標準コースタイムは上りは1時間40分、下りは1時間20分でしたが、実際には上り1時間20分、下りは1時間あるかないかぐらい標高差600mの山行でした。紅葉は綺麗だし飽きさせない急登と絶景の尾根歩きは休憩を忘れさせる程。赤丸の下蒜山登山口に車を駐車。下、中、上の3座を縦走することもできますが、先人たちの記録を見ていると、上蒜山から上り下蒜山へ下山して帰りはチャリを使う、あとはタクシーを利用して縦走している方もいるようです。前日に縦走予定だったのですが、あいにくの雨天。連泊とかでない限り、翌日に山登りはしないのですが、御嶽山と同じく相方が「来年があるとは限らんで~~」と申し上げるもんで、ゆっくりめに三朝温泉「いわゆ」さんをチェックアウトして、ハイライトの下蒜山登山口へ。促した相方の顔が、促したけど登るんかい(-_-)という表情に。どうやら促したのに登る気はなかったようです。
御嶽山の登山記録もよかったらどうぞ。
前泊した三朝温泉「いわゆ」さんの宿泊記録も合わせてどうぞ。
三朝温泉から30分ほどの距離、到着したのは9時半ぐらい。すでに駐車場は満車。登山には遅い時間なので満車は当たり前。と、思っていたら次から次へとやってくる登山客の車。いい季節だし、いい天気だし、縦走するにはぎりぎりだけど、下蒜山だけ楽しむなら全然遅くない時間。朝一で登ったと思わしきグループが下山してきたところで、空いたスペースへ駐車させてもらいました。
登山口である下界では紅葉の盛りと終わりの境を向かえていました。暑くはない止まると寒いという、本来の秋らしい風情がある年です。登山口には木道が整備され、終わりのススキがお出迎え、森は晩秋の紅葉。
登山口一体は湿原になっているので、植生を守るため山では生もの・人工物にこだわらず必ず持ち帰る。それより、左下の看板の熊が気になります。アルプスより遭遇率は低いですが注意は必要。
平坦な道筋が続きます。ナラ?の林が続きます。
苔に生える茸は何だろう。苔に覆いつくされ原木もままならないので特定は難しい。
白いヒラタケはブナか杉か。ブナなら食べれるのか。周辺にはブナは少なそう、杉はそれなりに生えている。縦スジの繊維質は杉のような・・・。スギヒラタケなら・・・猛毒キノコらしいですww
始まりは落ち葉と人工階段の緩やかな上りが続き標高を上げていきます。昨日は雨が降り翌日がえらく晴れるという予報通りの天気。意外にも落ち葉は乾いており上り易い。
うお!!蛇か!と思ってよく見たら、とんでもなくサイズのミミズは40㎝ぐらいありました。いや~~ここまでデカいと、かなりきもい!餌になる土が肥えているのでしょうねぇ。ミミズは皮膚呼吸なので、雨が降ると土の中にいたら溺れて窒息します。なので、雨上がりは地上に出てくるのだとか。湿気が好きなのに水に満たされると溺れるとか生物的にどうかと思う一方で、雨上がりの後、炎天下のコンクリートの上でミイラになるとかどうなんだろう。まぁ人間がコンクリ・アスファルトで固めて、土に逃げれない状況を作っているのが原因なんでしょうけど・・・。
階段を上りきると頂上への標識がありました。頂上まで1時間40分とコースタイム通りの表記です。
標識を少し進むと土が流れ出てしまった階段が続きます。階段としての機能はあまりなく、傍らを上がりますが急登なうえに、さっきと違いここの落ち葉がよく滑る。
階段を上がり切ると平坦と急登が続く、尾根道あるあるを繰り返します。ここではブナ?とナラ?の木々が目立ちます。
顔をあげると、葉はおおむね散ってしまい残り紅葉をわずかに楽しみます。
平坦な道と階段の上りの繰り返しですが、季節がいいこともあって疲労感なくマイペースに進んでいきます。最近の台風や嵐は雨の量も多いので、階段からの土の流出が止めれないのでしょう。ここでも、土停めの階段には土がなく脇道を行きます。
