いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

ねぼーや 志摩別邸【三重県 志摩の国温泉】~伊勢の新鮮海鮮食材を洋食から和食とバリエーション広くオールエイジ対応の美食会席、何度も入れる肌に優しい冷鉱の自家源泉、漁村にポツリと建つ何もしないという贅沢~

 伊勢の観光地から離れると多くの鄙びの漁村がある。伊勢半島南東にある阿児の松原海水浴場の傍に「ねぼーや」さんはあります。周囲には温泉街と呼ばれるものはなく、民宿などはありますが大型ホテルもない一軒宿で、何故か敷地内に源泉を有しているのは「ねぼーや」さんだけです。

※記事の内容は宿泊した当時の内容となっていますのでご参考程度に。最新の情報は各々ご確認下さい。

旅情

 Google mapのナビで誘導されたが、まるで豪邸屋敷のような佇まいだったので個人宅かと見間違えてしまいました。さらに、訪れた時にはさらにリニューアル中だったこともあり2度ほどスルーしてしまいした。

 敷地内に入るとロータリーや駐車場、庭を造成中のようでした。

 工事前は日帰り入浴も受け入れていたようなので駐車場を拡大しているのかもしれません。

 奥の広大な広場もどうやら、ねぼーやさんの敷地らしい・・・奥に新しいグランピング施設のような物でも作るかという様相でしたが、特に何かを作るわけではないと女将さんらしき方からお話を聞きました。

 玄関前に駐車場があり、そちらへ車を停めてお邪魔します。

 往訪時はリフォーム工事の真っ最中です。

 前には源泉を注ぐ「かけひ」と標があります。

 リフォーム後は総部屋数がいくつになるか分かりませんが、往訪時は9部屋とこじんまりとした温泉旅館です。部屋数からすると大きなロビーとなっており、正面奥にフロントがあります。

 玄関入ってすぐ右手には靴箱と自動販売機があります。

 自動販売機は酒類の販売もあり一般的なお値段で良心的です。

 上がって左手に選べる色浴衣と枕があり自由に利用できます。

 選べる枕棚の後ろにはサイズ別の変更用浴衣も用意されています。

 赤矢印が内湯、水色矢印がお食事処で夕食・朝食共にこちらでいただきました。

 フロント横には貸切内湯と露天風呂の表札が掛けてあります。利用する際は手に取ってお風呂へ向かい内鍵を掛けるスタイルです。工事中であったため露天風呂の表札はありませんでした。分かって来たとは言え悲しい・・・。

 フロント正面を挟んで浴衣が置いてある反対側のスペースには暖炉があり、freeのドリンクコーナーがあります。

 スマホの携帯充電器とドリップタイプのコーヒーメーカー。

 喫茶スペースにはミル挽きの豆コーヒーも用意されています。自分はコーヒーの良し悪しは分かりませんが薫りが良いです。

 湯上がりアイスの用意もあります。

 高価な物ではないですが、夏だとあるとうれしいサービスでついつい口にしてしまいます。

 ラウンジ裏側には一階の客室があります。

 昭和な殺風景な鉄扉の客室扉はこれからリフォームなのかと。奥には扉がありましたが、恐らく目的であった貸切露天風呂があったのかと思われます。温泉付きのお部屋にグレードアップだったので承諾しながらも是非に入ってみたい衝動はあります・・・。

 館内は広くなくこじんまりとしています。

 残りはフロントとお食事頃に間にある階段を2階へ。

 2階客室はリフォーム済みな部分と、リフォーム中なお部屋が混在していました。

 こちらはすでに改修済みかと思われるお部屋で今風のビジホのような廊下。

 階段上がって左奥にあるのが今回お世話になったお部屋です。が、扉の種類が昭和と現代風に違いがあり、まさに右の灰色の扉の向こうでは職人さんが内装工事をされていました。

 リフォーム中のお部屋を覗かせてというよりは、開放されていたので目に入ったので見てみると、各部屋に自家源泉を引いているお部屋が増した高級路線になるのではないかと推察します。

