いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

若海の宿【兵庫県 海若温泉】~淡路島で無二の希少すぎる源泉かけ流しのラジウム泉は全国でも屈指の湯量と泉質、特別室で独占できる源泉と淡路の海の幸のおいしさは再発見の連続~

 東日本の方からすると淡路島って何処?というイメージはありますが、関西にお住まいであれば「ホテル♪にゅ~~あ~わ~じ~♪」のローカルCMで有名な洲本温泉を連想します。兵庫県には温泉地はたくさんありますが湯量豊富という泉地は少なく、意外にも源泉かけ流しの湯使いをしている湯宿はほとんどありません。そのような中、淡路島で唯一且つ関西では希少な源泉を掛け流しで提供しているのが、海若(わたつみ)の宿さんです。

※記事の内容は宿泊した当時の内容となっていますのでご参考程度に。最新の情報は各々ご確認下さい。

旅情

 本州から明石海峡大橋を渡り、淡路島西岸の県道31号線を走ると「海若の宿」さんが見えてきます。とにかく良泉すぎる掛け流しということもあり、日帰り利用客がひっきりなしに、入れ替わり立ち代わりでした。

 お宿の目の前の駐車場に停めると、すぐに係の方が出てこられて荷物を取りに来てくれました。

 玄関からのロビースペースは景気の良かったバブリーな感じがそのままです。

 早く着いてしまったのでお部屋の準備ができるまでロビーで「ビワ茶」をいただきました。香りは麗しいビワなのに口に含むとしっかりとした茶の風味。

 

 ロビーには卓球台、品数は多くはないですがお土産の販売もあります。

 ロビーは喫茶スペースにもなっています。ただ、流行り病のこともあったので、誰も寛いでおらずドリンクの提供はなかったのかもしれません。

 ロビーの奥はお食事処となっています。朝夕はこちらでいただきました。訪れた当時では、流行り病が無ければランチ営業などもされておられるような感じです。

 フロント前は客室と浴場へのエレベーターがあるだけという広いスペース。季節ということもありクリスマスツリーが飾ってあります。かつてはこのスペースも何か有用に使われていたのかな。

 大きな建物なのに部屋は20部屋。2階には広間があるようですが、エレベーターは客室と浴場だけへのアクセス。

 新しい宿ではないのですがリフォームした客室廊下。ワンフロア5から6部屋だけなのでとても静かです。

 2階は大広間の宴会場、離れへの通路、浴場があります。

 日帰りの入浴客が沢山訪れていたので、この階だけは人の往来が多かったです。

 廊下の途中には離れへの扉があります。

 離れへの廊下は長く伸びています。離れには3つの部屋があります。1つは源泉かけ流しの露天風呂がありますが、他の2部屋は白湯なので温泉や間取りの広さに拘りがなければ一般客室で良いかと思います。

 2階廊下の突き当りには男女別の浴場と家族風呂があります。

 浴場前の自動販売機は良心的なお値段です。

 さて、館内散策を終えたので表を散歩です。若海の宿さんの前にはビーチがあり、海水浴のシーズンにはとても賑わいそうです。目の前なのでプライベートビーチのようです。

 お宿前には桟橋があり、瀬戸内を通るタンカーや貨物船の行き交いをぼんやりと見ていられます。

 海水の透明度は高く大小の魚影がたくさんありました。

 訪れた初冬ではサンセットも早く散歩をしているとすぐに日没です。

 

お部屋

 案内して頂いたのは離れの「天平」というお部屋です。

 間取りは本間10畳+副室10畳+踏み込み玄関+広々廊下+洗面+内湯+露天風呂+専用広縁からの専用庭です。

 文化財や木造屋のような趣向のある玄関ではなくシンプル。

 玄関の上がり框は低くとってあり一軒屋のようです。

 玄関を上がると正面に同じ大きさの二間があります。田舎のおじぃちゃん家に帰ってきたような雰囲気です。

 玄関上がって左手には洗面やお風呂がある水屋があります。

 こちらのお部屋は床がある本間になるのかと思います。

 欄間飾りと天井格子は近代的、一畳半ぐらいある床には書院と掛け軸の上には網代天井、床の間横の地袋がある上には変わった吊り棚と網代。今ではこのような細かい和設えは職人さんに頼まないといけません。景気の良かったころの遺産とは大袈裟かもしれませんが、お金を掛けれた頃の名残のように感じます。

