いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

旅館 大橋【鳥取県 三朝温泉】~足元の天然岩の間から自然湧出するラジウム源泉、先代料理長の絢爛な食材会席からは一転した今風の雅な会席も絶品~

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 三朝温泉の中心街から少し外れていながらも、歴史ある建物のその姿は昔のままに留め有形文化財に指定された「旅館大橋」さん。天皇さんから勲章を授与される程のお料理を創作する料理長さん。その料理を再びちょうだいすべく2回目の宿泊。の予定でしたが、先代さんは御年により引退されたようです。先代さんの料理を味わえないのは残念ですが、新しい料理長さんの彩り豊かなお料理も負けず劣らずの内容です。

旅情

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 旅館大橋さんの建物は、三朝温泉の中心を流れる三徳川沿いに建っており、温泉街のメインストリートにも面しています。

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 三徳川の対岸からの眺めです。後から触れて行きますので照合していただけると助かります。①は湯上がり処、②は「せせらぎの湯」の露天風呂、③は宿泊棟、④はロビー、⑤は特別室とお食事処「亀平亭」があります。

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 玄関の車寄せに着けると女性スタッフの方が駆け寄って来られました。荷物を預けて感染症対策のため、車は近くの駐車場に自身で駐車です。もう当たり前となったチェックイン時の検温と消毒をします。

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 建物は大きく横長ですが、玄関の間口はそんなに大きくはありません。歴史を感じる玄関に1回目の往訪時は緊張したのを覚えています。

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 三徳川を一望するロビーに案内してもらいます。

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 ロビーも旅館の大きさからするとこじんまりとしており、売店と喫茶カウンターが併設されています。赤矢印の方向に行くと客室や湯屋への廊下や階段が付いています。

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 チェックインの手続きをしながらウェルカム茶をいただきました。抹茶と梨の蒸しケーキです。ケーキは売店においてある物でした。前はお手製茶菓子だったような。人の移動が少なくなっているので、観光地ではお土産などが売れ残って大変な所もあるようです。もしかしたら地域活性化の一環でしょうか。

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 温泉街にもお土産屋さんがありますが、売店は充実のラインナップです。お土産屋の隣には大橋旅館さんの昔のパンフレットや縁の物が展示されています。

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 玄関上がってすぐ右手にあるロビー直結の階段を上がってみます。

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 上がって振り返ると階段の踊り場には飾り棚など昔の趣きが残されています。青矢印の方向へ進むとロビー真上に位置する暖簾が掛かった廊下が付いています。

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 暖簾をくぐった先には舞台のある大宴会場がありました。内装はさすがに手を入れておられるようですが昭和7年築の建物には見えないほど保存状態がいいです。

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 階段まで戻って客室棟の方へ移動すると、以前は公衆電話が置いてあったような琵琶棚のような一画。

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 回り込むと灯篭が置かれた庭と下階への階段があります。

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 階段を下るとすぐに「楓」というお部屋があり、お部屋の玄関装飾が凝っています。画像左へ行くとロビーに戻り、右へ行くと川岸風呂の「せせらぎ」へ通じています。

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 せせらぎの湯までの間は客室が並び、上階の砂利が敷かれた庭があった客室も同じような造りとなっています。

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 途中、細い階段がありましたが、衝立で封鎖されてありました。館内図からするとメゾネットタイプの「百合」というお部屋のようです。

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 さらに奥に進んで行くと「湯庵」という湯上がり処があります。そして、せせらぎの湯に行く一段下がった渡り廊下は「太鼓橋」があり、館内の見所の1つで文化財に指定されています。

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 こちらは太鼓橋の外観です。渡り廊下らしく下が通れるようになっています。

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 湯上がり処は三徳川を眺め、開放感があり西日が良く差し込んでいました。アイスと飲料の自動販売機、マッサージチェアも置いてあります。リフォーム前は何目的の部屋だったのか・・・。

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 そして、突き当りにあるのは川岸露天風呂の「せせらぎ」の浴場があります。