 流行り病以降、お部屋でのプライベートステイがjapanese ryokanの主流に改装されているところが多い印象。ねぼーやさんもその路線になるのか。

 

お部屋

 どれだけ調べても出てこない200号室は恐らく201号室なのかなと思います。

 予約をとったのは1階の一般客室でしたが、工事が入るということもあり、リフォーム済みのグレードアップ温泉付きのお部屋への案内です。

 踏み込みは半畳ほどのスペースです。

 玄関正面にはトイレと左手にはオープンタイプのクローゼットがあります。

 トイレ前から左を見ると、左手には客室専用の露天風呂の入り口があります。

 オープンクローゼットには、バスタオルが2枚に、パジャマと浴衣がそれぞれ備え付けてありました。

 主室はダブルベッド2基と窓側には、ごろ寝ができるソファーベッドが置いてあります。

 水屋にはドリップコーヒー・紅茶、お茶セットに冷蔵庫はインクルーシブです。

 お楽しみのお風呂へ向かいます。

 お風呂の手前に洗い場が有るセパレートタイプで、冬季などは寒くないように工夫されています。

 洗面台に置いてあったアメニティの中には、男女別のオーガニックスキンケアセットも入っていました。

 グラウンドサイドから丸見えになってしまうので目隠しをしてありました。

 2人並んで入れないことはなのですが、ほとんど1人用サイズです。

 温泉の内容については次項のお風呂で記載しますが、部屋のお風呂は循環加温消毒有りではないかと思います。注ぎ口には2本の銀パイプがあります。左側からは勢いよく湯が出ているが右側パイプは反応なし。

 一度浸かってから浴槽から出ると右画像のように、注ぎ口からは勢いよく源泉らしき湯が投入されました。どうやら溢れ出した分だけ新湯が注がれるようになっているようでした。わずかにツルりとした浴感があります。

 

お風呂

 全ての宿泊客が利用できる貸切露天風呂3カ所と内風呂2か所というのが本来の仕様なのですが、大型リフォームにより貸切露天風呂は改装中のようでした。貸切風呂に入りたかったので残念な気持ちは抑えつつも、客室で露天風呂を楽しみます。

 ねぼーやさんを発見した際は源泉かけ流しとなっていましたが、訪れた時は内湯は循環湯となっていました。全く湯量が増えず完全循環湯かと思ったのですが、部屋風呂と同じく溢れ出た分だけ新しい湯が投入されるようです。温泉分析表などは無かったのですが、湯上がりの肌に僅かに消毒臭が感じられました。源泉は薄茶色でほのかに硫黄の匂いがあり、泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉と公式HPにあります。源泉の温度が18.7℃とあるので加温・循環している間に色付きや匂いが落とされているのか無色無味無臭でした。

貸切内湯

紀伊潮菊

 平成初期を想起させる情景を醸し出す貸切内湯は、以前は男女別の大浴場として使用していたものだと思われます。

 6,7人は入れそうな変わった形の湯舟です。この時点では完全な循環となっているが、浸かっている間は消毒臭は感じられず、部屋のお風呂に比べるとツルツル感は少ないです。

 角っこにあったこちらが源泉の湯口だろうかと思っていたが、終始反応はなくかつての湯口だったのでしょうか。

 オーバーフローは終始なく2人が入ったぐらいでは溢れ出しもなく。せっかくなので新湯を感じてみたいと桶で少し湯を捨てると、おとなしかった湯口が大洪水状態です。

 ドバドバっと注がれている間はかなりの低温となり冷たい。源泉温度が18℃なので恐らく源泉で間違いないかと思います。到着時は「あつ湯」となっていましたが、翌朝の朝食後にいくと肌温度より低い最高のぬる湯となっていました。

浜姫榊

 先ほどの湯屋からするとかなりこじんまりとした大きさです。

 4人ぐらい横並びで余裕の内湯。浴槽壁には加温された湯が勢いよく噴射しています。

 湯口はチョロチョロと循環湯がでています。水位からして大人2人が入浴するぐらいでは、湯が溢れる事がないため、失礼して桶で湯を掬い出すと・・・高圧洗浄機かと思うほどの圧力で源泉?が投入され始めました。やはり、この注ぎも結構ひんやりした湯温で源泉かと思われます。

