いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

積善館【群馬県 四万温泉】~四万温泉を代表とする文化財のお宿。建物と温泉もすごいが創作和会席もすごく美味い~

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 積善館さんは某アニメに出てくる湯屋の、モデルとなったお宿の1つです。作中で見られた屋台村の風情も、温泉街からそれらしい雰囲気を感じます。

旅情

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 積善館さんの建物は山の傾斜に沿って建っています。宿泊棟は麓から本館、山荘、佳松亭となっています。雑誌などでよく掲載されている本館の建物は、山の傾斜の一番下に位置しています。シンボル的な木造建築の建物や、川に架かる渡り廊下は一般客の立ち入りは禁止になっていました。安全面と文化財の保護のためでしょうか。

 本館には隣接した湯治棟(左下の画像)があり山荘や佳松亭に比べるとお安く宿泊できます。本館の食事は松花堂弁当のようなイメージでしたが、配膳風景を少し見させて頂いたらプチ懐石といった感じでした。

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 すべての棟が階段、廊下、エレベーターで複雑に繋がっています。佳松亭と山荘はエレベーターで移動できます。山荘と本館間にエレベーターもあるのですが、段差もたくさんあるので足腰の悪い方は難儀するかもしれません。

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 本館の木造部分と山荘は文化財に指定されています。本館の玄関では日帰り入浴の受付がありました。また、券売機には見学料というボタンがあります。チェックインした時に泊まり客ではない見学客も訪れていたように思います。

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  本館玄関には上段の間、中の間、下段の間があって、積善館さんの歴史書籍や調度品の展示がありました。

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 山荘は館内全体が赤い絨毯敷きになっています。お部屋が本館の正面玄関向きにあるため、廊下は山の斜面側になるので景色は今一つ。訪れたのが冬ということもあるのか山側に建っているのに温泉宿でよくある湿気はありません。

 佳松亭は近代的な建物で高級旅館といった趣で、お値段は本館と山荘よりも少し高い設定となっているようです。こちらは近代的なコンクリート造のバリアフリー対応です。どの棟を宿泊するにしても佳松亭のエントランスでチェックインのようです。

 館内には自動販売機はありますが、周辺には商店がないので必要な物は事前に揃えておくほうがいいかもしれません。

 

お部屋

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 「瑠璃の二」という、お部屋に案内して頂きました。この棟はすべて瑠璃と言う名前が付いていました。海外の方にも分かるようにか部屋番号もありました。

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  チェックアウト前に撮影したのでお布団がそのままです。お部屋は本間8畳+踏み込み6畳+広縁+トイレ+洗面。扉を開けると一軒家のような広い踏み込みがあります。

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 本間は8畳で天井が高く、欄間の彫刻や書院障子の細工が素晴らしい。広縁からの景色は本館の屋根と遠くに他のお宿が見えますが眺望はあまりいまいち。

 お部屋の設備は空の冷蔵庫、金庫、鍵は2本です。アメニティ類は過不足なくお茶セットと夜は冷水の用意もあります。洗面とトイレは別々になっています。食事中にお布団敷きがあり、朝食後もお布団はそのままです。

 

お風呂

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 浴場がたくさんあるので、館内で湯巡りをすることができます。源泉温度が高く、すべての湯舟を入るのはなかなか大変です。さらに有料の貸切風呂もあるようですが利用しなくても十分に堪能できました。泉質はスベっとした感触に無臭でほのかに塩味があり癖なく入浴ができる温泉です。。

元禄風呂

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 元禄風呂は積善館さんの代表的な湯屋です。意図的なのかは分かりませんが、5つある湯船の温度が違い、他の浴場に比べると入りやすく「あつ湯」が苦手な方にはいいかもしれません。蛇口から源泉が注がれる湯舟と足元湧出になっている湯舟もあります。掛け流し量は湯船によって違いがありました。なみなみと溢れ出すお湯を見ていると早く身を沈めたくなります。画像右の壁には蒸し風呂が2つあります。この蒸し風呂はリクライニングチェアに座るように入れるのですが扉を閉めると真っ暗です。訪れた時期が冬期なためか湯気の温度はあまり高くなくサウナ的効果は弱かったです。夏だともう少しサウナ感があるのかもしれません。シャワーが1基だけありました。

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 洋館のような湯屋の落ち着いた雰囲気は、ゆるっと入り長く湯治したい気分になります。

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 元禄風呂を出たところには文化財プレート、分析表、飲泉場がありました。

岩風呂

 岩風呂は本館にあります。基本混浴ですが、男女それぞれ専用時間が設けられています。浴槽は1つですが、岩で区切って2つに分けてありました。注ぎ口がある湯船は「あつ湯」で、あつ湯からのオーバーフローが「ぬる湯」の浴槽へ流れるようになっています。混浴といっても脱衣所は別になっています。しかし、脱衣所から扉を開けて浴場に入るところは、丸見えなので女性にはハードルが高めの混浴です。

