いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

湯回廊 菊屋【静岡県 修善寺温泉】~大正浪漫とモダンな雰囲気が織りなす極みの空間、源泉かけ流しの貸切湯めぐりと、旬の絶品手仕込み料理は極楽への道しるべに~

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 菊屋さんは創業400年、さすがに創業当時の面影とは違う今の様相。しかし、夏目漱石さんが滞在したとされるお部屋が残っており、大正時代の建物も現存している文化財のようなお宿です。ただ、多くはリフォームが施され、快適に過ごせるようになっています。共立リゾートグループさんのお宿には、何度かお世話になったことがあります。その中でも、菊屋さんは古き良き趣きと和モダン旅館が融合されていますまた、極上料理が逸したお宿でもあります。実は箱根湯河原の藤田屋旅館さんに泊まった時の事です。女将さんに「この辺りは始めてですか?」と聞かれました。「古い昔ながらの建物が好きなので、同じ湯河原の上野屋さんと、修善寺の新井旅館で伊豆に訪れたことがあります」と応えると、「また、修善寺に泊まることがあるなら、ぜひ菊屋さんに訪れてみてください」とお勧めして頂いた記憶があります。女将さんのお勧めの真相とは・・・。

※見所が多いので館内探索は長丁場です。お好きな所だけを摘んで見て頂ければと思います。

旅情

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 かなり早いチェックインになりましたが、快く対応して頂けました。というか、アーリーチェックインでもないのに、チェックイン時間を待たずにがんがん車が入ってきます。玄関横の駐車場へセルフ駐車です。流行り病がなければ車はお預けになるのかな。

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 夜間に撮った一枚ですが、何とも重厚感のある自動ドア。もともと館内にあった間仕切り壁とかだったのでしょうか。

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 高級旅館からすると客室数は多い方かと思います。それに対応できるように、玄関の間口はとても大きくとってあります。玄関は昔の名残というよりは、いい時期に建て替え、さらにリフォームをしたようなモダン大正な構えです。

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 この玄関の電飾は、かつては本館2階にあった150畳の大広間にあった物だそうです。残念?ながらこの大広間は改築により客室となっています。

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 玄関棟と本館の間には桂川が走っており渡り廊下が付いています。この廊下がロビーの扱いで川を見下ろしながらチェックインの手続きを行いました。女性の従業員の方の服装も大正らしく袴の制服で粋な感じです。お部屋お案内まで時間があったのでカフェの案内をしてもらいました。カフェの案内は後ほど。

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 ロビーである渡り廊下を越えてすぐ左手にフロントがあって、スタッフの方が常駐しておりパンフレットなども置いてあります。

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 フロント正面には、トランプ、UNO、囲碁、カード麻雀などの遊具の貸出がありました。そして、長持(ながもち)に入れたサイズ別の作務衣。お部屋にも用意がありますが、「サイズが合わなければどうぞ」とのこと。

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 フロントの前を抜けてすぐに、充実した品ぞろえの売店があります。菓子類のお土産から、名産の冷蔵の山葵漬けまで色々と揃えてありました。

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 かつては喫煙所だったのか、売店裏には休憩スペースがあり自動販売機と、無料のウォーターand茶サーバーが置いてあります。自動販売機の並びには皇族が訪れた時の史料?文人たちの縁の物が展示されていました。

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 売店前を抜けるとすぐに、お宿の名前にあるように回廊が取り囲む中庭が見えてきます。

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 売店前からテラススペースへ自由に出入りすることができます。中庭には名残紅葉があり、背景の古めかしい建物との相性がよく。池には鯉が泳いでいるので、鯉のエサやりもすることができます。

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 中庭が見えた所から左を見るとカウンターがありました。共立リゾートさん共通のサービスである、夜22時からお夜食の夜鳴きソバの振る舞いがあります。

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 水色の矢印には「季の語り部」の宿泊棟があるはずですが、立ち入り禁止となっていて稼働はしていないようでした。カウンターの隣にはかつての大広間と同じ名前のお食事処「聚星閣」があります。

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 聚星閣は小宴会場のようになっています。往訪した時は、夜鳴きそばをここで食べれるように開放されていました。

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 玄関から一直線に進んだ先には左の網々はお食事処で、すぐ右が喫煙所。

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 玄関からの渡り廊下を越えてからは、中庭を取り囲むように回廊が付いています。公式HPやパンフレットとかに出ている一画です。確かにかつての趣きが最も濃い場所かもしれません。素晴らしい眺めです。

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 廊下を振り返ると「花の語り部」への階段があります。

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 花の語り部は2棟あります。2階部分では繋がっておらず、それぞれ独立した棟になっています。昔は行き来が可能だったのかもしれません。

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 さて、今更ですが菊屋さんの建物はとても複雑で、館内図なくしては全くわかりません。玄関からオレンジの線を引いて〇が現在地です。客室は「季」「花」「月」「水」「草庵」「風」の6つの棟によって分けられています。右に曲がり「月」棟へ。

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 廊下からの情景は素晴らしい。ここからの景色が最も建物が映える場所ではないかと思います。f:id:SiWaSu_CaT:20210716200520j:plain

 「月の語り部」方面を行くとすぐに「月」「星」の2ヵ所の貸切露天風呂があります。奥には近代的な自動ドアがあります。敢えて自動ドアにしてあるのは、開けっ放しになると室温が維持できないからでしょうか。