 やはり、無味無臭。ツルツル感は部屋風呂の方がやはり強かったです。

 湯屋は少々古めかしいですが、脱衣所はモダンな感じにリフォームされており鏡は発光しています。洗面台には乳液や化粧水の用意もありました。

 

お料理

 朝夕共に1階にある料亭「磯草」でいただきました。海の傍ということもあり献立の多くは海産物が主となっています。しかし、名物である松坂牛や野菜がたくさん使われておりボリュームたっぷりとお腹がはちきれんばかりになります。かといって、味が荒いかと言うとそうでもなく、素材の旨味を引き出す下拵えにしっかりと抽出した出汁、確かな素材選定で、すべてを旨口濃い目に美味しく仕上げたお品ばかりが配膳されます。我が家は写真と味の吟味にゆっくり食事ですが、次から次に押し出す配膳ではなく、テーブルの状況に合わせて配膳していただけたのは嬉しい限りです。

 献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。配膳時の詳細や説明は少なく、内容に関しては実際口にした感想を記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

 時間になると係の方が待機しておられ個室へ案内して頂きます。

 新しく改装されたお食事処は、各部屋に1室と完全個室となっています。

 2人で使うにはかなり余裕がありました。

 テーブルには釜飯、鍋物、お造りの加味が用意されていました。順次、献立通りに料理が配膳されます。

 飲み物や追加料理のオーダーはQRコードを読み取って行います。

 最近、居酒屋でも増えてきています。「ピンポーンと押して→店員さんがくる→オーダーする→品物を持ってくる」の3工程が「商品を持ってくる」の1工程になるのでお店側も楽でしょう。管理のランニングコストはいかほどか?

【食前酒】:果実酒

 季節によって果物が変わるのでしょうか。訪れた時はこってり甘い豊潤な梅風味。少し酒度がありますと配されました。濃い味には一欠けの氷を浮かべて丁度良くひんやりと。

 

【前菜】:七種盛り

 説明があったのは右の器に盛られた「ワサビの胡麻豆腐」のみでした。献立には七種盛りとだけ記載されています。これは困った・・・。実食するしかありません。①ワサビの胡麻豆腐:泡を集めたような儚い生地なのに、カマボコのような硬さでしっとりだが主張は緩やかなゴマを感じます。生地だけでは山葵も感じますが、黄色の玉味噌を口の中で馴染ませると味噌が勝ちワサビはまさしく泡のように消えていきます。 ②イカの醤油漬け:合わせ出汁に加え妙なまろやかさがあり玉子の黄身を絡ませたかのような後口 手前には③鰻のかば焼き、④黄身寄せ、⑤海老、⑥空豆、⑦酢締めスズキ?の昆布締め。いずれも丁寧な仕上げ。エビとソラマメは出汁で炊いているかのような味わいでプリプリ。黄身寄せは玉子風味が濃厚でカステラのような仕上げにケシの実のあしらいとは珍しい。昆布締めだけかと思ったのですが、スズキ?を酢で絞めてからさらに昆布で巻き上げた手作り感が凄い。

 

 前菜とお酒を楽しんでいると、ねぼーやさん名物の選べる料理「貝のブリフィックス」のお尋ねがありました。いつも同じ貝なのかは分かりませんが、訪れた時には、ホタテ貝、ニシ貝、さざえ、バタ貝、白蛤、はまぐり、から二種選ぶことができます。調理方法も「焼き」「造り」から選べると公式HPにあります。

 ホタテとサザエはどこでもいただけるお品ということもあり、白ハマグリとハマグリの食べ比べを楽しむ人もいるとのこと。なのでそのセットと、普段口にしないバタ貝とニシ貝をお願いしました。

 

【お造り】:四種盛り あしらえ一式

 前菜の後には黄色の横長皿に盛られた造りがやってきました。ゴリゴリ食感の新鮮というよりは少し熟成させたかと思う柔く寝かせた美味しさ。

 加味には醤油と塩は強いが甘味がおとなしい溜まり醤油、オリーブオイル、料理長調合の濃口出汁醤油、岩塩。オリーブオイルには岩塩を入れてカルパッチョ風にどうぞとのお勧めです。

