スキーでは度々お世話になっている御嶽山。2014年に噴火した時は、自分が山を登るなんて思ってもおらず・・・。何故か山登りにハマって、有難い縁により2回目の御嶽山にお邪魔しました。本当は前日に登る予定で車中泊までしたのですが、雨嵐のため「朝日荘」さんの温泉を楽しむだけプランに切り替えました。ここでふと思い返す・・・以前に御嶽山を登ったのは確か2018年の8月・・・。あの頃はまだ登頂は危険だとして山頂が開放されておらず。翌年2019年に安全が確保されたとして山頂付近を開放。なんでやねん!?と思いつつも自然の物だし仕方なし。山頂付近の開放期間は7月から10月までとなっており、訪れたのはまさしく開放期間最終日!相方が「来年があるかどうか分からんから、登っといたほうがええんとちゃう?」確かにそうなのだ。だが、関西までの帰りの運転がしんどい・・・。最悪、仕事に間に合えばいいか、いや休んだらええわw('Д')w。 天気もまぁまぁ、ゴンドラ乗車運賃を地域共通クーポン券が使えることもあって、朝日荘さんを名残惜しくも早々にチェックアウトして登り始めました。往路は3時間20分程、復路は2時間と休憩時間を長めにとると7時間ぐらいで標高差900mの山行を2度目の御嶽山チャレンジです。
前泊した「朝日荘」さんの宿泊記録もあるので、よかったらどうぞ。
朝日荘さんで一番早い朝食を摂って、ロープウェイ乗り場に着いたのは8時半ぐらいだったか。登り始めは9時前ぐらいかな。すでに登山者の人影はまばらです。
山麗の乗り場では手入れされたお花畑があり出迎えてくれます。前に訪れた時は地元の小学生が育てて植えたとありました。都会ではこうはいかない、田舎の小学生がする農作業レベルの高さが伺えます。
さてさて、ゴンドラに乗り込みます。今は登山観光用のゴンドラですが、かつてはスキー場もしていたようです。
山麗は秋の様相です。天気予報では昼前後から怪しい。この時の山頂付近は晴れています。このまま天気がもってくれればいいのだが。
山頂駅付近は秋真っ盛りの紅葉です。登山客もちらほらと増えてきました。なんとなく安心。標高はこの時点で2100m程。3000m以上の頂上へは900mの標高差がある。
ゴンドラの駅から登山口まで砂利道を進みます。
遠眺が効いて乗鞍岳方面もはっきりと見えて美しい。
砂利道の終わりに登山道入り口です。ロープウェイの最終時間の表記がここから多く見受けられます。下山を遅れる人が多いんでしょうねぇ。
ウッドチップが敷きしめられた、足裏にとても優しい緩い上りは2年前と変わらず。
赤矢印の順路で左ロープウェイ乗り場から来て山頂へ向かいます。コーンが立っている所からは麓への登山道がついています。下山の時は20歳前半の若者のグループが降っていました。ここまででも登りは2時間、降りは1時間半・・・若者は無限体力です。
10分もせずに7合目の行場山荘に到着です。
8合目の女人堂までの70分ぐらいの道のりにはトイレがありません。ここにもトイレはありますが、できればゴンドラ山頂駅で。
この行者山荘は物凄く味のある木造建築の建物で、個人的には大好きで宿泊してみたいw
築何年になるのかは分かりませんが、古き良きとかいうレベルではないぐらいの鄙び。最高ですわ。御嶽山に参拝される方々の拠り所でしょうか。登山客らしからぬ正装姿の老夫婦が「お世話になりました」と宿主人に言って出ていきました。山には登れないから、ここでお祈りをされたのでしょうか。
覚明さんを奉る社が行者山荘の横にあります。信心深い方々は手を合わせておられました。御嶽山に来ると、山岳信仰が深いお山だというのがよく分かります。
建物脇を通って山頂へ向かいます。
山の恵の伏流水で出来た小川を越えていきます。
ツルツルと滑る木道と木造階段を慎重に進みます。
木造階段の連続で高度を上げていきます。登山開始時間が遅かったので、自分が主要荷物を背負い、ウェストポーチのみで高山登山にしては軽装の相方。自身の身は自身で守るが山の鉄則ですが、人影も多ければ安心もできる。周りに迷惑が掛からない程度にレスキューセットでスピード登山。おっさんにはつらいが普段よりも軽いので頑張ります。
木造階段が続きます。階段からは湯気が立ち上がってきます。Hmm・・・。日光のパワーなのか、御嶽山の火山パワーなのか。
樹林帯が突如抜け、ナナカマドが真っ赤に彩りを迎えていました。
身の丈程の熊笹の登山道を上がっていきます。足元はガレとダートの歩きにくい道。相方お手製の暖簾型マスクが最高に着け心地がいい。吐くと分散、吸うとピッタリガード。山登り用に試作したのですが、粗飛沫を防ぐにはこれで十分かな。
8合目まで400mとあります。整備は完璧だが、この辺りは単調なガレ、階段の登りが続きさらに歩きずらい。
頂上まで2200mの石標。登山道の先には賑やかな人の声。
8合目の女人堂に到着しました。山頂がくっきりと見え、心が躍ります。
Tシャツ、飲み物、オヤツなど、カップ麺もあったかな?最終日なので食事は難しいようでしたが、軽食は摂れるようでした。そして、最終日なので小屋番のおばちゃんが、「最終日だから割引するから買っていって!」とアピール。でも、TシャツSサイズしかないので、おねーさんそれは入らないわ。
小屋前からの眺望は最高です。左はお隣の乗鞍岳。その奥は北アルプスの穂高連邦か。真ん中右に少し出た頭は浅間山?
