く、パリコリとした歯ごたえにジュルリと熟した柿を巻いてあります。トロトロの柿はブランド柿でしょうか。

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・袱紗蒸し 菜の花

 柔らかく仕上げたものを袱紗(ふくさ)と言います。名のとおり卵蒸しでふんわりほろりとした食感に盛り込まれてあるのはキクラゲ、ニンジン、カニです。ゆったりとほんのり薫るカニ風味の出汁に浸されてよく味が滲みています。あしらいの菜の花は、花を葉で包んで細かい演出とワンポイントのクコの実。

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・クルミ豆腐 揚げ胡桃 山葵 美味汁

 お出汁はカツオが主、お酒やみりんの甘味を効かしたような麺つゆ風。「ワサビを溶かしてお召し上がり下さい」とのこと。とても滑らかな舌触りのクルミ豆腐は優しく香り、盛り付けの素揚げクルミと一緒に出汁を絡めると美味しい。

 

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 先付けをいただいた後には、漆塗りの椀が二つ配されました。

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【椀盛り】:清し仕立て 地魚 丸大根 梅人参 菠薐草

 蓋を開けるとフワッと柚子の香りが顔を撫でていきます。地魚は連子鯛です。

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 蒸しにしてから椀に盛ってあるのか、旨味が逃がさず閉じ込めて濃縮され、皮がキラキラ照り清汁に映ります。丸大根はタイの下に敷いてあり歯ごたえはしっかりと残してあります。お出汁はカツオで最初の口当たりはやや塩が強いが、柚子と混ざりあうと程良い。緑と赤の色付けには、梅を模した金時人参と彩りほうれん草。

 

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【お凌ぎ】:祝い椀

 これはお品書きに載っていなかった物です。宿泊月が自分の誕生月ということでのサービスのお品。なんという心遣い。これを配膳されるまで自分の誕生日など忘却していました。ほんのり塩をもたせて小豆香りも味も緩い赤飯です。お祝いということもあり金箔のあしらいで豪華でありがたい。

 

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【向付】:松葉蟹 地のもの三種 あしらい一式

 悩ましくも笹すだれを掛けた下には何があるのか。加味は昆布塩と出汁醤油。

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 旬すぎる日本海の王様ズワイガニの刺しです。松葉とついているので山陰で揚がった国産物です。気候が一層寒くなってきたからか、11月に食べた物よりも甘味が濃い!右のピンク色の白身はグジ(アマダイ)、左へアオリイカ、アジと続きます。アマダイもさすが旬物で驚きのタンパクな甘さ。アオリイカはコリスルリと新鮮でねっとりとした甘旨味が濃厚素麺に仕立て。アジはコリコリと見事な歯応えで青魚のいいとこだけを食します。味付けの醤油は薄口のカツオ出汁醤油と、塩はコンブを揚げてから塩と合わせてあるそうです。「塩で食べるなら付け添えの酢橘も一緒にどうぞ」と勧められたので食してみると、昆布の熟味と酢橘で雑味をとり素材の美味さが確かに際立ちます。あしらいは紫蘇花、大葉、大根けん、ワサビ、海藻寄せ。ワサビもきめ細かく擦ってとても甘い。

 

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【強肴】:鰤しゃぶ 野菜いろいろ 薬味 ポン酢

 ギラギラに活かった日本海の旬の味覚であるブリの登場です。しゃぶしゃぶですが、もちろん生食も可能です。「火の通し加減で食べ方をお楽しみください」ということで、まず生食。脂乗り乗りでとろけるトロブリなのに歯応えもゴリゴリ、思わず笑みがもれます・・・。

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 お鍋のお出汁は昆布。これに甘味が強い大根のおろしで、みぞれ鍋にしてあります。野菜と魚の旬コラボです。強めに熱をいれると引き締まった味に。しゃぶ、しゃぶと2回泳がせるとミディアム。

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 大根のみぞれで洗うとさらにサッパリとし、熱加減を色々と楽しみ、野菜を巻いたりと二度三度楽しみました。酸味と醤油が絶妙な柚子ポン酢で、どの食べ方でも美味い。薬味は紅葉卸、ねぎ。野菜は水菜、白ねぎ、白菜。

 

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【炊き合わせ】:ふろ吹き蕪 つの字海老 占地茸 慈姑 絹鞘 柚子味噌

 とても偉そうに真ん中に鎮座する蕪は、重たさがあるように見えるが裏腹に崩れて落ちてしまいそうなほどほっこりと柔い。あしらいも見事で海老の頭部分は唐揚げにしてあり、尻尾はプリプリに蒸しあげて甲殻が濃い。