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 自動ドアを出ると完全に屋外です。男女別の露天風呂「朱雀の湯」を左手に見ます。お風呂の内容は後程。

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 朱雀の湯の前には「月の語り部」の入り口があります。ここも自動ドアとなっています。f:id:SiWaSu_CaT:20210716200536j:plain

 なかなかにレトロ感があります。ピカピカに磨き上げられた廊下と内装は昭和初期感があります。オレンジの左矢印は史料廊下と月の客室があります。右矢印は「離れ草庵」への道筋です。

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  最奥には流行り病で休みになっているかと思っていたら、夜になると営業しておられたマッサージ処です。

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 廊下の両サイドには菊屋さんの資料展示があり、天井が大正クラシックな漆喰の装飾です。

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 はやりここにも縁の人物や菊屋さんの歴史を表す写真が飾ってあります。不便は承知で昔々のままの建物に是非に泊まってみたい。こう思うのは物凄く少数派らしいですが、近代化されたホテルなどは、マンションと同じぐらいにしか感じられず日本らしい味わいが乏しくと思ってしまいます。

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 奥までいくと昭和の雰囲気があるベニヤ板の壁と階段は木造。不規則な廊下と建物は現代では目にしない構造です。

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 奥の階段袂までいくと階段はシースルーのようになっており枯山水の庭を見せてくれます。活け花は生花とさすがです。ここは昭和ノスタルジーが香っています。f:id:SiWaSu_CaT:20210716200834j:plain

 2階に上がると雰囲気を壊さないように竹細工の電飾カバー。歩いていると木造のように感じますが、柱などは耐震化して鉄筋とかにしてあるのでしょうか。しっかりしています。

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 古い建物なので、緑茶の香を立て館内は落ち着いたアロマが漂います。

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 さて、オレンジ矢印から反対の水色矢印の方を見ると、何ともユニークな立体的なホール階段があります。このような造りは見た事がありません。

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 左右のいずれかを上がると中央で合流し、さらに2階への階段が付いています。この下にさらに通路があるとか、当時の建築様式ではかなり珍しい物ではないでしょうか。

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 2階に上がると客室が並んだ廊下とさらに半2階に当たる躍り場を備えた階段。立体空間の説明が何とも難しい。

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 手すりは当時の物としては新しく見ます。昔の物を模して作ったのでしょうか。彫られているのは菊花です。

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 中庭を回り込むように赤丸のところまでやってきました。ここから交差階段の股の下を通って「離れ 草庵」方面へ向かいます。

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 階段股下のこの廊下も手は入れてありますが、昔のまま使えるものはそのままといったレトロ感があります。

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 自動ドアを出ると一度外に出ます。

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 出たところすぐに、酒類からジュースまで備えた自動販売機があります。いい所にいい具合に自動販売機がありお値段は良心的です。

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 外廊下最奥には1日1組限定の「メゾネット蔵」という一棟客室があります。注意書きには、お客さんが滞在中なので立ち入り禁止と書いてあります。宿泊がなければ見学ができるようになっているのかな。

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 建物の様相は洋館のそれです。これまで泊まったお宿でも、和旅館の佇まいの中に一棟だけ洋館の場所があったりすることがありました。ビリヤードの遊技場であったり、外国人客が来訪者を向かえる応接室であったりするようです。菊屋さんのこの建物はどいう用途だったのでしょう。

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 さて、蔵の建物から本館の方を見た外廊下です。外廊下の右左に離れの客室がならんでいます。離れの棟は公式HPを見ていると、フルリフォームとかではなく建て替えした温泉風呂付きの現代和室のようです。

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 現在地は水丸の所から本館を眺めています。色々見て回っていると「迷っている風?」「不信に思われた様?」に見られたのか、従業員の方に「どうかされましたか?」と聞かれ、「館内探索しています」と応えると、簡単に見所を教えて下さり、これから行く八角の楼とロビーに続く廊下の風情が、最も好みだとおっしゃておられました。他の従業員の方も聞くといろいろと答えてくださるので旅館愛を感じました。

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 廊下を端までいくと、見えてくる洋式の八角の建物。本館への入り口にはやはり自動ドア。

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 自動ドアを入ってすぐに、大浴場「菊風呂」への下り階段が付いています。正面には先ほど見えていた八角の建物の入り口が見えます。

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 階段を下りると菊風呂の湯上がり処があります。

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 湯上がり処には昭和世代懐かしの瓶コーラの自動販売機にウォーターサーバーがあります。

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 共立リゾートさん共通のおもてなし湯上がりアイスキャンディの用意も。同グループ内の旅館の中では最もアイスの種類が豊富でした。普段食べないのにサービスとしてあると全種類食べたくなるのは自分でも卑しいと思ってしまいます・・・。

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 湯上がり処からは「水の語り部」棟に通じています。

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 扉を開けると、半露天風呂付きの「風の語り部」棟へ続く吊り橋があります。ここからは、同棟の宿泊者だけのプライベート空間となっています。またまた公式HPを見ていると共立リゾートさんらしい現代和建築の新館となっています。

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 玄関横の駐車場から見ると「風の語り部」棟は駐車場の下になるようです。吊り橋も新しい新造でしょうか。

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 菊の湯の階段を戻って、上がりきったところにはアンケート投書BOX。お宿のアンケートはできるだけ応えるようにしているので、翌日チェックアウト前に投書しました。内容は秘密です。

