いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

よろづや 松籟荘【長野県 湯田中温泉】~有形文化財に指定された源泉かけ流しの桃山風呂と、松籟荘でしか味わえない特別懐石に感無量~

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 よろづやさんは文化財の湯殿「桃山風呂(ももやまぶろ)」と宿泊棟「松籟荘(しょうらいそう)」を有する歴史ある湯宿です。江戸時代に創業し200年以上が過ぎてなお、変わらぬ極上のサービスを提供されています。

※2021年2月に文化財棟である松籟荘は火災により全焼しているため、現在は宿泊することが出来なくなっています。同じく文化財である桃山風呂は利用することができるようです。

旅情

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 よろづやさんは湯田中温泉街の中心にあって、外湯「大湯」の隣にあるという好立地で、一際目立つ大きな間口の玄関が特徴的です。入り口は本館の建物ですがコンクリート造でありながらも外観は老舗の面構えです。

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 正面玄関に車を着けると、すでにドアマンの方が待機しておられました。車をお願いすることもできますし、コロナ渦なので自身で駐車場まで運転することもできます。

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 玄関から1歩入ると、壮麗な吹き抜けエントランスホールがお出迎えです。さすがに改築改装はされていると思いますが、築50年とは思えない建築美。すぐに検温と手指の消毒を行い感染予防を行います。ご時世だけに観光というよりは、宿泊が目的のお客さんが多いのか皆さんのチェックインが早い。記帳をして館内の説明を受けながらお部屋へ案内してもらいます。

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 文化遺産のような古時計が普通に置かれています。現在の時を刻む歴に変わった際、輸入された時計です。100年以上前の物だそう。

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 ロビー2階にはバブリーな高級感のあるティーラウンジがあります。

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 ラウンジには紅茶、コーヒー、デトックスウォーター(レモン水)がフリードリンクとして置いてあります。夜にはリンゴジュースも追加されていました。以前泊まりに来た時にはフリードリンクは無かったように憶えています。ラウンジなのでビールなども楽しめます。

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 お風呂上りにプランについていたドリンク券を使いました。頼むのはもちろん地ビール!!エール、黒ビール、強ホップ、美山錦米ブランドの4種から選べるありがたいサービスです。湯上がりのビールは「おいしい!」しかない。ふと思ったのですが、確かに最初からリンゴジュースをフリーで置いていたら、ドリンク券で頼む必要がないということに気付きましたw なので、翌朝にはリンゴジュースはなく・・・・。

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 本館から浴場への廊下と本館宿泊棟の廊下です。本館には2人からファミリーに対応した部屋があります。よろづやさんは少々ボロッとしたアネックス。ホテルのような本館。木造風情を楽しむ松籟荘に分かれています。本館は快適に旅を楽しみたい方に最適です。

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 ラウンジから浴場と松籟荘への往き道には、ローマ的な石柱を模した廊下が続きます。その傍ら自動販売機がありました。高級旅館なのにとても良心的な値段設定。前回の宿泊では自動販売機はなかったような。時代の流れというやつですかね。

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 ラウンジからの廊下を抜けると、よろづやさん縁の展示物に売店と喫煙所があります。ここから文化財である松籟荘と大浴場へ行くことができます。

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 こちらは松籟荘の入り口です。戸倉上山田温泉にある「笹屋ホテル 豊年虫」のように同じ敷地内にありながらも、全くの別棟で異なる旅館のようになっています。

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 画像右側が建物が本館で、松籟荘へは渡り廊下によって結ばれています。建物下は桃山風呂の湯屋です。全容がほんとに分からないので、周りの建物をよけて近くで見てみたいものです。

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 かつての帳場や玄関に当たるところだと思います。何とも多種な網代と竹細工の装飾天井です。茶室であったであろう土塀にも扉があるものの、微動だにせず開きませんでした。

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 ここで下足から館内履きに履き替えます。右側が玄関で左がお部屋への道筋です。

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 大きな床の間があるエントランスは木造の趣きがたまらない空間です。

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 エントランス右を突き当たると、玉砂利と歯車を埋め込んだ床があります。近隣の角間温泉、渋温泉にある古き良き旅館には同じような飾り床が見られます。同じあつらえからすると同年代に建てられたものなのでしょう。そして、階段を下ると松籟荘宿泊者専用のサロンがあります。

