いい温泉宿、おいしい料理宿

いい温泉宿、おいしい料理宿

再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

いっぺん庵【京都府 蒲井温泉】~全ての部屋に希少源泉かけ流しの湯舟がある日本海の波の音が響く一軒宿、京料理のように素材を活かした会席だが現代に沿った高みの創作性は時代の確変を思わせる至高のおいしさ~

 京都久美浜にあって日本海を臨む一軒宿。一日7組しか受け入れない離れのお宿では、京都では珍しい濁り湯を源泉かけ流しで使用されています。大浴場だけでなく各部屋にも内湯と露天風呂が備えがあるという贅沢さ湯使いです。温泉だけでなく、京都丹後の山海の幸を余すことなく堪能できる京懐石も楽しみの1つ。いっぺん庵さんは極上の湯と食の静寂お篭りステイができる大人の湯宿です。

※記事の内容は宿泊した当時の内容となっていますのでご参考程度に。最新の情報は各々ご確認下さい。

旅情

 久美浜町蒲井方面にGoogle mapを見ながら車を走らせドン突きの半島の道に入ると、道路左舷に豪邸一件家のような建物が見えてきます。

 駐車場に車をつけるとすぐにご主人らしき方が荷物を取りに来てくれました。

 佇まいは古風というよりは現代風の別荘のような構えです。

 前門を潜ると右手には飛び石のある中庭には「かけひ」。

 フロントでチェックインの手続きを終え、館内の説明を受けながらお部屋へ案内です。 赤矢印が入ってきた玄関。

 周辺にはお土産屋さんが無いので簡素な売店があります。ちょっとした菓子類の販売もありました。

 訪れた季節的には使用されていませんでしたが暖炉が映えるロビーです。

 冬の日本海はよく冷えます。冬季はフル稼働のラグジュアリー暖炉なのかと思います。

 本来であればフリードリンクのサービスもあるのですが、感染対策で水しかなく・・・。記事をしたためている2023年秋期でも公式HPでは提供を控えているとあります。

 流行り病以前はフリーワインの提供があったようです。

 虫が少なくなった季節ということもあり、ロビーは開け放たれていました。旬物の干し柿が軒に吊るさていました。高級旅館なのに、おばぁちゃん家的なアットホームな風景。

 フロント横からは別棟である客室と浴場への廊下。

 戸を出ると完全なる外廊下です。館内はお食事処も含め外廊下で結ぶ離れ家となっています。

 最初の建物は個室のお食事処です。夕食はこちらでいただくことになります。

 廊下を挟んで、お食事処の反対側には客室。こちらはオーシャンビューのお値段高めのお部屋かな?

 お食事処を抜けると正面には大浴場があり、浴場手前右には客室への外廊下が伸びます。

 浴場前の廊下を右に曲がると客室への離れ家が見えます。庭の手入れは抜かりなく荒れは微塵もなく。

 離れ家となっていますが、客室は2部屋1棟といった感じです。料理の内容がそこまで変わらないのであればと、最安値のこちらのお部屋でお世話になりました。

 お宿の目の前には展望台へ上がる遊歩道が付いてあり、少し歩いたところから全景を撮りました。

 道路の行く先は港のドン突きで道路を通る車もなく、ファミリー層向けのお宿でもなく、ただただ、秋の虫の合唱が耳に心地良い。

 