山頂方面を見ると、ま・だ・この時は青空で雲一つない絶景です。
八合目のお社で安全祈願をお願いして先を急ぎます。ここからの三ノ池方面は3年前と同様に閉鎖されたままです。
八合目からの登山口には、やけに色取りのよいナナカマドが一本。なんでこいつだけがやけに紅葉を盛っているのか、よくわからないほどに美しい。
少し標高を上げ女人堂を振り返ります。たまらないRPG感は出発の時を感じさせる。
何となくパノラマで。
そして、眺望が効かなくなるハイマツ帯の木道階段が続きます。
八合目から景色があまり変わらないので、省いています40分程登った景色。天気予報の通り雲が張り出してきました・・・。ぐぐ・・・。
山頂付近も雲が覆い、やべぇです。頼むわぁ・・・今年は登頂付近になると雲がやってきます。
九合目まで800m、さらにハイマツ帯が続きますが、身の丈を越えるので影になって涼しく歩けます。
ハイマツ帯を抜けると、軽石の岩石群ガレガレ歩きに変わってきます。2014年の噴火時にはここまで噴石が飛来したのでしょうか。雲が張り出してきました。頼むもってくれ!
曇天と晴天を繰り返し、ガスが立ち込めるようになってきました。こういう時はまず晴れることは少ないので、ペースを上げるが山は許してくれない。
赤矢印の九合目の山小屋が見えてきました。この1枚だけみていると、どこを上るのです? ちゃんと道はついています。
小屋まで300m。見えているのに近づかないのが、もどかしい標識の定め。
そして振り返る。先ほどよりは雲は捌けて八合目の女人堂も見えます。
ここからは大石のガレ葛籠が続く。九合目の小屋まで一踏ん張り。
やっとこさ小屋下まで上がってきました。
回り込んで九合目「石室山荘」に到着です。石室山荘を通らないルートもありますが、この中を抜けて向かう山頂が御嶽山に来たと思わせる大切なポイントです。ここでも女人堂と同じように軽食や売店があります。登頂手前の最後のトイレがあるので、必要があれば用足しを。
山荘内を抜ける時は人が多く不織布マスク! マスク下で息が苦しいが山荘を抜けた先から再びガレと階段を登っていきます。
頂上まで600m。この辺りは急登で足場も歪です。
山頂手前最後の覚明さんを祀る社に上がります。
社奥にある不規則な木造階段の急登が続きます。
二ノ池方面の道は封鎖されています。これも2年前と同じ。崩落が止めれないのでしょうか。
2年前に行けなかった山頂方面が見えてきました。フェーン現象で山肌の片面だけに雲張り出します。
二ノ池に到着。すでにお昼時になっていたので、昼食とオヤツタイムを楽しんでいる登山客が多くいました。以前来たときは、画像中央の二ノ池本館は噴石に耐用できるように強化工事をしていましたが、どうやら完了したような気配。前はここには入ることが許されなかったので、青線のルートから赤矢印の摩利支天山から山頂を眺めました。あちら側のルートも三ノ池を見下ろすことができる最高の景色があります。
お休みは山頂で。と、頑張って上り続けていると前方に、バタバタバタバタとヘリコプターの羽音。荷揚げ?荷下ろし?今日が最終日なのに?