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 紅茶やコーヒーは常設してあり、本館にあった物よりも良い物が置いてありました。さすが高級別棟です。そして、20時~22時までセルフバーとしてお酒を楽しむこともできるようになっていました。ウィスキー、日本酒、ワイン、梅酒などラインアップもよく。バランタインの12年物はすぐに空に・・・。おつまみに「柿ピー」も置いてあるので時間までゆるりと過ごさせてもらいました。

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 サロン前の階段を上がると2階の宿泊棟です。奥は特別室のお部屋があり更に階段が付いています。

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 特別室の階段飾り窓からの景色は一般客室が並んでいます。磨かれた床がピカピカです。

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 2階の一般客室廊下を突き当たると1階への階段があります。

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 階段を降りると傍らには枯山水と水琴窟(すいきんくつ)があり、水が跳ねる涼しげな音を奏でていました。

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 枯山水の天井にも網代のあつらえがあります。編み方の方向を変えたりと、職人さんのこだわりが垣間見えます。

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 水琴窟からの松籟荘1階の客室廊下。1階客室には源泉かけ流しのお風呂が付いており、プレミア空間の宿泊を堪能できます。この廊下を端までいくと松籟荘の玄関口に戻ります。

 

お部屋

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 案内して頂いたのは松籟荘の一般客室である赤石というお部屋です。

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 間取りは本間8畳+次の間3畳+踏み込み+広縁+トイレ+洗面です。

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 ウェルカム茶はお部屋到着後にいただきました。抹茶と「よもぎ餅黒ゴマ餡」です。餅には金粉を飾って豪華。お茶請けが手作りですなぁ・・・。座卓の重箱には落雁(らくがん)の用意も。

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 玄関戸は2重になっているあまり見ない構造です。

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 踏み込みは1畳ほどに本間から覗く小窓がなんともいえないワンポイント。この小窓ちゃんと可動します。踏み込みにはレトロな鏡台に、衣掛けとシンプルにまとまっています。

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 床の間と床脇もシンプルながらも品があります。8畳にしては少し小さく江戸間でしょうか。

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 広縁は4畳ぐらいの大きさがあって広々としています。洗面台、冷蔵庫、金庫、衣装棚、トイレが備わっています。トイレは安心のシャワートイレです。窓からの景色は桃山風呂の屋根。

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 備品類は充実しています。床脇には胃薬、絆創膏、お裁縫キット、コーヒーに紅茶セット、冷水。食後には浴衣1枚追加。鍵はうれしい2本。朝には朝刊の差し入れと至れり尽くせりです。徒歩10分圏にコンビニがありますが、松籟荘に泊まるのであれば買い付けは必要はなさそうです。本館泊でもラウンジにフリードリンクがあるので不便はなさそうです。

 

お風呂

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 よろづやさんには文化財である「桃山風呂(ももやまぶろ)」と、現代風の「東雲風呂(しののめぶろ)」があり、それぞれに露天風呂が併設されています。アネックス棟には有料の貸切風呂もあるようですが利用していません。お風呂付のお部屋もありますが、温泉と情緒を楽しむのであれば大浴場だけで十分に堪能できます。よろづやさんが所有するオリジナルの源泉は、高温のため井戸水で加水しているようです。しかし、加水など気にならないほどに、湯量が豊富でオーバーフローしており、湯質は常時新鮮な状態で味わうことができます。泉質はナトリウム-塩化物・硫酸塩泉となっています。無臭ですが僅かな塩味をまとい、ツルツルとした肌触りに身体の脂分が取れ湯上がりはしっとりと潤います。脱衣所のアメニティ類に不便はまったくなく、ここでも至れり尽くせりでウォーターサーバーの用意もあります。

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 松籟荘に宿泊すると入り口脇に、毎回新しいバスタオルを用意してくれています。大浴場へ行く際にはここで新しいタオルを持っていきます。

桃山風呂(ももやまぶろ)

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 よろづやさんを訪れるお目的の1つとして、有形文化財に指定された壮観な桃山風呂を楽しむことです。脱衣所からしてこの雰囲気ですから・・・。コロナ対策として脱衣籠を減らしているように見受けられました。

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 浴場に足を踏み入れると寺社仏閣にあるお堂のような湯屋に、ありえない大きさの湯舟があるという何とも現実味を帯びない景色が目に入ります。

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 20人以上足を伸ばして入れそうな楕円の湯舟は、大きすぎて身の置き所に困ってしまいます。

