
伊豆下田にある昔ながらの風情を保ちながらも、源泉かけ流しのスーパー大浴場を昔と変わらず維持されている旅館です。びっくりするぐらいに日帰り客が次々に訪れ、往訪時は21時まで受け入れされておられました。本当にびっくりの日帰り客数に驚きしかありません。とにかく、湯量が凄まじく日帰り客を受け入れても湯のへたりは一切なく、前情報がほぼ無かったので期待はしていなかったのですが、予想外の伊豆の季節の味覚を堪能させていただきました。
※記事の内容は宿泊した当時の内容となっていますのでご参考程度に。最新の情報は各々ご確認下さい。
旅情

一見では通り過ぎてしまうのほどに案内はないが、存在感のオーラを発している旅館前の道路です。

無造作にある空地のような駐車場に好きなように停めて、玄関前に行くと立派な車寄せがありました。日帰り客は憑りつかれたように金谷旅館さんの湯に引き寄せられて来店します。実際に「お風呂ですか?」と第一声で声を掛けられたので、湯を求めてくるお客さんの層の厚さが伺えます。

手で空ける昔ながらの玄関戸には、見出し画像にするか迷ったガラス戸の印字があります。

登録はされておらませんが、普通に50年築は超えておられるであろう玄関は有形文化財さながらの様相です。

玄関は広くなく15時のチェックイン時間に到着した時には、下駄箱はほとんどが日帰り客で埋められていました。

帳場隣にはピアノがある待合室があります。

少し進むと正面に混浴の千人風呂である女性側の入り口があります。

女子風呂前は自販機と休憩処。自販機は少々お高めの値段設定。
周囲に商店がないのも影響しているのかもしれません。

自販機のある部屋のさらに奥には湯上がり処があり、かつては宴会場か部屋だったような風情です。

玄関上がって帳場隣からは、最奥に男湯がありレトロな洗面台が見えます。

2階への階段はギシギシと木の軋む音が旅情を醸し出します。

上階へ上がると広間と思わしきお部屋があり、奥と手前で戸で仕切られているという不思議な造りです。

階段を降りて洗面台前の階段下を潜るように伸びる廊下を進んでみます。

左手は帳場のスタッフルームでしょうか。
奥に階段が見えてきます。

階段は1人だけ通行できる大きさしかない幅になり。

最後は螺旋状の階段となります。文化財などのお宿でも、この螺旋状の階段を木造で再現しているのは、建築当初では物凄く画期的であったと見聞きしたことがあります。

正直この辺りから記憶は朧です。
振り返ると「ふじ」というお部屋。
ホテルのように並べられた部屋ではなく、廊下の上に部屋があるようなこのような構造は当時の大工さんはどのような発想をもって建築していたのか・・・。

確か・・・赤矢印の所から上がって来たのかなぁ・・・全く記憶が蘇らないですが、とにかく四方八方に階段と棟が伸びているので事細かくは訪れて探険してくださいww
おそらく山の傾斜に沿って建っている建物ならではの構造です。

上画像の木造から何故か、がっしりとしたコンクリート造の建物に移行します。
砂利玉が埋め込まれた高度成長期前ぐらいの趣向でしょうか。

一室の玄関が開いていたので少し覗かせて頂きました。
2段になった上がり框も板の間と畳に分けてあり、畳は新しく後から造り替えたものだろうか。

何とも風情のある部屋です。襖を開けるといきなり本間があり奥が次間のような・・・いや、手前が次で奥が本間だろうか。でも、小さな床の間があるので、こちらが本間になるのでしょうか。障子から入る日光がとても贅沢に降り注ぎます。

階段の下にも部屋があります。
すでに何階なのかも分からないところにいます。

階段を登るとさらに部屋が並んでおり思った以上に部屋数があることに驚きです。
文化財に指定されるような古いお宿は、増設されていることが多く移動距離がむちゃくちゃ長くなるので、スタッフさんが忍びように移動しておられるイメージが強い。

ここの天井は舟屋風になっているのに、Z字のように曲がる廊下は見たことがない装飾です。いつも思うのですが、バラ科の桜のような幹感を感じる木はどうやってまっすぐにしているのか。熱を加えたりしながらまっすぐに加工していくのか。職人さんは木を自在に加工しているのでしょう。

さて最奥まで進んでから玄関に戻ります。

男湯の暖簾は混浴の千人風呂の男性側の入り口です。

レトロな洗面台には100円を投入して使える昭和中期以降のドライヤーが設置されていました。実際には使っていないですが、このドライヤー・・・安全に動くのか・・・??