お部屋

 案内して頂いたのは「しゃかの間」です。

 間取りは本間8畳+寝室6畳+広縁4畳程+玄関1畳+トイレ+洗面+内湯+露天風呂です。

 お部屋に案内されると、早々に煎茶とお茶請けが運ばれました。ダブルきんつばとあるのは「栗とあずき」が2層になった珍しい菓子です。

 現代的な玄関戸を開けると半畳程の間口に2段の上がり框。

 まっすぐ進むとトイレと風呂等の水回り。左には居室があります。

 本間は琉球畳16畳の大きさです。安いタイプのお部屋なので開放感は今一つながらも、離れ家になっているのでとても静かな佇まいです。

 広縁は板の間になっており、冷蔵庫や茶類などは全てこちらに用意してあります。テーブルセットはあるが、小庭があるだけなので敢えてここで寛ぐことはなく。

 冷蔵庫は有料、コーヒーはuccのドリップタイプ、水はフリー、お茶はパックです。

 専用庭はありますが、山側のお部屋なので眺望はなく。海側の眺めがあるお部屋はお値段が高めとなっています。

 広縁側から本間に振り替えると奥にベッドルームです。

 こちらも板の間になっていて寝るだけのスペースです。

 訪れたのは初秋。寒くもなく熱くもない厚みの快適な羽毛布団でした。

 廊下に戻りお風呂へ向かいます。

 アメニティ類は男性用と女性用別々のPOLAの化粧水等、歯ブラシやヘアーブラシなどはビジネスホテルでも見るよくある物です。バスタオルは1人2枚とお風呂好きには嬉しい。

 部屋付きのお風呂は次項に。

 

お風呂

 いっぺん庵さんでは、全てのお部屋に源泉かけ流しのお風呂が付いているにも関わらず、大浴場もあるという贅沢な温泉三昧が楽しめます。男女別の浴場は固定で入れ換えはありませんでした。

 泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物泉となっており、ツルツルとした肌触りで、海辺の源泉らしく、明確な塩味に海の恵であるニガリに加えマグネシウムのような苦味、さらに鉄錆臭と硫黄臭が交互に緩やかに匂います。全国的にも珍しく、京都府では希少すぎる泉質かと思われます。

 湯使いは源泉かけ流しとなっていますが、厳密には源泉の温度が35度しかないので、加温放流のようです。

薬師の湯

 何とも旅情を誘う一画の浴場です。

 浴場内には岩盤浴もあります。ただ、流行り病のためか往訪時は使用禁止となっています。記事を書いている時点でも公式HPにも案内がありませんでした。

 内湯は5人ぐらいは入れそうな大きさがあり、3人ぐらいだと気兼ねのない広さです。

 青緑色の濁りの色合いがゼリーのように美味しく見えます。

 湯口は多くはない源泉量ではあるが、塩とカルシウムの析出物と思わしき塊が付着しており泉質の濃さを語っています。こちらは生源泉なのか手に取ると肌温よりもぬるい。

 浴槽庭側の切り口からは湯口からの湯量よりも多くの湯が溢れ出ていきます。この溢れ出しの湯量からすると加温泉と源泉を合わせると贅沢な湯量です。

 湯舟内には加温された源泉と思わしき噴出があったのは加温源泉でしょうか。

 内湯に併設されている露天風呂の景色は山肌。

 こちらは3人ぐらい入ると少々気まずい大きさです。こちらは気温により湯温が低下するのか加温循環されているようでした。

 湯口の蓋が開いたので覗かせて頂くと、茶色の温泉成分が沈殿していました。これを見るだけで京都の温泉であることを忘れそうです。

 最初にもらい湯をした際はオーバーフローはなかったのですが、翌朝に行くと縁からユルリユルリとしたフローがありました。内湯に比べると源泉の投入は少なく見えます。

 源泉を楽しむなら部屋の内湯であるが、足をぐぐっと伸ばして、大の字で入るには大浴場がお勧めです。

弁天の湯

 女性側の弁天の湯も少しだけ。男性側の左右対称となっているため、湯屋の造りや湯の加減等は全くと言ってよい程に同じ仕様です。一点言うのであれば、女性側ということもあって、男性側よりも目隠しは厳重にされているようでした。

「しゃかの間」の部屋風呂

 お部屋の洗面所奥には内湯があります。露天も内湯も大人だと1人用の大きさです。

 内湯はすでに加温された源泉が注がれ湯量は多くはありません。ただ、大浴場よりも明らかにツルツル感が強く湯の具合はとても良い。この内湯が最も源泉に近いような気がしました。その証しなのか、この内湯だけは透明度が最も高く保たれていました。