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 源泉の注ぎ口は3カ所あり、分析表には1号泉、2号線、井戸水とあるので、それぞれから投入されているのでしょうか。そしてダバダバ溢れる気持ちよすぎるオーバーフロー。入っても良し見た目も良し。浴槽の淵に頭をもたげて湯屋全体を見上げると極楽浄土な気分を味わえます。

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 内湯には「蒸風呂」として温泉の蒸気を利用したミストサウナもあります。

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 湯殿の外へ出ると正面には池!!ではなく露天風呂があります。この規模の露天風呂とお庭の維持に尽力されていると思うと恐れ入ります。意図的なのでしょうか。この露天風呂・・・「あつ湯」「適湯」「ぬる湯」に分けてあり、その配慮もすごい。

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 湯殿の外観も、ほとんど寺社そのものです。これまで訪れたお宿の湯屋で、情緒ある湯屋はたくさんありましたが、スケールの大きさでは桃山風呂に匹敵する湯屋は見たことがありせん。ここも加水ありの源泉かけ流しとなっており、温泉街の水路にお湯がじゃんじゃん捨てられています。この規模の内湯と露天風呂で一定した泉質を維持されておらえるのは本当にありがい。

東雲風呂(しののめぶろ)

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 「しののめ風呂」は桃山風呂と見比べるとよくある旅館の浴場です。しかし、湯量は贅に使われていて、内湯も露天も湯がどんどん溢れ出ていきます。内湯奥が「ぬる湯」、手前が「あつ湯」となっており、好みの湯温で温泉を楽しめるようになっています。

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 桃山風呂に負けず劣らず、なみなみと浴槽の淵まで浸さたお湯がどんどん溢れ出ています。どこに身をゆだねても湯感に変わりがない投入量。

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 2方向に分かれた湯口は同じ泉温と同じ味の湯が注がれています。ぬる湯とあつ湯を分けているのはどこかで加水されているためでしょうか。湯舟の淵からは注がれている以上の溢れ出しがあり、見える以外の湯口から湯が投入されているのかもしれません。

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 浴室から直結した露天風呂には木造りのジャグジー風呂。こちらにも多くはないようですが源泉が注がれています。

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 ジャグジーの隣には石造りの露天風呂もあります。ん~やはり桃山風呂と比較すると物足りなさを感じてしまうのは仕方なし?

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 湯の投入量は負けておらず、岩の間からザバザバ滝になって流れ落ちてきます。そして、ダバダバ切り口から流れ出て川の様になっている贅沢さ。本当に湯量がすばらしく湯感は常にMAX状態。

 

お料理

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 松籟荘での夕食はお部屋食、朝食は本館のお食事処です。朝夕ともに最初から最後まで長野県の名産特産が盛り込まれた食事内容です。一品一品の手作り感が素晴らしく、訪れた夏の会席は清涼感がある物から、山間部のお宿らしく山の幸で仕上げてあり、至高のお品が並びます。

 献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。内容に関しては説明して頂いたものと、実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

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【食前酒】:リンゴのお酒

【先附】:焼きフルーツトマト、順才、岩梨、ミント、リンゴ酢ジュレ掛け

 リンゴのお酒は常温で。甘味や酸味は控えめに、リンゴ風味を甘酒で割ったかのようなやさしい口当たり。 先付は、焼くだけでこんなにも甘さが強くなるのかというほどの、糖度の高いフルーツトマト。まるでコンポートの様です。これをしっかり酸味の酢出汁に浸しリンゴジュレを掛けてあります。リンゴの酸味とトマトの甘味が涼を感じる一品。飾りには順才とミントに、希少なツツジ科の実である岩梨を添えてあります。

 

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【前菜】:

①笹寿司 ②梅甲州煮 ③紅鱒甘露煮 

④大鱒マリネ ⑤鹿醤油麹ロースト新生姜巻

 ①前菜の一品には飯山市伝統の笹寿司。具材は椎茸、ワラビの塩漬け、錦糸卵に優しい酢飯で合わせクルミを盛り込んだ香しいアクセント。 ②甲州煮は葡萄に模して煮た物やワインで煮炊きした物を言うようです。長野県産の梅を赤ワインとお砂糖で甘く煮た物かな。もしかしたら葡萄の皮と一緒に炊いていたりするのか。 ③紅鱒の甘露は甘露というにはまったり感はなくあっさり味。稚鱒を櫛にさして焼いてから煮たような食感と焼き風味。これに山芋の酢漬けを土台にして、あじさいの葉?を模った生姜を添えてあります。  ④いわゆる和名は南蛮漬け。鱒に沁み込んだ南蛮地は上品。タマネギとパプリカで鮮やかに色付けしてあります。 ⑤鹿肉の生姜麹は丁寧な中にもワイルドな味があります。醤油が滲みた辛味のないショウガは、ジビエ特有の肉の旨味をサッパリと引き立てます。

