いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

山水園【山口県 湯田温泉】~圧倒的湯量を誇る3本の自家源泉を持つ湯宿。文化財の建物と庭園の趣を楽しみながら王道の会席を楽しむ~

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 山水園さんは湯田温泉街から少しはずれた小さな山の麓にあります。建物は大正時代に別荘として建てられ、昭和にかけて増築しながら旅館として営業を始められたそうです。 

旅情

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 木々の多い山間にあるため外観を一望することは難しいですが、庭園側からはなんとなく全体像がつかめます。背景に見える近代的なビル群が対照的で不思議な風景です。

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 建物は本館、茶室、大広間から成り、すべての棟は国の有形文化財に指定されています。格子天井や変わった窓枠など館内は細かな装飾はあるものの全体としてはシンプルな造りです。

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 本館には昭和天皇さんが仮泊した「行在閣(あんざいかく)」という特別室があります。少し覗かせて頂きました。庭園に面しているので自然の明かりが入って解放感があり、素人目にも分かるお部屋の造りは木造建築の美しさを語っています。こちらに泊まりたかったのですが、お値段お高めとなっています。

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 大広間棟のロビーには無料で使えるパソコンと図書室、売店があります。チェックイン時はこちらで「お抹茶」と「ういろう」を頂きました。売店にはお酒は売っていますが、清涼飲料やおつまみ類は置いていません。お部屋の冷蔵庫には有料ですが飲料の用意があり、お隣の日帰り温泉施設には自動販売機がありました。f:id:SiWaSu_CaT:20190826213740j:plain

 ロビーには洋風の応接室と木漏れ日が差し込むテラスがつながっていて、広縁のような休憩処は落ち着いた雰囲気があります。館内は内廊下が多く窓が少ないので、この空間だけ解放感があり逆に異質な感じがします。

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 日本庭園は国登録記念物となっており「池泉庭園」、「露地」、「枯山水」と3種の違った景色をもっています。かなり大きな敷地となっていて散策路を自由に見て回ることができます。玄関横から出入りすることができ、1階客室であればお部屋の広縁からも出ることが出来ます。翌朝、庭園を散歩していると前日あった落ち葉やキノコがない。と思っていると、犬を連れた女性が庭を掃除されていました。手入れが完璧です。もしかして大女将さんだったのかもと勝手に想像してみる。

 

お部屋

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 案内して頂いたお部屋は106号室の「羽衣」です。6畳本間+2畳次の間+1畳踏み込み+広縁+シャワートイレです。床の間にワンポイントの小さな小窓があります。広縁にはトイレと洗面があり古いながらも清潔にされてあります。

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 次の間には冷蔵庫とレトロな湯沸かし器やインスタントコーヒーなどが置かれています。

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 広縁からの眺めは、茶室棟に囲まれるように壺庭になっていて、ここから庭園に出ることもできます。お部屋の備えとしてドライヤー、化粧水からアメニティ類は不足なくありますが金庫はありません。大浴場にバスタオルが備え付けてあるので、室内にはバスタオルがなく相方は大浴場から借りていました。付かず離れず素朴な接客やサービスに無駄はなくのんびりできます。

 

お風呂

 山水園さんは3本の源泉を保有しておられ、混合泉のアルカリ性単純硫黄泉となっています。湯量が膨大なので湯使いがとても贅沢です。あつ湯の源泉は玉子臭のある硫黄泉でツルツルするアルカリ成分も感じられる一方、冷泉になると玉子臭やツルツル感は少なく優しい。温度や源泉によって触感の違いがありそうです。内湯、共同浴場のいずれも湯量が多いので、泉質はどの湯舟をとっても満足できます。大浴場と家族風呂にはフェイスタオルとバスタオルが常備してあるので、毎回新しいタオルを使う事が出来ます。共同浴場はチケットを渡すと、フェイスタオルとバスタオルが付いてくるので手ぶらで行けます。

