泡の湯さんは白骨温泉にある、混浴の大露天風呂が有名な創業明治45年の温泉旅館です。白骨温泉の名前の由来は、「シラは湯の白色、フネは湯」と言われ、それがいつしか白骨と呼ばれるようになったのだとか。
旅情
泡の湯さんの建物は玄関がある左の3階木造建築の本館と、右鉄筋コンクリート造の新館があります。
当日は降雪があり、早くに出たので到着も早まりました。しかし、快く出迎えて頂いた上に、お部屋もすぐに案内して下さいました。初春でしたが玄関正面には雪除けの囲いが設置されてありました。
玄関は昔ながらの木造湯治宿を思わせる雰囲気が残っています。
玄関を抜けて新館のロビーに向かう間に売店があり、お土産、小物、アイスクリームの販売がありました。ここに自動販売機も設置されています。
この売店のある玄関ホールには階段があって、本館の宿泊階へ上がることができます。凝った飾りなどはありませんが、古い木造建築の軋む床が心地よい。本館のお部屋はトイレと洗面が共同です。
新館には広々としたロビーとラウンジがあります。ロビーには雑誌、新聞、観光のパンフレット類が置いてあり、無料で利用できるパソコン、ウォーターサーバーも備えてあります。ロビーからは大露天風呂を見下ろせます。
前回訪れたときはラウンジでジャズコンサートが催され、振る舞いのスパークリングワインを飲みながら楽しみました。今回は流行り病があってかイベントはありませんでした。
以前宿泊の映像からの抜粋です。その時の雰囲気だけでも。
玄関とロビーが新館の2階部分に当たります。新館の2階と3階にそれぞれ宿泊部屋があり、こちらは現代的な鉄筋コンクリート造りの建物です。お部屋にトイレと洗面がないと困るという方はこちらの利用をお勧めします。セルフのウォーターサーバーとインスタントコーヒーが置いてありました。
新館1階にはお食事処があり、朝・夕食はこちらでいただきました。前回の宿泊ではここで陶磁器の展示販売がありました。
地下にはお風呂と湯上がり処があり、温泉旅館名物の卓球場もあります。昔は麻雀部屋などもあったようで娯楽室だったのでしょう。卓球場には日帰り客のロッカー?と自動販売機が設置されています。
湯上がり処には天然水とほうじ茶のサービスがあり、おつまみにお漬物も置いてありました。館内は湯治宿のようにのんびりとした風情があり、従業員の方々の接客もとても丁寧でゆっくりと過ごせます。 秘湯宿なので周辺には商店がありません。館内には飲み物などは充実しているので、おつまみなどがいる場合は事前に用意しておく方がいいと思います。
お部屋
案内して頂いたのは「506」号室です。
別名は「竹6」となっており、泡の湯さんの歴史を感じる木造本館のお部屋です。
間取りは、本間8畳+2畳程度の踏み込み+角広縁です。
ウェルカム茶はそば茶。お茶請けは「杏の密煮」です。この密煮が丁寧な味付けで自家製でしょうか。素朴さがうまく癖になります。
書院の組子細工と角広縁が特徴的で、一間ですが広々としたお部屋です。
このお部屋の見どころの1つ。広縁から露天風呂を見下ろすことができる景色があります。
お部屋にトイレと洗面はなく、お部屋を出てすぐのところにある共用の物を使用します。ここの蛇口は天然水使用で飲用できるとのこと。トイレは安心のシャワートイレです。お部屋の備えに、アメニティは使い切りの女性のPOLAのお顔ケアセット、シャワーキャップから何でも揃っています。バスタオルは2枚とありがたく。冷蔵庫に有料の飲み物、金庫もあります。
夕食後のお部屋には、お夜食のおにぎりの差し入れと冷水が用意されていました。お布団には湯たんぽも入れて下さる気遣いです。
お風呂
泡の湯さんのお風呂は「混浴大露天風呂」、男女別の「2種類の内湯」と「露天風呂」があります。源泉は地下100mから自噴しており、とにかく湯量が豊富で内湯と大露天風呂にはダバダバとお湯が注がれています。そのため、常に湯の弱りはなくツルヌルとした肌触りは、体の脂が全てもっていかれます。泉質は「硫黄-カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉」で、湯使いはすべての湯舟で源泉かけ流しとなっています。