 

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【御椀】:紅鱒吉野打ち、山伏茸、そうめん、三つ葉、木の芽

 あらかじめ紅鱒には塩を持たせ葛粉をまぶした吉野打ちです。これを京風の塩加減絶妙のカツオ香る出汁に浸し葛に沁み込みます。出汁を吸った紅鱒はふっくらと紅味が豊かで、ほろりと口の中で解けます。これをエノキにも似た味と触感のコリコリとした山伏茸、梅そうめん?を盛り込み、香り付けに刻み三つ葉と木の芽を浮かせます。上質な至極のおすまし椀です。

 

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【お造り】:霜降り炙り馬刺、信州サーモン、エゴ寄せ、妻いろいろ

 馬刺しも信州サーモンもトロトロ口当たりの極上物です。馬肉は赤身で提供されることが多いですが、このお肉は馬脂が堪能できる美味なお品です。何度か口にしたことのある馬肉の脂身は、やはり「まろっ」とした甘味のとろけ具合なのに淡白な不思議味。 信州サーモンは直前まで生け簀や水槽にいたのかいう程に活かりがいい。新鮮な淡水魚の旨味と脂身はトロのようだが爽やかな深み。 エゴはあまり聞きなれないですが海藻のようです。口に入れると確かに海藻らしい磯味ですが、無味無臭に近く薬味の1つとして食するのが正解か? つまは蓼、本ワサビ、擦りショウガ、ラディッシュにトサカアオノリ、大根けん。

 

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【焼物】:長野県坂城町産 鮎塩焼

 よろづやさんよりも南に位置する坂城町。焼きたてではなく保温からの物でしたが、この若鮎は良い水と飼料で育ったのか臭みが全くありません。また、ワタ抜きはしておらず、ここまでワタの苦みがないと、むしろワタが味によって豊熟されたように感じます。ヒレに付いてる飾り塩と一緒だとやや辛く。適度に落として食べると美味。味変に強酢と強蓼の蓼酢。付け合わせはキャラ蕗とはじかみ。

 

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【御凌ぎ】:信州とろろ蕎麦、美味汁、薬味

 コシはあるが少しボソボソとした手打ち感のある細い香ばしいお蕎麦。お出汁はみりんを効かした「めんつゆ」です。お出汁は合わせでしょうか。とろろというには粘りのある信州でとれる香りが強い「山の芋」の方でしょう。これに極細刻み葱、焼き海苔、ワサビをトッピングしてあります。そのまま食してもいいですが、混ぜて食すほうが蕎麦風味が際立ちました。信州の定番です。

 

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【台の物】:りんごで育った信州牛塩麹鍋

 この一品で信州牛に対する見方が変わりました。これまで何度も信州牛は口にしましたが、飛騨牛や近江牛に比べるとタンパクで素朴なイメージがありました。それが何とも霜降りの信州牛が登場です。時間が経つと脂の融点が低いのか鍋に入れる前からとろとろに。

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 出汁の塩麹は昆布で合わせてあります。麹でほんのり甘くまろやかになる上に、塩加減がほどよく牛の脂が沁み出すと最後まで飲み干してしまいそう。新鮮キノコたっぷりに盛られているのはシメジ、ブラウンエノキ、エノキ、椎茸。これに豆苗と葛切りで締めます。

 

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【煮物】:冬瓜、筍、ニンジン、青味、地鶏そぼろあんかけ

 煮物というよりは素材を一つ一つ味付けがしてある炊き合わせです。冬瓜は崩れてしまいそうなほどに柔く炊き上げやんわりと塩を入れ、筍は風味が引き立つように淡く醤油で。人参は和製グラッセのように甘く炊き上げて、塩茹でしたモロッコいんげんを青味に。盛り付けたお野菜に、鶏の地力を活かした甘辛の醤油餡を回し掛けてあります。餡がなくてもそれぞれがしっかりと味を持っているので、とても手の込んだ煮です。ニンジンの飾り切りは掘り込みが素晴らしく「ききょう」でしょうか。