男湯の隣からも部屋が続いています・・・廊下が多岐にわたり過ぎるww

見落としそうな所にある扉を開けると、奥には階段が見えます。

小上がりの階段を上がると左右に上下に上がる昇降する階段があります。増築により分岐が増すのも古い建物ならではの特徴です。

下は萩と言うお部屋。

上にも一部屋があり、この棟だけは離れの一棟のようになっていました。
これまで宿泊したお宿でも、なかなかの難易度の館内でした。
どのお部屋も泊まってみたい旅情がありますが、とにかく階段と移動距離が長いので足腰が元気な内に訪れることをお勧めします。
お部屋

案内して頂いたのは男湯入り口隣にある「はぎ」というお部屋です。

本間6畳+踏み込み+トイレ+洗面+バスのこじんまりとした間取りです。

部屋は階段を下りた所にあるという地下?に近い構造です。
一畳+一畳のL字の踏み込みがあります。

反対側からみるとこのようになっており、円を囲むような構造に本間があります。

本間の上にあった本来である部屋の表札。
こちらが本来の表記?かつては扉による区切りがなく、襖一枚で部屋としていた名残かと思わせます。

大きさ的に江戸間の6畳なのでさらにコンパクト感があります。
ただ、鏡台などもあり、冷蔵庫はかつては水屋棚だった思わしきところに収納されています。

予約時の部屋の説明には「茶室風」とあったのですが、風ではなく畳には炉切りが成されており完全に茶室です。しかも、畳が新しいので必要があれば茶室として使われているのかも。

お茶をたてる人が入室する茶道口があり、この部屋はやはり茶室ということが分かります。

窓からは南天と中庭だけで眺望はありません。

茶道口から廊下にでると羽目殺しの扉。

振り返ると洗面と安心のシャワートイレがあります。

カーテンの向こうには昭和館の溢れる膝を折って入るタイプのバスもついています。
ただし、このバスは温泉ではありません。

古めかしいお宿なので、湯治的なのかと思いきや充実のアメニティ。使い捨てのシャンプーなど一式あり、浴衣、バスタオル、冷蔵庫、湯沸かしポット、空気清浄機などなど。
2022年滞在時はバスタオルと使い捨てシャンプーは追加可能でした。さらには高級旅館にある夕食後の、お茶セットの入れ替えもありました。
お風呂

金谷旅館さんでは、名物である混浴千人風呂と併設された露天風呂、女性専用の内湯、貸切風呂が2カ所あります。自家源泉を2本使った混合泉となっており、分析表をみていると源泉温度は36度と分析表にはあるのですが、夏にいくと結構な「あつ湯」でした。天然資源である温泉にはよくある温度の変化。泉質はツルツルスベスベとした皮脂が良く落ちる無味無臭のアルカリ性単純温泉です。湯量がとんでもなく凄まじく、当然のように源泉かけ流しで常に新鮮な源泉を楽しめる湯使いとなっています。着目するのは千人は入れませんが、それほどの大きさがあるという千人風呂は金谷旅館さんの魅力の1つです。その湯のクォリティーと湯情の高さを求めて、日帰り入浴受付の21時までひっきりなしに外来客が訪れます。
千人風呂

いきなりメインである千人風呂から巡っていきます。公式HPから抜粋すると、日本一の総ひのき風呂と豪語する自慢の湯屋は、アーチ状の天井を有し圧巻の湯舟の大きさに満たされた源泉の湯量は他ではまず見られない情景です。
ただ、この千人風呂は上述したように混浴です。女性はバスタオル巻きOKなので難度は低めとなっています。ちなみにですが、カランはありますが、シャワーは一基のみと付記しておきます。玄人温泉旅館です。

反対側からはこのようになっています。湯力は優しくオーバーフローが始まると洗い場に湯がダバダバと溢れ出ていきます。

男性脱衣所の最も手前にあるこの湯舟は、浴場の中で最も「あつ湯」が楽しめるようになっています。

湯舟の大きさに対して「そんな注がんでもええやろ!」とツッコミたくなるぐらいの湯量です。冬場以外だと結構な「あつ湯」となっているので、冬季だと湯感は最高だと思います。夏場はすぐに湯で上がってしまいました。

湯口に比例する溢れ出しは・・・どんなけやねん・・・と再ツッコミいれたくなるほどに贅沢すぎる溢れ出しです。

大湯舟の最近端にある4人ほどが入れる大きさの湯舟からは、「あつ湯」がザブリザブリと注ぎこまれており、先ほどの湯舟と温度差はないような肌感です。ここで一端湯冷ましをしてから、大浴槽へ放出されているように思えました。下層に行くほど湯温が下がる仕組みです。