 本間の隣の副室とした部屋にはすでにお布団が敷かれていました。流行り病以降のマンパワー削減スタイル。風呂から上がってゴロゴロできるし、2人では部屋の大きさを持て余してしますので、あらかじめ敷いてあるのも最近は悪くないと思います。

 離れのお部屋には二間の広縁から臨めるという専用庭があります。

 ただ、庭に開放感があるわけではなく、所によっては駐車場から見えてしまうので、浴衣を来て庭に出てオーシャンビューを楽しむ。

 離れは立派な平屋の一軒家です。

 悪くはないオーシャンビューですが、桟橋に出た方が良い絵が撮れます。

 庭の目隠しの裏には専用の露天風呂があります。

冷蔵庫には天然水のペットボトル。バスタオルは2枚、浴衣は1枚、アメニティは男性はシェービングジェル、女性は綿とシャワーキャップと一通り揃ってはいます。

 玄関からの廊下奥には左にはトイレがあり、奥には洗面と露天風呂があります。

 やはり、間取りからすると2世代3世代での宿泊なのか洗面は2つ。

 壁付の弱々ドライヤーは年代を感じる。風力のあるドライヤーも置いてあるので安心です。化粧水類はPOLAでした。

 洗目所からはヒノキの浴槽がある内湯へのアクセス。こちらは温泉ではなく、流行り病もあって使われていなかったのかヒノキの浴槽は湯を張ると、木が縮んで湯漏れが激しい。木の浴槽って定期的に水分を含ませないと縮むのだと改めて再認識。

ここから先の温泉部屋風呂は、「お風呂」の項でのご説明を。

他の気になった点としては下記を。

・部屋は床暖房

・高級宿にしては珍しく茶菓子はなくお茶も伊右衛門のパック茶

・周囲にはスーパーが車で5分ほど、10分ほどでコンビニ、館内に自動販売機あり

 

お風呂

 若海の宿さんに訪れた最もたる理由は温泉です。露天風呂が併設された男女別の入れ替え大浴場が1カ所、有料の貸切風呂が1つあります。貸切風呂は「天平」のお部屋に専用の露天風呂が併設されているので利用しませんでした。泉質はラジウム泉である単純弱放射能温泉となっており、ラドンの効能らしく湯上がりのホカホカは凄い持続性があります。肌触りはツルツルと皮脂がよく除け、ほぼ無臭の中にわずかな苦味と鉄錆感があるかないか。吸い込み口などは確認できず、湯量が豊富で大浴場の湯使いは源泉かけ流しのようです。ただし、源泉は38度なので加温して湯口は42度まで加温されているようでした。

 温泉好きには有名な湯のようで日帰り入浴客がひっきりなしに訪れます。

くすしの湯

その一

 チェックイン時に男湯だった湯屋です。

 内湯は木造りの縁に、切り石造りの湯舟には僅かに緑色のような湯が張られています。湯舟の隣にはサウナもあります。

 内湯は10人ぐらいは入れそうな大きさがあります。緑灰色のような濁りがある湯は関西ではとても稀な色彩です。

 湯口では茶色の鉄成分が付着しており、見た目以上にザブザブと源泉が注ぎこまれています。

 縁からのオーバーフローではなく側溝のような捨て湯溝があり、こちらにも茶色の析出物の色付きがぎっちりと見てとれます。一変の縁にある溝に捨てられる湯は途切れることはなく湯量の多さを物語っています。