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 アンケートBOXを振り返って、「漱石の庵」と名された八角の楼は漆喰の壁に、天井中心にある電飾があった場所には壁が沿り立っていました。スタッフの方が動きやすいなど色々と都合があるのでしょう。

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 チェックインで混雑したので通されたのがこの八角の楼です。エスプレッソマシーンから、紅茶、緑茶、クリープ、砂糖と完璧なセルフ喫茶です。

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 すげーと感嘆したのはドリップの水出しコーヒーがいただけます。水の美味さとコーヒー豆の本来の透明感を味わえます。コーヒー好きな方は、訪れたら必ず賞味してください。好みにもよりますが雑味がなく好みの味でした。

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 ふんわり赤生地のチェアと、意図してか八角のテーブルの寛ぎスペースはかつての情景を想わせます。

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 共立リゾートさんのすべてのお宿でのサービスではないようですが、湯上がり牛乳があります。最初に見た時はフルに入っていましたが、次に見た時にはこの状態だったので早いもん順です。お味はコーヒーとプレーンから、先人方の過去記事をみるとフルーツ牛乳も有ったり無かったりのようです。

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 翌朝の冷蔵庫には牛乳ではなく、乳酸菌飲料がごっそりと入っていました。宿泊人数分だけ用意しているのかと思うですが、あっという間に冷蔵庫は空っぽになっていまいした。すいません・・3本飲みました。(*´ω`*) 便通よくなりまりました。緩いぐらいです。牛乳もプレーンとコーヒー両方頂戴しました。だいぶ緩いです。おしいかったです。

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 八角楼からの本館への渡り廊下を行きます。この雰囲気は当時のままかと思われます。この一面だけを見ていると時代は明治・大正で時間がストップしています。廊下には菊屋さんの歴史的写真の展示があります。

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 菊屋さんの成り立ち生い立ちの展示パネルもあります。皇室、文人墨客の方が多く訪れ、時代に沿ったお宿の変貌してきたというパネル展示があります。菊屋さんは古き良き部分をたくさん残されています。

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 渡り廊下からは絶景というわけではありませんが、玄関との間に流れる桂川を見下ろし、紅葉を少し眺めながら、湯上がりに牛乳やお茶を楽しむのも一興です。漱石の庵でコーヒーを注いで、ここで読書するというのも有りではないかと。

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 奥の中央にある水色の渡り廊下からやってきました。左柿色と右黄色は2階部分で繋がっているもう1つの「花の語り部」の宿泊棟です。

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 位置としては紫の所から玄関の方を向いています。

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 2つ上の画像にある柿色の矢印の方をみると、もう1つの「花の語り部」という宿泊棟があります。お土産屋のど真ん中を通る廊下です。

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 奥へ進むと玉石の廊下に変わり、昭和レトロを感じる客室戸と階段があります。

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 2階へ上がると狭い廊下に、これまでの宿泊棟よりもさらに古めかしい雰囲気が感じられます。泊まれる棟では一番古そうです。廊下右手に中庭が見えます。廊下の最奥には「漱石の間」と呼ばれる梅の間があります。

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 漱石の間手前にも階段がついてあります。ここも昭和感が漂う景色です。

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 階段を下ってくるとお土産屋さんの隣へ降りてきます。黄色矢印の所から降りてきました。この奥にも貸切風呂と「風の語り部」という宿泊棟があります。菊屋さんの長いお宿探険も終盤です。階段の傍らにはさらに廊下が伸びています。

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 廊下を突き当りまで進むと「風の語り部」棟と貸切風呂への出入り口があります。出入り口を出て右に「風の語り部」棟へ行く渡り廊下があります。訪れた時はまだ工事中のようですが、この記事をアップした現在は稼働されているようです。左には貸切風呂の入口が見えます。

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 貸切風呂の入り口には下への階段がついているので下っていくと、貸切風呂の岩戸と古代の湯があります。探索はここで終了です。菊屋さんは館内の見どころが多く、かなり長い館内探検で楽しめました。所々、細かい装飾もあるのですが、長くなりすぎるのでエスケープしました。それは泊まってからのお楽しみ。

 

お部屋

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 案内して頂いたのは・・・花の語り部の最奥のお部屋です。

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 何と漱石の間です。予約の際、「本館(次の間付きのお部屋)と同じお値段で、漱石の間に宿泊できるなら、是非に宿泊してみたいです」と備考欄でお願いしておいたのです。ダメかなと思いながらも本当にありがたい計らいです。こちらも宿泊者がいなければ見学が出来そうな立札がありました。

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 玄関戸を開けると広々とした玄関スペースが目に入ります。もともと古くあったものを風情を残しつつ今風にリフォームしたような印象です。

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 上がり框の端には柱が埋め込まれたような謎の装飾柱。

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 天井には網代・・・と思いきや、網代を模した壁紙です。長崎県の春陽館でも同じものを見ました。梁などは当時のものでしょう。

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 玄関を上がって左をみると3段の階段があり、階段手前にはバス・トイレです。

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 昔ながらの設置型のドライヤーなどはあるものの備品はシンプルです。壁設置のドライヤーなので送風は弱いタイプです。化粧水類などは感染予防により、撤去されているので必要であればフロントに申し付けるスタイルでした。このお部屋に限らず本館のお風呂は、温泉ではなく沸かし湯と宿案内にありました。