 献立には四種とありますが実際には6種盛りというサービスなのかスタンダードなのか。全館改修工事中ということもあり、他にもサービスをしていただいたので六種もサービスなのかなと。

 タイにしか見えない白身はイサキです。熟成が多いとしましたが、イサキは足が早く熟成には向かない魚なのか、捌きたてなのにトロリとした触感が特徴的。背身と腹身の二種盛りです。けんには紅心大根と白大根桂剥きで丸めてあります。

 白身にはカルパッチョが最も合います。最近は海に近いと必ず盛られているイサキは、タイよりも白身の旨みが強い。赤身マグロの旨みを紅白に裏返したかのような白身旨さを味わえます。

 真ん中の下駄には本マグロ、スズキの霜焼、ヒラメ。薬味には本ワサビ、蓼。

 ヒラメにはエンガワも盛り込んでありました。丁寧なこしらえ。説明にあったスズキ霜焼は照り照りに活かっています。ただ、本当にこいつはスズキなのか?スズキらしからぬカツオに届かぬ赤身のような味わい。歯応えはゴリゴリではないですが、一日熟成といった感じの歯応えでとにかく味が濃熟されてスズキ味は明確明瞭すぎるが、臭みは一切ないという。

 本マグロにはこってりとした溜まり醤油へ。赤身のマグロは中トロ手前の赤身がとても濃厚。正直なところ、この溜まりは旨味を楽しむには塩が強い。本マグロらしい旨味はまろやかだが、料理長合わせの土佐醤油かカルパッチョが素材のおいしさを堪能できそうかも。

 右端にはメバチかという色合いの赤身とマダイ。

 本マグロ以外のマグロ種赤身は少々水っぽさは避けれません。しかし、ねぼーやさんのピンクは本マグロ程ではないが、とろみのなかにしっかりとしたコクのある赤身味は、水揚げから冷凍されずに捌かれたものでしょうか。

 タイは締まっているが捌きたてのゴリゴリではなくグモグモと歯切れがよい。白身にはワサビに料理長の土佐醤油とオリーブオイルがやはり美味しい。

 

【活き貝のブリフィックス】:お好みの貝をお選びください

 造りを味わっていると先ほど選んだ活き貝が熱々に焼かれて配されました。

 なんと料理長さんのサービスで、ハマグリと白ハマグリの食べ比べ(\1000)を追加してくれました。チョイスにかなり迷っていたのと、やはり宿が工事中というのが大きかったのか。

 バタ貝は見た目からして味もホタテに近いのですが、ホタテよりもかなり磯が深い。調味は醤油と酒でしょうか。加味が絶妙で素材の味を際立たせています。

 プレーンと白の食べ比べは初めてですが、もしかしたら知らない間に食べていることもあるのかも。改めて食してみると白ハマグリはジューシーで瑞々しくやんわりとした噛み心地にキレのあるハマグリ味。一方で、プレーンハマグリは筋肉質で干物のように噛むほどに旨汁がいつまでも溢れてくるという。同じ種なのに面白くも異なる味覚。

 ニシ貝は小物を食べたことがあるのですが、この大きさの物は口にした事がありません。巻貝なのでサザエのようなイメージで口に入れると・・・アワビ??噛み応えは天然アワビやサザエのような吸着するグモグモ感を呈しながらもザックリ歯切れがよい弾力感があります。味もどちらかと言えばアワビに類似しながらもサザエほどではないが緩い磯風味もあり、新しい味覚というよりはアワビとサザエのハイブリッドのようです。小物だとこの味わいは分かりませんねぇ・・・やはり、味付けの酒と醤油の配分が絶妙で濃くもなく薄くもなく旨みがよく分かります。

 ブリフィックスを楽しんでいると時間の掛かる釜飯と鍋物に火を入れてくれました。

 