浴場前には飲泉所があります。口に含むと、わずかに酸性泉の酸っぱさと微エグ味があり、後から鼻に抜ける硫黄泉独特な卵の香りがします。湯屋の造りは同じで男女の入れ替えはありません。男性は内湯から大露天風呂へ直接出ることができますが、女性のみ大露天風呂へは入口が別となっています。大露天風呂は夜間もずっと開放されています。
大露天風呂
このインパクトのある大露天風呂を堪能するために、訪れる方がほとんどではないかと思います。源泉の投入量はなんと800L/分!!家庭の小さな湯舟なら1分かからずお湯が入れ替わってしまいます。
お湯の透明度は全くありません。なので、混浴となっていますが、女性にはものすごくハードルが低く気軽に入れることができます。しかも、湯浴み着を用意してくれるので安心して入浴ができます。
岩作りの湯舟には3本の樋(とい)から豪快に源泉が落とされてます。湯舟の底や岩には湯の花がびっしりと付いています。源泉の温度が低いので部分的に加温がされて、寒い時期でも快適に入ることができます。基本が「ぬる湯」設定となっているので、誰もが1時間近く入って湯を楽しんでいました。むしろ、気持ちよすぎて時間を忘れます。
内湯
とても風情のある湯屋には「源泉浴槽」、「加温浴槽」、表へでると「露天風呂」があります。
源泉槽
白骨の湯なのに少し緑がかった透明度の高い源泉浴槽です。もともとの源泉は透明で空気に触れて酸化すると白くなるという特徴があります。源泉の温度が38度と低く「ぬる湯」好きにたまらない湯温となっています。湯口には湯の花がびっしりと付き、湯舟に入ると白い湯の花が大量に舞い、身体に気泡が付きます。「ぬる湯」で、「硫黄の匂い」、「泡付き」がある、「弱酸性泉」は、とんでも素敵すぎます。いつまでも入っていられる、いや入っていたい素晴らしい湯です。
源泉の投入量がとんでもなく、次々にお湯が入れ替わっていきます。ここでも200L/分と恐ろしい量の源泉が注がれています。湯舟の大きさからすると大露天に負けない量です。泉質も最高ですが、常時新鮮なお湯は極まっています。
加温浴槽
こちらは源泉槽横にある、43度に加温された小振りの浴槽です。源泉は程よく投入され、視覚的には白濁したこちらのほうが温泉感は強いです。寒い時期にはこちらで上がり湯で暖まるといいかもしれません。それでも湯舟の大きさに対して60L/分となっており、他の温泉地と比較しても湯量はたっぷり過ぎます。
露天風呂
だれも入っているのを見たことがない。ちょっと可哀そうな露天風呂・・・。女性で「混浴はちょっと」という方はこちらを利用するかもしません。上は男性、下は女性。女性の湯舟は透明感がある新鮮湯タイプ。しかし、源泉注入量が40L/分と最も少ないので魅力に欠けてしまいます。普通に考えれば泉質からしても、物凄い湯量で湯力なはずが、泡の湯さんのお風呂では霞んでしまいます。
洗い場にはシャワーが4基。客室数のわりに?込み合うことはありませんでした。脱衣所にはドライヤーはありますが、アメニティ類はなくシンプルです。
お料理
食事は朝夕ともに半個室のお食事処でいただきました。季節の物を中心に、おいしいものを少しずつ食べることのできる会席となっています。少し濃いめの味付けは、郷土感があり、見た目の豪華さではなく地のオリジナリティのあるお料理が並びます。とにかく品数が多く1時間半から2時間ぐらいかけてじっくりと楽しみました。
献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。内容に関しては説明して頂いたものと、実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見て頂ければ幸いです。
夕食
【食前酒】:甘酒レモンリキュール仕立て
【突出し】:胡麻豆腐クコの実、菜花浸しソフトサーモン