 

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【御飯】:野沢菜ちりめん御飯、香の物、留め椀

 おひつを開けると漂う野沢菜とちりめんのハーモニー。たまらんw 本当にかぐわしく、すぐにでも口に運びたくなります。ふりかけのように御飯の上に振ってありますが、混ぜ御飯のようにすると、味にばらつきがなく食べれます。少し残して最後はお茶漬にしました。お漬物の野沢菜漬けと胡瓜の浅漬けで幸せな茶漬けになります。留め椀は信州味噌仕立て。塩味はあっさり。生麩と茎ワカメ?が入っており、最後にゆるりと胃を休めます。

 

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【水菓子】:自家製レアチーズケーキ、フルーツ

 フルーツは葡萄、オレンジ、パイナップル。葡萄はブランド物でしょうか。とてもジューシーで甘い。自家製のレアチーズケーキには生クリームとチャービル、クコの実に金箔、苺ソースです。濃厚チーズケーキは酸味と甘みが深く舌触りも纏わりつくような豊潤さ。苺のソースと絡めるとお菓子屋さんで口にするものです。

朝食

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 朝食は本館にある半個室のお食事処でいただきました。

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・100%リンゴジュース ・小松菜のお浸し

・だし巻き卵 ・野菜サラダ(醤油麹マヨネーズ)

・塩鮭 ・木島平産こしひかり ・オリジナルブレンドの味噌汁

・ご飯のおとも6点盛(とうがらし味噌、長芋よせ、ますこ、野沢菜佃煮、セロリ浅漬け、ずいき)

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・手づくり豆腐 ・源泉温泉蒸し(ブラウンエノキとシメジ豚肉巻き、えのきかまぼこ)

 夕食と同じくして手作り感たっぷりのボリュームのある内容です。御飯のお供6点の珍味に鱒の卵である「ますこ」や、かなり辛めの「とうがらし味噌」など一風変わったお品が並びます。また、よろづやさんの源泉で蒸す温泉蒸しも美味で「まあず味噌」といただきます。このお味噌は酒粕や生クリーム、コチジャンと色々合わせたものだそうで、濃厚なのにまろやかで韓国風に辛味を持たせてあります。手作りの豆腐も大豆が濃厚で、どの料理をとってもオリジナリティのある内容は素晴らしい。米は言うまでもなく美味く、ついついおかわりしてしまいます。

 チェックアウトは余裕のある11時でした。お風呂は10時までなのでイベントはなく。名残惜しさは抑えて、本日のアクティビティ「志賀山 登山」に向かいました。

まとめ

 よろづやさんを訪れるのは2回目です。コロナ渦中でも感染予防をしながら、前回以上の極上のおもてなしをして頂けました。ほとんどのお客さんは館内移動時は暑いながらもマスク着用しておられ、お互いにマナーを守れる事は本当にありがたいことです。今回も特別懐石を食したいので松籟荘に泊まりました。お風呂は桃山風呂が堪能できるので、私的には食と湯を楽しむなら松籟荘の一般客室で十分かなと思います。プライベートでの入浴を求めるのであれば、お風呂付のお部屋もありますが、ちょっとお高めです。料理は川魚が多いので苦手な方は難儀するところもあるかもしれません。しかし、地物を使った丁寧な料理は健在で変わらず美味でした。次に泊まるのなら、やはり松籟荘一択で予約を入れたい。

宿泊料金

 松籟荘の最もお安いお部屋でも平日50000円~、休前日は60000円~の値段帯です。季節や日によっては休前日でも50000円ぐらいのお値段の時もあります。その時を狙って予約。定価は51700円でした。クーポンとポイント利用で43830円が最終値でした。最終値からgoto還元35%です。楽天のスーパーセールにも積極的に出店されているので、その時を狙って予約するのもいいかもしれません。

宿泊日:2020/7

旅行サイト:yahooトラベル(一休)

プラン:【ライブラリーがある宿】はなれ「松籟荘」専用のシックなラウンジ「サロン松風」でゆったりと寛ぐ

部屋タイプ:【松籟荘2階 和室8畳+踏み込み3畳】・数寄屋造り純和室

合計料金:51700円

ポイント利用:4870ポイント(即時利用)

クーポン:3000円(会員限定)

支払い料金:43830円

獲得ポイント:438P

湯田中温泉 よろづや 宿泊予約

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