 部屋数20部屋からすると洗い場は適数。

 露天風呂は雨が入らないように屋根がある半露天です。

 湯舟には交互に入って7,8人ぐらい入れる大きさで、帰り客も多くいましたが、内湯と露天共に大きく混み合うことはありませんでした。

 この湯量は循環湯ではなく源泉です。有馬のような茶色温泉は多数ありますが、茶色の析出物を呈しながら透明色の源泉は関西ではやはり珍しい。

 オーバーフローは2ヵ所ありそれぞれに溢れ出す湯量はとんでもなく。関西でこの湯量のオーバーフローはまず見ません。右画像ではお隣の露天風呂へ湯が溢れ出しており、完全に様相は湧き水から生じる小川です。

 風呂に浸ってしまうと外を眺めることはできませんが、立ち上がると目の前の海や対岸の赤穂などが見えます。

 しかし、この湯に浸かっていると関西で温泉に浸かっていることが嘘のように感じる泉質の良さ。温泉好きの日帰り客が集まる湯であることにも納得です。

その二

 お隣の「その一」とした浴場とほとんど同じ大きさの湯舟です。

 こちらにも入ってすぐの所にサウナがあります。

 内湯の大きさはさほど変わりはないですが、湯屋の構造上の問題か若干湯舟も小さく感じます。

 湯使いは源泉かけ流しで、捨て湯の側溝も変わりはありません。

 こちらの湯量もほぼ同じでザザザーー、、、と湯が流れ出ていく音が響きます。

 露天風呂へ出ると趣向が異なる配置です。手前には空の湯舟と奥には石造りの湯舟。

 手前の長方形の湯舟には湯は張られておらず、どういった目的の湯舟だったのかとても気になります。注ぎ口は2つあるようですが、加温しない源泉槽とかだと切に復活して欲しいです。でも、析出物の付きがないのでサウナ上がりからの水風呂だったのかも。

 空の長方形湯舟の傍らには、「その一」の露天風呂からのオーバーフローが流れ着いていました。改めて見ると凄まじい湯量だ・・・。

 こちら側の露天風呂は小振りのL字型。

 もちろん源泉かけ流しは変わらずマニアもうっとりの湯量は「その一」と変わりはなく。

 溢れ出しも蛇口が壊れたのかの如くで「その一」に負けず劣らずです。

 こちらの露天風呂は目隠しが強く開放感はありません。

 景色がなくとも新鮮な湯が次から次へお注がれ湯感は常に最高潮。日帰り客が長々と湯を楽しみ浸かるのも頷けます。

天平の部屋風呂

 さて、いよいよ「若海の宿」さんでは1つしかない、部屋付きの源泉湯を堪能します。

 特別感を味わいたいというのは本音としてあったのは事実。ただ、大浴場が源泉かけ流しか分からなかったので露天温泉付きのお部屋を選びました。

 内湯からは「ゆ」の暖簾が掛けられていて、いざご賞味。

 中々に旅情がある露天風呂です。湯舟からは源泉のオーバーフローがあり大浴場と同じように川のように溢れ出しています。

 部屋に備えた露天風呂とは思えない広さと趣きです。

 小さな旅館では公共露天風呂の大きさです。仲間内では余裕で5人は入れる大きさ。

 到着した時はまだ湯張りができていない状態だったので毎回お湯を張り替えているのが分かります。次に覗くと四方八方からのオーバーフロー状態となっており、溢れ出しも素晴らし過ぎる贅沢な湯量は感無量。季節的な物もあるかと思いますが、訪れた冬季では熱くもなく温くもなくいつまでも入っていられる湯温で、ゆっくりと入るとラジウム効果かポカポカとした最上の湯加減でした。

 湯口は「あつ湯」、離れれると「ぬる湯」で身体を沈めると舞い上がる茶色の湯の花が大量に枚視覚的にも浴感が高揚します。大浴場の内湯に比べると見た目には多くの源泉が注がれているようにも見えます。

 ツルツルの湯感や湯の花の多さは、もちろん他のお客さんが入っていないので湯力は大浴場を凌ぎます。緑黄のうっすらとした濁りは大浴場よりも透明度は高く、水面位に付いた析出物は成分の濃さや新鮮湯の証しを見せています。

 

