
「世界最古」の宿としてギネスブックにも登録されているという慶雲館さん。開湯は飛鳥時代で慶雲2年という事からあやかった名称でしょう。千年以上沸き続ける湯は浴場、部屋風呂は源泉かけ流しの無二であり、百名山北岳の登山口傍にある秘境宿でもあります。
※記事の内容は宿泊した当時の内容となっていますのでご参考程度に。最新の情報は各々ご確認下さい。
旅情

秘境と言えども慶雲館さんまでは片側一車線なので安心して訪れることができます。

突如、山中にえらく近代的な建物が現れます。

旅館前にある駐車場に駐車すると、時間前から待機していたドアマンさんが駆け付けてくれました。

誘導されるがまま車寄せに着けて荷物と車をあずけます。

22部屋の客室という規模としては玄関はとても広い。

真ん中にフロントがあり、大窓があるロビーはとても開放的です。
少し懐かしい昭和や平成の雰囲気があります。

大窓からは枯れの冬景色。谷間にあるので紅葉シーズンは素晴らしいかと思います。眼下にある早川は泥水の渓流となっており、恐らくリニアの開発の影響でしょうか。

ロビーには喫茶スペースとお土産処があります。菓子類やお酒も置いてあるので、お部屋でゆっくりと過ごす際のお供も困らないラインナップです。

渓谷に建っているのでフロントは3階にあり、下階に向かうと客室がある珍しい造りです。

4階にある野天風呂前には湯上がり処があります。

湯上がり処には温泉水、冷水、麦茶の用意がありました。

湯冷ましもできるテラス席も。

男女別の大浴場も同じ4階にあります。

2階には小宴会場の小部屋がありました。

夕食後だったので、すでに朝食のセッティングがされていました。

さらに1階に下がると3つの野天風呂があります。

1階の湯上がり処にはアルコールとソフトドリンクの自販機に冷水も用意されています。ソフトドリンクは一般的な御値段ですがアルコールは少しだけ高く。

野天風呂への外廊下も赴きのある道です。
お部屋

案内して頂いたのは「新宮川」というお部屋です。

間取りは本間12畳+外縁+洗面+バス+トイレです。

到着したらすぐに部屋への案内だったので、記帳してウェルカムドリンクの「ユズ茶」をいただきます。甘さ控え目の爽やかな味で、お茶請けは山塩羊羹で中には花豆?の甘煮が入っていました。

玄関戸を開けると大きく取られた踏み込み。

玄関の天井を見上げると網代になっている数寄屋造りです。

玄関からは洗面と浴室があります。

高級ドライヤーにこれでもかとアメニティが置いてありヘアームースまであります。

バスはこじんまりとした浴槽です。

慶雲館さんでは全ての部屋に源泉が引かれており、一般客室でも部屋のお風呂は源泉が出るようになっています。最初は温いかとおもったらやがて源泉に近い温度になるものの蛇口から掛け流しでヌルヌル硫黄臭の湯が贅沢に楽しめます。
お値段は張りますが露天風呂付のお部屋もあるので余裕があれば・・・。

本間は12畳あるのでかなり広々と使えます。

玄関から本間に移行する吊り箪笥の上の物置のような所には網の窓。

吊り箪笥の下には水屋がありました。
茶室として使われていたのかもしれません。

床の間の横にある僅かなスペースにも網代を張り床柱も生木で仕立ててあります。

本間の天井にも贅沢な木の装飾が渡してあり鉄筋コンクリートであることを忘れてしまいます。

公式HPの写真を見ているとこの座卓には円座が置いてありました。
広縁セットが室内に用意してあったので濡縁セットは無くなったのか、冬季だから外してあるのか。

山間部はすでに冬季に入っており、紅葉はなく雨天ということもあり少々侘しさを覚える景色も一興です。1階は川に近いですが、2階の方が眺望は良さそうです。

高級旅館らしく思う物は全てそろっています。バスタオル2枚、浴衣2枚とお風呂好きのニーズも分かっておられる。お布団敷の際に、お茶セットの入れ替えありました。
お風呂