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 階段上がってすぐ右手には冷蔵庫があり、500mlの天然水が2本入っていました。こちらはサービス品です。f:id:SiWaSu_CaT:20210716203153j:plain

 広縁がお部屋の入り口という珍しい造りです。本当は廊下としての扱いなのでしょう。

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 階段を上がって右手を見ると、螺鈿細工が施された文机があります。いつ頃の物か・・・。

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 階段を上がってすぐ左手には6畳間の寝室があります。

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 漱石の間は本館の端にあるため、他の部屋に比べると眺望は今一つだがとても静かです。他のお部屋は中庭と池を臨めるのではないでしょうか。増築を繰り返しているようなので、漱石さんが逗留したときは書が進むような眺望があったのかもしれません。

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 間取りは本間8畳+次の間6畳寝室+広縁廊下8畳+踏込+長縁8畳+板間縁4畳程+バス・トイレです。訪れたのは最晩秋だったので、丸ちゃぶ台の炬燵が用意されていました。f:id:SiWaSu_CaT:20210716203246j:plain

 本間の床の間を見ると、地袋と天袋に趣きをそのままに残されてあります。床の間には生花です。

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 古い建物はどうしても古めかしい香りが残るため、お部屋には茶の香が炊かれていました。とても香しい。

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 漱石の間の特徴としては、お部屋の両サイドが縁になっていることです。眺望はないですが、光の入り加減がとてもよく明るい。

 化粧水などを除いては全てのアメニティが揃っています。ただ、タオル類は浴場に持っていく必要があります。徒歩圏内にコンビニがあるので忘れ物をしても買い付けることができそうです。

 

お風呂

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 菊屋さんには「湯回廊」と称するだけあって、敷地内に点在した湯舟が多数あります。男女別大浴場と露天風呂が1ヵ所、追加料金なしで空いていれば利用できる貸切風呂が4ヵ所もあります。お客さんの収容人数からすると貸切風呂が一杯になるかなと思っていましたが、夕食前以外はさほど混む事なく利用できました。泉質はアルカリ性単純温泉でツルりとした肌触りで、良い意味でトゲが全くない誰でも入り易いお湯です。湯使いは加水、加温、循環、消毒ありとなっていますが、これは大浴場だけではないかと。源泉は51度と高温なので、いろいろと調整はされているようです。貸切風呂は吸い込み口はなく、超微塩味でツルツル感は大浴場より強く源泉かけ流しではないかと思われます。脱衣所には髭剃り、シャワーキャップなどはありますが、ここでも化粧水などは撤去されてありました。通常は浴場にタオルや化粧水類などのは完璧の備えではないかと思われます。

菊湯

その1(大浴場内湯)

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 こちらの大浴場は男女入れ替え制となっています。宿泊者数はかなりいたのに、貸切風呂が盛況なので、大浴場では他のお客さんと会うことはありませんでした。いや本当に誰も来ない・・・。

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 チェックイン直後だったので、湯張りの途中だったのか湯舟から溢れ出しは見られませんでした。浴槽の淵には菊屋さんらしく菊の掘り込みが施されてかっこいい。湯舟は5,6人は余裕で入れる大きさ。

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 左画像の湯口からは注ぎはありません。現役で可動しているように見えましたが・・・。右画像は左の湯口のすぐ下から、プクリプクリと気泡が上がっているのが見えました。かなりの「あつ湯」だったので、温度から察するに源泉の注ぎだと思います。析出物もこの付近だけ多量に付着していました。投入量が少ないので仕方がないところもあり、わずかに消毒臭が感じられました。循環ありとなっているわりには、循環しているような感じはなく。

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 各々の大浴場脱衣所には本来化粧水類なども普段は置いてあるのかと思われます。髭剃り、櫛、シャワーキャップなどの使い切り用品は置いてありました。

その2(大浴場内湯)

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 男女別の「菊の湯」のもう1つの湯屋です。浴場自体にコンセプトがあるのかと思いますが、菊らしい雰囲気はあまりなく。

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 扇状の湯舟は橋で分断されていますが、橋の下は繋がっているので同じお湯です。やはり吸い込み口はなく循環している様子はありません。

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 湯屋の端にはかつての注ぎ口であったと思われる石組みは「延命の瀧」の表札がありあます。その下の赤丸をしたところからは、多くはない源泉と思われる注ぎがありました。

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 瀧の下には塩ビ管から泡が多量に出てきています。勢いのある噴射口は循環湯でしょうか。

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 こちらは入り口すぐのところにある湯口です。多くはない量が注がれており湯温からすると源泉のようです。

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 お風呂もいろいろとリフォームしたような形跡があります。ここは打たせ湯のような跡が見て取れます。流行り廃りがあるのも旅館の楽しみ方の1つです。

朱雀の湯

男性露天風呂

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 朱雀の湯は男女の入れ替えがありません。なので、開放的な露天風呂に入るならこちらを利用します。男湯は山の斜面を眺めるような、まずまずの景色です。

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 竹筒から注がれるお湯は「あつ湯」の源泉です。しかし、この石造りの湯舟が深く座ると首まですっぽり浸かります。源泉の注ぎ傍に循環の噴き出し口があり、湯舟奥に吸い込み口があり循環放流となっています。消毒臭はにおいに行かないと感じないほどで、オーバーフローは庭へ捨てられていく湯使いの気持ち良さを感じる露天です。