お料理

 朝夕共に1階のロビーにあるレストラン「浜風」でいただきました。訪れた時のプランでは離れの「天平」のお部屋に宿泊すると無条件でグレードアップの「松風会席」となっていました。手作り感はもとより海の幸が満載でその新鮮さに不随する旨さをしみじみと味わうことができます。ただ・・・この会席、ボリュームがありすぎるのが難です。

 献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。内容に関しては説明して頂いたものと、実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

 浜風は生け簀を取り囲むようにカウンター席が設けられ、その周囲には障子で境をつくる個室が並びます。景気の良かった頃の大型割烹料理屋を連想させます。感染症によりお客さん減少のためか、生け簀は少々寂しい感じではありました。お客さんの入りが約束されると生け簀も元気になってくるのでしょう。

 夕食は座敷の個室の用意でした。

 テーブルには小鍋と空の五徳、前菜、食前酒が並べられていました。注文したお酒が届くと、椀とお造りがすぐに運ばれてきました。

 

【食前酒】:ゆずれもんはちみつ酒

 酒度はほとんどないようでしたが、焼酎の味がしっかりとあってハチミツのコクに柑橘の風味がまったりと漂います。小さな氷を入れ込んで、氷が融けてひんやりと冷やされると、丁度まとまった味でサッパリといただけます。

 

【前菜】:七種盛り

 ①鯛時雨煮:マグロと違い血の臭みがなく醤油で濃い味に仕上がっているが鯛の白身らしいタンパクな時雨。 ②黒豆:密煮のように炊いてあるが豆を口にいれると崩れそうに柔く思っていたような甘さはなく大豆が薫る上品な味付です。豪華に金粉の飾り。 ③とんび黄金山葵:とんびはイカの口の部分を言います。強軟骨でゴリゴリの歯応えには飛子と刻みワサビの和えのアクセント。 ④バイ貝:かなり強醤油で炊き上げてから貝に戻してあるのかと。 ⑤海老うま煮:うっすらと出汁が入りエビの旨みを引き立てるように甘めに炊き上げてあります。 ⑥鴨チャップ煮:コンソメ?とケチャップで煮た物なのかほんのりトマト風味が滲みて変わった洋風。 ⑦菜の花砧巻き:大根とニンジンのかつら剥きで巻き上げてあるのは菜の花の軸と葉に加え恐らくは酢で締めたイカ。甘酢のようかと思うと噛み進めるとなかなかの強酸味。

 

【椀】:鯛蕪すり流し

 金箔をあしらった椀の蓋を開けると、白濁とした旨汁からカツオが鼻を抜け、カブラを炊き上げた後のゆるりとした甘さがこみ上げてきます。コクがあるのは白味噌を使ったりしているのでしょうか。水面にはタイの脂だろうか、ギラっと光を照らし柚子皮を一片浮かべた香り付け。

 椀の中には炙りタイが盛り込まれ、しっかりとした身振りでギュッと締まったマダイかな。タンパクではなく脂の乗ったタイ味はかなり濃く、淡路の荒波でとれる天然物かと思います。

 

【向付】:お造り五種盛り

 蓋つきのバブリーなギヤマンの器は、シンプルが美麗な昨今では1周回って新鮮な造形。

 蓋が開けると活かりをギラギラ見せるお造り達です。マグロ、カンパチ、サワラ、アオリイカ、タイの5種です。 マグロは中トロで程よい脂の乗りにトロけ具合が絶品。 サワラは炙りを入れて焼き霜のように仕立ててありサワラ味が内に閉じ込められて濃熟。 アオリイカはコリスルリと歯応えよく旨みも強い。 タイはグモグモとかなり大振り筋肉質で、もとのタイの大きさも相当なものかと。

 カンパチもかなりでかく、その厚みもとんでもなく1㎝幅あります。口の中に入れるとまさしく頬張るという表現になり噛み応えもゴリゴリと凄まじい。つまは大根けん、大葉、本山葵、蓼ではなく紫蘇という珍しいお口直しの薬味。味付はトロリとした濃厚たまり。