注ぎ口の上段は少ないように見えるのに、下段はとんでもない湯量です。舐めるような極上のツルスベ感は、後程口述する貸切風呂よりvery strongで恐らく湯量による違いが大きいようにも思います。ただし、湯口から離れるほうがツルスベが強くなり、空気と混ざるとより湯肌感は増すようにも感じます。

湯舟の淵全域から捨てられる湯は圧倒的。音もなく、当たり前のように洗い場へ溢れ出しています。

中央の柵には意味があり、手前は浅い浴場で腰座湯が出来るベンチ、奥は1mぐらいの深さで女性なら胸くらいの水位で座れる高さにベンチが設けてあります。
赤矢印は男湯?混浴?の露天風呂への入り口です。
赤矢印部分が最も長湯でゆったりと寛げる湯温だったので、この辺りでゆっくりとさせてもらいました。

最も寛いだ地点である、源泉湯口から最も遠い場所に当たる場所から。湯温は体温に近く一番眺めが良く、湯もみされてから湯が行きつく先なのか、ツルスベ感が最強に感じられました。

湯舟中央にある謎の女性のモニュメントですが、何か意味があるのかと思うのですが私的は全くわからない・・・。

女性は2026年でもバスタオル巻いての入浴が可能となっています。この配慮も泉質に影響がない湯量のおかげでしょうか。女性でも千人風呂を味わうという点ではハードルは低めだと思います。相方論ではワニ族の目線はかなり凄かったそうです。と言うてもバスタオル巻きなので水着より露出は少ない・・・。
露天風呂

赤矢印の千人風呂からこじんまりとした露天風呂へ移動。
リクエストがあったのか、露天風呂は少々とって付けたかのような感じです。

露天風呂へ移行すると手前には深めの埋め込まれた浴槽があり、じゃばじゃばと源泉??を注ぐ塩ビ管。

他にも注ぎ口があり、熱くはないのですがいずれも源泉なのだと思います。

露天風呂には少量ながらも打たせ湯もありました。

赤矢印のかつては注がれていたと思わしき湯口も微動だにせず、露天風呂は体温よりやや低目の温度設定でいつまでも入っていられる極楽湯です。ただし・・・景色などがないので露天風呂は、壮観すぎる千人風呂が大人気で滞在中の利用者は見ませんでした。
女性大浴場 万葉の湯

女性の内湯は不可思議な構造となっています。奥の半円になっている部分は特に珍しく、木造の女湯といしては国内最大と公式HPにあります。
手前には区画された升席があり、奥は「あつ湯」、手前は「適温」に調整されています。
相方はほとんどは千人風呂にいたので、こちらはほとんど利用していたのでうろ覚えで参考までに。

右手ある湯口の無い一番大きな湯舟は「ぬる湯」の腰湯となっていたようです。
手前の湯舟は、他に溢れ出す湯舟がないので源泉そのままでかなりの「あつ湯」だった??と思うという・・・・

千人風呂に比べるとやや控えめの湯口です。
それでも他所様の源泉かけ流しと比較すると湯量はとんでもありません。

女性側にも専用の露天風呂が設けてあります。
失礼ながらも、金谷旅館さんに訪れる女性客でこの露天風呂を所望される客がいるのだろうか・・・と呟く。訪れた時には女性の泊り客はかなり少なく見えましたが、外来客の時間が終わってから入りに来ている印象でした。
貸切風呂

貸切風呂へは玄関から屋外へ出る外廊下を通ります。

すぐに湯屋が見えてきます。
宿泊者限定とは、どこにも表記が無かったのですが、利用者はほとんどいませんでした。

貸切風呂は2カ所あります。もちろん屋外直結なので冬は寒く夏は暑い。
この感じからすると、かつては男女別の内湯だったのではないでしょうか。

湯屋は明治期から使われている最も古いそうですが、当時の物は屋根の一部だけ残っていると公式HPにあります。
浴場は左右対称となっていて男女別の浴場だった線はやはり濃厚です。

