共立リゾートグループである深山桜庵さんは、チェーンホテル・旅館でありながら平湯温泉界隈では高級旅館です。チェーンと聞くと安い悪いが安定しているというイメージもありますが、以前記事にした「修善寺温泉 菊屋」さんと同じく、源泉かけ流しでお料理も美味しいと人気の良泉宿です。格安リゾートホテルのようなどこで食べても同じ料理ではなく、その土地にあった風土に合わせた雰囲気作りと地物料理を提供しておられます。
旅情
門扉の手前から入り口までは距離があります。訪れた時の天候は曇天で夜間は初春らしく春霞が掛かっていました。
正門の横を車で進むと黄土色の建物が見えてきます。玄関前に車を着けるとスタッフの方が待機しておられたので、荷物をお願いした後に建物前の駐車場へセルフ駐車です。
アーリーチェックインのプランもあったのかは不明ですが、駐車場には15時前には多くの車がすでに停まっていました。
玄関横には足湯がありました。冬季は閉鎖とあります。
雪除けの屋根はあるが、入り口に豪華さはなく思っていた以上に素朴な玄関。奥飛騨らしいと言えばそれらしい風情がある。
客室数からすると小振りのロビーでチェックインの手続きをしました。ちょうどチェックインラッシュだったのですが、そこはチェーンホテルらしくマニュアル化されているようでサクサクとお客さんを捌いておられました。すぐに順番が回ってきて、記帳後、感染症対策のためか、フロントで館内の案内を全てフロントで受けました。また、貸切風呂の予約もチェックインの際に入れました。流行り病がなければ、空いていればいつでも利用が可能だったのかもしれません。
平湯温泉は大きな温泉街ですが、お土産屋さんはほとんどなく館内の売店でのお買い物が便利です。囲炉裏にはさすがに火は入っていないが、奥飛騨らしい吹き抜けの天井は開放感があります。
売店横には庭を眺める喫茶スペースもあります。窓からは煙が上がっているのが見えます。温泉の湯けむりのようです。
母屋であるロビーを中心として客室棟は概ね2つに分かれています。
まず、フロント横の通路を「松の抄」「杉の抄」へ行ってみます。
フロント横の通路を奥まで行くと最初に見えてくるのは、くつろぎ処「栞(しおり)」です。こちらで浴衣や作務衣を自由に選ぶことができます。部屋には最初から1着だけ作務衣の用意がありましたが、夕食の飛騨牛の焼物で煙に巻かれたので、夕食後は焼肉の匂いに包まれて寝るのも何なので新しい物を1着だけ頂きました。
「栞」の前にはくろろぎ処「憩(いこい)」があります。
こちらは喫茶スペースとなっており、コーヒーメーカーが置いてありました。滞在中お好きな時にコーヒーをいただけます。製氷機もあるのでお部屋でのジュースやお酒に。
廊下の端に行きつくと階段が見えてきました。階段手前にはエレベーターも付いていたのでロビーからは段差なしで来ることができます。
階段を下ると正面に自動販売機コーナーが目に入ります。右はエレベーターです。自動販売機はアルコール類は若干割高ですが、ソフトドリンクはよく見る料金帯でした。
階段の下は「夢想」「花暦」という2ヵ所の貸切風呂があります。
貸切露天風呂の前からは「松の抄」の客室が並んでいます。奥には少し雰囲気の違う「杉の抄」があります。
松の抄の奥まで進んでいくと、客室数を搾っておらるのか、杉の抄は防火扉で閉ざされていました。
一度ロビーに戻り、松と杉の反対側の棟へ向かいます。ロビー上がって右の廊下は大浴場があります。
大浴場目の前にはある湯上がり処では、サービスの牛乳とペットボトルの天然水を自由にいただけます。水は何故か静岡の富士天然水。菊屋さんでも同じものをもらったかな。