大浴場

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 男性は円形浴槽、女性は四角の浴槽に湯屋が固定となっています。

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 かけ流し口からは適温の温泉が投入されダバダバと掛け流され、もったいないぐらいの量がオーバーフローしていきます。ただ、源泉温度が高いため、のぼせないなように出たり入ったりしながら入浴しました。

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 あつ湯が苦手の人のために、温度の低い源泉が投入される冷泉投入ボタンが備わっていました。男女とも大きな浴槽の横に3人でいっぱいになる小さな浴槽があってボタンを押すとバイブラバスになります。これも温泉のようです。オーバーフロー状態で押すと洗い場にとんでもない勢いであふれていきます。脱衣所はとても清潔されていて綿棒から育毛剤!!まであります。大浴場は入れ替え制ではないため、両方の湯船に入る事ができないので残念です。

家族風呂

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 案内がなかったので改めて聞いてみると、予約制ではないが湯張りなどの用意があるので事前に問い合わせが必要な感じではありました。ここには温泉蛇口があり自分で投入量を調整できるタイプです。湯船は二人でいっぱいですが小さい浴槽は湯の入れ替わりが速いという利点もあります。

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 二つの蛇口は温泉のようですが、あつ湯がやはり硫黄泉でツルツルしているのでかけ流したくなります。しかし、源泉温度が高くかけ流しは遠慮気味で稼働。冷泉もツルッとしてますが硫黄の匂いは感じられず。冷たいと揮発しないので硫黄の香りが少なくなるのだと思います。冷泉で温度調整するよりも、欲張って硫黄臭のするあつ湯を入れたくなります。源泉を自己調整できるのは贅沢なことです。

共同浴場

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 宿泊者には外湯利用ができるように、1人1枚入浴券が付いているので営業時間内でに利用することができます。チケットはチェックイン日のみ有効なので21時半までに入館する必要があります。大浴槽、露天風呂、ジェットバス、バイブラバスも硫黄の匂いがしてツルツルしていたので、おそらくすべての湯船は掛け流しではないかと思われます。地元の方と思われるお客さんが、ひっきりなしに入れ替わって訪れていました。湯量と泉質の良さから人気なのが頷けます。

 

お料理

 お料理は正直なところ華やかなお料理ではありません。相方が言うにはサッと食べれる茶懐石の流れがあるのではという。お茶室棟があるぐらいなので、お茶会でお料理を出していたと考えれば納得。古風な王道会席だけど、お出汁の使い方や味付け、旬の素材の選定は確かなおいしさ。お献立がなかったので女中さんから聞いた内容と、食べた感触から献立を作っています。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

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 夕食では献立の中には選べる一品があり、「レンコン饅頭」もしくは「鮎の塩焼き」から選択することができました。また、デザートも選択性になっていて、食べれないものがあると思うと全部食べたくなるので悩ましいところです。

 

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前菜】:稚鯉の佃煮、青梅甘露、ずいきの酢味噌掛け

 コイの佃煮は小さくてもしっかりとしたコイの味がします。庭園にはコイの稚魚がたくさんいたので、まさか自家製!?なんて思ったり。ズイキは緑色が映えしゃくしゃくとした噛み心地が気持ちよく、酸味は抑えたクリーミーな酢味噌で爽やか。自家製の青梅は柔く炊かれていて甘過ぎず後味にはお酒のような風味が。お酒で煮ているのかな?