標高が上がるにつれ、木々は裸となっています。足元は柔い落ち葉なので足腰の負担は軽減される。
三合目までのペースはなかなかによい。標高690mとあります。登山口が510m。山頂が1100m。夏の暑さによる疲労がないと、疲れも少なく急登もあまり気にならず。
鎖場・ローブ場のある所も数カ所。画像のここが一番きつかった!斜度は体感70度ぐらい。先人の記録でも滑るとあったので要注意です。
相方がトレッキングポールを使っていますが、ここで終わりではなくこの斜度がさらに続きます。相方は落ち着いた場所で「ポールしまうわ」と言うので、その場でストップしたのですが、自分の足場は靴先1/3が掛かる岩の出っ張りで待機することに・・・。いや、思っていたんですよ『何でここでしまうんや、足場はかなりやばいけど停まってるから大丈夫か?』と・・・。相方のポールの収納を待っていたら・・・
まさかの突然の滑落www 四肢を食いしばるが全然止まらず4mぐらい落ちました。この足元、丸石に泥を塗りたくったようになっていて、かなり滑りました。そもそも足場が悪い急登前に「ポールしまって3点確保のほうがええんちゃうか?」と相方に問うたのですが、「いけるいける!」とドヤ顔で言うもんですから、信用した自分が悪いですわ。長年連れ添っているのにいつも相方の行動パターンの術式にはまっているではないか!!擦り傷はしばらく治りませんでした。年ですねぇ・・・。
擦過傷ぐらいで大事はなく、急登を終えると空が開けてきました。これは稜線歩きの予感。
ほほほほほお!笑みが止まりません。五合目に出た途端に広がる視界。このあとはご馳走しかありません。
雲が張り出してきているけど遠望は良好。笹原から蒜山高原を臨みます。終始この景色を眺めながら上がるという至福の道。
向かう凸のピークは本日のメインデッシュ。行く道の登山道が丸見え。
時間的にはそんなに経過していないのに、気持ちが逸るもんですから、山ではよくある「見えているのにぜんぜん近づけへん!」感覚。「すごいな~~」と普段景色への愛がない相方もちらちら景色を堪能。
上がって来た道を振り返る。よく歩きこまれた道で、土も流れていきそうで整備がたいへんだろうと思う。ありがたい。
見晴らしのいい稜線歩きだが、実は思っている以上に急斜で気持ちとは裏腹に歩みは失速。
なかなか近づかない山頂。一生懸命上がっているのにという気持ちと、疲労感がマッチングしない、この剥離された感覚がなんとも言えないのもピーク手前の楽しみでもあります。
ならされた「雲居平」に到着。これから往く稜線の笹原もばっちり見えています。平らになっているので、山頂ではなくここでお昼を楽しんでおられる方もいました。
雲居平からの蒜山高原。五合目からすると、随分と標高を上げてきました。
さてさて、最後の急登に差し掛かります。山頂手前のつづら折りがむっちゃ折ってますなぁ・・・。
ここからは虎ロープと鎖がある急登手前の七合目です。ツアー客がいてましたが、ご年配の方が多く渋滞の場面も。
そして、ちらちらと振り返って山容を楽しみながら。
だいぶ上がってきました~。常時この景色が五合目から続くので、むっちゃ画像とりましたw 下界に光が差し込む景色が神々しい。
遠方から見えていた葛籠折りに差し掛かります。撮影をしている自分を置いて、黙々と登っていく相方。眺望は効くが足元は油断がなく、かなり滑る。
葛籠途中で振り返る。歩いてきた道筋と美麗な山並みに感銘を受ける。
ただし、足元はこんな感じでズルっといきそうで油断はできません。
這い上がる鎖場と滑る急登の岩場がセットで続きます。おば様のツアー登山客が大渋滞。開けた所で声をかけて先を行かせてもらいます。
そしてまた振り返る、矢印の所の軌跡が見えるのは稜線歩きの醍醐味です。
