龍神温泉に1泊2食1万円前後で源泉掛け流しの温泉が満喫できるお宿がある。華やかさという物はないけれど、女将さんの接客は気持ちよく、素朴ながらも地の物を使用した食事はお値段以上の価値を感じました。
旅情
坂井屋旅館さんは年期を感じさせる木造建築の旅館です。ロビーには地域観光に関するパンフレットがたくさんおいてあって、自家製と思われる梅干しや蜂蜜などの販売もされていました。梅干しは20個ぐらい入って200円という安さ。養蜂もしておらえるのかも。
1階は客室としては使用されていないご様子で、2階を宿泊階として使用されています。洗面などは昭和の名残のままに綺麗にされています。館内には余計なものは一切ありません。飲料が必要であれば玄関を出てすぐ左手に自動販売機があります。関西では龍神温泉の名前はそれなりに知られた温泉地ですが、温泉街には何もなく山奥にある秘境に近いかもしれません。それ故に、温泉に入って何もしないでのんびりと過ごすには最高なところでもあります。
内湯以外にも有料の外湯があり、利用するなら玄関には割引チケットとフェイスタオルがおいてあります。朝市はこの記録を書いている一年ぐらい前に高齢化とサルの被害でなくなったようです。残念。
お部屋
お部屋に案内してもらってから昆布茶と小豆ようかんを頂きました。
お部屋は8畳+床の間1畳+広縁2畳となかなかの広さがあり、廊下と部屋を隔てるのは障子だけなので好みがわかれるところです。障子には内鍵がついていますが、外鍵はありません。他のお部屋は開き戸のお部屋になっていました。どのお部屋にもバストイレはなく共同のものを利用します。
建物は古いですがトイレは綺麗です。ただし、2階のトイレは和式です。1階にのみシャワートイレが設置されています。また、廊下との隔てが障子のみだと寝る際不安になる方もいるのか、おかみさんに「寝室は扉のあるお部屋にしましょうか」とお気遣いを頂いた。私的には湯治宿の雰囲気やお部屋の装飾が好きなので、せっかくの申し出だったけどお断りさせて頂きました。館内全体に風情はありますが、木造のため他の客室からの音はよく聞こえます。
お部屋の備えも無駄なものはなく、湯沸かしポットとお茶セットの用意はあるのですが金庫や冷蔵庫はありません。外鍵がないので不安であれば貴重品は帳場へあずけることができます。アメニティは浴衣、丹前(羽織)、歯ブラシ、バスタオルのみです。フェイスタオルは浴場の前に積んであるのでそれを使用します。食事は別室での用意。その間にお布団敷きがあります。
お風呂
フェイスタオルは浴場前にある洗面所からセルフで。入浴のたびに新しく換えることができ、ここにはドライヤーも置いてありました。浴室は1ヵ所しかないので貸切の予約制になっています。当日は他のお客さんも宿泊していましたが、混雑することはありませんでした。また、空いていれば女将さんに何時に入りたいかを伝えておくと何度でも入ることができます。予約の間隔はおおよそ1時間毎のようです。利用時間は夜22時まで朝は7時からとなっていますが、希望があれば時間外の受付もしているようなので要相談です。時間の都合は女将さんが機転を利かして対応して頂けました。ありがたいことです。
湯舟は3人までなら余裕をもってはいれます。かけ流しの投入量はなかなかのものでサラサラと溢れ出る様は心躍ります。泉温は一般的なあつ湯といわれる温度で窓を開けて入ると丁度良い具合でした。女将さんのお話では源泉の温度は高く、1度タンクに溜めてから提供しているそうです。湯口はぬるくなったり熱くなったりしていたので、加温と常温併用でしょうか。また、雨の日は何故かさらに熱くなるそうで。当日は雨だったのであつ湯になっているとのことでした。
泉質は日本3大美人の湯と言われるだけあって、湯上りに身体をシャワーで流さずに出ると、大げさな表現ですが乳液を塗ったようなしっとり感です。泉質はナトリウム炭酸水素泉塩泉。浴感は入った直後はヌルリの後にツルリ。体の脂分が落ちるのかその後はツルツルした感触がずっとします。雨の影響か湯の華なのか茶色い浮遊物をかけ流し口で確認しました。飲泉をすることもできると女将さんが教えて下さったので試飲。無味無臭となっていますが、汗をかくと分かる極僅かな塩味。
お料理
夕食
最初からすべて揃っている一気出し配膳です。汁物や温物がないのが寂しいところ。しかし、季節的には暑かったので問題はなく、味付けは手作りの家庭的な内容です。派手さはありませんが、素材はとてもおいしく新鮮なのがよくわかります。お献立がなかったのでおかみさんから聞いた内容と、実際に口にした内容から献立を作っています。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。