男女別の大浴場2カ所、露天風呂が2カ所、貸切野天風呂が2カ所あります。説明書きはなかったのですが、わずかに成分が異なる2本の源泉を使用しているようです。泉質はナトリウム・カルシウム―硫酸塩・塩化物泉のアルカリ性単純温泉です。
肌感は強いツルヌル感があり迷わず摩りたくなるほどです。わずかに硫化水素である硫黄臭があり、口に含むと微塩を感じるもオイリー?な風味もあります。肌感はやさしく湯上がりはしっとりとした至極の湯です。
慶雲館さんの温泉の特徴はやはり圧倒的な湯量です。シャワーも温泉が使われているようで硫黄の匂いがします。源泉の温度もかなり高温で50.9度とあり、加水加温なしの正真正銘の源泉かけ流しとなっています。

たくさんの湯屋があり利用時間も異なるため、湯巡りをする際には事前確認しておくことをお勧めします。
望渓の湯

慶雲館さんの顔とまで公式HPでいっている野天風呂です。確かに最も風情があったのはこの浴場です。

湯舟は5人ぐらいなら足を伸ばしてプライベートスペースを確保できる大きさ。

不思議なのは源泉の投入量です。しばらくは一定量がタップリと注がれるのですが、突然「ボコボコボコ!!」となってさらに大量の湯が注ぎ込ました。その瞬間だけかなりの熱湯が注ぎ込まれていたので源泉の温度かと思われます。掛け流しではあるようですが、入浴しやすいように温度管理がされているのかもしれません。
飲泉可能なのでカップ付きです。まろやか硫黄泉の口当たりです。

湯量も多すぎるので溢れ出しも豪快です。湯舟の特に中央横からザブリザブリとこれでもかと捨てられていきます。

立ち上がると絶景の谷川が見えます。紅葉や雪見のシーズンはさぞかし最高の入浴になることでしょう。

湯舟に浸かりながらの景色は冬季とは思えない。なんというか初夏のような山霧。

野天風呂といっても洗い場もありシャワーは2基ありました。
白鳳の湯

望渓の湯と対になる浴場です。
石造りの湯舟は10人ぐらいはいってもまだ余裕がありそうです。
夜半にいったのもあるのか浴場の中では最も熱い湯温でした。

注ぎは望渓の湯に負けず劣らずで常時この湯量が注がれています。
ここにも飲泉カップが置かれていました。

湯面の高さには析出物が付着しており、白色の優し目の温泉成分であることを物語っています。

こちらにもシャワーは2基ありました。

利用はしませんでしたがサウナもあります。
石風の湯

石造りの内湯の大浴場です。こちらには十分な洗い場があり、何故にこの形になったのかと思う湯舟があります。

直角三角形の先端になる部分は完全循環のようでジェットバスとなっています。

直角の部分にある浴槽は7人ぐらいは余裕に入れる大きさです。

湯口には白い塩分とカルシウムの析出物がほどよく着いており、循環湯ではなくこの湯量が全て源泉です。

湯船の縁全体からザブリザブリとオーバーフローがあり、大人1人ぐらいなら湯舟を出た瞬間から溢れ出しが再開します。
桧香の湯

もう1つの内湯の構成は石風の湯とほとんど同じです。ただ、湯船がヒノキとなっており、温泉成分によりとにかく滑りまくるので注意です。

奥にある小さい湯舟は、石風の湯のものと同じジェットバスです。

メインの大浴槽は石風の湯よりも大きいのではないかと思います。他の湯船では確認できなかった、白い湯の花が浮遊していました。

湯口の周辺は白い湯の花が付着していました。
こちらの湯口もとんでもない量の源泉が惜しみなく注がれています。
ここの湯舟が最もツルヌル感が強かったように感じました。

湯口周辺だけ注ぎの勢いが強いためか変色がありませんでした。

こちらも遠慮がないほどに淵全体から溢れ出します。
とにかく滑りまくるので出入りは慎重に。
貸切風呂 瀬音

もう1つの川音とほとんど同じ大きさの湯船です。
こちらのほうが僅かに開放感があります。

川に近く寄せてあるので湯冷ましに岩に座ると渓流が見えます。

湯舟は5人ほどでMAXですが、かつては貸し切りではなかったのでは?という大きさです。

捨て湯は川に直接流されていきます。この湯量はもう小川レベルです。

大浴場に比べると源泉温度が高いため控えめな湯量ですが、湧出量が少ない温泉地からすると贅沢過ぎる注ぎです。

この大きさの湯舟と湯量を貸し切りと言う贅沢はそうそうないかと思われます。

ここにもシャワーが一基ありましたが、ソープ類はありませんでした。
貸切風呂 川音

湯舟の大きさはほとんど同じで、瀬音とはかつては男女別の露天風呂だったのではないかと想像できます。
大浴場は湯の温度が管理されているようですが、貸切の露天風呂は昔のままの仕様なのか、朝一番にお借りしたときには「かなりのあつ湯」となっていました。