さらに小葛籠の連続急坂を虎ロープと鎖で頂上を目指します。
鎖・ロープ場を越えて九合目に到着です。それでもなかなかに近づかない山頂。見えているだけに、まだかよ~~という声が漏れます。しかし、時計を見ると大して時間が経っていないw もどかしいビクトリーロードだw
さぁ、最後の上りです。さらに極小葛籠のジグザクを山頂へ向けて出発です。
いや~~このお山よく滑るんですわwwもっと早く啓発してちょうだいww 何回も滑りました。滑落もしましたわww どうでしょうか、感覚的には傾斜30度ぐらいのしんどい上り。
空が物凄く開けて遮る物がなくなりました。山頂の予感です。
駐車場には関西ナンバーの車もありましたが、鳥取の地元ナンバーがやはり多い。山頂は人賑わいがあり、有難く登らせていただくのだからと、マスクを着用してお邪魔しました。
ピークからは蒜山高原の広さと、雲の重圧、陽光の差し込み、とても絵になる風景が堪能できました。上がってくる途中途中の景色のほうが眺望が効いてよいかも。赤矢印の中蒜山への縦走路がくっきりと見えます。いざ登ってくると縦走したいなぁ、という気持ちが出てくるが時間はなし、膝の調子もいまいちなので、また今度。
ピークの標識傍の裏が空きスペースだったのでランチタイムです。三朝温泉の「いわゆ」さんでしっかり食べてきたが、山に入ると食べなければいう意識が強く・・・。おにぎりとカップ麺でお腹を満たします。寒い時期に山で暖かい物が食べれるということが至福です。やはり、この年の11月は季節らしい寒さがあり、ピークの1100mでは風が吹くとかなり冷えました。
山頂は程よい広さはあります。飯食ったし下りるかぁと準備していると、先ほどの20人ぐらいのツアーさん達が登頂して、すぐに山頂はいっぱいに。
さぁ、もときた道を下山です。山頂からの下山路と蒜山高原のパノラマ。時間を忘れて、ずっと眺めていられる。
9合目への急下りを慎重に。他の登山客さんらも面白いぐらい滑りまくりw まじでスリップ注意ですわ。
道脇にえらく真っ赤に紅葉したカエデの種類?
滑らなければ問題のない斜面だが、この山では鎖は頼れる存在。
黄金の笹原は何とも美しい稜線のトレールだ。下りるのがもったいない・・・ゆっくり味わいながら。ため息がでますよ。
所々に忘れたころに現れるリンドウは密やかに咲いています。
7合目付近まで帰ってきました。晴れてるとかなり空が広んだろうなぁ。いや、雲があると遠近感が際立つのでそれはそれでよし。
この至福の時間も、もう少しで名残惜しくも終わりです。
そして、五合目からは再び樹林帯の中へ・・・。
この辺りはすでに葉はほどんど散っており冬の気配を感じます。そろそろ、今年の登山のシーズンも終了かな。樹林帯に入ると景色がなくなるので一気に加速。
標高が下がってくると青い葉が残る木も増えてきます。緑と黄の光を浴びながら風にそよがれると、何となく儚い気分になるのは年のせいだろうか。
かなり標高が下がり周囲がまだ緑が残る中、真っ赤に染まるのはシラキかな?
木造階段まで帰ってきました。ここまでくるとあと少し。
最後の案内標識まで戻ってきてあと500m。
こちらもまた赤く染まっているのは同じシラキだろうか。
完全に乾いてしまっているサルノコシカケ。
生き物たちに目をやっていると駐車場が見えてきました。下山したのは昼の1時過ぎぐらいだったのに、次から次にやってくる登山客の車。5時には日の差し込みがほとんどなくなりかなり暗くなるのだが、健脚だと往復2時間ぐらいでいけるのだろうか。山頂で夕焼けを楽しんでスピード下山とかならこの時間なのかな。
いつか行こうと思い、はや3年以上が経過してようやく登れました。縦走の予定でしたが、メインはもともと下蒜山の笹原だったので満足した山行ができました。次はどこのお山で遊ぼうか。