いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

丸文【兵庫県 浜坂温泉】~番カニクラス1㎏は今まで口にしてきたカニの価値観が変わるほどの美味しさ、塩味を呈する高温の塩化物泉でほっこりと身体を休める~

 日本一のズワイガニ漁獲量を誇る兵庫県浜坂漁港。浜坂では冬季になると、いずれのお宿もカニ一色となります。特に京都から山陰にかけて獲れるズワイガニは「松葉ガニ」と呼ばれ、冬季はカニ料理目当てのお客さんで賑わいます。

 今回お世話になった丸文さんも浜坂の集落の中にあり、一日わずか3組だけの受け入れというプレイベート感があるお宿です。数あるカニ宿の中から何故丸文さんを選んだのか。毎年カニの高騰が進んでおり、1㎏以上とグラム指定したプランは絶滅危惧となっています。あっても無茶苦茶高いです。そんな最中、このシーズンの丸文さんは1人1㎏お約束プランを出しておられ、お値段は張りましたが他に比べると特段に安くお邪魔することに。

※記事の内容は宿泊した当時の内容となっていますのでご参考程度に。最新の情報は各々ご確認下さい。

旅情

 お宿の目の前が駐車場となっているので車を停めてチェックインです。

 パッと見た感じは民宿といった感じですがサービスは旅館です。浜坂温泉郷では、旅館という佇まいのお宿もありますが、こじんまりとした民宿が多いです。

 浜坂海水浴場が目の前にあり、夏のシーズンはたくさんの海水浴客が訪れます。

 蟹のシーズンは冬季なのでもちろん海水浴をする者などおらず、冬の日本海は波が高く海が荒れているイメージ。この日も波が高く命を落とすレベルでした。

 日本海は厳冬期には平地でも雪が降るので、玄関は雪を入れないようにと2重扉となっています。

 ん~~田舎の実家に帰ってきたかのような雰囲気の玄関です。

 下駄箱の上にはカニソムリエのプレートが置いてあります。夕食への期待が膨らみます。

 1階はすべてお食事処となっています。自分らは部屋食だったのですが、人数が多くなるとこちらでの用意となるのかもしれません。

 今宵は5人の宴席のようです。訪れた時は満室で、食事時間一杯まで宴会が催されていました。

 お食事処の前には貸切風呂が2つあります。全部で3部屋なのに貸切風呂が2つとかバランスがおかしくもうれしい。

 風呂横の冷蔵庫には何故か値段が書かれたメニューが置いてありました。どうやら冷蔵庫からセルフで取り出していただける自動販売機の代用です。

 冷蔵庫の隣には粉コーヒーのサービスもあります。

 玄関上がって左手が帳場と厨房なのですが、シャッ!バキ!と次々にカニが捌かれる音が聞こえてきます。

 帳場横の階段から2階へ上がります。

 階段を上がりきると正面には冷蔵庫があります。やはり1階と同じセルフ式です。

 お値段はお宿の中でいただくには高くもなく安くもなく。お食事処でいただくのであれば、お酒や中瓶ビールなんかはリーズナブルです。

 冷蔵庫から左手をみると4部屋の客室。旅行サイトを見ても6部屋あるようです。3組限定なのは流行り病があったので数を減らしておられるのか。

 部屋にはトイレや洗面がないので共同となっています。「共同はちょっと・・・」と言う方でも、トイレは男女別にしてあるので女性も安心です。全てにおいて清掃が行き届いていて快適に利用することができます。

 

お部屋

 案内して頂いたのは「あわび」というお部屋です。

 なんとも美味しそうなネーミング。

 今では珍しい入り口が引き戸のお部屋です。引き戸向こうはすぐに本間となっています。

 本間12畳のみという団体客用らしきお部屋。お部屋確約プランではないので、何故こちらに通してもらえたのかは分かりません。しかも、海側角部屋です。

 お部屋の目の前には搬送用エレベーターがあり、厨房からの直送なのでこの部屋は部屋食用なのかも。

 民宿なのに浴衣やバスタオルと歯ブラシ、ドライヤーまで部屋に置いてあり、空の冷蔵庫やお茶セットなど備品は旅館です。

 夕食後のお布団敷では、お茶セットやポットが回収されてしまいましたが、いただきたいと伝えると快く持ってきてくれました。

 鍵もわざわざ木彫りのアワビのストラップが付けてあります。ここまでするならアワビの貝殻でいいのでは・・・と思ってしまう。

 窓からの景色は壮観。

 潮が満ちているのか単純に荒れているのか波が手前の防波堤まで押し寄せます。

 海水浴場側を見ると・・・飲まれたら命はない波の勢い。積もりはしないが雪も降ってきました。ずっと見ていられる。冬季はあれですが、目の前が浜なので浜坂温泉郷の中ではロケーションは最もいいように思います。