共立リゾートさんのお宿では地物の牛乳等の飲み物をサービス品として湯上がり処に置いておられます。牛乳は飛騨高原牛乳に同じく飛騨のコーヒー牛乳。深山桜庵さんには置いてなかったですが、実はパインやオレンジ味もあり登山などで訪れたら必ず購入するお品です。せっかくなので地物を堪能しましょう。奥飛騨に訪れたらスーパーなどでいつも購入して楽しませてもらっています。メーカーさんの回し者ではありませんが、美味しいので是非に。
翌朝は冷蔵庫に牛乳ではなく乳酸菌飲料に入れ替えてありました。本物ヤ〇ル〇で菊屋さんより本気度が高い。
湯上がり処の隣にはお食事処である「深山桜」へ上がるエレベーターと階段があります。朝夕共にお食事の時はこちらを利用しました。
大浴場、湯上がり処、お食事処を奥まで行くとエレベータと階段があります。
階段を上がると正面には自動ドアがあり、ドアを出れば離れのような露天付き客室の「姫子松の抄」、右に行けば「檜の抄」と「一位の抄」という宿泊棟があります。
迷子の方が多いのでしょう・・・。分かり易いように案内板がありました。実際、ご自分のお部屋を見失ったご年配の方を多数お見受けしましたw
檜の抄も松と杉のようにモダンな造りで、同じように合間に自動販売機が設置されてありました。価格は同じでアルコール類以外は一般的なお値段です。
檜の客室廊下は松と杉と違って上階に上がっていくので明るい雰囲気です。あつらえは旅館ですが、仕様は完全にホテルです。
さらに奥にある一位の抄です。ここまでくると流石にロビーまではかなり遠く感じます。風呂好きの方はお風呂に近いお部屋を尋ねてみるのも良いかもしれません。
自動ドアのある場所まで戻って「姫小松の抄」へ。
ドアを超えると完全に外になり春の奥飛騨はまだまだ冷える。木造りの奥飛騨の香りがする廊下を進みます。
深山桜庵さんの桜家紋の暖簾が見えてきました。ここまで数段の階段があり唯一バリアフリーとなっていない箇所ではないかと思われます。
離れのようにになっている「姫小松の抄」は源泉かけ流しの露天風呂が付いた客室。
この棟を端まで行くと貸切露天風呂があります。離れの宿命ですが、移動に関して夏は暑く冬は寒く風情は好み良し悪しあるかなと思います。
お部屋
案内して頂いたのは「松の抄」にある104号室。チェックイン時にお部屋のアップグレードを勧められましたが、「無料ですか?」と尋ねると、有料だったのでお断わりさせて頂きました。お部屋付きの源泉かけ流し風呂も魅力ですが、源泉かけ流しの大浴場と貸切風呂は2ヵ所無料で利用できたので今回は不要と判断しました。奥のリビングまで、ど~んと一本の廊下が付いています。
館内全体が鉄筋コンクリート造の建物となっているので、客室もモダンな今風の内装となっています。踏み込みにはベンチがあり、ご年配の方でも靴の脱ぎ履きが楽にできるようになっています。
部屋に入ってすぐ右にはトイレです。安心のシャワー式で綺麗です。
一気に部屋の奥までいくと全体像がよく分かります。リビングはゆったりソファの板間となっています。床暖房ではないですが、備え付けの暖房が優秀で寒さは全く感じることはありませんでした。こちらは10畳程の大きさがあります。
リビングの窓からは初春の雪模様の裏庭をウォッチします。小川が流れて景色はまずまずです。
障子で目隠しができますが、リビングからお部屋にあるお風呂が覗けてしまうという・・・。ファミリー利用だと子供が入っていたりすると安心できるのかも。
先ほど内湯を覗き込んだ窓から回り込んだところに洗面所があります。
お部屋のお風呂は白湯で温泉ではありません。深山桜庵さんの大浴場や貸切風呂は源泉かけ流しなので、お値段が高くなる温泉付き部屋でなくてもいいかなと思いました。析出物が付着した痕跡もあり、かつてはこのお部屋にも温泉が引かれていたのかもしれません。