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 一度、ロビーに戻って反対側の棟へ向かいます。赤矢印がロビー・玄関方面、青矢印を突き当りに行くと大橋旅館さん自慢の「岩窟風呂」があります。その途中に付いている階段。地下に潜るような構造ですが、実は玄関が2階部分に当たります。

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 階段を下りると枯山水の箱庭と年季を感じるタイル張りの床。ここは館内では4部屋しかない露天風呂付のお部屋がある場所です。うち2部屋が特別室なので1人40000円~とお高い。

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 枯山水の場所から数段の階段を上がると、少し違った趣きの濡縁のような廊下を歩きます。今はガラス窓が入っていますが、昔は本物の濡縁で外と繋がっていたのではないでしょうか。この場所に上への階段があります。

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 1階からは赤矢印の所から上がってきました。上がりきるとお食事処の「亀平亭」の案内の行灯。

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 行灯の前には岩窟風呂があり館内を1周したことになります。この真ん中の柱は恐らく桜の仲間だと思うのですがとんでもない存在感です。

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 亀平亭の中を覗かせてもらいました。紫色の品のある壁に、天井は杉板?光が反射して照り返しています。もちろんお客さんが入る場所は綺麗にしているものですが、古い木造旅館などではボロッとしている所もあります。しかし、大橋旅館さんの館内はどこも手を入れてあって良い状態が保たれているように見えます。

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 別角度からもう1つ。日帰りの外来客があったのか、料理の匂いが残っていました。宿泊者は基本はお部屋食なので、グループ客とかに利用されるのでしょう。

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 亀平亭を出ると目の前に階段が付いています。

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 階段を上がりきると最もランクの高い特別室「梧桐」のお部屋があります。

 

お部屋

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 案内して頂いたのは「栃」、大橋旅館さんの一般客室です。

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 間取りは踏み込み1畳+次の間3畳+本間8畳+広縁+バス+トイレ+洗面です。

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 角部屋風な栃の部屋は扉を開けるとスマートエントリーな1畳踏み込み。

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 次の間には昼寝用の枕が用意されています。朱壁は重厚な面持ちで骨組みはそのままで、壁やら少しずつやり直しておられるのでしょう。それでも、築100年近く経つ建物とは思えません。とても広く感じるのは京間畳だからでしょうか。

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 本間は広く8畳感覚ではなく、東方のお宿にしばらく慣れていたせいか、感覚的には10畳ぐらいありそうです。

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 書院未満の飾り窓からは、張り出した違い棚未満の棚。ここに生花の百合が活けられています。床の間横は地袋と、琵琶棚には琵琶の代わりにテレビが置かれていました。

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 広縁からは三徳川を見下ろします。対岸を散歩した時、広縁で夕涼みをしているお客さんが多数いました。いい景色ですし、一杯やりながらなら尚心地よし。

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 広縁には灰皿が置かれ禁煙室ではないですが、木造家なので換気がしっかりされているので臭いなどは気にならず。3畳程にかなり広くとってありトイレとバスがあります。

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 シャワーが付いたユニットバスは新しい物です。ただ、温泉ではないので利用はしませんでした。

 

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 冷蔵庫にミネラルウォータ2本、お茶セットは必要があれば入れ替えてくれるそうです。洗面にはアメニティとドライヤー、アメニティはすべて揃っています。化粧水とクレンジングは使い切りタイプ。浴衣2枚、フェイスタオル2枚。鍵2本と好きな時にお風呂に行けるので至れり尽くせりの備品です。

 車では5分ほどでコンビニはありますが、徒歩だと25分かかります。大橋旅館さんの目の前には酒店があるで、飲み物やおつまみには困らないかと思います。必要な日用品は事前の備えがある方がいいと思います。

 

お風呂

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 大橋旅館さんには川岸風呂の「せせらぎ」と名物「岩窟風呂」の2カ所の浴場があります。質感はすべっとして、本当にわずかに感じる程度の塩味に匂いはありません。三朝温泉は湧出深度がとても浅く、2m採掘するだけでお湯が自然湧出する所もあるぐらいで、常時新鮮なお湯を味わえます。また、湯上がりの保温効果が高い単純弱放射能泉のラジウム泉となっており、いつまでも身体のホカホカ感が消えず、夏よりも冬に訪れたほうがその効果の程がよく分かるかもしれません。夏場は汗が止まらないので、脱水を起こさないように水分摂取は必須です。