 

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【冷やし鉢】:冬瓜海老餡かけ

 トウガンの皮には味が入るように切れ込みが入り肉側は柔く、彩りのクコの実はとても甘く蜜煮にしているのでしょうか。甘口のあんにはエビそぼろです。冷を感じる夏らしい一品です。

 

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【お造り】:3種盛、あしらい一式

 タイ、ヒラマサ、イカの3種です。イカとタイは歯ごたえがあり、ヒラマサは脂の照りが出て新鮮なのがわかります。お刺身の旨みがあり素材の味はしっかり。そして、関西風の甘味のあるたまり醤油で頂きます。あしらいは大根けん、大葉、胡瓜台座、山葵、蓼。

 

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【煮物】:いとこ煮

 山口県でのいとこ煮の名称は親戚が集まった際に食するところから由来しているそう。前日宿泊したお宿では甘味として出ましたが、山水園さんはおかず寄りの味付け。シイタケのお出汁で、アズキ、レンコン、ニンジン、凍みこんにゃくを甘しょっぱく炊き、白玉を盛り込んであります。

 

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【酢の物】:河豚のカルパッチョ

 フグは軽くお湯に潜らせて、薄切りにしてあり切り身中央は生で叩きの様。河豚の下には大根の千切りと茗荷が仕込んであり、彩りに赤トサカノリを添え、ピンクペッパーで味に変化をもたせます。緑の飾りには大きなハスイモ茎の添え付け。酸味と塩を抑えた玉葱のドレッシングで、フグのたんぱくさが活きるように味付けしてありました。

 

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【椀物】:鱧と順才のお吸い物

 ふっくらと熱を入れたハモを、カツオ風味のお出汁に浸してあります。お出汁は醤油は強すぎずハモのたんぱくな旨味が残るように味をととのえてあります。ハモの脂が水面に美しく広がっています。これにジュンサイの歯ごたえに、2枚ほど山椒の葉を浮かべ味が引き締まります。

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【焼物】:メジの塩焼き、ズッキーニの酢の物

 メジはブリの幼魚です。ブリほどの脂の乗りは控えめに身がしまった感じです。これをほっこりと塩はほどよく焼いてありました。付け合わせのズッキーニの酢漬けは細切りにしてあり酢は強すぎず中性的です。瓜ともきゅうりとも違う触感です。

 

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【炊き合わせ】:ハモのすり身湯葉巾着包み、南瓜、椎茸、餅麩、瓢箪人参、絹さや

 仲居さんのお話では、湯葉の茶巾にはハモのすり身にハッカを合わせあるそうで涼を感じる夏らしい味付け。何故かハッカはモミジ餅麩からのほうが香っていたような・・・。茶巾を絞ってあるのは三つ葉軸と手が込んでいます。他の食材はそれぞれ甘く炊かれていて、特に椎茸は肉厚で優しく火をいれてあるためかプリプリです。瓢箪型のニンジンは丁寧に面取りで丸くしてあり、口触りの優しさと瓢箪の丸見を魅せるこだわりを感じます。全体的に甘さが強く感じられました。

 

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【選べる一品】:蓮根饅頭

 今までに見たことがないタイプのレンコンまんじゅうです。透明感があってものすごくもっちもち。餅のような柔さではなく、張りがありネバりが凄い。どうやって丸めて揚げてるんだろうか・・・。葛やわらび粉で成形しているのでしょうか。まんじゅうはレンコンの触感や風味がほんのりあり、シャキシャキのキクラゲと人参が入っていて歯ごたえの変化も楽しめます。甘辛の濃い出汁醤油と一緒にいただきます。

 

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【選べる一品】:鮎の塩焼き、もろみ味噌ときゅうり

 夏の定番アユの塩焼きです。なかなかの身振りの大きさで、さすがに旬なだけあってホクホクしています。蓼酢の塩味は控えめに酢は強く。焼き加減が絶妙でいつも通り頭から尻尾まで食べきりました。付け合わせはもろきゅうです。このもろみはやんわりと酸味の無い甘みだけあるようなやさしい味噌。

 

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【揚げ物】:海老、アボカド、青唐、サツマイモ、パプリカ黄と赤、茄子

 スタンダードな夏野菜の天ぷらです。こんな定番なテンプラは最近見なくなりました。衣は薄くサックリと揚げられて普通においしい。しかも、良い油をお使いなのか久しぶりに胃もたれしない上品なテンプラを頂きました。味付けの天だしはカツオ出汁強めのうっすらとしたしょうゆ味。お塩も用意してくれているので好みで食べ分けができます。