こちらもソープ類はなくシャワーは一基ありました。
お料理

朝夕共に個室か部屋食が確約されたプランだったので、かつては客室として使っていたような部屋での用意です。
夕食
料理の全容は山のお宿らしく、海の物を使った食材がない京風会席です。献立は特別変わったというお品はなく、昨今のモダンな献立をイメージしていると、少々おとなしめな内容です。しかし、それを覆すのは味付けと食材の選定です。季節の厳選された物を用意して、京風らしく素材を活かすための繊細かつ上品な味付けで、塩・醤油などの調味料が絶妙な配分にあり、素材の本来の味を最大限味わえるように仕上げられています。料理が美味いとリピーターが付くのも頷けます。

最初の配膳には食前酒、先付、前菜が用意されていました。

【食前酒】:かりん酒
最初の口当たりは梅酒?と思う程に風味が似ているが、しっかりと鼻を通る薫りは濃厚カリン。アルコールは飛ばしてあるようですが、ホワイトリカーの焼酎風味と氷砂糖で甘々の自家製と思われる味わいです。最近の会席料理では爽やかな食前酒が多い中、かなりこってりタイプです。

【先付け】:胡麻豆腐
ユニークな器に盛られた、たっぷり出汁に浸されたごま豆腐です。瑞々しくプルンと弾けるタイプではなく、サクッと箸で割れる硬さがあります。この水分の少なさが出汁を絡めるとよく吸い上げて一気に沁み込みます。カツオとしっかり塩の出汁には油が浮いており、もしかしてゴマから油が滲み出たものでしょうか。彩りにはクコのみと豪華に金箔をあしらいワサビの薬味。

【前菜】:柿の白和え うなぎ山椒煮 むかご味噌和え 菊花と春菊の浸し いなほ
白と黒のコントラストが映える下皿には季節の4点。「いなほ」と献立にあるのは、米を穂のまま取り置き油を引いて炒り焼いてあるようです。米はポップコーンのように花が咲いたポン菓子で食することができます。

柿は完熟で舌でジュルリと潰せるほどに柔く、白和えは豆腐風味が濃厚で西京白味噌を合わせた物かと。 ウナギは身山椒と一緒に煮ることで脂が除されて穴子のような食感になっています。脂は切り身の端に煮凝りとなって固まっています。

ムカゴは山芋の種子です。山芋のようにシャキシャキ感が残るようにホックリと蒸し上げて、赤味噌で和えてあるようですが、ゴマのような風味がありエゴマ?普通松葉で4つほどなのに、モリモリに盛ってあります。 春菊のお浸しは薫り高い青味は残してありますが苦味は一切なくカツオ出汁と菊花で調えてあります。

【吸い物】:根菜のかす汁
漆器椀ではなく、ここは現代風な蓋付茶碗で熱々に。

蓋を開けると三つ葉を浮かせたクリーミーな配色は味噌汁のようです。

具材にはニンジン、大根、サトイモが使われています。サトイモはホロリと崩れてしまう程の柔さに炊いてあり、サトイモを持ちあげると底に沈んだ酒粕が浮遊してきます。普段口にしている粕汁を連想すると、とんでもなく頼りない。が、一変するととんでもなく上品で汁が主役ではなく根菜を楽しむ椀。地物酒蔵からの酒粕を使っておられるのか風味と舌触りがスムーズ&まろやか。コク出しには恐らく西京味噌。

【お造り】:茜鱒重ね造り 五月鱒薄造り 見延湯葉 妻色々
造りも初冬らしく椿が彩られた蓋つきでやってきました。加味には蓼、ワサビ、辛子酢味噌、淡口出汁醤油。

蓋を開けると艶々の紅身が眩しいサツキマスという種。サツキマスはもともとばアマゴだそうで海や湖に降りた種だけの呼称だそうです。大きさや模様が異なる事から同じ種には見えないのだそうです。
右下のアカネマスは調べてみると、忍沢養殖場さんのオリジナルブランドなんだそうです。ニジマスを3年かけて3倍の大きさに育てた拘り。体長60㎝重量2.5㎏の大きさになるようで、すでに川魚の大きさではありませんw