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 脱衣所横の赤矢印部分には、シャワーブースがありました。冬場はさすがに厳しそうです・・・。2回利用しまいたが、他のお客さんと会うことはなく・・・。貸切露天が優秀過ぎるので、共同浴場が逆におまけのようになってしまいます。

女性露天風呂

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 女性側の朱雀の湯は半露天風呂+露天風呂となっています。公式HPを見ていると女性側露天風呂の窓は全開放できるようです。しかし、寒気が入り込むため訪れた時は半分だけ戸が開いていました。

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 男性側に比べると女性らしい趣きで、絶対こちらのほうが雰囲気は良く、相方に男性側の画像を見せると「景色悪いな・・・」という同情のコメント。菊があしらわれた湯口は源泉のようでしたが、別に噴出口があり循環放流です。

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 露天風呂は男性側と比べると開放感が各段に違います。確実にこちらのほうが景色を愛でながら入浴するにはいいと申しておりました。

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 3人ぐらいであれば気遣いなく入れる大きさの湯舟です。

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 源泉の湯口も男性側のただ注いでいる感ではなく、湯冷ましに石の浴槽へ一度入れてからの情緒も味わいがあります。景色と言いジェラシー・・・。菊屋さんの大露天は女性だけの特権です。ここも源泉を足しながらの循環放流となっていました。

貸切露天風呂

黎明の湯 月

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 各貸切風呂はどうなっているでしょう。1つ目は「月」と名するだけあって、満月をイメージしたのかのような丸い湯舟です。大人2人が足を延ばしてゆっくりと入れます。小庭付の露天風呂です。

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 身体を沈めるとザバーと溢れ出すお湯はとにかく気持ちがいい。循環しているような仕組みはなく、湯口は源泉温に近い程に熱く源泉かけ流しではないかと思われます。源泉の温度が高いため、湯舟の温度調整のためか湯量はさほど多くはありません。ダバダバ注ぐと入れなくなる源泉温なのかと。

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 各貸切風呂にもシャワーの設備があり、かけ流しで湯量も泉質も確実に大浴場よりも良いので貸切風呂ばかり利用しました。

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 すべての貸切風呂には、有難いことにウォーターサーバーが備え付けてあります。洗面周りの備品も化粧水類以外は、髭剃りから櫛、シャワーキャップまで大浴場と同じアメニティが完備されていました。

黎明の湯 星

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 隣の「月」貸切露天風呂の仕切り反対側に「星」があります。景色はこちらの方が良いかな。

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 「星」と名称するので、湯舟の形は6角形で星の瞬きを表現?しているのでしょう。黎明(れいめい)とは夜明けを指すのに、星と月とはいかに? 月よりも入り易く親子4人で入っても十分な大きさです。

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 あつ湯の源泉は「月」と同じぐらいの湯量が注がれます。訪れた冬の時期では日があるうちは、高温の源泉と程よい寒さにより貸切露天風呂は最高です。夜間は逆に「ぬる湯」でいつまでも浸かっていられる。ぬる湯好きにはたまりません。

貸切夢想風呂

古代の湯

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 何故、古代と称するのかというと木の香りを夢心地に明治の頃を想う意味を込めたものだそうです。小さい湯舟は大人が2人並んで入るのは窮屈のない大きさです。

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 湯舟の大きさに対しては申し分ない湯量が注がれています。

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 前客が入ってもすぐに、オーバーフローするぐらいにはお湯が注ぎこまれているので、ここだけは常に新しいお湯を楽しめるのではないかと思われます。すべての湯舟の中でツルツル感が最も強く感じられました。源泉濃度が高いのかもしれません。

岩戸の湯

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 湯舟が小さいからか館内の湯屋では最も熱いお湯に入れる湯舟となっています。1人でも足を伸ばして入るには窮屈なほどの大きさは、岩戸の湯とはよく言ったもんです。

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 湯口からの量は多くはなく、表現としてはトロトロと垂れているといった感じです。

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 切り口からは同じようにトロトロと溢れ出し湯屋は湯気でかなり熱く感じられます。たまたまなのか、ある程度の時間が経つと、浴槽の壁にある塩ビ管から大量のお湯が噴き出し溢れ出しが加速しました。最も熱いと公式で言っているぐらいなので、湯温の調節をしているのかもしれません。ここだけウォーターサーバーが有りませんでした。

 

お料理

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 朝夕共にお食事処でいただきました。半個室のような所あれば、隣との席に衝立があったりとプライベート空間を演出してあります。10品の会席料理となっており、フレンチのように選べるメインディッシュなどバラエティに富んでいて、お腹一杯の手前でちょうど水菓子を食べ終わる絶妙な量も粋です。

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 席に着くと、このような紙が渡され選べる料理をあらかじめ選択しておきます。選べるといっても作り置きではなく、素材も味も絶品の品々が配される、食べる手に合わせた趣向会席と公式HPにあります。また、朝食も和と洋から選べるという選択肢の多い内容となっています。選べるのに美味しさは損なわず、即対応の体制があるのにびっくりです。

 献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。内容に関しては説明して頂いたものと、実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

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 余談ながらも、お食事処入り口にあるBarは、感染症対策によりお休みとなっていました。

夕食

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 席にはあらかじめ食前酒、先付、前菜、椀が配膳されてありました。