入り口より手前にある和室は和ベッドが置かれた7.5畳。こちらにもテレビが設置されてあり、リビングと2台置きとなっていました。
リビングには水場が備えてありました。湯沸かしポットの傍に水場があると便利でありがたい装備の1つです。
空の冷蔵庫と金庫など備えは充実しています。最近はどこのお宿も感染予防のティーパック茶。追加が欲しければ恐らくいただけます。歯ブラシ等のアメニティ類、消毒用のアルコールジェル、マスクまで他の共立リゾートさんのお宿でも同じような備品で過不足なく。
好みによって茶香を焚くことができるようになっていました。アロマ的な癒しの薫りを楽しみます。最近では高級旅館に泊まるとチェックイン前に焚いてあることが多く見受けられます。
お風呂
深山桜庵さんには男女別の大浴場と併設された露天風呂が1カ所ずつあります。貸切内湯は2カ所、貸切露天風呂が2カ所あります。残念ながら流行り病の影響により換気力が弱い貸切内湯の1つはお休みとなっていました。男女別の大浴場ですが造りや配置は対照的で同じ造りです。貸切風呂は事前に予約を入れますが、空いていればいつでも利用が可能です。
分析表によると泉質は単純温泉となっていますが、明らかに単純ではない平湯温泉独特の炭酸と鉄が感じらる極泉です。水面に顔を近づけると炭酸臭を感じ、口に含むと炭酸泉独特のエグ味と苦味、ほのかな鉄錆の風味で平湯の湯を再認識できます。湯の花はありませんが、黄緑色の色付きは癒しに一花を添えます。細かい所までは自分ごときでは解析できませんが、浴場によって味・匂いの濃度に違いがあるように感じられました。
大浴場「内匠の湯」
男湯の浴場に入ると正面には低温の蒸し風呂サウナ、右手には1人用の桶風呂、奥には深さ調節された大風呂が見えて、どれから行こうかと悩んでしまいます。浴場に入ると酸味のある匂いが漂よっています。
浴場入ってすぐ左手には木を刳り抜いた掛け湯浴槽があります。こちらも贅沢に源泉のようです。
入って左手には洗い場があります。個室ブースの洗い場となっています。貸し切り風呂には洗い場がないので、洗髪洗体はこちらでします。
低温サウナも人数制限を設けながら可動しておりました。
味噌や醤油を漬けていそうな桶の1人風呂。これが思った以上に深さがあり、なみなみと満たされれた湯舟は身体を沈めると贅沢な溢れ出しがたまらない。1人用にしてはなかなかの源泉投入量です。
大湯舟はバリエーション豊かで深湯、寝湯、膝丈ほどのフラット浴槽が融合しています。サウナ横には水風呂もあります。
浴槽入り口にある立札には段差の注意喚起があります。注意書きがあったにも関わらず濁り湯なので底が見えず深湯には足元をすくわれましたw
入り口の階段がある手前は浅めになっていて、左奥の浴槽が鼠径部いわゆる股間ぐらいまでの深さがあります。右奥が膝丈の浅湯です。
浅湯の注ぎ口からはびっくりの新鮮湯量です。この注ぎ口の面白いのが段階的に上からお湯が落ちてくるようになっており、源泉は熱めなので湯冷まし機能としての役割がありそうです。
4つある寝湯にも源泉の注ぎがありましたが、こちらは最も量が少なく、同じ湯舟内でありながらも場所により湯温が異なり、寝湯らしく「ぬる湯」でリラックスできます。
切り口からはザブザブと「あぁああ~~~・・・もったいない」と声がでそうなほど溢れ出ていきます。湯舟も大きいが源泉の注ぎ込みも凄いので贅の極みです。茶色の析出物にも涎がでます。内湯は少し「あつ湯」なので長時間の入浴はややしんどく寝湯ぐらいが丁度良く。
内湯が熱いので露天へGO!これまた大きい20人以上は入れる湯舟が目に入ります。
湯舟の中心にある石造りの島から、大量の源泉が噴き出しています。岩間を縫って四方八方にまんべんなく広がっていきます。この源泉が結構な熱さがありますが、外気に冷やされ内湯とは対照的に春先や冬季には気持ち良く長風呂ができそうです。しかし、凄まじいゴテゴテの析出物から出でる温泉はマグマのようです。