 

【進肴】:アワビ踊り焼き

 コンロにセットされたの鉄陶板。蓋を開けると大アワビが横たわっています。これまで訪れた宿で食したアワビの中では最も大きい10㎝超え。

 そして、逃げ出しそうなほどに暴れる元気さです。いやほんとにゴリゴリと動くので何度も落ちそう!!と手を伸ばしてしまうほど。生け簀からいきなり鉄陶板に乗せられ焼かれる身としては悲惨。食べる側は極旨。命をいただきます。

 蒸しあがったアワビから取り出したワタは緑色です。海藻を主食としているのがよく分かります。海藻をエサにしているので天然物?なのかも。

 蒸しあがったアワビさんを切り分ける。命を美味しくいただきます。食感が素晴らしくグニグニとした弾力は歯を弾きバターの薫り付け。噛むほどにアワビ汁が滲み出します。というよりは噛むしかない弾力。伊豆で頂くような6,7㎝の小振りアワビではなく10㎝超えると流石に噛むしかないので嫌でも旨味が堪能できます。

 薬味にスダチが際立つポン酢もありますが、自然な塩味とアワビ味が熟しているのでそのままが一番おいしいかも。ワタと一緒に食しても絶品珍味。ワタは海苔やワカメのような青味が深く、やはり天然物なのかな。

 

【蓋物】:鯛姿煮

 とんでもない蓋物椀がやってきました。この時点でかなりご察しの満腹近し状態なのですが、一般的なお鍋の取り皿を横に並べて比較してもらうと器の大きさが分かると思います。まぁ・・・25㎝ぐらにの直径器。

 蓋を開けると30㎝近くありそうなクロダイがド~ン!! 家庭なら御飯と味噌汁とこの煮付けでお腹一杯になるやつです。多分これ食べちゃうと他が食べれなくなりそうですが・・・。香りの調整にゴボウと里芋に葉サンショウ。

 食べ始めるとこれまた身が引き締まりまくりのクロダイで、味も凝縮されたマダイとは違うワイルドテイスト。新鮮素材は骨からはスルスルと身離れも最高です。煮汁はこってりとしたものではなく、酒とみりんを効かしたサラリとした物でしっとりと身に馴染んでいました。案の定、この時点でかなりお腹が満潮です。美味しいながらも、もったいないですが、残りのお品を楽しむなら少しの味見だけで残した方が・・・後の献立をより楽しめるのかと・・・。

 

 クロダイの煮付けの間が少し空いたので個室からホールを眺めると、生け簀を囲むカウンターが見えました。

 バブル時代、食育も出世の1つだと父親に連れていかれた大型割烹料亭を思い出しました。確か・・・大阪八尾の伍代という料亭だったかな・・・。今は当然ながらそのような店はないですが、そちらの生け簀には活けイカが泳いでいたのを憶えています。バブリー時代に大阪下町の生け簀に活けイカが泳いでいるとか今ではありえない光景です。

 

【洋皿】:淡路牛と茄子の博多

 昔を懐かしんでいると、彩り華やかな黄土色の一品がやってきました。博多とは重ねて盛り付けたりすることを言います。ここでは茄子と牛を重ねて盛ってあることをいうのかと。よく焼かれた淡路牛は確かな和牛味があり脂の乗りもそれなりにあるが赤身の硬さも程よい。噛めば噛むほど旨みが滲み出てくるのはモモとロースの間ぐらいの赤身が多い肉質です。ナスは揚げ油で香ばしさを増して素揚げにしてあり、ソースはポン酢をベースにして味噌を溶いて麹のまろやかさを足した物です。程よい酸味と甘味には、油を吸った素揚げナスは田楽仕立てで、牛はポン酢味噌の焼きしゃぶ仕立て。お皿は温かく熱せらた配慮。グリーンはチャービルの彩。

 