山荘の湯:無料貸切風呂

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 蛇口掛け流し半円型と、丸型の足元湧出の湯船が1つの浴室にあります。この浴室を反対にした間取りの貸切風呂がもう1つあります。平日にも関わらず常にお客さんが入浴している人気ぶりです。源泉の投入量は少なめなのに結構な熱さです。それぞれの浴室にはシャワーが1基あります。

社の湯:内湯・露天風呂

 社の湯は佳松亭にあります。さすがに近代的な建物にあるので、いかにも大浴場と言った感じで湯船も大きい。しかし、源泉はたっぷりと注がれていて、内湯と露天風呂の溢れ出るお湯の量はすばらしいです。ただ、源泉が近いためか、訪れた2月でもかなりの熱さあり、長湯は難しいので出たり入ったり。内湯、露天ともに温度調整のため湯船を区切ってあったのですが、それでもかなりの熱さでした。

 

お料理

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 お食事は佳松亭のにあるラウンジ猩々(しょうじょう)で頂きました。レトロな本館と山荘から一変して近代的なおしゃれなレストラン。山荘のお料理は品数がとても多くで器や飾り付も美しい。創作性も高く味だけでなく視覚的にも楽しませてくれます。 

 内容は頂いた献立と配膳係の方の説明をもとに表記しています。献立に載っていないものに関しては、実際に口にした感想を交えて記載しています。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

f:id:SiWaSu_CaT:20190918204324j:plain【食前酒】:梅酒 

【前菜】:季節の盛り合わせ

 献立に盛り込み内容がなかったので実際食べてみて書き出して見ました。ご参考までに。

①アナゴの押し寿司 ②海老の養老蒸し ③柚子とバターのミルフィーユそら豆添え ④チーズの粕漬け彩りイクラとパセリ ⑤なまこのおろし和え ⑥黒豆と子持ち昆布の松葉 ⑦お魚の昆布巻き菜の花添え、タコの干物?

 とても品数の多い賑やかな前菜です。こういう前菜はお酒のみにはたまりません。柚子とバターのミルフィーユは初めて食べましたが相性がいいです。干し柿と柚子の組み合わせはよく見るのですけど。手作り感があって一品一品丁寧に味付けがされています。食前酒は梅の風味は豊かに甘すぎず口当たりがとても良かったです。

 

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【箸染】:下仁田葱のムース

 このお皿が出た時に思ったのが、「葱をムース?その発想おかしくないですか?」でした。まず、葱をムースにしようと思いません。群馬県下仁田の特産品です。口に入れると鼻に抜ける味が、下仁田葱!よろしく!と主張してきます。ムースだけど洋テイストではなく和です。緩めのムース生地は生クリームと寒天かなぁ。これにキャビア、パプリカ、ズッキーニ、鶏肉、お出汁のジュレがトッピングされています。このトッピングが程良く葱の風味と合わさってマイルドな味に。

 

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【椀盛】:蟹真蒸

 銀塗りの蓋と金塗りの器の中には蟹真蒸、桜花大根、扇型昆布、梅の花型の人参、間引き大根菜、若竹の子、葉山椒の計7種類の食材がところ狭しと盛り込まれています。かなり細く片貫された昆布には積善館の文字が。見た目も華やかで素晴らしいですが、お出汁からの蟹風味の香りが漂い上品に仕上げてありました。

 

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【造里】:旬のもの盛り合わせ 妻一式 泡醤油

お造りは鮪トロ、白身はハタ、車海老です。トロは何も言わなくても絶品なのがわかる脂の乗り。ハタは鯛と同じスズキ目の魚です。食感は鯛ですが脂がのって、こりこりと活かっていました。車海老はプリッとしており甘味が濃い。ひと際目を引いたのは泡醤油です。醤油に浸すよりも泡になることで絡みつきがとても良い。あまりにも便利醤油なので、他のお料理に使えないかと思い取っておいたのですが、時間が経つと液体に戻っていました。メレンゲで作っておられるのかな。

 

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【蓋物】:白菜博多

 白菜と豚肉の博多、桜餅麩、ブロッコリーの餡かけです。博多は「挟む」という意味があり、白菜と豚肉を交互に重ね炊いてあります。ユリ根の入った餡は豚肉と白菜の甘みによく絡むやさしい味。

 