注ぎ口は「あつ湯」となっていて、湯量は千人風呂に比べるとかなり少なく、あつ湯故に敢えてこの量に調整してあるようです。

湯舟には間仕切りが設けてあるのですが、間仕切りの底に隙間があり隣の湯舟と湯が行き交うようにしてあります。右手で注がれ源泉が左へ底の隙間を通って流れていくようになっています。かけ流し口から熱湯、適温、ぬる湯になっており、湯が底から移動することで湯温のバラツキがなく入り分けでできるようになっているという温泉好きの心情を察しています。ここの源泉からは微力な鉄錆臭がするような気がしました。シャワーは1つだけあります。
片方の湯舟も対照的で仕様は同じのようでした。
お料理

朝夕共にお部屋食でした。「机に乗り切るかしら・・・」と配膳係さんのお言葉通り全て出切った状態は、確かに机一杯に配されたお料理です。

通常であれば御飯、止椀などは後出しのようですが、流行り病下ということもあり、ご時世柄一気出しとなっていました。
記事をしたためている時点2026年では、暖かい物は後から配膳されるかもしれません。

最初から炊き込みご飯は炊飯器で、留椀も最初から配膳されます。
朝夕共に部屋食となっています。 往訪する前はプランの内容からするとスタンダードな海鮮料理を想像していたので、失礼ながらも期待はしていませんでした。時間になり配膳が始まると思った以上に華やかで丁寧なこしらえ。器などが今風でイタリアンのような一品もあれば、生臭さとは無縁の新鮮美味の海鮮がずらりと並びます。パンフレットには料理には全て自家源泉を使っているのだそうです!すごい・・・全ての料理に源泉を使った料理はもっと推してもいいんではないかと。 お品書がなかったので、給仕係の方から聞いた内容と、実際に食べた感触から献立を作っています。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。
夕食

【食前酒】:梅酒
甘味はゆったりとしているが梅酒特有の風味は濃厚。しかし、さっぱりとしていて後を引かず食前酒にはぴったりです。酒度はそこまで高くなさそうですがやや喉が熱く。

【先付】:胡麻豆腐
生地は硬めの杏仁豆腐やわらび餅ぐらいでデザートのような食感です。炒りゴマ風味が濃く、添え付けの豪華食材のウニやイクラといただくと胡麻味により深みが増します。浸し出汁はイクラの醤油を使ったものなのかイクラ風味が香ばしい。季節の彩りにはラデッシュ、ワラビとコゴミを添えてあります。

【前菜】:菜の花と桜海老のお浸し ホキ貝と茎ワサビの酢の物 蛍烏賊酢味噌 烏賊真丈 白魚磯部揚げ
緑が良く映える菜の花のお浸しは桜エビの色が溶け込んだ出汁がほんのりピンクで綺麗。桜エビの風味が豊満です。 中央は細かく刻んだメカブと弾力のあるホキ貝、シャキとした歯応えに辛味は大根?、細切れ酢ジュレ、清く鼻にくるのは地産名産の茎ワサビの上品な酸味の酢の物。 右上のホタルイカは日本海初夏の名物。プリスルリと口に残るものはなく目玉はとってあるようでした。酢味噌はわずかな辛味がある辛子を練り込み、甘々の味噌は自家製の伊豆味噌でしょうか。かなり旨い味噌。 左下の立方体はぷっつんするすると歯が入ると弾けるイカの真丈天です。塩はやや強めに持たして揚げてあるので、どちらかというとさつま揚げに近い仕上げです。緑には枝豆、赤には桜エビが練り込んであります。 白魚は青海苔を衣に入れた磯部揚げという粋な逸品。普通に食するよりも味わい深く、よりシラウオの味わいが感じられました。百合根の桜花を散らして春の名残。

【向付】:鮮魚盛り
今回のコースのメインデッシュである鮮魚の造り盛り合わせです。予想していたよりも色鮮やかで華やかで、ギラギラ活かった魚が散りばめられています。つまも豪勢です。大根けん、大葉、彩り海藻クリスタル、青赤トサカノリ、ハスイモ、桜人参、三日月人参、ラディッシュ、紅芯大根、蓼、本山葵、紫蘇花。どんなけ盛んねん!!吟味に困るやないか!!とつっこんでしまいました。

最も目を引くのが伊勢海老ですが、これまで食べたプリプリではなくとは違う洗いのようなゴリゴリとした食感。荒波の揉まれたからこうなるのか洗いのように仕上げてあるようにも感じます。よくあるエビ特有のネットリ甘いとは異なり、筋肉質で透明感のあるエビ味に淡い甘風味が鼻をサラリと抜ける。 サワラは焼物と同じく身振りはしっかりですが、脂のギラつきが凄くサワラトロで美味すぎます。皮を焼き霜にしてあるので皮下脂の焼き香ばしさも加わり贅が極まっています。 最下段にはイカ素麺の盛り込みがありコリッゴリッと、良い意味で歯切れが悪く跳ね返ってきます。新鮮故なのか甘味よりも爽やかさが鋭い。