【揚物】:河豚唐揚げ 青唐

 腹八分、いや九分、むしろ胃袋満タンで食道にまで上がってきているところに、やってきたのは唐揚げです。淡路は3年トラフグが有名ですが、少々安価のサバフグという種です。トラフグの代用品として使われるぐらいなので味は確かです。恥ずかしながらも「トラフグ」ですかと聞いてしまいました。自分の味覚では種までは判断できず。

 トラフグは魚のタンパク感がゴリゴリですが、サバフグはどちらかというと鳥モモに近い弾量はあるが柔い食感で脂の乗りがあります。衣の味付が鳥唐風なので、食べ口は完全に鶏なのに後口はフグのタンパクさが残るというあっさりという不思議な感じです。加味は淡路の藻塩とスダチです。

 

【強肴】:河豚鍋

 小鍋もサバフグです。離れだけでも3年トラフグにならないのだろうかとやきもき。

 サバフグは毒を持たない種でもあり扱いやすいフグの一種だそう。

 薬味には紅葉おろし、刻みネギ、スダチ。

 幸せな高級食材と繊細な味付けにより腹11分。いわゆる満腹ですが料理は続きます。

 トラフグの銀箔色の身と違い少しピンクが掛っています。魚は食するエサによって身の色が変わるという特徴があります。私的ですが白身は筋肉、赤身は油質が強くなる?という印象がある。ただ、赤身はエビとかカニとかの甲殻類が主流というわけでもないような・・・。もともと大振りなフグではないですが、この個体は大きくゴロっとした身は生でも硬さを感じます。

 お野菜が煮えてきたらお鍋に浮かべます。鍋に入っている状態では見た目はやはり鶏肉の様。付け合わせのお野菜は白菜、菊菜、白ネギ、シメジ、紅葉生麩、豆腐です。

 アワビと同じスダチが薫るポン酢に浸しちょうだいします。やはりグモグモとした鳥肉のような歯切れだが、唐揚げとは違い鍋だとやはりフグ味が勝つが、トラフグよりもさらにタンパクな味わい。ただ、トラフグとは事なる旨味でタイなどの白身との間に近い旨味かもしれません。

 

【留椀】:赤出汁

【飯物】:淡路米

【香物】:漬物

 赤出汁はとてもまろやかな京赤味噌仕立てで渋みや甘味に品がありナメコを入れ込み三つ葉を浮かべてあります。淡路米はキヌヒカリかな?ややもっちり感があるが粘りは控えマイルドな甘味。漬物は大根べったら漬け、キュウリ浅漬け、柴漬けでこちらも自家製?良い物のお取り寄せとも。

 

【水物】:メロン、ティラミス、バニラアイスクリーム

 バニラアイスはバニラビーンズを混ぜ込んで香りよく、ティラミスも冷凍なのかと思ったのですが?妙な手作り感?があるような・・・。最近の冷凍ケーキもだいぶ美味しくなってきたのですが、この大きさは概ねお取り寄せが多いかな。献立にはメロンとありましたが、お皿にのっていたのは柚子饅頭。見た目も餅で作られた柚子皮も、表面のイボイボを再現するために一品一品穿つの跡がありました。トップにはヘタを模したパンプキンシードを埋め込んであります。

 中は柚子香を混ぜ込んだ白餡で、見た目だけでなく中身もかなり手が込んでます。

 何とか完食したのですが、すでに胃には収まらず食道まで上がってきているが如くの満腹感。お部屋に戻ってしばらく動けないほどでした。煮魚はどの宿でもパンチが効きすぎます。煮魚は味見をして持ち帰れるなら、そうしたほうが良いと海宿ではつくづく思います。

朝食

 朝食と同じ席での用意です。テーブルには台物だけが用意されていました。

 観光桟橋では朝一から釣り人が訪れていました。

 お食事処ではこのお席の景色が最も良いかもしれません。

 五徳に火が入れられ、しばらくしてお膳が運ばれてきました。

 夕食に比べると適量で塩加減もおとなしく茶碗一杯の白米に丁度いい内容です。

・鮭の塩焼き 蒲鉾 牛蒡の酢漬け

・ロールキャベツ

・丸天揚げ

・出汁巻き玉子

 鮭ですが色合いは白い。添え物のカマボコも濃厚なすり身の味があり、ショウガの様に見えるのはゴボウの酢漬けと変わっています。やはり、海辺のお宿で美味しいのは練り物です。丸い揚げ天はふわりとしているのに弾力があり優しい醤油出汁に浸して大根おろしもよく合います。出汁巻きは職人のお手製で湯葉のような層状になっており、箸を入れるとジワリと出汁が染み出てきます。