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 プランにはワンドリンクサービスがあったので一人一品選べます。日本酒を冷で2合頼みました。

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【食前酒】:季節の果実酒

 12月はみかんの食前酒でした。ゆったりとしたみかん風味に合わせてあるのは焼酎。西日本では愛媛や和歌山が、みかんの産地としてのイメージがあります。東日本では静岡県がみかんの産地でもあり、季節的にみかん酒は地元の季節酒かな。甘味は全くなく焼酎の風味はありますが、アルコールは飛ばしてあり、みかんと焼酎の風味を楽しむ大人味。

 

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【前菜】:①胡麻豆腐 美味出汁 ②北寄とめかぶ和え ③合鴨オレンジ ④菊花丸十 ⑤サーモンミルフィーユ ⑥黒米稲荷寿司 ⑦富士山水雲 

 ①胡麻豆腐は口の中に入れると、とろけてしまう柔さに口を濁さない胡麻味に、ワサビとクコの実を添えてあります。 ②ホッキ貝、めかぶ、茎ワサビ、めかぶジュレを細かく刻んで和えてあります。それぞれの味は豊かに味付けはジュレの塩味か。 ③鴨ロースでオレンジを挟むことで移り香の酸味。ふんわり鴨燻製とオレンジの相性は抜群です。 ④菊屋さんの紋でもある菊花に飾り切りしてあるのですが、どのようにかたどってあるのか・・・。型に寄せ直してあるのかな?レモン味がしっかりと潤いシャクシャキと歯ごたえを残したサツマイモです。 ⑤白い部分はチーズかと思って口に入れると練り物でした。タンパク白身と燻製サーモンの紅身のアンバランスな食感と燻製の薫りを楽しむ一品。 ⑥古代米の黒米はもっちりと、揚げは黒く甘黒酢に漬けた「黒いなり」。赤い粒上の物が振ってあり砂糖とショウガを合わせたアクセントが効いた御稲荷さんです。 ⑦富士山を模した寒天寄せは雪帽子は山芋を、裾はモズク酢をそのまま固めた酢の物仕上げで可愛らしい象り。こういう商品があるのかと思ってしまうほどに綺麗な造形です。

 

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【先椀】:土瓶蒸し 蟹 五目進上 海老 銀杏 三つ葉

 席に着くと、さっそく火が入り噴いてきたらコンロから降ろします。

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 お出汁のベースはカツオ。蓋を開けるとカニとエビの甲殻香ばしさが豊満で、単純に素材を足し算した湯気の匂いが実にいい。五目真丈は三つ葉に、人参、キクラゲぐらいまでは分かるものの、他の二目は貝柱?おちょこ4杯分ほど入っており丁度よく。しかし、塩加減が絶妙すぎて、さらに口にしたくなる衝動を駆ります。

 

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【御造り】:季節のお造り 本山葵

 旬のブリ、ボタンエビ?、マスと山海のお造り3種盛りです。つまは赤大根けん、大葉、ラデッシュ皿と蓼、紅芯大根の彩り、子持ち昆布、イチョウ大根。

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 静岡にきたのならやはり本山葵は外せません。お造りの配膳に合わせて、配膳係の方が擦ってくれました。頭から擦ると甘く、足から擦ると辛い、と説明を頂きます。ここは大根と同じですね。

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 ブリは緩くもあり弾力のある身振りは、脂がぎらぎらと活かっており濃厚なブリトロでした。エビもずるずると尻尾を引っ張るとエビ味噌と一緒に甲殻から外れ身離れがよい。さらに一度氷で占めたのかコリコリとした歯ごたえと旨味を閉じ込めてあります。マスは優しいサーモン風味を残しながらも川魚独特のあっさりとした口当たり。

 

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【台の物】:選べる台の物

 台の物とあったのですが焼物と揚物の選択でした。1人ずつ違う物をたのみました。

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【い】:銀鱈西京味噌焼き

 銀鱈はかなり濃い目の西京味噌によって、グッと身を引き締めて旨味も凝縮し、白味噌麹の甘味と深みが沁み込んでいます。少し強めに焼き上げた焼き香ばしさとジューシーな脂が美味。付け添えはきゃら蕗とはじかみです。

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【ろ】:桜海老のかき揚げ 河豚 伏見

 駿河湾の宝石と言われる桜エビと三つ葉を、香ばしく合せてサクサクに揚げてあります。揚げることにより桜エビの甲殻香ばしさを増幅させます。かき揚げの下には小河豚(ふぐ)の唐揚げです。小ぶりながらもフグ味は濃く、白身のタンパクさに瑞々しさがありジューシーに包み込んでありました。何フグだろうか・・・。このフグワタ抜きはされておらず。余談ながらも。天然フグは毒のあるエサを食べ体内に毒を蓄積します。なので、養殖フグは毒がなく丸っと食せるのだとか。このフグもそうだったのかも?甘唐の伏見唐辛子の素揚げを添えて、加味は岩塩と天つゆ、紅葉おろしにレモン。

 

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【本日の一品】:河豚の煮凝り

 献立表には載ってない料理長から一品添えは煮凝りです。フグ身はタンパクですが、皮にはゼラチン質が多く寒天などがなくても自然に固まります。しっかりプルプルの硬めのゼリー生地には醤油と酒を上品よく合わせて「刻みてっぴ」が入れ込まれてあります。最後のメイン前のお凌ぎ的なお口直しに丁度良く酒に合い美味い。