反対側に行くと透き通る貝柱の味わいがあるホタテは、普段口にする熟したまろっとした口当たりはなく口に残らない帆立コクだけの新鮮さです。 名産の桜エビは殻の抵抗感はなく、素材を楽しむのであれば醤油は不要でした。シャクシャクとルビーのような澄んだ甲殻味です。 真ん中にあったのは色合いはカジキマグロ?のような色合いですが、味わってみると本マグロ?の中トロのような上質な脂です。本マグロの幼魚であるヨコワでしょうか??切り口が虹色に活かり赤身味が濃い。味付は甘味のある塩強めの薄口醤油で切り身の端を少しだけ浸けると、素材の旨みが最も味わえる醤油です。

【焼物】:鰆麹焼き
【一品】:鱈子生姜煮 若筍
古風な旅館料理かと思いきや、今風の洒落た波打ったお皿に盛られた二品。

サワラは鼻に抜ける程度の緩やかな甘味に深みのある味わいは麹。味噌か酒粕に軽く漬け込んでから焼き上げたような旨味が感じられます。添え付けには丸十レモン煮とはじかみです。

一気出しでしたが少しだけ温かさが残っていました。春先の旬のサワラは脂の乗りがいいと言いますが、麹で締められているためか肉質はしっかりとしています。崩れず食べ応えがあり食べ進めると脂加減が滲みだす旨味。

添え付けの一品はタラコのショウガ煮です。花を咲かせたタラコとタケノコの雅な季節の和スタンダードな献立です。口に含むと良く知るタラコ味ではなく、とんでもなく優しく飲み込む時にだけショウガが鼻をふわりと撫でていきます。お出汁にショウガの搾り汁を数滴だけ使っていそうな感じです。少し力を加えるとポリンと折れてしまう程の稚タケノコ抵抗感。そして、成熟した臭みは全くなく、普段食べているのがタケノコがタケノコでなくなる瞬間を味わえます。タラコとは別に炊いた炊き合わせ。しかも、このタケノコはお取り寄せではなく自家製なんだそうです。確かに敷地が大きそうなので竹林があれば極上のタイミングでタケノコが採取できそう。

【蒸し物】:サーモンと鱈?の真丈 トマトソース
盛り方は和ですが、見た感じは器からしてフレンチ?イタリアン?といった風貌をしています。トップの飾りにはレンコンチップ、素揚げのしし唐、細切りプロセスチーズの寄せ揚げです。

ふわふわの真丈と思わしきものを割り割いてみると、中から1㎝角ぐらいのサーモンと恐らくタラがコロコロと出てきます。生地はシュワっと溶けていき、サーモンとタラの味わいが混じって美味です。ソースはタマネギとガーリックが効いたような完全イタリアンのトマトソースは、和の真丈にほどよく馴染みます。カマボコのような練り物と洋物ソースのコラボは新しいジャンルになりそうなテイストです。しかし、溶けた真丈らしき正体は一体・・・献立ではタラとしましたが謎のままです。

【台の物】:金目鯛すき焼風
鮮やかなピンク金目への付け添えは、ゴボウ、里芋、白ネギ、シメジ、人参、生麩、レンコンです。台の物で魚料理を仕上げるというのも和では珍しいかと。

火力がかなり強く、しばらくすると陶板から勢いよくシュシュシュと湯気が上がります。「火が止まると食べ頃です」とのご案内。火がとまり蓋を開けると甘辛い醤油の匂いが沸き立ちます。酒とみりん?風味の強甘味の割り下は、半身浴ではなく足部浴ぐらいのすき焼風に浸してあり、出来上がっても浸けないと頼りないが、割り下を付けて食べると素材の味がよく分かります。

金目は火が入ってもピンクの鮮やかさは失われず美しい色合いはそのままです。脂の乗りはあまりなく、むしろ身がぎゅぎゅと締まっており、割り下のマイルドに味付けが成され、脂がタンパクで金目の旨味だけをしっかりと味わえます。