 車をよく見ると「鹿児島」ナンバーがいる!!鹿児島からわざわざ随一のカニを味わいにくるとは・・・。

 公共交通機関で往訪する方ってこの季節いるのだろうか・・・徒歩圏内で買い物ができる施設はないので事前の準備があるほうがいいかと思います。

 

お風呂

 浜坂温泉では湯量が豊富すぎるので、宿泊施設だけでなく一般家庭も温泉を引いているそうです。ただ・・・源泉が激熱なのが影響してか、「掛け流し」検索で掛かる宿はまずありません。なので、丸文さんも掛け流しではありません。

 館内には2つの貸切風呂があります。民宿なので利用時間はとても短く夜は9時半まででした。 

 お風呂好きの方は夕食後すぐに入りに行くことをお勧めします。

 泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物泉となっており、さらりとした湯感があり口に含むと確かな塩味を感じることができます。共同源泉からの配湯なのに、湯量が豊富なので源泉を好きなだけ入れる事が出来るのです。ただ、源泉が70度もあり掛け流すと熱くなりすぎるので、温度管理のため循環との併用となっています。ただ、減った分だけ?定期的に投入されている?ようにも見え、新鮮な湯を楽しむことができます。

その1

 浴場への扉を開けると充満する湯気は無臭。

 カランとシャワーは二つ。かなり湯気がこもるので、窓を開けると半露天のように入れます。

 ただし、重要な部分への目隠しはありますが、窓の外は道なので表から見えてしまうので注意。

 2人で丁度よくパーソナルスペースを気にしない間柄であれば大人が3人が入れる大きさです。小さな子供がいるなら丁度よい大きさです。

 湯船の奥にある滝のように流れる噴き出し口は恐らく循環湯です。

 湯船の中には塩ビ管があり結構熱い湯が噴き出しており循環と源泉のMIXか?

 湯船に面する壁には銅色と銀色の蛇口が付いてあります。もしやと思い味見をしてみると、銅色の蛇口は無茶苦茶熱く塩気を含んでいたので間違いなく源泉です。浴を出して注ぎすぎると熱くなりすぎるので少しずつ足しながら源泉を楽しみました。

その2

 もう1つの貸切風呂もカランとシャワーは2基です。

 滝湯口と塩ビ管の噴き出し口も同様にあり、「その1」と仕様は全く同じですが、こちらの方が湯船が一回り大きい横長です。

 窓の大きさや外が見えるという点では、「その1」の方が風情があります。

 源泉と思わしき銅色の蛇口もあります。こちらを賞味してみると、やはり塩味あつ湯の源泉かと。こちらには何故か砂時計が置いてありました。

 源泉蛇口を捻っていないにも関わらず、こちらの湯船はオーバーフローが確認できました。大人2人が湯舟から上がってから、身体を拭いている間に溢れ出しが始まったので、かなりの投入量があるのではないかと思います。投入量から察するに加水もしているのかもしれません。

 管理できる従業員さんも寝ないといけないので入浴時間の短さが悔やまれるところです。

 

お料理

 丸文さんからすぐの所に浜坂漁港があり、カニの季節以外では新鮮な海の幸をいただくことができます。しかし、冬のシーズンになるとほとんどのお宿がカニ一色となり、丸文さんもカニ一択のプランとなっていました。訪れた年は男前に1kgのカニをリーズナブルなお値段で提供するプランがありました。一人前1㎏一匹って少なくない?と思うかもしれませんが、とんでもなくボリュームがあるので腹がきんきんになります。カニが不漁&高騰が続く昨今でのグラム指定をするお宿はかなり少なく。800g出しますとあっても1㎏は希少です。丸文さんのカニはどうかというと・・・ご主人の目利きも素晴らしく「でかいカニは美味い!」に尽きます。