二ノ池から雲の上に出た足場はガレザレの細かい砂石へ。雲の上に出たのですが遠望は効かず。
山頂手前の最後の上りは噴火時のまま。高山だし完全な整備とはなかなかいかない。上がらせてもらえるだけでも、ありがたいことです。
山頂手前で見たヘリコプターの荷下ろし。山頂付近の建物を解体した廃材を下ろしているようでした。
山頂からは画像中央左にある噴火口淵の王滝頂上山荘。こちらもすでに解体されて、現在は避難施設になっているようです。
御嶽頂上山荘の跡地には、コンクリートのシェルター並んでいました。
シェルター横には慰霊碑があり山頂への階段が伸びています。
登頂可能最終日ということもあってか、慰霊碑に献花されている方が多く見受けられました。
長居滞在はお控えください的な注意書きはありましたが、自分も含めてランチぐらいは楽しんで下山したい。
階段を上りきると大勢の登山客で賑わっている。
山頂からの二ノ池方面。荒廃とした砂漠のような景色に雲海。3年前の池は干上がって火山灰で砂漠化していました。この再訪時にはエメラルドグリーンの池が、少しずつ戻ってきている様にも見えます。自然の神秘です。明らかに硫黄泉の白緑色。
二ノ池の隣にある一ノ池方面の火口です。土?火山灰?の流動がくっきりはっきりと見え芸術的だ。
一ノ池と二ノ池のパノラマ画がこんな感じです。噴火前は山頂のお鉢を歩くことができたのが、今では信じられない光景です。
摩利支天山から見ると、この鉢の内側が見えないので本当に来てよかった。相方がカメラ片手に山頂標識付近をうろうろしています。雲が多くなってきたので感に入る撮影スポットが意外にもない。晴れてたら全てが絶景になってそうです。
噴火口を顧みると雲と噴煙が張り出して全景は見えない。改めて眺めてみると、このゼロ距離で噴火を体感したらさぞ恐ろしいかと思います・・・助かる要素が見つからない・・・。風向きによっては硫黄(硫化水素)の匂いを感じ活火山の威厳を感じます。
頂上で昼ごはんを食していると、地元の若者が話しかけてきて。友人の家が「御嶽もなか」を製造していて持たされたという青年。配って欲しいという令をうけたそうです。地元の方なのに訛りなく話す青年は「食べて下さい」と何とも爽やかな申し出。ありがたくも、ちょうだいしました。餡子がたっぷりと遠慮なく入っていて美味い。軽装備で上がってきたのでお返しするものが無くて申し訳ない。
頂上も雲が掛かってきたので下山を急ぎます。上りでは気付かなかった、かつてのトイレは利用することは出来なくなっていました。屋根を見ると生々しい噴石のダメージを見てとることができます。
天気予報は的中。雲がどんどん増えてきました。昼食をとったら早々に下山開始。遠望はなかったですが、山頂付近の状況はよく分かりました。相方が「走って逃げれると思ってたけど絶対無理やわ、そんなレベルとちゃうわ」とポツリ。その通りだと実感しました。
帰ると決めたら、うちの下山は早い、あっという間に石室山荘に到着。
下山に向けてトイレを済ました、すっきりとした相方は景色を楽しみ。入山料も込めて500円ぐらいまとめてトイレ利用料金をぶっこんどきました。脱水を起こさないように、出したら補水もたっぷりと。これ大事。
さて、登って来たガレガレ道を下ります。足はすでにプルプルと生まれたての小鹿状態。部分的に陽光は差しますが、雲が限界点に迫ってきます。雲に巻かれる前に歩みを急ぎます。
むおおお!!道は整備されて明確だが雲の中に入ってきました。雲が下がり始めると、とんでもなく早い。朝からの天候とは一変です。風も強くなってきました。
コースタイムから1.5倍ぐらいの速度で下山。八合目の女人堂まで戻ってきました。足とお尻の筋肉が疲れとる・・・。
女人堂から山頂付近を振り返ると、眺望は全くなくなっていました。予報では雨ではないので、その点では安心。だが、湿度がかなり高いし、10月の高山は雪が降ってもおかしくないので先を急ぎます。
女人堂で小休憩。トイレ、補水、行動食でスピード下山に備えます。また来たいので、少しでも整備費の足しになればと、ここでもトイレ利用費は多めに。
雲がさらに下ってきて、霞みが掛かってきました。登って来た木造階段は滑るので慎重に下っていきます。
かなり、はしょりましたが、行場山荘まで戻ってきました。すでにコースタイムを40分撒いたので、おじさんの足元はかなりの疲労感。
小川があり、水はけが良くないのでジメジメとしていますが、行場山荘は何とも雰囲気のいい冒険心を揺さぶる小屋です。ロープウェイから30分も離れてないのに秘境感が凄い。
ロープウェイと麓への下山路の分岐まで戻ってきました。相方はスピード下山で「足が痛い・・・」とヨロヨロ。ここからのウッドチップの散策道は、ふかふかで「痛くねぇわ」と喜んでおりました。足元の材質によって負担が大きく変わるものです。
ゴンドラの砂利道まで帰りつきました。下りは景色はなく晩秋で生き物やキノコもおらず、ただただ下るだけだったので疲れました。
ゴンドラ山頂駅から振り返ると、山頂どころか視界は全く無くなっていました。ここから6時間近く運転して帰るのはきついですが、上り切った頂上の山容を思い返すと来て良かった。三ノ池付近も今度は楽しんでみたい。バリエーション豊かで、2度訪れても良い山だと思わせてくれる「御嶽山」は、必ずまた来たい山だ。