 湯温が低いようならフロントまで連絡下さいとのことでしたが、むしろこの内湯は生源泉の温度で入ってみたい・・・次に行くことがあれば是非に頼んでみようと思います。

 露天風呂は湯温が低下するので大浴場と同じく循環加温の仕様のようです。そのためか、内湯に比べると酸化して濁りが強くなっています。

 ただ、ボイラー?湯沸かし器と思わしき物入れのような影に湯舟があるので湯舟からの景色はいまひとつ。

 湯量は多くはないが注がれるままに、甕の湯舟のそってユルユルと溢れ出す様は勿体ないの一言に尽きます。

 湯舟の底をこすると手には茶褐色の成分が付き、湯の中には微細な黒色の湯の花が舞うという。京都でここまでいい湯に出会えるのは「いっぺん庵」さんだけではないだろうか。

 

お料理

 朝夕ともにフロント母屋と離れ家の間にある個室のお食事処でいただきました。

 季節の素材を使った飾らないスタンダードに見える京懐石料理の中に、変わり種の揚げ物を盛り込んだり、創作性も忘れず食材の美味さを最大限に活かす京料理らしい丁寧な調理や味付がなされています。

 献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。内容に関しては説明して頂いたものと、実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

 テーブルには前菜、造り、台の物が用意されています。席に着くと台の物に火が入ります。

【食前酒】:柚子ワイン

 飲み口が驚くほどスッキリとした食前酒です。口に含むと最初は苦味のない純粋なユズのいいところだけの香りがあり、最後にはほのかに漂う白ワイン。

 

【前菜】:季節の前菜

 ①糸もずく酢 ②バイ貝旨煮 ③黒胡麻豆腐 ④さつま芋密煮、⑤干柿大根砧巻き

 ①ゼラチンのようなトロ粘りが、極細のモズクがとても絡んで一纏まりに食べる感じです。米酢にレモン?の爽やかな酸味でシャッキリとしています。 ②バイ貝はまったりとお酒を中心に焚き上げたように甘く醤油は緩く。ゴリコリで噛めば噛むほどに磯の旨味が滲みだします。

 ③豆腐と言うにはもっちりしており、餅というには歯切れがよい。黒胡麻の自然の甘味が菓子のようで生麩に近いような触感です。これにはしっかり味の鰹ジュレ、ワサビと雲丹のあしらい。 ④さつま芋の密煮はかなり甘く煮てありますが、繊維質なシャクっとした後にはほくほく感があります。密煮というように、飴のようにぬったりとした甘さが特徴的な菓子のようです。

 ⑤ゆったりと酢を持たせた桂大根で巻いてあるのは人参、菊花、きゅうり。中心は干柿を湯葉で巻き上げてあります。一口に食べると贈答用のような熟した干柿はねっとりと甘く、それぞれの食材も酸味を持たせているようで、甘味と酸味の調和が素晴らしい。背面には秋の味覚である自然な甘味が漂う上品すぎる栗の渋皮煮です。

 

【造里】:栄螺 牡丹海老 鰺 間八 鮪 めばる 褄一式

 日本海直送の死後硬直が起こっているかのようなコリプリのお造りは豪華な6種盛りです。 栄螺はゴリゴリでまさに水槽から揚げた直前まで生きていた歯応えに珍味食感。 ボタンエビはトロ甘く、クセのないエビ味噌がとても美味い。アジ、カンパチ、マグロ、メバルもそれぞれの魚味が濃く深い。マグロはメバチか・・・。醤油はトロリとした濃いたまり醤油です。つまは大葉、大根けん、菊花、紅芯大根、本ワサビ、紫蘇花。

 

【座附】:松茸土瓶蒸し

 前菜を吟味していると、ほどなくして秋の味覚の代名詞でさる松茸の土瓶蒸しに火が入ります。

 前菜を食していると土瓶から蒸気が吹いてきました。ほどなくして配膳係の方が監視カメラでも見ているかのように訪れて、固形燃料が残っていても沸騰する前のいい加減でお皿に移して頂けます。炊きすぎると中の食材が硬くなりお出汁に繊細さが無くなるからかと。