【海老】:伊勢海老のオーブン焼き 自家製タルタルソース

 ブリフィックスと同時に熱々で配膳されました。

 添え付けにはかつら大根で巻いた細切り人参にフリルレタス、紫キャベツとサニーレタスです。

 伊勢海老は小振りながらも尾と胴に近い部分の二切れは口一杯に頬張れる大きさです。タルタルソースというと酸味ピクルス、茹で卵、マヨが融合したジャンキーさを連想しますが、ピクルスを含まないので酸味がなくマヨのような脂まったり感もない。塩も控えて卵だけの風味に人参を混ぜ合わてシンプル。しかし、茹で卵の黄身だけを追加したような極濃黄身がまったり絡みつくタルタルです。朝食でいただける温泉卵の黄身も濃厚だったので、こだわりの卵とかでしょうか。自家製マヨとかにも拘っていそうです。タルタルソースは掛けずに一度オーブンで焼き上げて、取り出してから再度タルタルソースを盛り付けて焼きをしたような感じです。伊勢海老はやはり焼くとゴリゴリ触感に旨汁が閉じ込められるので、私的には生食よりも火を入れた方が、うま味が凝縮されるので好みです。

 伊勢海老の味噌は全ての甲殻類において、カニとエビの荒い磯風味を削いだような最強の旨コクを感じます。その味噌と卵まったりタルタルソースに絡ませると図らずとも背徳感がある上品だがジャンキーな味に激変し病みつきになります。

 

【鍋物】:パールポーク鍋 自家製温泉水使用

 調べてみると、伊勢志摩で飼育されている豚さんは、真珠の産地ということもありパールポークと名付けれているようです。さらに、ビールを醸造する過程に出るモルト粕を飼料に混ぜて「パールポークほろよい」に改名されたようです。ビール粕を食べることで「ほろよい」ww 上手すぎます。

 見た目からして美しすぎるピンク色のロースはまさにピンクパールです。黄色い笹葉の器の端には強辛味柚子胡椒。

 鍋は火をいれるとすぐに沸き立ちはじめました。出汁はカツオを主とした昆布との合わせのようで、酒、味醂、薄口の醤油当たりを合わせてあるようで、透き通ってはいるが濃い目の色合いのままでパワフル味しゃぶ。ロース肉の厚みが凄く、しゃぶしゃぶ肉ではなく2㎜以上の生姜焼き用のやつです。灰汁がほとんど出ず、品のある脂甘味に加え、豚特有の雑味が全くありません。出汁は濁らず味も濁らないが、がっちりと出汁を掴んで離しません。野菜には水菜桂大根巻、梅ニンジン、白葱、シイタケです。

 パールポークを食べ終わる頃には、クツクツと釜飯が煙りを吹き始めました。

 

【鮑焼】:鮑ステーキ 自家製ソース

 伊勢海老に続いて、見た目は完全に洋食の魚料理です。しかも、アワビなのにホタテを模した皿に盛らているという不思議な演出。ソースのテイスティングは無欠の洋風です。クリームソースにはアワビのワタ?でしょうか。それかアワビをソテーした際の出汁を混ぜ込んだのかバターの残香を感じました。妙な深みのある薫りと旨みは、やはりアワビのワタで生クリームに伊勢名産の「青さ海苔?」で仕上げてあるのかと思います。

 殻の大きさは10㎝、直径7㎝ありそうな身から4貫取り1人2貫の盛り。ゴリっと歯切れよく弾みがあり、噛むごとにいつまでも口の中でアワビ汁を濃潤に放出し続け、クリームソースには塩をしっかりと持たせてあるので口腔内調理が捗ります。飲み込むのが勿体ない。

 クリームソースには大きく刻んだ赤黄パプリカ、緑黄ズッキーニ、タマネギを混ぜ込んであるのですが、クリームに合わせてあるのではなく、別にオリーブオイルでアヒージョにしてあるようでした。クリームソースで円を作って、野菜のアヒージョを円の中心に落として、アワビを被せ刻み葱をあしらったのではなかと思います。想像の域ではありますが、とても手が込んでいます。

 

