大正12年創業の横谷温泉温泉旅館さんは、横谷峡谷の入口にひっそりと佇む大型の温泉旅館です。
旅情
玄関に車をつけて先に荷物をおろし、建物のすぐ近くの駐車場に車を停めます。建物の造りは変わっていてロビーとフロントは2階にあり、1階は広いホールとお食事処があります。
エスカレーターもしくはエレベーターで2階に上がり、フロントでチェックインします。チェックイン時に夕食の時間と、貸し切り風呂の利用時間のお尋ねがあります。
このような感じで貸切風呂は予約が埋まっていきます。連泊だと2回利用でき、翌日の分もその場で予約を入れることができました。
バブリーな感じが漂うこのロビーには、お土産処、喫茶、自動販売機があります。また、毎晩コンサートが催されいて、無料で楽しむことができます。
宿泊棟は本館の清流荘と新館の仙峡亭があります。ロビーのある建物は上階が、仙峡亭となっていて現代風にリフォームされていました。
大浴場は2階フロントの脇を抜けたところにあります。これがなかなかに距離があります。浴場までの道のりにコンベンションホールがあり、日帰り客の休憩処として開放されています。
さらに進むと貸し切り風呂の入口と喫煙所。ここにも自動販売機があります。そして、今では珍しい「乙女滝」というカラオケラウンジがあります。
喫煙所を抜けると大浴場の入り口です。湯上り処にはラーメン屋さんもあり、深夜まで営業していました。ここにはウォーターサーバーがあり、横谷峡谷の湧き水を利用した天然水です。そして、牛乳と清涼飲料水自動販売機が。自販機がこれだけ充実した旅館も珍しい。
さらに奥に進むと宿泊棟の清流荘があります。昔の大型宿泊施設を思わせる少し古びた感じがします。こちらのほうが浴場に近い場所にあります。
イベントの1つとして、早朝にはロビーでセルフの味噌汁のふるまいがあります。起き抜けの胃袋をほっこりと癒してくれます。
玄関横では湧き水を汲めたり。
なぜかアルパカと触れ合えるアルパカ広場が旅館の裏手にあります。このアルパカがいる辺りから横谷峡谷の入口になるようです。
さらに峡谷を進んでいくと、冬には氷瀑を見ることができます。夏には峡谷ハイキングも楽しめます。
お部屋
案内して頂いたのは仙狭亭の515号室です。
間取りは本間15畳+踏み込み玄関3畳程+お風呂+トイレ+洗面+バルコニーです。
やや古さはあるものの清潔にしてあり、トイレも安心のシャワートイレで快適です。また、お部屋にある洗面の水は天然水を使用しているそうで飲用できるようです。
お部屋からの眺めとバルコニー。渓谷ビューですが、駐車場前なので眺めは今一つ。お茶セットも一式あって、アメニティに足袋はありませんが、それ以外はすべて揃っています。備品はドライヤー、金庫、有料飲料入り冷蔵庫と不足はありません。浴場へはタオルを持参します。浴場は施錠タイプのロッカーはないので、貴重品はお部屋の金庫を使用しました。
お風呂
大浴場には男女別の2つの内湯と、それぞれに露天風呂があります。また、貸切露天風呂も2つあり、チェックイン時に利用時間を予約します。泉質は単純鉄冷鉱泉で、分析表では無色透明となっていますが、空気に触れると酸化するので茶褐色の濁り湯です。脱衣所に入った時から鉄錆の匂いが漂い、お湯の濃厚さが感じられます。味は鉱泉らしい鉄と炭酸泉の微エグ味。循環と消毒はしてあるものの、鉄の香りが強くまったく気になりません。源泉温が低いため加温されています。
内湯
2つの浴場の湯舟は同じ大きさで15人ぐらいは入れる大きいものです。当日は宿泊客が多く自然なオーバーフローは確認できませんでしたが、床タイルに溢れ出した後がついていて源泉の投入もある併用型のようです。大型旅館というだけあって、シャワーは順番待ちがないぐらい備えてありました。
露天風呂
横谷温泉旅館さん自慢の渓谷露天風呂です。画像のものは旅行雑誌とかによく出てくる横長の浴槽です。男性は20:30までの利用で、それ以降は朝も女性専用となり、うらやましい時間設定です。
もう1つの渓谷露天風呂は、この横長湯舟に比べると少し見劣りしますが、双方の露天風呂は源泉が惜しみなく注がれ、お湯がどんどん溢れ出ていき湯量はなかなかのものです。
貸切風呂
この湯舟は大浴場に比べて、鉄錆の匂いも強く茶色い湯の華?が沈殿しています。
上の画像と比べてもらうと、入浴後は沈殿した湯の華が舞い赤褐色になっているのが分かります。湯舟の小ささが幸いしてか、湯の入れ替わりなども早いのでしょう。また水面には温泉成分の油が浮いています。ライオンの湯口は「あつ湯」の循環湯、木筒の湯口は「ぬる湯」の源泉でしょうか。プライベート感というのもありますが、より濃厚なお湯を楽しむのであれば、この貸切風呂の利用をお勧めします。
お料理
お食事は朝夕ともに1階にあるお食事処「八ヶ岳」でいただきます。
夕食