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 メインのカブに箸を入れると、スルリスルリとカブの中で箸が泳ぎます。熱々のほくほくトロリと、口に入れると根野菜独特の甘いジュわっとしたお出汁が溢れる一方で、炊き出汁も良く入っています。柚子味噌は柚子の透明感だけを残して柚子の上品さだけを抜き、これまた品のある西京味噌と合わせてあります。この西京味噌はマッタリと甘くまってりと口の中はスムーズです。浸してあるお出汁は恐らくカブを炊いた昆布出汁。意図的かどうかは分かりませんが、柚子味噌がお出汁に溶け出すと柚子味噌汁のようになり2度楽しめます。

 

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【油物】:海老芋揚げ出し 下仁田葱 青とおがらし 笹打ち葱 糸賀喜

 下仁田ネギは群馬県下仁田町名産の、とても太く甘味が豊かでネギの主張がやんわりとした種です。これを斜めに切る笹打ちにしてあります。ネギを斜めにきると笹の様に見えることからそう言うようです。このネギと青唐を素揚げして、ネギはトロトロの豊潤自然甘味となり、揚げ油によりその甘味が増幅されて、お出汁に浸されて沁みいりコクがさらに増しています。

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 エビイモはホックリとしたものではなく、しゃっくりとした繊維質が残るように炊いてあります。エビイモの芋味と土風味が素朴に薫る。葛を打って揚げてあるのか、下仁田ネギの甘旨味がお出汁をさらに濃くしてエビイモへ移ります。糸賀喜(いとがき)はマグロの糸状のカツオ節です。これがよく薫る。揚げ出汁の元出汁は分からなかったのですが、このマグロ節が汁に浸ると一面マグロ節味に椀とエビイモに絡みます。

 

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【酢の物】:こっぺ蟹 蛇腹胡瓜 蟹酢

 こっぺ蟹はセコガニとも言われます。また香箱カニとも呼ばれることもある、ズワイガニのメスを指します。セコガニは11月解禁から1月までの2か月しか漁ができないのだとか。オスに比べると風味が劣ると言われます。小振りで卵に栄養をもっていかれるからでしょうか。そうは言っても栄養は卵に移り内子外子はとてもうまい。

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 反対側からみると、かなり厳(いか)つい。卵を守っているメスカニのその姿です。

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 頭の殻を持ち上げると、どう見ても人間の歯のように食いしばったエイリアンの形相です。「配膳してもらったカニなんですけど、人間の歯が生えてますわ」と、この画像を配膳係の若い仲居さんにみせると大爆笑されていました。「カニの表情なんてこんな詳しくみたことないです~~」と言っておられました。まさに地球外生命体です。

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 身はすでにほぐしてあるので手を汚さず食せます。やわらかな蟹酢で、カニ味噌、内子、外子、ほぐし身で、それぞれ一緒に口にしながら食べ方は自在です。もっと食べたい・・・と痛風待ったなしの味わい。蟹酢は甘味と酸味は程よく中性的でショウガですっきりと締めてあります。ほんとに茶六別館さんの酢使いは、つくづく丁寧で棘がなく上品すぎるのが素晴らしい。

 

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【食事】:大根御飯 京揚げ 三つ葉 香の物 留椀

 大根御飯は1cm角の甘大根と細切りの京揚げで炊いたもの・・・に、セコガニの外子と内子の盛りです。こちらは大根飯を炊いてから外子を混ぜ合わせて御櫃(おひつ)へIN。そして、内子と三つ葉を添えて。「大根と揚げの御飯だったんですけど、物足りないし旬だからと『こっぺ』を入れたのです」と配膳係さんより。内子と彩り三つ葉軸をあしらった贅。

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 大根飯というよりは食べ始めは蟹!蟹飯かと思うと、「ごめん下さいよ」と、これまた甘い大根が横切ります。そして、追い打ちに噛み進めると外子がカニを主張し始めます。お漬物は、かぶら菜ピリ辛ゴマ、胡瓜糠漬け、山椒昆布煮、大根古漬け?。胡瓜はニンニクがよく効いていますし、山椒昆布もトロトロ煮です。大根以外は自家製です。何故か大根だけは外注なのだとか。留椀は酸味がない甘味とコクのある京赤出汁はナメコ、エノキ、三つ葉。

 

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【水物】:柿プリン 生クリーム ミント 苺 甘薯寄せ 小豆

 デザートは二品。とても難しいデザートの柿プリンは2層構造になっており、プリンというには蒸しや焼きではなくゼラチンを使用したホイップクリームのような物で蓋をしてあります。プリン地は先付と同じく濃熟した柿、鶏卵の黄身に、卵白のメレンゲを加えて、柿身ホイップ生地にしてある? 食感はプリンと言うよりは、まろっとトロリと滑り落ちてきそうな柔さです。ここでもほんのりと甘さがある程度で素材の味が活きてます。

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 苺は「あまおう」。甘薯はサツマイモ。ここでも透明感のあり良い意味で雑と個がない餡の付け添え。サツマイモきんとん、スィートポテトのような濃密さを備え餡子を盛った和ケーキです。

 