露天風呂へ下りる階段袂に1人用の釜風呂が2つあります。源泉の加入が他の湯舟に比べるとかなり少なく「ぬる湯」となっています。訪れた初春では少し寒く浴槽から上がれなくなる程です。入る人が少ないので湯が酸化しないのか、同じ源泉かと思うほどに濁りはありません。
脱衣所の洗面の備品はぬかりなく揃っています。ない物はタオルぐらいでしょうか。
貸切内湯
2カ所ある貸切内湯の「夢想」は換気不十分のため利用は中止となっていました。
花暦の湯
松の抄にある貸切風呂の1つ「花暦」は、レトロ感がある欧風趣向なレンガ造りの湯屋です。
大人2人で一杯になる湯舟はファミリー利用だと窮屈な大きさです。たくさんのお客さんの利用があったのかお湯の濁りは濃い。
湯舟の大きさに対しての源泉はまずまずですが、がっつり湯量を楽しむのならやはり大浴場か・・・。湯口の温度は大浴場に比べるとそこまで熱くなく適温と言った感じです。
大人2人が入るとダバダバと溢れ出していきます。窓はありますが残念ながら景色は今一つです。少しだけ窓を開けて外気を入れると気持ちがいい。ご時世柄プライベートに楽しめるので人気があるようでした。
貸切露天風呂
離れのような「姫小松の抄」の最奥にある貸切の露天風呂。温泉好きにはたまらないが野趣が強く、季節によっては人を選びそうです。
竹庭の湯
建物の最奥にある湯屋にはトイレも備えて付けてあります。暖房器具も置いてあるので冬でも脱衣室は温かい。
脱衣所は暖かいが扉を開けると残雪の景色で裸で移動するにはかなり寒い!が、湯舟にこびりついている茶色の析出物へ一直線!
家族で入ると丁度いいぐらいの大きさです。初春で入るにはやや寒さを感じる外気と、露天に適した「ぬる湯」はいつまでも入っていられる湯加減です。
木筒の注ぎ口からは、画像では頼りない源泉の注ぎですが、湯舟に対して相当量の源泉が入れ込まれています。そして、堆積する析出物に透明なのは弱りがない証拠か。それが幸いしてか、炭酸臭・味、鉄錆感が最も強く感じたのはこの湯舟でした。
熊笹は生えているが竹とは縁がない「竹庭」の湯。雪景色よりも初夏の若葉の季節が気持ちよさそうです。
石匠の湯
竹庭と隣接しているので同じような風情を呈した露天風呂です。脱衣室からでるとやはり、初春ではかなり寒いので一直線に湯舟へ向かいます。訪れた時はガラガラで誰も利用していなかったのは寒いからでしょうねぇ・・・。
竹庭よりも少し大きめの湯舟。朝一番にお邪魔したので、ほぼお湯は透明でした。湯温を含め竹庭と同じ湯感で、夜気に晒された為か、かなりの「ぬる湯」です。
塩ビ管からの湯は竹庭よりも多いように見受けられました。貸切風呂の中では最も湯量が多いのではないでしょうか。渡してある老朽した木の樋の隙間から注がれます。
竹庭も同じように黒塗りの建屋は奥飛騨ならではの風情です。深山桜庵さんは大浴場が優秀なので敢えてここに入りにくるかというと・・・。洗い場もないので、のんびりしたい人用かと。
お料理
朝夕共にお食事処「深山桜」でいただきました。共立リゾートさんはグループ会社によくある食材の使いまわしではなく、その土地に根ざした地物を使った献立を各宿泊施設で思慮されている内容となっています。深山桜庵さんは凝った創作料理はないものの、奥飛騨の郷土の物と日本海の幸をMIXした、余計な手は加えず素材の郷土感を堪能できる会席料理となっています。
献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。内容に関しては説明して頂いたものと、実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。