 食事の前に本日の夕食に使われるカニをお部屋までわざわざ見せにきてくれます。これはカニの選定に自信がないとできません。相方は小顔な方ですがすっぽりと覆われそう。甲羅幅13㎝ぐらいと7番カニぐらいの1㎏は偽りなし。松葉ガニは特大の物は1~7番と等級分けされています。カニビルもしっかりとついて脱皮直後ではないのも分かります。脱皮直後はエネルギーを脱皮に使うので旨味が水臭くなるのです。活きがいいので腕と足をわしゃわしゃと元気に動かしています。

 そして、いつもの生け捕りのエイリアン撮影。甲殻類は分類としては昆虫と同じ「節足動物」の仲間です。カニはいつ見ても地球外生命体としか思えない形相。

 お品書がなかったので、給仕係の方から聞いた内容と、実際に食べた感触から献立を作っています。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

 大広間か個室での提供かなと思っていたら、朝夕ともに予想外の部屋食でした。カニフルコースは食べるのに時間を要するので、時間指定で18時になると夕食の準備が始まります。

 テーブルには食前酒、前菜、造り、酢の物が並びます。

 

【食前酒】:梅酒

 マッタリこってりとした甘味があるタイプで、梅の爽やかな渋みもある自家製のようなお味です。おちょこには少しだけ浸されており、ホワイトリカーによる酒度がそのまま感じられました。

 

【前菜】:蛍烏賊の醤油漬け 蛍烏賊酢漬け セコ味噌

 日本海のホタルイカは晩春から初夏。旬には早いが獲れるのでしょうか? 醤油と酢の2種。醤油漬けは出汁の風味も感じられ生で漬けて塩加減もやさしい。酢漬けの方は酢〆のようにされたのか、湯引きから漬けたのかプリプリとしておとなしい酢加減です。セコ味噌はズワイガニのメスであるセコガ二の外子と内子を混ぜ合わせて作ったものかと。いわゆる酒の当て絶品カニ珍味。

 

【造里】:松葉蟹刺し カンパチ アオリイカ

 キラキラのルビーのような蟹刺しに加え、キラキラのカンパチとアオリイカも盛り込んであります。カンパチはゴリゴリとした弾発的な歯応えに純な脂がしっかりと感じられます。 アオリイカは切れ目を入れてあるので歯切れよく、ゴリュと最初は硬さを感じながらもネットリとした甲イカの食感と強い甘味を感じます。これを、こってり玉利醤油で。つまは大根と人参けん、大葉、ワサビ、レモン。

 カニ刺しは照り輝き、剥がしやすいように殻に切れ目を入れえてくれてあるので、メリメリぶちぶちミチミチと引き剥がす時の手に伝わってくる新鮮な筋肉質の感触。

 これをそのまま口へ入れると、とろける触感がたまらん!!といいたいですが、さすが番ガニクラスになると強靭な繊維が水飴のようで歯と唇で削ぎ落さないと身が離れず、少し塩を持たせてあるのか自然の旨塩なのか粘りと透き通る甘味は濃厚で、まったりと口の中で泳ぎ回ります。しかし、番カニクラスになるとは旨甘味が極上で、水臭さが一片もないねっとり感。

 

【酢の物】:香箱蟹 外子

 茹でカニのないプランだったのと、献立には載っていなかったので香箱カニの茹では嬉しいサプライスです。外子はギヤマンの器に別盛りにしてくれてあり硬い飛び子のようなプツプチ食感を咀嚼していると、尖ったカニ甲殻の風味が鼻から抜け出していきます。カニの卵って卵の頃からカニ風味という。

 セコカニは剥き身にしてくれてあります。味付けの酸味の強いカニ酢で食べてもいいですが、外子と一緒に食べたりと色々な味わい方で飽きもなく噛んで噛んで滲み出る旨さを味わえます。