レモンの爽やかな酸味と風味は、ほんのり甘味の甘酒との相性が意外にも合います。レモンのさっぱりとした中に、お米のまろやかな甘さで包み込んだような味わい。 菜の花は塩が強い鰹醤油に味付けされています。湯に潜らせただけのような、しゃきしゃきとした触感はとても青々らしい。 胡麻豆腐は菜の花と同じ鰹出汁なのですが、塩は優しく、寒天で固めてあるのかしっとりぷるぷるの濃厚胡麻味です。
【前菜】:豚のやわらか煮、鱈塩焼き、海老タラコネーズ、蛍烏賊の酒盗漬け、スナップ豌豆諸味噌
豚のやわらかに煮は柔くしっかりと醤油味で炊き込んであり焼き豚の様です。これに白米ではなくパンにあしらってあります。サンドイッチ風に食します。 少し強めの塩味の鱈は桜の葉を巻いてあり、定番の海老は柔く炊き馴染みのあるタラコマヨで。 蛍烏賊の酒盗はとても丁寧な味付けで、ぷりっとした感触に烏賊の旨味だけを閉じ込めたよう。泡の湯さんところで漬けておられるのか。 緩く塩茹で青味しっかりのスナップエンドウは山椒のきいた濃いもろみ味噌に丁度よく。
【お椀】:白玉、桜麩、せり
【凌ぎ】:ゆかり飯
塩加減を控えた合わせ出汁に春の薫りがするセリに、かわいらしいもっちりとした白玉を入れ込んであります。 そして、早め?の凌ぎは紫蘇香る一口サイズのおにぎりです。上にはとろろ昆布をあしらって風味付けしてあります。お椀とお凌ぎで会席の間にプチお食事感覚。
【造り】:平政、目鯛、信州サーモン、妻一式
山の中で海の物ですが、どれもしっかりと魚の旨味を主張してプリプリとして下ごしらえがいい。特に信州サーモンは最近食べた中では、紅身の脂と甘みが非常に整っていて美味でした。味付けは宗田節のような、たまり出汁醤油。つまは海藻クリスタル、大葉、山葵、たで、紫蘇花。
【煮物】:筍含め煮、穴子飛龍頭、蓬麩、青身、柚子
旬彩の若タケノコは、コリコリとした歯ごたえは残しつつ、しっかりと味が入っていました。飛龍頭(がんも)は穴子味と出汁が絡み、口をいれると「ほろり、ほろり」と崩れてしまうほどに柔く旨さが解けます。 ヨモギ麩も自家製でしょうか。もっちもっちの噛み心地に薬味が豊潤です。 そして甘めに炊かれたモロッコいんげんに、カツオベースの柚子が広がるお出汁は春の薫りが詰まっています。
【焼物】:黒毛和牛石焼or国産豚、野菜色々
予約時に豚か牛を選ぶことができました。どうせならと1人1つずつ注文しました。
豚はジューシーで口当たりはシルキーな甘味がギュッと詰まってふんわり。長野県なので、みゆきポーク?でしょうか。とある旅行サイトでは「和豚もちぶた」となっていました。
和牛はミディアムレアでスッとした身離れで、噛めば噛むほどに確かな上品さがある脂の美味さ。部位は肩ロースかな?長野県だけど品種は、お隣の飛騨牛ぽいような旨味。漬けダレは2種。玉葱とにんにくが効いた和風ダレ。柑橘酢ではなく、いわゆるお酢が強いポン酢。これが変わっていて脂の乗ったお肉にぴったり。付け添えの野菜は、パプリカ赤黄、エリンギ、人参、じゃがいも、ズッキーニ。
【揚物】:温泉粥コロッケ 葛切り 岩塩
温泉で炊いたお粥と刻み野沢菜を合わせ揚げてあります。緩さが強いお粥は、クリームコロッケと同じように一度冷凍して衣付けしてから揚げてあるのか。お箸を入れるとお粥がとろり。しっかりとした野沢菜の塩味が入っており、ホクホクとしたお米の甘味は確かにお粥。温泉成分が「にがり」のようなコクを出して且つクリーミー。熱々揚げたてです。
【強肴】:岩魚塩焼き はじかみ
ふわふわに焼き上げられた岩魚は、ワタが抜かれてあり、あら塩ではなく雪塩を振ったように全体にまんべんなく。
焼き石の上に盛られた状態で、あっつあっつで配膳されます。身振りは大きく、とても脂が乗っていてホックリと食せます。加味として生姜醤油も付いてきました。塩だけで辛味が丁度良いにも関わらず、浸けると生姜が脂を抑えてくれるので違う味が楽しめます。付け合わせは蒸した甘いサツマイモです。
【食事】:一人とうじそば 大根 人参 蒟蒻 鶏肉 長葱
【香の物】:三種