紅芯大根の裏側には豆腐も盛り込まれていました。

「マスは酢味噌で、湯葉は醤油とワサビでどうぞ」とのお勧め。
お勧め通りマスを辛子酢味噌でいただきます。辛子の香りはあるが、全く棘のない酸味と辛味の酢味噌は川魚への馴染みが凄まく旨い。この酢味噌もやはり西京味噌仕立て。 これまで食べた淡水の紅身では最強の旨味です。各地で色々な淡水サーモンブランドが誕生していますが、これは白米と食べれる淡水魚です。寿司にしたら絶品だろうと想像できます。本来であればサツキマスも若干の紅色を呈しているはずですが旨味が濃厚で昆布締めにしてあるのだと思います。こちらもアカネマスとは違ったうま味がしっかりとあり酢味噌との相性が美味すぎます。淡水魚は醤油より味噌のほうがマッチングしそう。

湯葉は慶雲館さんに来る途中にある「身延(みのぶ)ゆばの里」から取り寄せた物かと思われます。生湯葉は重ね湯葉にしてありますがグモグモと食べるものではない表面は硬さを持たせて中はトロトロタイプ。 豆腐は思っていた通りの湯葉の味がする豆腐というよりほとんど湯葉の塊となった「ゆば豆腐」。食感は麻豆腐の硬さを持たせた、絹豆腐の食感だが水気はかなり切ってあります。出汁醤油はカツオで、お勧め通りマスは不思議とこの醤油には合わず、湯葉も酢味噌には合わず、お勧め通りが最もおいしくいただけました。

【煮物】:蕪釜牛肉そぼろ味噌射込み
こちらはかなり熱せられた器で配されたお品です。献立を事前に予習していたので蓋開けると思った通りの御姿。器に仕立てた蕪に肉味噌を浸して素揚げのオクラ、ニンジン、小ナスを詰め込んであります。

肉味噌は赤味噌仕立てのようですが酸味と塩味は緩くやさしい品のある「牛どて煮」のような味わいです。野菜類はショキショキ食が残されており、味付けが肉味噌にディップディップしていただきます。

器であるカブは煮?蒸?にして柔くしてからオーブンで焼き上げたかのようです。深い刳り抜きに肉みそが入っているのかと思ったのですが思った以上に浅い。しっかりとした歯応えがあり、とんでもなく瑞々しくジューシーな甘汁が溢れます。染み込んだ肉味噌汁の味付けで、十二分にカブ本来の味が楽しめます。

焼き物と凌ぎが同時に配膳されました。焼き魚には燻しの演出付きです。

【しのぎ】:どんぐり麺
慶雲館さんの定番「おしのぎ」のようです。ドングリを粉にして練り込んであるソバのようなお品です。売店にも売っている一品。漬け汁は「ざるそば」のような麺つゆを想像していると味気ない感じがします。カツオ出汁を使ってあるようで醤油はうっすらと上質なゴマ油を混ぜ合わせているようです。薬味にはミョウガとネギ。

この1玉が3玉盛られています。山芋が練ってあるのかと思う程にツルツルと舌の上を麺が滑る滑る。風味はドングリ?どのようなドングリかにもよるかと思いますが、ん~・・・私的には「しっかりとした糸こんにゃく」のような食感と味。ざるそばのような食べ方よりも漬け汁も多くはないので、麺と薬味を全て入れこんで全混ぜした「ぶっかけ」スタイルが最も美味しいのかと思ったりします。

【焼き物】:山女魚塩焼き
燻しの演出があったヤマメですが燻し感はありません。温かさが残っていましたが熱々ではありませんでした。付け添えにはクルミのカツオ節醤油和えです。ジューシーというわけでもなく、奥飛騨のようなガッツリ水分飛ばして旨味を閉じこめたものではなく、しっとりとした焼き加減と身振りです。ワタは除されており、イワナよりもやはりヤマメのほうが川魚の風味が抑えられて好みです。飾り塩は施してありますが、全体としては塩はやさしくヤマメ味を邪魔せず、旨汁を残すように焼き上げたホクホク食感です。