 剥き身の中には内子もぎっしり盛り込んであります。「子」とあるのですが卵ではなく、カニの卵巣で、まったりとした甘さがありタラコやウニを足して2分した濃厚さあるあのにサッパリとした後口です。不思議と内子とセコカニ身を一緒に強酸味のカニ酢に浸すと、酸味は抑えて甘味が勝つという意外な味変はおもしろい。日本産は時期が外れて子を持たなくなると輸入物だと聞いたことがあります。しかし、シーズン真っただ中なので国産でしょう。

 

【焼き物】:松葉蟹陶板焼き 甲羅味噌

 「陶板焼きで~す」とむっちゃ大きい陶板がテーブルに置かれて・・・蓋が開けられると「むわぁっっ」とカニ汁が湯気となりて鼻腔の奥の奥を刺激します。匂いだけでカニ身が口にいるような豊潤な薫り。そして、「でけぇ足!!なげぇえ足!!腹身もデカい!!」と、殻から溢れそうな身入りに感嘆を上げてしまいました。

 陶板焼きカニはそのまま食べても程よく天然の塩を持たせてあり、蒸し焼きの良さはやはり旨汁が身に残る所です。陶板に溢れ出た旨汁が勿体ないぐらいで、でかいズワイガニに最も合うのは蒸し焼きなのか。

 甲羅味噌ですが独特の磯臭みはなく、なんというマイルドな味わい。これだけでも酒が進んでしようがない。しかも、味噌はほんのり温かい状態で調合しての配膳で、マイルドの正体は酒と西京味噌で溶いてあるのかな?と勝手に想像してみる。この量ですのでカニ味噌だけを食べるというよりは、ご説明にもあったように焼き身に浸していただくのが美味。

 そしてお勧めのディップ!! 極太繊維でいわゆる頬張るという表現がぴったりのカニの筋肉に味噌をがっつりと絡めて口へピットイン!! 噛めば噛むほどにカニ汁がジュわりと滲み出し味噌と混ざり合うと至福のスパークリング。この味噌の仕立て具合がほんとに酒も止まらなければ、ディップもとまらずほとんどの足身はカニ味噌でいただいてしまいました。

 陶板焼きの胴身1/4を解すだけで口いっぱいになりそうなほどあります。

 陶板の胴身は他のどの部位よりも甘味が強く瑞々しい。胴身でこんなにおいしく感じたのは初めてかもしれません。また、鍋用のポン酢との相性が抜群でした。大きさによってか下拵えによってかは分かりませんが、それぞれの部位による旨味の違いが特に陶板焼きで物凄く分かるように思います。

 

【鍋物】:松葉蟹しゃぶ 野菜一式

 艶々雅な豪快な鍋カニがやってきました。1人前は真ん中の太い足3本と爪1本です。少ないように見えますが、とにかく太く長い足は鍋に入るとかなり膨れるのでお腹にガツンときます。

 せっかく生でも食せるので一本だけ生食しました。造りの物よりも甘味が弱いのは、造り用のには塩を持たせてあったのかな?それとも造りには適した足があるのかな。

 味付けは強酸味のポン酢はスダチ仕立てでしょうか。薬味には自家製紅葉おろしとワケギですが、このワケギの刻みの細かいこと。切り口に押しつぶしがない薬味。

 他のお宿だと鍋物はおおよそ席に着いた時には用意されていることが多いのですが、丸文さんでは一度にテーブルに並べるのではなく、一品一品「準備してきますね」と少し時間を置いてから持ってきてくれます。鮮度低下や乾燥しないように気を使ってくれるのは大変ありがたいことです。

 しゃぶしゃぶ用にと1人一本別皿へ盛り付けてありました。

 造里と同じくメリメリメリッ!!とカニ身を殻から剥がしていきます。小カニではこの感触はまずありません。大カニならではの癖になるメリメリ感。

 そして、焼きアゴ?と昆布の合わせ出汁にしゃぶしゃぶと2,3回泳がせると、新鮮な証しである華が咲き始めます。

 さっと5秒ほど茹でると・・・上手に花が咲きませぬw そのままかぶりついても程よく塩が乗っているので本来の味が楽しめます。噛み応えがとにかくグモグモとしていてとんでもない筋線維の食感から溢れ出るカニのスープがとにかく美味い。なにより、身が大きすぎて一口で食べれないという幸せ。