せせらぎ

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 文化財の太鼓橋の奥に進むと、川岸に向かって下りるように階段があります。

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 こちらの浴場は構造が変わっていて、何故かで脱衣所が2カ所に分かれています。1つは半露天へ、もう一方は内湯に直結していますが、両方から川岸風呂へ出ることができます。

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半露天風呂側の脱衣所から浴場に入ると檜の湯舟がお出迎えです。

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 半露天風呂はやや熱めにしてあり、浴槽内へ直接源泉を入れているようです。湯量はそこあるようで、男一人分溢れて満タンになるまで3分ぐらいでオーバーフローが始まります。

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 湯舟は画像でみるよりもかなり大きく5人ぐらいは並んで入れます。ここには屋外にシャワーが設置されています。前回の冬に訪れた時は寒すぎて、さすがにここでの洗髪洗体はできませんでした。

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 奥にはこれまた大きな露天風呂があります。夏に入るにはここが丁度良いほどの湯温です。

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 左画像の赤矢印のところから勢いよく源泉が噴出していましいた。また、石造りの湯舟の端には石造り小滝の注ぎ口もあります。そして、さらさらと捨てられるお湯は源泉かけ流しの証です。

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 そして、問題なのが右手の目隠しの壁。以前はこの壁がなかったので景観が素晴らしかったのですが・・・。ただ、対岸から丸見えなので、男女入れ替え制も考えると致し方ないところなのかな。

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上 の画像にある赤矢印の所には、ラドンを吸い込むことで健康を得るという温泉サウナがあります。

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 露天の反対側にある内湯は、源泉の投入量はかなり少ないようです。浴槽の壁からじんわりと源泉が注入されていましたが、一度誰かが入ってしまうと溢れ出すまでに時間を要するようです。

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 シャワーはこちらには2基あります。くどいようですが、冬場は表のシャワーはかなり寒いのでこちらで・・・。

岩窟風呂

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 岩窟風呂は足元湧出となっているため、源泉湧出地まで階段を下って向かいます。

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 脱衣所から浴場へでると、さらに階段があり3つある湯舟を上から見下ろします。

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 半地下のようになっている浴場は岩を積み上げ、組み上げて、わずかにある明かり窓は画像よりも実際はかなり薄暗い。客室数に対しては少ないシャワー数。

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 前回の宿泊は2016年の鳥取県中部地震後だったので、お客さんの姿は少なく三朝温泉も閑散としていました。しかし、この度はgotoの影響でそれなりに泊まっていたのに、浴場で他のお客さんと合ったのは3人だけでした。

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 湯舟は自然の岩の形状をそのままに留めているので、とんでもなく歪な形となっており素直に入ることはできません。お尻、足の居所が分かりません。なので、足元が不自由な方はまずは入れないかと思います・・・。バランスがとれないお年寄りも危ないか・・・。興味がある方は身体が元気な内に一湯しておくことをお勧めします。

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 大静寂なのには理由があり、3つの湯舟には湯口がありません。なぜなら、自然の岩の間や底から画像赤丸印のように、ぷくりぷくりと人の手を加えなくとも自然に湯が湧き出しています。自然のありのままの酸化しない、100%の生源泉が湯舟に湧き出すという超極希少温泉です。しかし、客足は延びない・・・。延びないのは個人的にはwelcom!!最高湯を常に独占できるという素晴らしい贅沢。

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 この浴場はいつ来ても大静寂です。湯はいつも不思議と新鮮で、決して多くはない源泉量なのに、オーバーフローしたお湯が流れ出る音だけが湯屋に響き渡ります。