お食事処には職人さんが待機していて、揚げ物とお蕎麦を直前に調理してくれるライブキッチンがあります。献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。内容に関しては実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。
【食前酒】:かりん酒
【先付】:寄せ湯葉
【小八寸】:むかごの寄せ、鱈の西京焼き、砂ずりの塩辛
甘口のかりん酒は酒度はなくあっさりと。 湯葉は味が濃いめの豆腐といった風味に、ピンクのソースはわずかな甘みはあるのですがよくわからず。先取りの梅とか桜? むかごは卵で寄せてあり醤油味が強めで、鱈の西京焼きは風味はやさしく「はじかみ」を添えてあります。砂ずりの塩辛は酒粕と海鮮のわたのような風味が強くピリ辛。砂ずりをこのように使ったお品は初めてかも。
【蒸し物】:茶碗蒸し
【刺身】:三種盛り
カツオ出汁の玉地を割るとお出汁がひたひたタイプの茶碗蒸しです。具材は鶏肉、銀杏、角切り筍、三つ葉ととてもシンプルで、筍の触感がなんとも心地が良い。 鮪、鯉の洗い、ぼたん海老です。可もなく不可もなく、このあたりはお値段相応かな。つまは大根けん、大葉、山葵。薄口醤油でいただきます。
【小鍋物】:茸とカニの鍋
お出汁はカツオと昆布の合わせだしの様。これに蟹足が入っており、食べるというよりはお出汁用かなという大きさ。具材は水菜、白菜、白葱、豪棒、エノキ、うどんです。このうどんは太さが歪で後に出る蕎麦と同じように手打ちでしょうか。火が消えたころが食べごろでした。
【台の物】:牛肉の朴葉焼き
味付けは甘さを主張する西京ともとれる白の信州味噌でしょうか。お肉の脂乗りは程よく部位はロース、しっかりとした和牛の香りがします。火が止まってから食べると肉汁が逃げてしまうので、湯気があがると食べごろです。付け添えは、南瓜、舞茸、ブロッコリー、玉葱。
【お凌ぎ】:横谷名物自家製粉 石臼挽き十割そば
横谷温泉旅館さんの名物料理です。皮をおとした蕎麦実は白く手打ちです。手打ちらしいコシはあるがボソボソとした十割蕎麦らしい触感もある。カツオ風味(もしかしたらサバかも)で薄めのそばつゆは、蕎麦の味を引き立てます。これは美味。薬味は葱と山葵。
【揚物】:鱒の甘酢あん掛け
パリパリにからりと揚げた背開きのマスは、小ぶりながらも柔らかく頭から尻尾までいただけます。餡は人参、玉葱、エノキを炊き込み、甘さ、酸味、醤油すべてを抑えながらも、程よい味付けはやさしく温かい南蛮漬けのようです。
【食事】:白米
【留椀】:信州味噌赤出汁
【香の物】:盛合せ
信州の白米はどこで食べてもおいしく甘さが際立ちます。 野沢菜と大根は塩が強めのお漬物で白米に丁度良い。 渋みのない赤出汁はまろやかに、食事の最後に胃を休めてくれます。
【水菓子】:杏仁豆腐、パイナップル、葡萄
ココナッツミルクが濃ゆいお手製と思われる杏仁豆腐にホイップ生クリーム添え。お口直しでの果実が添えてあります。
朝食
【お膳】:左上から
・温泉玉子
・卸しシラス
・焼きのり
・サラダ:キャベツ、レタス、ハム、ミニトマト、ポテトサラダ
・珍味:鱈子、岩海苔、山葵漬け、梅干し
・烏賊ソーメン
【一品】
・筑前煮の蒸し物
・ヨーグルト、苺ソース
【セルフサービス】
・お味噌汁(信州みそ、揚げ、白菜、豆腐)
・白米
・牛乳
・オレンジジュース
大型旅館ならではの朝食といった感じです。以前利用した際も、同じ内容だったので定番食のようです。朝食では白米と飲み物はセルフサービスでお好きなだけ。お味噌汁はお鍋で温かく、筑前煮の蒸し物は熱々で配膳されました。
まとめ
昭和の良き温泉旅館といった雰囲気は、一般的な旅館のサービスに加え、コンサート、氷瀑見学、触れ合いアルパカ、温泉など、滞在中は色々と楽しめる旅館です。お料理はお値段相応といったところですが、普段の定価の30000円前後だと、お料理の内容が少し物足りない気がします。しかし、季節毎や記念日などの半額セールをよくされておられるので、その時期を狙えば納得のお釣りがくる宿泊ができると思います。また、10畳のお部屋で予約したのですが、今回は連れ合い有りの旅だったので、並びの15畳のお部屋にして頂いた配慮はありがたかったです。
宿泊料金
さて、宿泊料金です。楽天イーグルス感謝プランで2人15400円です。この値段帯は1泊2食付きで底値だと思います。ただ、宿泊直前に長野県復興割クーポンの配布もあったので、利用できていれば2人9000円という破格の値段で泊まることもできたかもしれません。
宿泊日:2020/1(土曜日泊)
旅行サイト:楽天トラベル
プラン:【楽天イーグルス感謝祭】50%OFF当館イチオシ★スタンダードプランが半額(【1泊2食6000~】
部屋タイプ:新館『仙峡亭』和室10畳(山側)
合計料金:15400円(2名)
支払い料金:15400円
加算ポイント:154P