 他の足もしゃぶしゃぶができるようにしてあるので、ミチミチと殻から剥いで次から次にしゃぶしゃぶしてからズシンとくる重量物を水揚げしていきます。もちろん丸々一本鍋に入れてしまうのもいいのですが、煮切ってしまうと旨みが逃げるのでしゃぶしゃぶで味わいたい。手に持っている取っ手になる部位は、雑炊用の出汁取り様にしっかりと茹でます。

 これはかなりいい感じに華が咲きました。味付けの強酸味のスダチを使用したポン酢に浸けると、カニの甘旨味がさらに強調されてます。そのままでも十分おいしいですが、このポン酢は上品な紅葉卸しとの馴染みが良すぎます。そのまま食いとポン酢では甲乙つけがたく、いずれも違う旨味を堪能できます。

 爪殻はなんか黄金虹色に光輝いているんですが・・・1㎏になるとスーパーサイヤ人のようにでもなるというのか!?こんなの見た事がありません・・・完全にRAINBOWGOLD。

 湯で揚がるとイボイボには若干の黄金が残りますが至って普通の茹でカニ色に。

 カニの中では爪が最も強靭筋肉なので、一本一本の線維がとんでもなく太く直径1.5㎜ぐらいある物も。今まで口にしてきたカニ爪のなかでは繊維質が強く旨味も強かったのですが、この大きさになると何か別の食べ物のようにすら感じられます。とにかくゴリゴリとした弾力に身の締まりが強すぎるのか身離れが悪い!!もちろん良い意味です。カニ独特の甘味が強いというより、カニのタンパクさを濃縮したような鳥ササ身カニバージョンです。

 

【揚物】:蟹爪 大葉

 本来はメニューにない揚げ物です。こちらは予約時に「足のいずれかで結構なので天ぷらでお願いします」と付記しておいた一品。足一本いずれかと思っていたのですが、まさか爪が揚げになるとは予想外でした。

 本来であれば陶板焼きに入るはずだった爪肉です。いつものカニ天であれば「さくさくジューシ~~うま~~」って言うのですが、鍋でもお話したように筋肉の線維がプリンプリンで、カニ汁ジューシーではなくカニ味の新しいタイプの肉としか思えません。敢えて言うならば、筋線維が強いトラフグに似ているようなそうでないような。爪肉は素材を楽しみたく敢えて雑炊用の塩で堪能しました。

 爪だけでなく爪より近位にある腕の部分も剥き身にして揚げてあり、こちらは鍋出汁と同じ焼きアゴと昆布の合わせかと思われる甘い天だしで。この剥き身・・・どうやって剥いてあるのか。冷凍とかなら可能な気もするが・・・。

 人間で言うと二の腕の部分だと思うのですが、こいつ筋トレし過ぎやろうというぐらい爪肉に負けず劣らずの剛食感で、揚げ甲殻香ばしさが倍増されていつまでも噛んでいたくなります。

 

【食事】:カニ雑炊

 鍋を平らげると雑炊セットを持ってきてくれました。雑炊はセルフで作ります。お米は粘り取りと出汁がしみ込みやすいように流水で洗ってありました。アクセントにはワケギ、焼き海苔、大きな玉子が1つ。

 しゃぶしゃぶで食した取っ手が付いた殻をしっかりと煮込みカニ出汁を抽出してから、ここで一手間掛けて「鍋用の胴身と取っ手身をほぐし取り置いたカニ身と一緒に米を入れて沸き立つと一旦火を止めます」。 

 私的には煮物に応用される冷えていく最中に出汁がしみ込む原理で、旨出汁を吸った米が少し膨らんだら再度点火し、玉子を回し掛けアクセントのワケギと焼き海苔を降って完成です。

 香の物はツボ漬け。塩や醤油なども置いてありましたが、必要がないほどにカニから出た塩味なのか超絶程良い加減の旨あじ。最後に入れ込んだ胴身と取っ手身でさらにカニ風味をパワーアップさせたので、2人で4膳あった雑炊はぺろりと胃袋が極みのカニ色に染まるという幸福に満たされました。

 