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 煮凝りと一緒に配膳されたのは、料理長からの来館への感謝の一筆。

 

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【洋皿】:選べる洋皿

 最後の洋皿メインデッシュは魚料理と肉料理から選ぶことが出来ます。見た目は完全に洋風の様相です。ビーフシチューには一切れのチーズバケットも添えてあります。

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【に】:鯛のフリット 温野菜 畳イワシ、レモンクリームソース

 フリットはメレンゲを衣にして揚げた物を言います。フリットされたタイは白身の味を握ったように纏(まと)めてあり、サクサク食感のタイの揚げに敷いてあるのはレモンクリームソースです。お皿の装飾にはレモン搾り汁とメレンゲを合わせたソースにピンクペッパーのあしらいで鮮やか。レモン風味が多いが酸味に嫌味がありません。味変にも良し。温野菜はミニトマトにブロッコリー、ジャガイモの添え付け。畳イワシは稚イワシをプレスして乾燥させた取り寄せ物ですが、これを素揚げにしてありパリパリと煎餅の様に仕上げてチャービルで緑のあしらい。

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 外はサクり、タイ身はふわりとしており、タイの旨汁を衣で逃がさないようにしてあります。レモンクリームソースはレモンの酸味は強く出さず爽やかに、黄身、生クリーム、ハチミツ当たりで合わせたような濃潤した黄身酢のようです。これがまたフリットによく馴染んで極美味い。

 

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【は】:菊屋特製ビーフシチュー

 菊屋さんは純和風旅館なのに、高級ホテルの味がするビーフシチュー。付け合わせはフランスパンのバケットに溶かしプロセスチーズ、青い彩り野菜はブロッコリーに、白い色添えには生クリームです。これは他の先人方の記事を見ても定番の一品のようです。

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ほろほろに煮込まれた牛肉に纏うシチューには、完熟トマトのような甘味と和牛と野菜から取り出したフォンドボーの旨味が丁寧に濃縮されています。そして、ホホ肉?とスジ肉?もふんだんにゴロゴロッと盛り込まれ、生クリームで見た目よりも濃い味をまろやかに包んであります。

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 底には平たい生パスタのフィットチーネの仕込みはシチューに絡み絶妙。肉とパスタを二度おいしく楽しめます。かなりの濃い味なので、会席の一品ではどうかと思いつつも、酸味がまろやかで美味しいので、また食べてみたい・・・。

 

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【煮物】:赤魚の煮付け 野菜 青身

 魚料理はどうか?台の物というよりは、献立通りの煮付けの魚です。赤魚はこれまで口にしたことのある馴染なるお味。説明はありませんがアカムツ(のどぐろ)ではないかと。煮汁は酒、甘味、醤油が強い味付けでムツの脂がギラギラと溢れ出し旨味が濃縮されています。すき焼きの割り下のような煮汁で、ふわふわに炊かれたムツは「ムツのすき焼」という表現が適格かと。これにサトイモ、紅葉ニンジン、インゲン、粟麩を付け添えてあります。

 

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【お食事】:選べる食事 ★お米は静岡県伊豆市産きぬむすめを使用しています。

【ほ】:鮭親子御飯 赤葦 香の物

 サケの親子丼です。この親子丼も最近では定番になってきています。サケ身を、ふっかふかにほぐし、イクラを10粒ほど添えて分葱をちらして混ぜて頂くには具合がよく。香の物は大根、野沢菜、赤カブ酢漬けの3種。造りの本山葵をとって置き、贅沢にも混ぜご飯に混ぜ合わせて食べると極みの旨味が堪能できます。

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【へ】:高菜明太御飯 赤出汁 香の物

 もう1つの白米には、ゴマ油と醤油で炒めた、高菜とほぐし明太子を合わせたピリ辛丼でいただけます。高菜と明太子の相性が良く、こちらも混ぜて白米と一緒に食しました。赤出汁はとろろ昆布を溶かしこんであります。「ほ」「へ」はその時の口加減で、あっさりなら高菜、がっつりいきたいなら鮭親子、と甲乙は付け難い。

 

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【水菓子】:ロールケーキ 苺 ホイップ カスタードソース みかん

 手仕込みの水菓子が配されました。程よい甘さのカスタードソースを下に敷き、チョコロールケーキを乗せて生クリームと苺を飾り付け。傍らには生クリームとみかんを添え付けてあります。苺はケーキに負けずとても甘く、みかんは酸味が柔らかく柑橘がフルーティ。チョコケーキはカスタードチョコクリームをロールしてあり、滑らかな口当たり。ピンクのソースはイチゴジャム。

 

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【夜食】:夜鳴きそば

 夜鳴きそばのサービスは22時から23時です。カウンターの周辺で食べてもよし、お部屋に持って帰ることも可能です。

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 見ていると冷凍品でしたが、牛乳、乳酸菌飲料、湯上がりアイス、こういうちょっとしたサービスはあるだけで嬉しいもんです。しかし、菊屋さんに泊まると体重増まったなしです。

朝食

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朝食はオープンスペースではなく半個室食でした。和食と洋食から選ぶことができます。

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 飲み物は6種類から選べます

和食

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 どれも手作りの物とお取り寄せの物をミックスして、美味しいものを少しずつといった内容です。