お食事処は半個室スペースとカウンター席があります。
夕食
案内されたのは庭を臨むカウンター席でした。最初の配膳は台の物の用意と食前酒です。
【食前酒】:季節の食前酒
3月には少し旬前になる桃の食前酒です。口当たりは女性が好みそうな、まろりとろりとした甘口です。甘いと思っていても、グイッと飲み干すと少しだけ喉が焼けるような酒度を感じました。
【口取り八寸】:旬の小鉢三種(子持ち昆布・海老串打ち、筍木の芽和え、厚焼き玉子)
造里と八寸は2段重となっています。献立では「子持ち昆布・海老串打ち」となっていましたが、「柿大根の砧(きぬた)」でした。中には甘々の干し柿を、緩い酸味の大根甘酢で巻き上げてあります。 タケノコは山椒風味は主張しない優しい白味噌の木の芽味噌で和え、初物のタケノコの風味を活かした春の味。 厚焼き玉子はカステラのような、ふわりとした蒸しパンようでもあり、しっとりとして出汁甘口で厚焼き玉子というよりは蒸し卵。
【造り】:旬の美味い魚(右から鮪、ブリ、甘エビ、飛騨サーモン、青海苔蒟蒻)
どれもこれも新鮮な物ばかりで、それぞれの旨味がはっきりと分かるお造りです。マグロは脂がない爽やかな赤身は濃く菊花を振ってある本マグロ。 旬終わりのブリは脂がトロなのにショリショリとした抵抗のある歯応えに活かりのギラつきが凄まじい。 飛騨のブランド大鱒であるサーモンは紅身が濃密でトロリとした舌触り、いわゆるサーモンの海の臭いを取り除いた清流の清い紅味。 コンニャクは青磯の風味が上品に薫り、プリもちの歯応えはコンニャクなのに舌で切れてしまいます。 あしらいは、ブリにラデッシュ、甘エビに紅芯大根、サーモンには紫蘇花。
【小鍋仕立て】:飛騨豚すき焼風鍋
野菜がたっぷりと盛り込まれた豚すき焼きです。赤身が少し多く肩とかでしょうか。
茹でられても灰汁(あく)がほとんど出ません。薄味ではなく透き通る豚のいい所だけの旨味。割り下はお酒を強めに使っているのか、まったりとしているが醤油は優しく。
浸す卵は生ではなく温泉玉子。「生卵と同じように溶いてお食べ下さい」とのご説明がありました。確かに温泉玉子にするほうが黄身の濃厚さが増すので、これは日常のすき焼きにも取り入れてみたい。高品質eggならより黄身味が濃いので、更に美味しさが増しそうです。
【焼き物】「深山名物」飛騨牛・飛騨豚炭火焼き
牛の部位はロースと赤身、豚はトントロです。付け合わせは、エリンギ、インカ、アスパラ、五三竹、餅、天子一夜干しです。五三竹(ごさんたけ)は布袋竹(ほていちく)とも言うそうです。主に鹿児島など温かい所で獲れる若竹だとか。
アマゴの一夜干しも野菜の下に敷かれてあります。朝食で出そうなお品ですが、夕食で出してしまうと朝食ではなにがでるのでしょう・・・。
インカとは「インカのめざめ」というジャガイモの1種で、物凄くほっこりとしており甘味が強い。芋の旨味を逃がさないように蒸しあげられていて、炭火で再加温すると炭の移り香により燻製のように旨甘味がまとまります。
薬味は柚子ポン酢、おろし大根、抹茶塩、白髪ねぎとカイワレ大根、飛騨もろみ味噌、ワサビ。種類が豊富ですが、素材が悪くないのでシンプルに、ポン酢、塩、ワサビが最も素材の味を邪魔しない感じがします。
肉とアマゴは直に炭で炙り、お野菜は鉄板で焼きます。鉄板には飛騨で獲れたエゴマオイルが塗ってあるのでとても香ばしい。
トントロは脂がジューシーだが、さっぱりとした後口で意外にもパクパクと食べれてしまいます。すき焼の物と同様に嫌味がない純粋な脂の甘味です。