【先付】:イタドリのきんぴら
【前菜】:ワカサギの甘露煮、梅クラゲ、みかんの味噌漬け
ご当地のお土産物でしょうか。梅クラゲは色と味がしっかり入っているので梅肉の漬けでしょうか。右の半月の一品は味噌、みかんの果肉、胡麻を合わせて、さらにみかんの皮で包んであるものだと思います。酸味と香りがよくご飯にも合いそうです。そして、イタドリはしっかり火が通っているのにシャキシャキした歯ごたえのある。アク抜きをしても火を入れ過ぎると酸味が強くなってしまうのだとか。女将さんはこの一品の味にたどり着くまで難儀したというこだわり物です。
【刺身】:鰹のたたき、鯛、妻一色
【蒸し物】:えごま豆腐
鯛はやや柔く臭みはなく活かっている。鰹は焼きを入れる前に塩を振っているのか下味が付いてあって醤油はいりませんでした。海が近いというわけではありませんが、和歌山は鰹がうまいです。妻は大葉、カイワレ、唐草大根です。 えごまの香ばしい風味が豊かに、しっかりと味付けされた鰹の出汁を豆腐の上に浸してあります。少しエゴマの感触を残しつつ滑らかで濃厚な舌触り。プリンのようです。
【サラダ】豚の冷しゃぶ
【煮物】蕗と筍の煮物
サニーレタスに豚ロースの冷しゃぶです。これがサラダよりも豚のほうが多いというボリュームたっぷりのうれしい謎仕様です。豚ロースは生姜焼き用ぐらいの厚みがあり、あっさりと緩く熱を入れて柔らかくしてあります。ゴマしゃぶだれでいただきます。 筍と蕗は味移りがないように別々に炊いてあるようでした。筍の塩はやさしく、蕗は甘味の強い醤油味。この季節の木の芽(山椒の葉)は風味が強くたくましい匂い。
【油物】:鯵フライ、アスパラ豚肉巻きフライ、コロッケ
着席時にはまだ温かさが残っており、サクッとした触感に中身はフワっと丁寧に揚げてありました。コロッケが不思議な風味と触感でした。ジャガイモはタマネギと一緒に潰しながらも細かく刻んだ触感が残り牛脂を練り込んである?これをマヨネーズとケチャップを合わせたオーロラソースで。ソースには赤い斑点があり粉パプリカかな?
【組肴】:枝豆、鰯の南蛮漬け、とうもろこし
前菜のような長皿が二皿あったので組肴にしてみました。トウモロコシはとても甘く蒸してあり、イワシの南蛮漬けはピーマン、玉葱、グレープフルーツを強めのお酢で漬けてあります。
【香の物、食事】
汁物はなく白米とお漬物です。漬物は赤カブの酢漬けと大根と大根菜の浅漬けでした。
朝食
・炒り卵
・白菜と鰹節のお浸し
・しらす大根おろし
・煮物(ごぼう、さといも、人参、こんにゃく、しいたけ、木の芽)
・サラダ(サニーレタス、トマト、ウィンナー、マヨネーズ)
・焼き物(サバの塩焼き、かまぼこ)
・お海苔
・うめぼし2種盛り、香の物2種盛り(かぶ菜?、きゅうり)
・ワカメの白味噌汁
・白米
朝ごはんも手作りの田舎料理でどれも美味しい。少し濃いめの味付けに御飯がすすみます。白菜のお浸しは甘口醤油で炊いてあり、煮物は素材の味がしっかり残っていて里芋は冷凍ではない手切り感があります。野菜がどれも新鮮で冷凍物はなく、大型宿泊施設ではできない素材の良さです。
まとめ
本当の昔ながらの旅館スタイルが現存しているお宿です。古いながらも綺麗にしておられお宿を大事にされているのが伝わってきます。しかし、設備面において、近代的な旅館やホテルに慣れている方は合わないかもしれません。とにかく温泉が秀逸なので旅情、風情として総合的に楽しめる方は間違いなくハマると思います。特に温泉を愛している方にお勧めです。坂井屋旅館さんの良さはお風呂だけでなく女将さんの気配りのポイントも高いです。
宿泊料金
さて、宿泊料金です。今回はyahooトラベルから一休を通しての予約でした。鮎やあまごの塩焼きなどが付くと値段が変わりますが、日祝前日はおおよそ10000円前後の宿泊料金です。今回のプランは記念プランだったのですが、どのあたりが記念プランかわかりませんでした。同じ料金帯なら焼き川魚のプランが良いかもしれません。Yahooトラベルぞろ目のクーポン利用でお安く泊まらせていただきました。
宿泊日:2019/6(土曜日泊)
旅行サイト:一休(yahooトラベル)
プラン:【TV放映記念プラン】感謝の気持ちを込めて<龍神温泉唯一!源泉かけ流し!>
部屋タイプ:和室8畳 訳あり部屋と廊下の仕切りが障子のみ バス・トイレなし(和室)
合計料金:21600円(2人)
クーポン:3000円(yahoo!プレミアム会員特典)
ポイント:930P(ポイント即時利用)
支払い料金:17670円
獲得ポイント:176P
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