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・選べるジュース(リンゴ酢)

・湯豆腐(白ネギ、シメジ、薬味:鰹節、ねぎ、摺り生姜)

 選べるジュースはリンゴ酢でさっぱり。湯豆腐は舌触り絶品の絹は大豆が濃厚。湧き水が美味いので伊豆・箱根周辺の豆腐はどこも繊細です。

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・お膳:切り干し大根、卸しシラス、ネギとろマグロ、烏賊三升漬、魚の甘露煮、かまぼこ、山葵漬け、漬け梅干し、磯海苔

 シラスとマグロは新鮮で、甘露やキクラゲが練り込まれたカマボコは西伊豆の海の幸定番食材。変わっているのが、イカの三升漬(さんしょうづけ)は沼津の物だそうで、醤油、麹、唐辛子で漬け込んだピリ辛の塩辛風です。ワタも入っていそうです。もう一品はお土産処でみかけた「磯のり」。ほんのり塩気があり乾煎りしてサクサクとした食感と磯風味は、お茶漬けや麺類にいれても美味しそうです。

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・煮物(南京、大根、キクラゲ入り博多練り物、茄子、鶏そぼろ餡)

・餡かけ出汁巻き卵

 煮物は一品一品別々に炊き上げた炊き合わせです。桃色と肌色に層状にした練り物にはキクラゲとえんどう豆が。自家製でしょうか。ネギを巻き込んだ珍しい餡掛け出汁巻き。手作り感のある丁寧なお品です。

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・鰺の一夜干し

 どこにいっても伊豆半島周辺のお宿では、大振りのアジの塩焼きが配膳されます。熱々配膳で脂がよくのっています。箱根を含め伊豆半島で食べるアジは大きい。若干骨の硬さもありますが、良く焼かれいるので頭もまるりといただけました。

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・白米、しじみの味噌汁、香の物(柴漬け、白菜、沢庵)

 味噌汁には20個ぐらいのシジミが入っており、汁よりシジミの方が多いんではないかと悩むぐらいです。白米は夕食と同じふっくら食感で「きぬむすめ」かな。

洋食

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・選べるジュース(ぶどう)

・コーンクリームスープ

・マカロニグラタン

・ウィンナー、ベーコン、マッシュポテト、ブロッコリー

・ほうれん草とパプリカのスパニッシュ風オムレツ、ケチャップ

・白身魚のフリッター、卵ベースのテリーヌ

・パン3種(白パン、バターロール、クロワッサン、オリーブオイル)

・サラダ(パプリカ、玉葱、ビーツ、ピーマン、レタス、トマト、パセリ、紫蘇ドレッシング、海藻クリスタル)

・ヨーグルト(苺ジャム、フルーツ盛り込み)

 和食に比べると、スープ、グラタン、肉類等はどれもスタンダードな安定の味。選べるジュースはぶどうを選択。小岩井農場のぶどうジュースのように濃ゆい。スパニッシュオムレツ等、館内での手作り感があり、ウィンナーやベーコンも良い物を使っておられるか、おいしく口にできます。好みに寄るものの、和食の方が手が入っていると相方のご意見。

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 マカロニグラタンはスタンダードなクリームソースながらも、チーズはたっぷりと盛り付け熱々で持ってきてくれました。

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 ヨーグルトの入った器は変わっていて、取っ手の部分がスプーン置き場になっていました。ヨーグルトの中にはフルーツがゴロゴロはいっています。

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・コーヒーor紅茶

 最後に紅茶をいただいて、お風呂を満喫してからチェックアウトしました。

 

まとめ

 湯河原温泉にある藤田屋の女将さんから「是非泊まってみて下さい」とお勧めして頂いた菊屋さん。2010年以前に共立リゾートさんのグループに入ったので、もしかしたら女将さんが知っている菊屋さんとは異なる様相だったのかもしれません。文化財であっても近代的にスーパーリフォームにする共立リゾートさんですが、菊屋さんは昔の面影は所々に残しつつ、現代人には過ごしやすいリノベーションが施されてありました。お風呂は貸切風呂の源泉かけ流しで申し分なく、浴場が多くあるので混雑することなく利用ができました。漱石の間にも希望通り案内して頂け、料理も選べるお皿でバリエーション豊かなのに味付けは手抜きなく素材の新鮮さも素晴らしい。グループ会社でありながら、どこに泊まっても地料理が楽しめるのは共立リゾートさんの凄い所です。これまで行った中では、菊屋さんは2つぐらい頭が飛び出ている印象でした。

宿泊料金

 共立リゾートさんは各旅行サイトのセール時には、積極的にお得なプランを出店されておられます。今回の宿泊ではgotoを利用しているので格安ですが、季節や時期を選べば平日は30000円台、休前日なら40000円台ぐらいの値段帯です。行楽シーズンだと+10000円といったところです。これも時期次第ですが、この記事をしたためている時点ではyahooのプレミアム会員からのポイントの割引が一番大きかったです。

宿泊日:2020/冬季

旅行サイト:Yahooトラベル(一休)

プラン:【早期割】早めの予約でお得。最大6000円引&嬉しい3つの特典付き

部屋タイプ:【次の間付和室】居間+寝室(和室)

合計料金:56000円(2人)

ポイント利用:3640p

goto割引:19600円

支払い料金:32760円

加算ポイント:327p

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