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【夜食】:夕食後はちりめん山椒のお新香巻き

 お布団敷と一緒にお夜食を持ってきてくれました。

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 味わい深いお新香を、香り高いちりめん山椒の酢飯を一緒に巻き上げたお寿司でした。お夜食まで実に京らしい香高い巻きです。

朝食

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 朝食は玄関横にある「レストラン花」でいただきました。

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 冷たく口にするものだけが事前に配膳されていました。

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・16穀米のお粥

 まずは温かいお粥で胃休めから始めます。香ばしい古代米にはうっすらと塩を持たせて、添え付けのとろろ昆布と梅は、やはり風味豊かで味に深みがあります。お粥はおかわりもできます。

 

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・茶碗蒸し(占地、ゆり根、三つ葉、海老、振り柚子)

 続いて茶碗蒸しが熱々で到着し、主張をしない玉子地はお出汁ひたひたでシメジと振り柚子が香ります。シメジと三つ葉が際立つ風味に、中に入れ込んだエビがプリプリで新鮮美味い。

 

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・シラウオと小松菜のお浸し

・サラダ(スプラウト、タマネギ、サニーレタス、黄パプリカ、ミニトマト、自家製ドレッシング)

 シラウオの下には小松菜のお浸しを敷いてあります。シラウオの塩加減で青いが苦味のない小松菜ですっきりとちょうだいしました。どうやったら、こんなにもエグ味なく小松菜が炊けるのか。品種か調理法か・・・。 シャキシャキのサラダは新鮮そのもので瑞々しく、ゆったりとした酸味がある自家製胡麻ドレッシングで。

 

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・湯豆腐(昆布だし、豆苗、薬味:カツオだし醤油、ネギ、糸鰹、紅葉おろし)

 湯豆腐の保温機は有馬温泉の御所坊の朝食でも同じものを見ました。保温機には同じように炭を入れて、湯豆腐を浸した昆布だしを温めています。同時に急須にはカツオ醤油も一緒に温めてあります。

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 カツオ出汁の醤油は程よい塩加減に、さすがの京豆腐はきめが細かく舌触りはツルツルとしており大豆が濃厚です。薬味で豆腐をゆるりと楽しむと日本酒が欲しくなります。

 

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・ハタハタの一夜干し

 日本海では御馴染の胸ヒレが大きいハタハタの一夜干しは一人前なんと2尾です。いつに食べても脂の乗りが良いですが、旬は狩猟場所によって異なります。丹後では訪れた冬季あたりが旬のようです。

 

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・白米

・豆腐とわかめの味噌汁

・香の物(茄子、茗荷酢漬け、胡瓜、もろみ)

 白米は山陰の流れのあるモチっと粘りのあるコシヒカリのような炊きあがりです。味噌汁は西京白味噌に粉山椒で味を引き締めてありました。香の物も凝っていてナスはショウガ風味の揚げ浸し、ミョウガはほんのり酢、もろみの金山寺味噌は美味。

 

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・梨レモンジュレ

 冬季では珍しかろう20世紀梨と豊水の間のような瑞々しい梨です。お隣の鳥取県では冬でも梨が収穫できる品種もあるようです。王秋という品種でしょうか。かけてあるジュレはハチミツレモンで最後まで手が込んでおいしく地物のこだわりを感じました。

 

まとめ

 結論から言うと源泉かけ流しなら150点!!毎月泊まりに行く!!というほどに、接客やサービスはきめ細やかで、料理の手の込みようは正直別格過ぎます。温泉に関しては温泉街の管理何だと思いますが、配湯量は管理されているのでしょう。ただ、加水しているにしても湯使いは、特徴は無いものの消毒臭はしないし出来る限り放流式にしているようで好印象でした。とにかく滞在時の空間づくりやお料理の質からすると、定価でもリピートしたいお宿になったことには迷いがありません。

宿泊料金

 茶六別館さんの目的は料理にあると思います。私的には20000円/一人もしくはそれ以上の会席京料理をいただいたと思うと、諸々合わせて当然のお値段かなぁと思いました。今後はありえない値段ではありますが、gotoとじゃらんのクーポン利用で、ほとんと半額のお値段で宿泊させて頂きました。もともとお安くお部屋を売っていないという印象です。この記事をアップした時点では、じゃらんのスペシャルweekや季節毎のセールのクーポンからの予約が最も安く宿泊できるのではないと思います。

宿泊日:2021/冬季

旅行サイト:じゃらん

プラン:~年末年始限定~■旬の味覚会席■冬しか逢えない『旬の美味』と、新年の飾る食のもてなし

部屋タイプ:老松■-OIMATSU-■和室8畳+広縁

合計料金:88000円(2人)

Gotoトラベルクーポン:28000円

じゃらん冬セールクーポン:10500円

支払い料金:49500円

加算ポイント:26404p

宮津温泉 茶六別館 宿泊予約

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