最後のメインである甲州牛の溶岩焼き。溶岩から作った石焼板は富士山からの物だそうです。

【台物】:甲州牛の溶岩焼き
お待ちかねのメインデッシュである甲州和牛。右から肩ロース、バラ、モモです。色合いのコントラストが素晴らしい。にしても、極赤身を避けた、それぞれの部位で霜降り部位を集めているのだろうと察します。野菜にはズッキーニ、ニンジン、ネギ、シイタケです。
甲州牛はもともと交雑種の呼び名で、但馬牛の種を継ぐ和牛は無かったと記憶しています。しかし、最近は独自の和牛品種を育てているところも増えているのだとか。

「岩盤が熱せられるまで3分程要します」とのご説明であったが、フライングして脂が多いバラ肉で岩盤に脂を引き野菜を先に焼き始めます。野菜にもしっかりと脂をしみ込ませす。

脂の強いバラ肉はウェルダンでさっぱりとポン酢で。このポン酢・・・柑橘の酸味がまろやか過ぎます。完熟ユズ?完熟スダチ?とかの仕込み?醤油も強くなく塩味もほどほどで・・・サッパリとするためバラをポン酢に漬けたのですが、このポン酢は塩・酸味が脂を打ち消すタイプではなく、脂の少ないモモで食するのが良かったと食べてから気づきました。慶雲館さんでは脂が強いバラは柚子胡椒の方が絶対おいしいと思います。ポン酢が上品すぎた・・・。

赤身の肩肉をミディアムに焼いていきます。肩肉も脂は強めなので柚子胡椒に合わせてみると、キリリとした薬味が脂をまとめ尚更バラは柚子胡椒が適合だったと思いました。角には角を合わせるような。
噛むほどに脂が滲み出し、甲州牛特有なのかレアでも濃い味の和牛味が押し出されます。

モモ赤身には粗挽き黒胡椒と塩が定番。これはこれで、その時はとても美味しくいただいたのですが、先述したように優しすぎるポン酢でアクセントしたほうが美味しかったと思います。食べ終わってから気付くという・・・。あっさりにはあっさりを合わせるという、慶雲館さんの加味は通常とは逆の発想でした。

【止椀】:赤出し汁 宝刀 あみ茸 浅葱
【香の物】:べったら漬け ぴり辛きゅうり ワインらっきょう
【御飯】:蓮根ごはん
赤出汁は京味噌ですが、酸味が微力で深みのある麹で、塩味はとても控えめ且つ滑らかなの上品なコクだけを残したものです。具材には紫蘇葉に、山梨らしいホウトウとアミタケ。 香の物は鷹の爪と塩麹で漬けたであろうマイクロ胡瓜。厚切りでありながらもべったらにしてある甘酢の大根漬け。山梨らしいブドウ産地のワインラッキョウは定番です。らっきょうの産地である鳥取砂丘でもワインらっきょをみたことがあります。 しゃくしゅくとした食感がある蓮根御飯はそのままでも食べれるほどの、軽やかな醤油を持たせてあります。ただ、酒が入ると香の物が欲しくなる絶妙な采配分の炊き込み御飯。何故にレンコン?笛吹市の特産だから??

【デザート】:柚子茶のゼリー
ユズの酸味がほとんどないゼリー地なので完熟を使用した物かと。完熟柑橘らしい甘い風味だけを持たせた淡い一口が続きます。ただ、ゼリーの上にはユズ皮のジュースを乗せてあり、どうやったらユズ皮のエグ味を除けるのかという言う程に香りだけを残したソースです。

ゼリー地はとても柔い頼りないユズ風味だけ。なのですが、ソースと合わせると柚子の完熟果汁だけを口にしているような透明感。かと思いきや、後味には舌と鼻には柚子皮のほんのりとした苦味がありキリっと引き締めてくれ爽やか。
朝食

朝食も同じ部屋でいただきました。

温かい物以外は全て配膳されています。席に着くと直ぐに湯葉豆腐と薬膳粥の焜炉に火が入ります。

・薬膳粥
・湯葉豆腐
薬膳粥は恐らくですが温泉水を使い塩だけを加えたミネラルを感じる、朝の胃袋にやさしい味わいです。豆腐は夕食と同じくお取り寄せしたと思われる豆乳とニガリを合わせた直前調理の豆腐。