【水菓子】:苺 柑橘 パイナップル

 イチゴは中は白い果肉でしたが糖度が高くすっきりとした甘味が強く品種はなんだろう。土地柄時期的に章姫(あきひめ)とか? 柑橘は種が1つもない明らかな和品種。オレンジが基調なのに、和みかんとの融合で酸味はハッサクぽいのだけど渋みは穏やかで品のある酸味。ミカンとオレンジ配合品種のような柑橘も増えてきて味見が追い付かない。いやはや、日本海側に来るといつも美味しくも新品種のフルーツをいただけます。

朝食

 朝食も朝8時からお部屋でいただきました。

・エテカレイ

・大根 飛龍頭 煮物

・ほうれん草お浸し

・焼き海苔

・卯の花

・ひじきの煮物

・切り干し大根

・蛍烏賊甘露 わさび菜めかぶ和え? 佃煮昆布

・サラダ(キャベツ、サニーレタス、人参、ミニトマト、ブロッコリー、胡麻ドレッシング)

・豆腐ちくわ

・出汁巻玉子

・白米

・セコガニの味噌汁

 朝食はお手製の物ばかりで一品一品丁寧な味付がなされ、白米に合うように塩加減をそれぞれに持たせて一口ずつ色々といただけるのがうれしいところ。エテカレイと煮物は温かく配膳され、小鉢の卯の花には味付揚げが入っていたり、切り干し大根は椎茸の旨味が出ており、夕食にもでたホタルイカは味わいが違う。朝食では甘醤油で炊いた甘露のようなお味。ちくわはお隣の鳥取県の名産であるチクワ豆腐で、旨味にコクがありトビウオであるアゴのすり身でしょうか。

 出汁巻にはネギと何とカニ身まで巻いてあり、層にはなっていますが仕上げは巻き簾で締めた本物出汁巻です。

 セコカニの味噌汁は半身がどっしりと入っていて、旨出汁ががっつりと味噌汁に滲みだして美味です。しかも、外子内子付きで出汁として使用するには勿体なく、もちろん朝からカニをむさぼり食べるという贅沢な朝食でした。

 

まとめ

 カニはかつてから時価ということもあり、物価高騰や温暖化などの影響によりグラム指定する宿が激減しています。2023年では1㎏は活けカニ2万円~とあり、宿泊費からすると高価にも感じますが、素人では分からないベストな状態の目利きと調理代を考えると正直安いor適正価格。高級旅館では800gサイズでも20万/2人近く取る宿もあります。ただ、同じ1kgと言っても脱皮直後は水臭くなるなど大きさだけで判断できるものでもなく。

 それを踏まえても丸文さんでいただいた松葉ガニは人生史上最上の味でした。でかいというのはカニ身の繊維が単純に太くなり、それだけ肉質も強く旨味も強い。実は20代前半までカニは美味しいと感じたことはありませんでした。ところが、30代にになり極上の活けカニを食する機会があって初めてカニへの価値観は一変しました。いろいろ口にしたところ、一口に頬張る量や旨汁が増量するので結論は単純にでかい方が当然のように美味い。

 カニがメイン過ぎてあれなのですが、ちなみに温泉も掛け流しでないにしても、源泉の投入があるオーバーフローがある贅沢な湯も外せないポイントです。

宿泊料金

 蟹シーズンはもともと安売りをしないお宿がほとんどで、割引しているのは冷凍蟹のプランがほとんどです。しかも、2022年度はどこもグラムが全く記載のないプランばかりで、1㎏指定でリーズナブル価格は丸文さんだけでした。そこで、チェックアウトの時にお話を聞きたところ、グラム指定をすることに物凄く悩んだとのこと。おかげで値段以上のカニをいただけたかなと思います。2023年はグラム指定のプランは出されていないようでしたが、宿泊料金は2022年度の1㎏より10000円UPした値段設定となっていました。不漁であっても1㎏サイズに近い良い物をという表れかなと思います。

宿泊日:2023/厳冬

旅行サイト:じゃらん

プラン:【貸切風呂無料】1日限定3組まで(朝夕個室食で)☆浜坂港直送・タグ付き1kgサイズの活松葉カニフルコース

部屋のタイプ:和室8~10畳

合計料金:86000円(2人)

スペシャルウィークが更にお得になる7000円クーポン

支払い料金:79000円

加算ポイント:2580p

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