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 3つある湯舟は上之湯、中之湯、下之湯としています。下の湯、中の湯はラジウム泉となっています。それぞれに微妙に湯温が異なり、好みによって入り分けすることができます。中之湯は「ぬる湯」、下之湯は「あつ湯」なのですが、人の出入りが少なすぎてか、訪れた時はほとんど同じ湯温。また、下之湯に関しては湯底が浅く入り易いですが、中之湯は中心に向かって▽の形状になっていて、真ん中に立つと胸ぐらいの深さがあります。

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 上之湯は超絶希少すぎるトリウムを含有する源泉が湧き出しています。いわゆる核燃料に匹敵する放射線を放出するのがトリウムです。もちろん健康被害はない含有量なのでしょう。世界的にみてもとても珍しいお湯のようで「ぬる湯」で長湯に最適。身体の悪いところを放射線が浄化してくれそうなので、だらだらと浸からせてもらいました。心はどうやら浄化されなかったらしい。

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 脱衣所には「せせらぎ」「岩窟風呂」で共通の備品があります。ウォーターサーバー、紫外線除菌のくし、シャワーキャップ、髭剃り、乳液・化粧水類が完備されていました。

 

お料理

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 朝夕ともにお部屋食となっています。複数のグループ利用だと個室のお食事処での案内のようでした。

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 前回の宿泊では高級食材の彩りが盛り込まれた料理が多い印象でしたが、料理長が変わってお料理の内容は今風に一新されていました。給仕して頂いた仲居さんに「料理長さん変わりました?」と尋ねると「他のお客様からも同じことを聞かれます」というぐらい変わっていました。個人的な感想としては、以前は関東風、今回は京風なイメージです。お料理は季節素材の薫りと風味を前面に出してあり、とても繊細な味付けです。

 最初の宿泊では仕入れにより献立が変わるので献立表はありませんでした。給仕の方の苦労は幾ばくか・・・。ですが、今回は献立があり、それを元にお品書きを書いてあります。内容に関しては説明して頂いた物に加え、実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

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【食前酒】:巨砲酒

 地元生産のお酒でしょうか。盃に顔を近づけただけで巨峰の甘い匂いが漂います。最初は葡萄のやさしい酸味がしたかと思えば葡萄の薫りがドドドと押し上げてきます。でも、吞み口はまろやかな甘さですっきりとしています。地元の酒蔵さんのお品でしょうか。

 

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【膳彩】

 手前から奥に向かって山の様な立体的な前菜は基本を押さえながらも、季節の物を外さず盛り込んであります。

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・子持ち昆布と柿の白和え

 白和えはカツオ粉を混ぜ込んであるようです。子持ち昆布にある塩加減をそのままに、熟した柿の角切りと合せてあります。帯は揚げゴボウ、彩りはキンギョソウを添えて。

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・〆鯖寿司

・ふぐと長芋の唐揚げ

・ほぐし蟹 焼き茄子

・たたみいわし

 酢と砂糖は控えめに、すし酢本来の甘さと驚きの透明感のあるサバはホロホロで、サバの嫌味がありません。 フグは打ち粉をして揚げ、しっかりとした身だがほっくり。添え付けの長芋と共に程よく塩を振ってあります。 焼きナスがトロットロッで、水分を逃がさずナス味が凝縮されて濃い。焼き香ばしさとカニの甲殻香ばしさが混ざると至福の味。 プレスされたイワシ寄せはお取り寄せ物。最近は道の駅でも見かけるようになりました。

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・菊菜と菊のお浸し

・秋鮭南蛮漬け

 菊の香り全開のカツオ出汁のお浸しは菊花の彩り盛り込み。

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 秋サケ南蛮漬けは玉葱、ねぎ、赤黄パプリカを盛り込んだ、酢がほんのり漂う品のある南蛮酢です。

 

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【お椀】:松茸とハモの土瓶蒸し 結び三つ葉 酢橘

 松茸の土瓶蒸しは着席と同時に火が入り10分ほどで沸き上がります。蒸気が漏れ出すと松茸の香りがお部屋に広がります。お出汁は昆布でしょうか。塩を控えたあっさりとした松茸風味をじっくり楽しむ物。沸いたら木皿に除けて荒熱をとります。