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【焼】:焼大根と赤ムツ

 縦への盛り付けが素晴らしく、こういうお料理が出てくると何が入ってるかワクワクします。盛り付けの一番下には甘辛く炊いた大根に焼を入れて幽庵焼のムツを乗せてあります。その上にレンコンチップを乗せ、ペコロスと桜サーモンチーズの松葉、はじかみ、カレー風味のカリフラワーが添えてありました。お皿には炒った大根菜が散らしてあります。完全に和なのに見た目は洋です。味が濃いのではと思われるかもしれませんが、適度な塩加減でムツは柔らかく幽庵が香ばしい。1口目はそのままで、2口目は散らした大根菜を付けて頂きました。大根菜と一緒に頂くとより香りが引き立ちアクセントが付きます。

 

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【蒸物】:鯛かぶら蒸し

 焼物の後にくる蒸し物は舌が休まります。蓋物もそうでしたがメインの間にお口直しが入ってくる様な感じです。味は蓋物と同様にやさしい薄味。鯛の匂いがとても豊満な椀です。

 

f:id:SiWaSu_CaT:20190918204910j:plain【台の物】:上州牛陶板焼き

【酢の物】:穴子のはりはり

 脂の付きからすると肩ロースでしょうか。付け合わせはズッキーニ、パプリカ、椎茸、バター、レモンです。赤身が強く見えますが、脂も程よく柔らかいお肉です。この陶板焼きと一緒に、ご飯とお味噌汁も配膳して頂ける心遣い。お酒を飲まない方は、肉料理とご飯を一緒に食べたい方が多いのでしょう。酢の物は穴子、切干大根、胡瓜、彩にパプリカとラディッシュです。切干大根の戻し汁をベースに付けておられるのかな。こちらもお肉と一緒に配膳されました。大根の風味と酢が強すぎない丁度良い口加減です。

 

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【ご飯】:コシヒカリ

【止め椀】:合わせ味噌

【香の物】:盛合せ3種

 お米はツヤっツヤっに立っておりホクホクに炊かれとても甘い。止め椀は、なめこ、茄子果肉、三つ葉のお味噌汁でした。少し盛り付け崩れておりますが、香の物は桜漬け牛蒡、糠漬け大根と胡瓜です。良い糠床の匂いがします。

 

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【デザート】:杏ムースとクコの実、柚子ケーキにヨーグルトとミント、苺

 お献立では大学芋となっていたのですが、苺になっていました。杏と柚子というコラボレーションは甘さを抑えてさっぱり味。苺はとても甘かったです。途中、苺を販売されておられるところも多かったので地元産かな。

朝食

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【漆器の器】

・ほうれん草胡麻和え

・切干大根の煮物

・炊き合わせ:人参、南京、インゲン豆、豆腐の揚巻、射抜きこんにゃく牛蒡

・卵焼き

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【一品】

・ざる豆腐

・生野菜サラダ:紫玉葱、グリーンリーフ、トマト、パプリカ

・鮭の焼き物

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【食事】

・温泉粥

・白米、味噌汁

・香の物:菜っ葉の浅漬け、人参・胡瓜・大根の糠漬け、昆布甘辛煮、梅干し

・ヨーグルト、苺ソース

 豆腐は濃厚で、ゴマ和えと切干大根は手盛りで山のように盛ってある。炊き合わせは味移りがなかったので、一品づつ個別炊きされているようにも感じでした。鮭は味噌漬け焼かな。朝から一手間が入っています。特別変わったものはないですが、手作りのお野菜中心の食事は胃腸に優しく適量でおいしかったです。

 

まとめ

 休前日や繁盛期になるとお値段が高くなるお宿だったので、正直なところいい商売してるなぁと思っていました。ただ、泊まってわかったのが、お宿の景観や良泉はもとより、おいしく創作性の高い8000円から10000円の会席料理を食べたと考えれば納得のお値段。このクラスなら平日でも40000円前後でお部屋を売っておられるところも多いはず。1つ残念なことは、宿泊日に館内歴史ツアーが開催されていなかったことでしょうか。

宿泊料金

 さて、宿泊料金です。平日の宿泊なので本来の値段も安かったのですが、3か月前から計画していたので丁度タイムセールのプランがあってさらに安くなっていました。これにクーポンとポイントの即時利用でとんでもなくお得に泊まらせて頂きました。さすがにこれ以上の安さはなさそうですが、機会があればお料理を楽しみに再訪したい。

宿泊日:2019/2(平日泊)

旅行サイト:一休(yahooトラベル)

プラン:【14日間タイムセール】2名最大28080円引き&ポイント最大7倍!人気の会席2食付きプランがお得

部屋タイプ:【山荘】登録文化財 標準タイプ(8畳和室)

合計料金:30240円(2名)

クーポン:3000円(yahoo!プレミアム会員特典)

ポイント:2720P(ポイント即時利用)

支払い料金:24520円

獲得ポイント:245P

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