【食事】:季節の炊き込み御飯
【止椀】:赤出汁
【香の物】:2種
御飯は自家製のタケノコ御飯です。醤油加減は絶妙で辛くもなく薄くもなく、香の物が丁度不要なぐらいの匙加減です。最初は油揚げ風味が口に広がり、どこにタケノコ要素が?と思い、タケノコに到達してコリッと割った瞬間タケノコ味が、そこを退けとグイグイやってきます。そして、青味のワラビが落ち着けと和らげてくれます。赤出汁は皮を剥いた焼き香ばしいナスとコリコリした赤海苔で、とても口当たりのいい京風の赤味噌仕立てです。香の物はゴボウのピリ辛味噌、不揃いな味と形は自家製の桜漬けでしょうか。これが実に美味しかったです。

【水物】:チョコレートケーキ わらび餅 生クリーム
信楽焼の皿に盛られたスィーツは、自家製たっぷりのリンゴ?洋ナシ?のコンポートを巻き込んだ表面はパイのようなチョコレートケーキです。ブラウニーまではいかないしっとり濃厚チョコ生地です。わらび餅は黒蜜仕上げですが、まったりとした甘さはないが、弾力豊かで黒糖の香りだけは強く持たせてあり、強弾力の餅には甘さ控えめのきな粉をまぶしてありました。生クリームもそれぞれによく合い味変を楽しんで締めました。
朝食

時間になるとお布団を上げてすぐに朝食の準備です。

・筑前煮(里芋、蓮根、椎茸、人参、牛蒡、筍、鳥肉)
・サラダ(水菜、大根、人参、紫キャベツ)、胡麻ドレッシング

・厚揚げとキノコのお浸し
・大根しらす

・胡瓜醤油漬け 梅干し
・玉子焼、鶏団子、チーズ蒲鉾、明太子

・鰺の一夜干し

・焼き海苔
・ニンジンジュース

・伊勢海老具足煮
・白米
筑前煮は自家製のタケノコが夕食と変わらずとても美味く、鳥の出汁が良く滲みだしていて温かく配膳されます。 サラダはレタス系を使わずボリュームがあります。厚揚げは1㎝角に切りシメジとシイタケ、菊花で炊き厚揚げの油が香ばしく。 甘口の玉子焼やしっかり弾力の鳥団子、チーズかまぼこ等はパックと思うのですが安物ぽくなく美味しい。手作り?地産もの?でしょうか。 伊豆方面にくると100%に近く朝食に並ぶアジの焼物は熱々に並べてくれ他のお宿に比べると脂がしっかりとのっているのに小振りで食べ切りがうれしい。 ニンジンジュースはこれもお自家製?というぐらいスムージーのような荒絞りです。 つやつやの白米に朝から豪華に伊勢海老の頭を使った味噌汁が付いてきました。要らないなと思うおかずはなく、品数は多いが美味しい物を少しずついただける朝食でした。
まとめ
風呂と古来の建物を目当てで前々より往訪したかったのですが、食事の情報が圧倒的に少なく躊躇していました。往訪したのは流行り病直下だったので、大型旅館やホテルは避けたいと金谷旅館さんへ。料理は予想を良い方向へ裏切られて素材本来のおいしさを活かした海の幸は、伊豆の名食材であるイセエビとキンメもメニューに盛り込んだ、値段から釣り合わない豪華な内容に驚愕です。一点難点ではないですが、千人風呂は21時まで外来湯の受け入れをしているので、訪れたときは脱衣籠の占有率は常時50%以上を超えていました。バスタオルを巻くことが出来るとはいえ、ほとんどが男性客なので明るい時間帯は女性は少々入りずらいかもしれません。泉質は保証付きの新鮮湯で素晴らしいの一言で、ひっきりなしに外来客が温泉だけを求めて来訪するのも頷けます。文化財のような木造宿なのでビジホのような快適さではなく、昔ながらのノスタルジーな湯治を楽しみたい方は是非に訪れるべき宿かと思います。
宿泊料金
2022年当初に比べると2026年3月では土曜日泊は35000円から39000円代に値上がりしています。セールクーポンが適用できるなら「じゃらん」が最もお得な気もしますが、安定・直前予約の割引であれば「Yahoo」の誰でも10%ポイントoffがいいかもしれません。公式でも楽天、じゃらん、一休での予約案内となっています。
宿泊日:2022/初夏
旅行サイト:じゃらん
プラン:【梅コース◆四季折々の会席】当館一番人気!<地物伊勢海老・新鮮のお造り・金目の煮付け・季節の2品>♪
部屋のタイプ:【こじんまりとした茶室風和室>-萩-6畳
合計料金:35500円(2人)
クーポン:春セールが更にお得になるクーポン4500円
支払い料金:31000円
加算ポイント:1065p