 蓋を開けると柔く上品なマツタケの湯気は、今か今かと口の中が準備し始めます。マツタケは間違いなく国産物です。5000円ぐらいしそうな大きな1/8カット×2入りです。

 具材もたっぷりと、エビ、タイ、シメジ、ホタテ、三つ葉が入れ込んであります。いい火加減なので、それぞれの具材は硬くなり過ぎず食せます。特にタイはほろほろでちょっとした一品のようです。なにが凄いのかというと、これだけの具材が入っていながらも、ゴリゴリとマツタケの風味が負けずこれでもかと嗅覚を突いてきます。国産恐るべし。追うでもなく逃がすでもない出汁の上品な使いは、さすが京都と言わざるを得ません。

 

【蒸物】:薩摩芋饅頭

 「料理長自慢の一品です」と配膳されました。カツオ銀餡の泉に香ばしく揚げた饅頭を浮かべてキャビアを添えてあります。

 饅頭に箸を入れると中にはエビとウナギの盛り込みがありました。饅頭のサツマイモ地はしっとりねっとりとしており、サツマイモの甘味に加え密煮汁と塩を加えたような「サツマイモきんとん」仕上げのようです。これを団子にして油で揚げてあるものかと思います。エビとウナギにキャビアの味変を、主張の強い素材ながらもカツオ銀餡に絡めて纏めると美味。さすが自慢のお品です。

 

【台の物】:秋の宝楽焼き サーモン 貝柱 海老 和牛

 目の前で調理する台の物ではなく、焼いてからテーブルへ配膳されます。。

 味付けはトリュフ醤油、ポン酢です。トリュフ醤油はトリュフの匂いが豊潤で、ポン酢はスダチの酸味に勢いがあります。薄口醤油の塩加減はかなり強いので、具材の端を少し漬けるぐらいが素材本来のおいしさを味わえます。

 蓋が開けられるとエビと和牛の薫りが一色に充満します。

 失礼ながら色々と詰め込み過ぎて味に濁りが出てしまいそうな珍しいワンプレート焼き。ジュウジュウと音を立てた盛り込みはエビ、ホタテ、牛の3種。

 陶板にはボタンエビから染み出たエビ出汁がひたひたになっており、ホタテ貝にはバターを添え殻には旨汁が染み出ています。ホタテ出汁に浸されトウモロコシがこれまた甘美。

 サーモンはふんわりと焼かれホクホクです。和牛は肩ロースぐらいの脂の乗りで容易に歯で噛み切れます。京都牛はあまり耳にしないので、お隣兵庫県の但馬牛かな?

 素材に濁りが出てしまいそうと前述したものの、それぞれの出汁と風味で蒸し焼きにしたかのようで各々の旨味を補完しているという。漬けダレの酸味とトリュフが、丁度良い加減に加味しているのもあったのかもしれません。

 

【揚物】:甘鯛唐揚げ 秋野菜

 朱の紅葉麩を揚げた秋の彩を模しているかのような配色です。添えのシイタケはブランド物なのか旨味がギュッと閉じ込められてジューシーにシイタケ風味が濃い。

 加味の塩は「唐揚げ」に合うように藻塩と白胡椒という和食にしては異色の組み合わせです。

 秋野菜には枝豆を使ったレンコンはさみ揚げです。刻んだ物とペーストにした物を混ぜて餡にしてあるようで、口に入れると甘味と豊満な青い豆の薫りが嗅覚を撫でていきます。

 ただ、「何かシュウマイっぽい?」と思ってピーンといきたのが繋ぎに豚肉を使っているようです。「なるほど」と思ったのが、白コショウと塩が実に中華風で馴染が絶品です。レンコンのシャクとした食感と刻み枝豆のコリッとした噛み合わせも興があります。豚肉効果により塩コショウの馴染が美味しい。