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 味が落ち着くとさらに松茸風味が熟します。タンパクなハモに匂いが移ると不思議とハモの風味もよく感じられます。シンプルだが火の匙加減で素材の風味が変わるので、沸かし過ぎないという配慮がいい。

 

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【造り】:とろ鮪、真鯛麹和え、秋刀魚レモン〆 妻物色々

 真鯛は麹で和えてまろやかに鯛の淡泊さが一層映えます。季節の秋刀魚は緩く塩を持たせて、皮に焼きを入れてたたきの様に香ばしく。レモン風味はあまり感じられないがさっぱりとした後口はレモンによるものか。

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 とろマグロは赤身と霜降りの2種を用意。本マグロの赤身は濃厚美味の本物味です。霜降りは上質な中とろ。脂の加減が絶妙です。彩りつまは紫蘇花、こんにゃく?海藻クリスタル?、大葉、菊花、こより人参。

 

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【焼肴】:甘鯛杉板焼、唐墨百合根、蕪柚香漬け

 とんでもなく脂が乗ったジューシーな甘鯛が配されます。しばらくすると杉板を伝って脂が滴ります。箸でつかもうとすると、ほろりほろりと身が崩れてしますほどに柔い。何とか口に運ぶと溢れ出す甘い甘鯛の肉汁と、ウロコ焼きのパリパリとした焼き香ばしさは、焼きというよりも甘鯛の脂で揚げたよう。杉板に焼き目は付いていなかったので、松傘揚げにしてから、バーナーで焼きをいれたのかも。付け合わせの蕪は柚子の香りは程よく醤油で漬けたもの。きめ細かい百合根饅頭にカラスミを振って色気とアクセントを。彩りの枝豆は衣を持たせて揚げてあります。

 

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【逸品】:鮑とフォアグラの茶碗蒸し、白い玉蜀黍の餡、振り柚子

 この度のお料理の中では一番ハマりました。逸品にふさわしい。底には濃い玉子地を敷いて、その上に白トウモロコシの餡を掛けた2層構造になっています。この餡が配膳された瞬間から匂いが止まりません。

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 お味は超絶に濃潤された白トウモロコシしかない。「すり流し?」「ポタージュ?」この深みとコクはなんでしょう・・・分からない・・・。口当たりは洋風ですが、白味噌で溶いてあるのかな。これに弾力はあるがスルスルと歯が入る鮑とフォアグラを添えてあります。振り柚子は、ゆるり香る程度に。柑橘系の使いがどの料理も丁寧です。

 

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【進肴】:鳥取和牛のステーキ 季節の野菜と共に、和風のバーニャカウダーソース、トリュフ塩

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 鳥取和牛は赤身の「もも」と霜降りの「ロース」の2部位を用意。これをトリュフを混ぜ込んだ塩でいただきます。

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 ももはグモグモとた歯応えは、噛めば噛むほど赤身の旨味が滲み出ます。対照的にロースは和牛の脂がしっかりと乗って美味。付け合わせの野菜はあらかじめ絶妙に火が加えられてあります。モモ肉は不思議なバーニャカウダーソースにディップ。何がベースなのかと食べていると・・・かつお節だ!これにゴマと味噌?マヨ?で和風に仕上げてあります。トリュフ塩は脂のあるロースが合います。

 

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【食事】:三朝米 松茸の炊き込み御飯、いくら醤油漬け、あおさ海苔赤出汁、香の物

 軽いしょうゆ味を付けた松茸の炊き込み御飯は香り豊かです。味噌汁は磯風味豊かな、滑らかな京風赤出汁。

 

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 小鉢のイクラの醤油もとてもまろやか。松茸だけでも贅ですが、醤油が強くないのでイクラ飯にするとイクラの旨味と塩が加わりさらに絶品。香の物はよく漬けられた大根、麦麹味のラッキョの酢漬け、胡瓜。ラッキョは鳥取砂丘産でしょう。

 