火が止まるまでは豆乳らしく液体なのですが、やがて表面は湯葉となってきます。大豆がとんでもなく濃厚でこれまで食べた直前調理の豆腐の中では最も絶品でした。

火が止まる頃には完全な豆腐となっています。土佐醤油らしい出汁醤油なのですが、器に盛って浸すよりも鍋に直接醤油を掛ける方が良かったかもと後から思う。

・茄子南蛮漬け
・ずいき胡麻和え
・刺身蒟蒻 生姜醤油
・山芋とろろ
・白菜浅漬け 鰹梅
よくある揚げびたしではなく、素揚げをしたナスをゴマ油を効かした強い酸味の南蛮酢に漬け込んだ一品。 ズイキは摺りゴマの和えではなく濃厚な練りゴマでの和え。 刺し身コンニャクには中央のショウガの絞り汁で割った醤油を。 とろろは所謂普通の山芋よりも粘りが強く大和芋や粘りっこのような濃い味わいをあらかじめ出汁に溶き青さを振ってあります。

・サラダ(レタス、サニーレタス、白アスパラ、キュウリ、ミニトマト、オリーブ、ロースハム)
一口ずつ盛られた野菜にはポン酢のドレッシングです。夕食の肉に合わせた上品なポン酢ではなく、かなりの強酸味で中には刻んだタマネギが入っていました。

・信田巻き
カンピョウで巻かれた自家製感あふれる信田巻きです。薄揚げで大根、ニンジン、インゲンを巻き上げて濃い目のシイタケの戻し汁で炊き上げてあります。

・焼き海苔
・銀鮭
焼き海苔にはカツオの出汁醤油を。最近の旅館ではサーモンやマス系の焼き魚が多くなりましたが、佳雲館さんでは塩味は自然のままの銀サケと古風。事前配膳なので温かさはありませんでしたが食べ応えのある肉厚です。

・白米
・味噌汁
白米はピンピンに銀光りしています。味噌汁は白と赤の合わせ味噌なのか地物なのか、夕食の京赤味噌から一変した田舎風の味わいにはシジミが入っています。

・オレンジジュース
・ヨーグルト
オレンジジュースはお取り寄せではなく、直搾り?なのか柑橘特有のフレッシュな酸っぱさがありました。ヨーグルトにはイチゴソースとブル‐ベリーの添え付けです。

中にはゴロリと2切れのアロエが盛られていました。さらりとしているがチーズ風味のある濃厚ヨーグルト。

・朝食後のコーヒー
ロビーにあるラウンジにはコーヒーとドリップタイプの紅茶が用意されていました。
まとめ
とにかく山梨県の山奥にあり関西からのアクセスは困難を極めます。まとめ冒頭からネガティブな書き込みとなりますが、高級旅館ということもあり、入念に下調べをするが温泉の詳細や食事の細かい綴りがなく長年様子を見ていました。ただ、流行り病が明けてからの他の旅館さんの値上がりラッシュが凄まじく、慶雲館さんもそのうち・・・と思っていたので底値?でなんとか行けるならとお伺いしました。
サービスや備品類は高級旅館そのもので不満はなく、我が家は重視しないのですが、これでもかと備えてくれてあります。
泉質は硫黄・ツルヌル感・オイリーっぽい匂いに加え、新鮮すぎる爆裂湯量の源泉かけ流しは極みの湯かとおもいます。風呂としての雰囲気は乏しいが、全てのお部屋に配される源泉かけ流しも、温泉好きなら一湯はすべきかと思います。
料理も情報がとても少なく、先人方の写真では申し訳ないながらも食思は伸びず・・・が、安値のうちにいくなら今と決して行ってみると、素材食材を活かしたまさに京会席と言っていい上品に仕上げた料理をいただきました。朝食も当たり前のように優しい手作りの込み様です。ただし、こってりこてこてのバターアワビバーン!!伊勢海老グラタンバーン!!和牛厚切りバーン!!趣向の方には一線ある料理です。飽くまで繊細上品かつ丁寧に味付けされた奥ゆかしい料理です。
極みの源泉かけ流しと品しかない京懐石に癒されたスロータイムは再訪を約束したいお宿です。
宿泊料金
宿泊日:2023/初冬
旅行サイト:じゃらん
プラン:【お食事も、お部屋か個室でのんびりと♪】プライベート重視の方はこちらから!
部屋のタイプ:和室 標準客室
合計料金:65450円(2人)シルバー会員割引適応(15%)
クーポン:ゴールド会員限定クーポン8000円
支払い料金:57950円
加算ポイント:1962p
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