 旬の揚物は日本海でグジと呼ばれるアマダイです。衣で旨出汁を閉じ込めてあり、旬ど真ん中ということもあるのか脂の乗りがとんでもありません。かぶりつくと肉汁がトロトロと滲み出し、これまでいただいたアマダイからは想像できない深みのある白身と脂のハーモニー。肉のような脂を感じるアマダイは唐揚げなので塩コショウが実に合う。

 

【酢の物】:香住蟹

 訪れた時は本格的なズワイガニのシーズンにはまだまだ早く、秋から先行して解禁される旬始まりの紅ズワイガニがやってきました。特に兵庫県の香住で揚がるベニズワイガニは香住ガニとしてブランド化されてた物です。大きさ的には600g前後といったところでしょうか。地物ですがお宿のプライス的には創作性のある一品が欲しかったかも・・・。

 さて、左から胴身、足身、爪身に取り分けました。カニは爪肉が甘味も肉質も強く一番おいしく感じます。香住カニの特徴はその甘味です。生食で食べるとズワイガニよりも明確に分かる瑞々しくも纏わりつく甘味。茹でにすると松葉ガニとは違い、甲殻香ばしさは優しく磯臭さはなく甘味が強い。人によっては水臭いとも言われますが、ゴリゴリの磯推しがないので、この当たりは好みかと。

 甲羅にはお酒?お出汁?で溶かれたカニ味噌に、ほぐし身を浸すと至極の幸せ味です。カニ味噌もやはり磯味は控えめなので「カニはちょっと・・・」という方でも口にしやすいカニではあります。カニ酢の用意もあり、昆布・みりん・砂糖・米酢でかなりの強甘酢仕立てで、私的にはこのような強酸味の方が香住カニの旨味がより味わい深く味わえます。

 

【食事】:丹後こしひかり 香の物

【止椀】:赤出汁

 「先日とれた新米です」と配膳されたお米は艶々ピカピカです。見た目からもっちり感があり、口に入れると潤いのある甘味は確かにコシヒカリしかありえません。「実はうちの社長が作ったお米なんです」といきなりのカミングアウト。社長さんいい仕事されています。お漬物は自家製かなと思うですが、良い物をお取り寄せといっても遜色はありません。壬生菜とオクラ浅漬け、大根柚子甘酢漬け。赤出汁は酸味や棘が全くなく赤出汁の白味噌仕立てという分けのわからない表現だがそれしかない。具材もぷりんぷりんの粘りの少ないナメコに厚みのある生ワカメ。

 

【水物】:久美浜産 梨 葡萄

 梨の本シーズンは9月。最近は晩秋に近くても品種によっては初冬まで梨が出回ります。この時期は新興という種をよく目にします。豊水と二十世紀の間のような食べ口に甘味が強い。ブドウは岡山発祥の瀬戸ジャイアンツです。お尻のようにスジが入っているのが特徴で。シャインマスカットに押されがちでありながらも、程よい甘さと瑞々しさはワインのようで酒好きなのでこちらの方が好みです。

朝食

 朝食も夕食と同じ個室のお食事処でいただきました。

 おかずは全て籠盛の中に入っている無駄のない配膳係さんに優しいタイプです。

・カレイorハタハタの一夜干し

 選べる一夜干しの魚料理です。

 カレイは開きにして一夜干しにしてから骨を抜いてあり、丸かぶりしても一切の骨が入っていない手の込み様。穂ねを抜いてから開きを閉じて焼いてあるので肉汁が逃げずふわふわで丁寧な仕事です。 ハタハタも仕込みがあるのか身離れが良く、こちらも柔くジューシーに焼き上げてあります。 籠盛一挙出しですが、ほんのりと温かさが残されていました。

・貝紐と明太子の和え

・烏賊のお造り

 貝ヒモはコリコリとしており辛味を抑えた明太子で和えてある優しい珍味。イカは恐らくスルメイカ、するするとした食感に歯切れよくサッパリとして甘く新鮮。夕食と同じたまり醤油でいただきます。