 

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【食事】:白米、赤だし、香の物

 赤だしは関西でよくある酸味の強いものではなく、まろやかで魚の香りのするお出汁です。具材はシンプルにエノキとわけぎのみ。香の物は大根のお新香、白菜の浅漬け、胡瓜は・・・。甘く感じたのは麴でしょうか。ぬか漬け?酒粕漬け?かな。

 

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【デザート】:ジェラート

 相方との合わせて2種。白色が生姜のジェラートと抹茶のジェラートです。しょうがは生姜をそのままジェラートにしたもので、食べ口はとても甘いのに後口はショウガをそのまま食べたかの様な辛さが。健やかさは最高潮なのに万人受けしない勝負感がある。抹茶は抹茶をそのまま食べたかの様な濃厚さ。これ以外にも夏みかんと塩のジェラートの計4種から選ぶことができます。塩は藻塩のようです。生姜のインパクトからすると藻塩も負の期待として味わってみたい。

朝食

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・干しクラゲのもどし煮

・小松菜と椎茸のお浸し

・かまぼこと鯖の塩焼き

・温泉卵

・豆腐のサラダ(木綿豆腐、ラディッシュ、サニーレタス、ミニトマト、紫玉葱)

・焼のり

・香の物(大根菜、奈良漬)

・お味噌汁(白味噌、しじみ)

・白米

・オレンジとキュウイフルーツ

 豆腐サラダの木綿豆腐は細やかな綿の跡が側面に残っている手作りであることがわかります。山水園さんだと豆腐も作っているかも。お味もスーパーで食べるような水臭い豆腐ではなく、大豆の味がしっかりとしています。焼きサバは暖かく提供され、濃厚な温泉卵もゆるくあったかい。夕食の赤出汁もそうでしたが山水園さんで使っておられるお味噌は酸味が前に出ず、まろやかで口当たりがいい。漬け物は夕食同様に手作り感のあるお味で美味。

 

まとめ

 旅行サイトの口コミをみていると、お料理やお部屋に賛否があるような感じだったので気にはなっていました。なので、お部屋によって料理内容が大きく変わらないのはどこも同じなので、お部屋のランクを抑えてスタンダード料理で予約。実際泊まってみて、確かにお料理には派手さはないけれど、素材はいいし味も上品に仕上げてある品々を頂けました。変に創作性を追求するよりも、基本がおいしいのというのは飽きないと言うことでもあるかと。お部屋は古く閉塞感はありましたが綺麗にしてありますし、館内は埃の積もりはなく、庭園も手入れが行き届いてあって、口コミにあるような「古い建築=汚い」は感じられませんでした。お風呂も優しい硫黄泉で何より湯量がとんでもなく豊富なのは◎。私的には「古い建築=二つとない趣」というプレミア思考なので、山水園さんに宿泊した価値は十二分にありました。ただ、木造なので隣の部屋の音は筒抜けですし、設備は古いのは確かなので、ビジネスホテルやリゾートホテル等の設備を期待している方にはお勧めできません。再訪するなら庭園向きのお部屋に泊まってみたいものです。

宿泊料金

 さて、宿泊料金です。もともと安くお部屋を売らないお宿なので、これまで安くならないかと睨めっこしていました。yahooトラベルに出店しているのを見つけて、3連休に合わせて10倍ポイント利用で予約しました。

宿泊日:2019/7(祝祭前日泊)

旅行サイト:一休(yahooトラベル)

プラン:【登録有形文化財に泊まる】お部屋食に自家源泉掛け流し!ちょっとしたぜいたくな旅を楽しむ~並会席プラン~

部屋タイプ:羽衣の間 ※バス無し

合計料金:43200円(2名)

ポイント:4320P(ポイント即時利用)

支払い料金:38880円

獲得ポイント:388P