乗鞍周辺の伝統料理の「とうじそば」です。お出汁は甘みのある酒風味に濃い口醤油で賑やかな鰹ベース。お蕎麦は切りもらしを発見したので手打ちと思われます。しこしこしてそのまま食べると香ばしい。これを一口サイズに「とうじ篭」に入れお出汁に浸して、煮込むもよし、さっと温めるだけもよし、自身の匙加減でいただきます。
献立には載っていませんでしたが、せっかくなので白米もいただきました。甘味が強く北国のお米はやはり美味い。水が美味いと米も美味い。香の物は三種、いぶりがっこのようなスモーク沢庵、野沢菜、きゅうり。あとは女将の気まぐれの一品。花豆の煮物です。
【水菓子】:季節のフルーツ
デザートはりんご、いちご、レモンムースです。りんごは2品種なのでしょうか。1種は身は緩く甘味が強い。もう一方はしゃっきりパリッとした酸味が強いもの。いちごは風味豊かで濃密な甘み。レモンムースは口いれると雪解けのように滑らか。レモン酸味が爽やかで甘味は控えて品がありました。
朝食
まず食事処に入ると、入り口で「牛乳」「とまとジュース」「のむヨーグルト」の3種から飲み物を選んで席へ持参します。さらに、通路には珍味のバイキングがあり、お好みで席に持っていきます。
席には汁椀物以外はすでにセットされていました。
【籠盛】
・サラダ(レタス、胡瓜、ハム、マヨネーズ) ・小松菜のお浸し
・ひじきの煮物 ・わさび海苔? ・もろみ味 ・白菜の漬物
【珍味】
・そばの実なめこ ・しばきくらげ ・茸ピリ辛炒め
【一品】
・湯豆腐(生醤油?、カツオ節、葱、しょうが)
・ぶり柚庵焼、卵焼き、大根おろし
【食事】
・温泉粥or白米 ・麩の味噌汁 ・梅干し ・焼きのり
【甘味】
・杏仁豆腐、パイナップル
とにかくお米のお供しかないような朝食です。味は濃いながらも茸とお野菜が中心でヘルシーです。サラダのハムが肉厚でなかなか高そうな味わいです。お取り寄せか、泡の湯さんで漬けておられるのか、珍味、お味噌、佃煮などは、いずれにしても美味しい。しっかり焼いてある甘い卵焼きに、上手な仕込みの鰤は暖かさが残っていました。湯豆腐は絹のような滑らかさはなく、かといって麻の様に粗くはなく不思議な食感を生醤油で。夕食終了時に白米かお粥がのお尋ねがありました。一杯目はまろやかな硫黄が香る温泉粥をお願いしました。おかわりは白米で。デザートはココナッツの舌触りがしっかりとある自家製の杏仁豆腐でした。
朝食後からチェックアウトまでの間にラウンジでコーヒーのサービスがあります。女将さんと思わしき方が自ら淹れてくれました。出発前にゆったりと一杯いただき、スキーに向かいました。
まとめ
泡の湯さんのお目当てはやはり温泉だと思います。大露天風呂の豪快さは、温泉好きでなくても一度は味わってみるべきです。有馬、草津、酸ヶ湯など泉質がすばらしい温泉は、方々にたくさんあります。しかし、成分がきつすぎたり、熱すぎたりというのも多く、湯力が強いのに入り易いという意味では泡の湯さんの源泉槽が最も好きかもしれません。お宿はゆっくりと流れる時間に、館内から眺め下す露天風呂などは、ひっそりとした秘湯感があって風情も素晴らしい。前回訪れた時は夏。その際の食事内容はお値段からすると・・・という印象でした。しかし、今回の春会席は大変満足のいく内容でした。私的には春と秋の料理が、どこで食べても美味しいことが多いので、次訪れるなら紅葉を楽しみに秋に訪れてみたいです。
宿泊料金
さて、宿泊料金です。泡の湯さんは休前日泊だと本館で40000円ぐらいのお値段です。新館になると44000円ぐらいからでしょうか。そして、あまり大きな割引のないお宿でもあります。しかし、3連休の金曜日なのに平日と同料金設定で売りに出てるのを発見して即予約。yahooプレミアム会員クーポンと旅旅サンデー10倍ポイントで33840円で泊まれました。
宿泊日:2020/3(3連休泊)
旅行サイト:一休(yahooトラベル)
プラン:【本館フロア】温かみ感じるレトロな客室<夕食は泡の湯会席>
部屋タイプ:【樂)本館和室8畳
合計料金:39600円(2人)
クーポン:2000円(yahooプレミアム会員クーポン)
ポイント:3760P(ポイント即時利用)
支払い料金:33840円
獲得ポイント:338P