・湯豆腐

・焼きのり

・オレンジ

・ちりめん山椒

・香の物(壬生菜、佃煮海苔、梅干し)

・白米

・味噌汁

 ちりめん山椒はお手製なのか、煎りは適度に半生に留め辛味はない香りだけが透き通る山椒の爽やかさはとても美味です。味噌汁は関西風の合わせ味噌のようで巻き麩とワカメに夕食と同じ甘さマイルドな白米。

 全体としてシンプルにまとまった内容となっていて食べやすい朝食でした。

 

まとめ

 満足はしたが微妙な感触。でも再訪はしたい。という矛盾した完結的意見です。宿泊した時は特別室に泊まると自動敵にグレードアップ会席とっていました。記事をしたためた2023年以降の予約では特別室であっても、グレードアップと基本料理のプランがあるようです。こういうのはご時世により変化するものなので確認を。

 海辺にあるのんびりとしたお宿という雰囲気で、過度なサービスがあるでもなく、要求すれば応じてくれるのかな、という付かず離れずの接客。施設としては手直ししていますが、設備全体は少々古い感じがします。

 一番効果なお部屋ながらも、床や棚には飾り物や花などはなく少々殺風景でもあります。

これだけ大きなお部屋なので3世代で泊まることもあるのか、壁はダメージを受けている部分があったりします。

 源泉かけ流しのお風呂が付いた部屋は館内で1室しかありません。淡路で唯一無二の源泉かけ流しの極泉をプライベートで楽しむには離れの部屋に宿泊する必要があります。ただ、離れだからといって特別なサービスやアメニティがあったわけでもないので、少々お高い感じは否めず。離れの冷蔵庫だけインクルーシブとかするだけでも嬉しいのだけども。

 気になるのは大浴場の日帰り利用客の受け入れです。時々によると思うのですが、自分が訪れた時には夕食後も外来入浴の受付をされていました。記事を書いた現在では公式HPでは20時までの受け入れ21時までにアウトとなっています。さすがに、夕食後は宿泊客だけの利用としてほしいところではあります。

 料理は手間暇のある創作性というよりは、素材推しという内容で美味しいが人を選ぶかなという内容でした。

 少し辛口なところもある「まとめ」でしたが、温泉は大浴場で十分堪能できるので、次に行くならスタンダード会席で一般客室の宿泊で再訪したいです。

宿泊料金

 源泉かけ流しの離れ家で102000円と正直高いです。温泉付部屋5万、夕食3万の割り振り。平日でも一般客室スタンダード料理で60000円からなので料理の内容と良泉からすると妥当。

 料理良し、泉質良し、接客良し、再訪良し、なのだが、私的には節々に微妙な感じがあります。離れは源泉風呂に全振りステータスで特別サービスはなく、大浴場は外来入浴の時間を変更するだけで、私的には宿泊料金への印象は大きく変わります。それでも、この無二の泉質を関西で入れるのは海若の宿さんだけなので、お得なプランがあれば再訪は間違いないです。

 ポイント11%付与ということもあり、クーポン利用と合わせて82000円ぐらいで泊まっています。

宿泊日:2021/晩秋

旅行サイト:じゃらん

プラン:【正規料金】~掛け流し自家源泉の薬師湯と淡路島の味覚を堪能~絶景の夕日を眺めるひとときを

部屋のタイプ:【特別室離れ20畳】温泉露天風呂付き客室(10帖+10帖)

合計料金:102000円(2人)

夏セールがお得になるクーポン:9000円

支払い料金:93000円

加算ポイント:11220p

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