・烏賊の麹漬け

・香の物

 イカの麹漬けは売店にも販売している物です。ワタと米麹?を一緒に混ぜ合わせ、お土産品とは思えないほどに麹の薫りがいいです。自家製?でしょうか。 香の物は佃煮昆布、カツオ梅、お新香、もろみ味噌です。

・豆乳豆腐

・温泉玉子

 温泉玉子はしっかりと熱が入ったタイプで黄身もしっかりと固まっています。珍しくシラスのトッピングにタレはやはり京らしくカツオです。

 豆乳豆腐はとてもクリーミーで滑らかな口当たりです。豪華にイクラをトッピング。小エビを一尾入れ込み、刻んで炊いたような大根?をアクセントに持たせて、濃い味のカツオ餡を掛けてあります。こちらも熱い状態で籠にもられていました。

・生ハムサラダ(サニーレタス、トレビス、水菜、レッドオニオン、きゅうり、ミニト

 マト、胡麻ドレッシング)

・京揚げのおひたし

 小さなガラスの器に種類が豊富な生野菜が盛り込まれています。いっぺん庵さんのこだわりからすると胡麻ドレッシングも自家製かもしれません。揚げの風味が豊かなおひたしには小松菜、白菜、シメジ。

・焼き海苔

 初摘みの海苔を使用した味付け海苔です。この商品は初めてみましたが、確かに海藻の青味が強くないゆったり海苔風味でした。

・白米

・お味噌汁

・ヨーグルト

 白米は夕食と同じツルウルの自家製コシヒカリです。 味噌汁は赤出汁とは違い塩が強い山陰の味噌のようです。具材はあおさ海苔とアサリ。 お口直しには久美浜にあるジャージー牧場からの地物ヨーグルトです。ヨーグルトというにはチーズのような乳脂でコクがあり、風味が賑わう山桃のワイン煮?を添えてありました。

 

まとめ

 周辺には何もない佇まいも価値の1つであり、プライベート空間が約束された客室に源泉掛け流しの風呂が付いている上に大浴場も付いてきます。自分の知る限り京都では、いっぺん庵さんを超える源泉は他にはありえないかと思います。

 料理に関しては調味料からして厳選して使っておられるのかと感じる程です。丁寧な手仕込み料理は地物近隣の名産を使い、季節を忘れず変化球もあるという創作性。分かりやすく口にするからこそ、その美味さが分かるといった物でした。違う季節の料理も是非に口にしたいものです。

 一言あるなら、いっぺん庵さんクラスならドーンと一匹カニではなく、手の入った一品酢の物をいただきかったかなと。兵庫県からのお取り寄せの香住ブランドも良いのですが、我儘ながらも京都ブランドで勝負して欲しいところ。料理長さんのいい物をいい時にという、ご配慮かと思うのですけどね・・・。

宿泊料金

 お値段からすると全体的に大満足のいくステイでした。ただ、「今回の宿泊費において」という感じではあります。平日であれば2人で90000円程のお値段から。休前日だと100000円以上。記事をしたためた時点ではさらに高騰しています。空間代、創作京料理、京都では希少な濁り湯の源泉かけ流しの部屋風呂・・・総合的価値としては妥当。でも、サービスの内容としては80000円前後ぐらいで泊まりたいのは本音。ちょっとしたサービスなのだけれども、ロビーのfreeドリンクが開放されている、冷蔵庫内がインクルーシブなら通常料金でも気にはならない感じはします。本当にちょっとした所ですが。

 この度の宿泊費はクーポンとポイント利用&ポイントバックと諸々で61000円程度で、今後はこのお値段ではまず宿泊することは難しいかと思います。

宿泊日:2021/秋

旅行サイト:じゃらん

プラン:【秋】≪美食旅≫秋宝楽焼き&甘鯛&香住蟹♪離れ客室で理絡子ステイ~もみじ会席~♪

部屋タイプ:【露天風呂付・庭付和洋室】個室食(だいにち・しゃか)

合計料金:85800円(2人)

じゃらんスペシャルウィークがさらにお得になるクーポン:7000円

支払い料金:72100円

加算ポイント:11154p



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