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【水菓子】:蕨餅、醤油パウンドケーキ

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 わらび餅は手作りですと配されました。これは・・・とても粘りがあり伸びる本物だ!もっちもっちの食感にわらび風味が濃い。黒蜜はトロトロでよく絡み、さらにシュガーパウダー状のきな粉で甘味と香りを足してあります。

 

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 以前にもしょうゆ味のパウンドケーキは口にしたことがあります。しかし、旅館大橋さんのはケーキの甘さのなかに、かなりの「しょっぱさ」があります。醤油を強く持たせることで甘味も強くなる。これに生クリームを添え、薫り高いブルーベリーソースを回し掛けてあります。

朝食

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 朝食もお部屋でいただきます。夕食からするとスタンダードな朝食となっています。盛り付けや器が華やかなのでゴージャス感があります。

 

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・リンゴ酢

・鮪の角煮、山葵海苔、明太子、ちりめん山椒

 朝食のお口直しはリンゴ酢。珍味4品は手作り感のあるもので、面白いのは明太子には刻み昆布を和えてあります。山葵海苔はさすがにお取り寄せかなと思いますが、旅館大橋さんの料理へのこだわりを考慮すると、青々とした海苔風味はお手製かも。マグロの角煮と、ちりめん山椒はしっとりとした自家製風。

 

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・温野菜(ペコロス、椎茸、南京、パプリカ赤黄、ブロッコリー)、味噌ソース

・胡麻豆腐

 夕食のステーキに付いていたお野菜同様に、温野菜の蒸し加減は素晴らしく味噌ソースは摺りショウガを入れ込んだ一手間。黒ごま豆腐は豊潤な滑らか仕立てで、薄口しょうゆで加味。これも自家製でしょう。旨い。

 

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・出汁巻き卵

・のどぐろ、かまぼこ、はじかみ

 出汁巻きはどちらかというと卵焼き風のしっかりタイプの歯応え。ノドグロは小振りで丁度良く食べ切りサイズだが、脂の乗り旨味は病みつきの味です。

 

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・白米、味噌汁、香の物(壬生菜、大根、梅干し)

 お漬物には夕食と同じ大根の古漬けがとても美味い。味噌汁には車麩と、お味噌は山陰の白味噌か?白米に合うオカズばかりでおかわり必至です。

 

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・焼き海苔

・フルーツヨーグルト

 定番の焼き海苔に、盛り込みフルーツのヨーグルトは甘さ控えめ。可もなく不可もなく。

 

まとめ

 再訪してどうか? お湯良し、料理良し、宿良しと、人良し、旅館大橋さんはやはり抜け目がない良宿だと確認できたというのが正直な感想です。前回、お部屋付きで担当していただいた仲居さんも元気に接客されておられ何よりです。何点か気になるところ。節操のない方がいたのか、川を臨むせせらぎの湯の目隠しが高くなってしまったのは残念です。しかし、無音の静寂がある岩窟風呂が貸し切り状態で利用できたのは至幸でした。前回も地震後だったので貸切状態。再訪の理由の1つに前料理長さんの会席を味わいに行くという目的がありました。もうあの会席が食べれないかと思うと寂しい気もしましたが、この度の料理長さんの会席も負けず劣らず見事な創作で絶品です。記事をしたためていたら、すぐにでも湯と食を楽しみに訪れてみたいと思いました。

宿泊料金

 一番お安いお部屋でも平日最低価格が50000円以上、休前日だと60000円台からのお宿です。特別室になると平日でも80000円以上になります。goto利用ですが、接客、サービス、温泉、料理の内容からすると、定価でもお値段相応もしくはそれ以上ではないかと思います。50000円台で宿泊できるなら、お得感は間違いありません。今回はYahooトラベルのJTBプランの予約での宿泊です。

宿泊日:2020/10

旅行サイト:JTBプラン(yahooトラベル)

プラン:【部屋タイプお約束】本館 和室8畳+踏込2畳 お約束プラン

部屋タイプ:和室

合計料金:55000円(2人)

クーポン:19250円(Go Toトラベルクーポン)

支払い料金:35750円

加算ポイント:250p

三朝温泉 旅館大橋 宿泊予約

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