牛の薄切り赤身はモモやウデといった口当たり。赤身の間にうっすらと脂が織り込まれてあります。流石の飛騨牛だが、炭火の火力が強いので、すぐに炭化しそうだったので、緩く炙りましたがちょっとだけ厚みが欲しかったw 薬味と巻いて食べると、牛レアの刺しの美味さがたまりません。
ロースは2㎝ぐらいの厚みがあるのに、口に入れると噛まずにとろけてしまいました。最後は薬味のワサビとあっさりポン酢が一番美味でした。火はミディアムレアとウェルダンで焼き加減を変えると旨味の違いを楽しめます。
【追肴】:お選びにて
い、茶碗蒸し
ろ、筍はさみ揚
は、蒸し鶏
に、トロ湯葉
追肴と食事は選択性となっていました。同じグループの修善寺温泉にある菊屋さんでは全部配膳を勧めてくれました。もしかしたら、深山桜庵さんでも全部下さいと言えば出してくれたかもしれません。
4種類から選べる一品目はタケノコのはさみ揚を選択。付け添えはの野菜は春の訪れ、雪下のフキノトウ。
何を挟んであるのかワクワクしてみて口にしてみると・・・。あら、プツッぐもぐもという歯応えはタラのすり身?ほとんどカマボコに近く、これを薄造りのタケノコで挟んでありました。他の揚げ物はエビのすり身です。こちらは白身に比べるとグラタンのようにトロッとして、エビの甲殻香ばしさがとにかく豊潤でした。
もう1つは蒸し鶏を選びました。付け添えのお野菜は、ブロッコリー、ミニトマト、ジャガイモです。モモ肉をばらつきがないないように蒸しあげて旨みを閉じ込めてあります。歯応えはあるのに鶏特有の筋肉繊維がないシルキーな食べ口でハムのようです。これをゴマしゃぶダレを回し掛け針唐辛子で彩りを添えます。
【食事】:お選びにて
ほ、牛しぐれ出汁茶漬
へ、白海老天蕎麦
と、白海老天丼(赤出汁)
ち、白米(赤出汁、飛騨牛肉味噌添え)
食事も4種から選べるようになっています。牛しぐれは「出」となっているのは「出汁」の打ち間違いでしょう。牛茶漬けもかなり気になりましたが、焼物で大概味わったので、白海老天丼をチョイス。 白米をおにぎりのようにして椀の真ん中へ。そこへ白海老の天ぷらを散らして天丼出汁醤油を回し掛けてあります。出汁が椀の底に溜まっているので、混ぜて頂くのが一番美味しくいただけました。焼物と造里で取り置いたワサビと一緒に混ぜるとかなり美味しい。
もう1つのチョイスはスタンダードに白米。止椀はワカメと麩でシンプルに京風赤出汁で上品な仕上げです。香の物は飛騨地方特産の赤カブの酢漬けと壬生菜浅漬け。
付け添えの飛騨牛の肉みそは、砂糖とお酒に味噌を溶き煮詰めているのだと思います。牛の脂加減がいい仕事をしていますが、もともとのお味噌が独特なのか玉味噌仕立てのようでした。
【水菓子】:プリン、苺、オレンジ、さくら餅、ドラゴンフルーツ
何故にドラゴンフルーツ!?とびっくりですが、飛騨には温泉熱を利用して栽培している農家さんがあります。地産地消で他所には出回らないのだとか。雪が降っても作れるそうです。さくら餅はモッチリもち米で入れ込んだ餡子がとても甘いと思いきや、さくらの葉塩漬けが結構しょっぱく甘さと辛さで風味が相乗します。プリンはカラメルではなく黒蜜で和風仕様となっており、プリンとしたプリンではなくパッサリとしたカスタードが香る一口焼きプリンでした。
【夜食】:夜鳴きソバ
夜はロビーにある「いっぷく茶屋」で夜泣きソバのサービスがあります。共立リゾートさんの共通のサービスです。本来であればその場でいただけますが、訪れた時は感染対策に自室にお持ち帰ってお食べ下さいとのご案内でした。 チェックイン時のお茶出しはなかったのですが、流行り病がなければここでお茶を頂けたのかもしれません。
鶏ガラベースの醤油味で、コシのある細麺に、小振りチャーシュー、メンマ、鳴門巻き、海苔具材に、中性的でありながらも素朴な味わいはお夜食にぴったりです。グループホテルのどこで食べても同じ味で、冷凍のオリジナル商品かな。あると何となく食べたくなる有難いサービスです。
朝食
夕食とは違う半個室スペースでちょうだいしました。
①炊き合わせ(大根、絹さや、赤蒟蒻、鶏)
②飛龍頭生姜餡
③かまぼこ、玉子焼、きゃら蕗
④小松菜黒胡麻和え
⑤香の物(さくら漬、お新香、梅干し蜂蜜漬け)
⑥温泉玉子
⑦サラダ(サニーレタス、、レタス、キャベツ、水菜、ほうれん草、ラデッシュ、リンゴ)
⑧きのこ卸し(マイタケ、シメジ)、漬マグロ山かけ、ジャガイモ甘露煮
⑨ミルクプリン?苺ソース
とても品数の多い朝食です。炊き合わせは一品一品別々に炊いてあり丁寧です。飛龍頭、きゃら蕗、玉子焼きは、さすがにお取り寄せやグループでの一括生産かなと思うお品もあれば、小松菜の黒胡麻は豊かに香っている手作り感、朝に生野菜のサラダはありがたく、漬マグロは優しい山掛け醤油漬けで新鮮プリプリとしていました。同ループのお料理の使いまわし感がないのが凄いです。
・海鮮グラタン
着席後に配された熱々の一品はグラタン仕立てです。魚介のグランタン仕立ては、特別感はないが普通に美味しく具材もたっぷり。
・鮭の朴葉味噌焼き
鮭と言うには海のミネラル磯臭さはなく、北アルプスの天然水で飼育された大マスの飛騨サーモンではないかと思います。まろやかな甘さが際立つマス身に、飛騨郷土料理の朴葉には大豆麹で仕込んだ味噌を使ってあり、塩控えめの大豆の粒味噌と大マスの相性は至極です。白米が止まりません。
・白米or温泉粥とべっこう庵
・焼き海苔
お米は炊きと粥から選べます。お粥を食べた後に白米が欲しいと言っても、いただけそうです。白米を食べた後にお粥が欲しいといっても、恐らくですが持ってきてくれると思います。
粥には鰹ベースのべっこう餡が付いてきます。こちらは醤油強めのカツオとシイタケ?出汁に、ほっこりとした裏には鉄泉のミネラル風味がとても奥深い。
・白米、味噌汁(白菜、三つ葉、揚げ)
味噌汁は囲炉裏の五徳にかけて保温されているので、セルフで掬って温かくいただけます。白米は迷いのない炭水化物の甘味です。お粥と併用して1杯ずつ口にするのもいいかもしれません。
まとめ
前情報をもって往訪したので、温泉は平湯温泉らしい湯量ダバダバの源泉かけ流しの極上泉は期待通りでした。お部屋や館内も現代風で、夜鳴きソバなど共立リゾートさんの共通もてなしに不足はありません。大型チェーンでありながら、料理は地域の独創性があり奥飛騨地産地消の物を提供されています。サービスは人的にはビジホ以上で物的には高級リゾートで着かず離れずで過ごしやすく。1つ物申すには、食事処の換気扇の真下の席はさすがに全ての席の焼物の煙が集まってきて燻製状態になりました。衣服への臭い移りはかなりあり、夕食は私服ではなく浴衣か作務衣で行く方がいいかと思います。燻製事件を除けば、リラックスステイができる良宿であることは間違いありません。
宿泊料金
海や山の宿はシーズンによって値段が異なります。セール時期には積極的に、クーポンや割引価格を提供しておられる印象です。ハイシーズンだと高過ぎる、ローシーズンだとお得過ぎる、と雪国のリゾートホテルらしく平日と休前日の値段の差も激しいという印象です。大人2人が平日2万円台で泊まれるかと思えば、週末は4万円台もしくはそれ以上になることも。この記事をしたためた時点では楽天のスーパーセールが大きな値引き価格となっていました。
宿泊日:2021/春
旅行サイト:楽天トラベル
プラン:【楽天スーパーSALE】25%OFF◆「飛騨牛と飛騨豚の食べ比べ会席」プラン♪
部屋タイプ:通常客室【禁煙】洋室+和室+半露天風呂付
合計料金:39000円(2人)
春セールがお得になるクーポン:5000円
支払い料金:34000円
加算ポイント:340p