【肉料理】:松坂肉・松坂豚 焼きしゃぶ

 鮑ステーキを食して程なく炭火で熱したグリルがやってきました。

 お腹は結構一杯一杯となっていましたが、肉のサシを見ると口にしてみたくなるのが困る。

 焼肉スタイルになるのでトマト、キャベツ、人参、タマネギの生野菜も用意されています。

 加味には胡麻ダレ、味噌ダレ、ユズポン酢です。ユズポン酢はとにかく爽やかで追加で欲しいぐらいでした。

 献立には「松坂肉」とあります。「牛」という表記ではなく「肉」です。松阪では肉はすべて和牛に通ずるのでしょうか・・・。各産地の和牛を食してきましたが、意外にも松坂牛は口にしたことがないので調べてみました。宮崎牛や但馬牛など各地にある和牛ブランドの雌子牛を買い付け3年ほど子を産まさず、放牧せず、ビールを飲ましたりしながら飼育するのだそうです。3大和牛でありながらも、地物種を磨き上げていくというスタイルでないのに驚きました。

 松坂豚は同じようなネーミングに松坂ポークというのもあるようですが「まつぶたファーム」さんだけが育てているという別種ブランドのようです。そもそも松坂ポークは「松坂市」ではなくお隣の「三重県津市」で育てているようです。「津ポーク」だと確かにネーミング的にパンチが弱いww

 焼き野菜が生なのですぐに焼いていきます。ヤングコーン、アスパラ、エリンギ、ペコロスといずれも旬のおいしさがキレた食材。アスパラがとても甘い。

 味噌ダレに松坂牛を浸して口に入れると、ニンニクとタマネギ香るいわゆる焼肉タレに加え味噌らしいマッテリとした蜜コクはトロミがあるのでよく絡みます。松坂肉の食べ口はとてもシルキーで見た目よりも嫌な脂もなくもたれない。

 等級は分かりませんがサシはA4以上かと。部位はロース境目のバラ肉だと思います。google先生は日本一美味しい和牛は松坂牛と言っています。部位や好みにもよるので、私的には脂を重視するなら飛騨牛、赤身なら但馬牛、バランサーなら宮崎牛、キレのあるサッパリ感は鳥取牛。他の部位を食べていないので何ともですが、角なく棘なくクドくなくマイルドな脂味です。

 造りで取りおいたワサビ、サッパリと和風のユズポン酢のコラボが最も美味い。白醤油で合せたのか醤油特有の深みはなく風味だけをユズの自然な酸味で和牛脂に溶けあいます。

 胡麻ダレには焼きしゃぶらしく、練りゴマやドレッシングのような濃厚タイプではなく、酸味があある自家製のゴマポン酢のような旨口です。酸味が脂を和らげるが、脂の強いバラには造りの岩塩とワサビのコンビが最も好みでした。牛は1人5切れしかないので、どの味付けでいただくかとにかく悩みます。追加して楽しんで下さいと言わんばかりです。

 松坂豚はパールポークとは異なるブランドで、和牛のように脂が溶ける融点が低い飼料にも拘った三元豚だそうです。こちらはパールポークのしゃぶしゃぶよりも薄切りなのに焼くという。部位は肩ロースのようで、パールポークと同じように灰汁のような嫌味がなく滑らかで良い所だけが凝縮された豚風味が美味。

 

 

【料理長からの差し入れ】:海鮮巻き寿し

 献立には無いまさかの「お凌ぎ」がやってきました。料理長さんサービスが旺盛すぎます。具材には造りに配された白身の巻きのようで、ヒラメ、スズキ、ヒラメ、マグロの複合巻きだと思います。虹色に照り活かっています。ガリも酸味が強く自家製ではないかと。

 造りからして新鮮さは言うことなく。ただ、味付けは優しい酢飯のみで本来であれば造りの醤油を取り置いて楽しむ?ものかと思いますが、サービスのチャンスがあれば醤油を所望してもよいかと思います。自分は造りの岩塩をパラりと添えていただきました。即興なのか意図なのかは分かりませんが、肉料理の後というタイミングでのお寿司のサッパリ感は絶品。

 

【揚物】:本日のフライ

 夏の入り口には極肉厚のハモカツロールです。アスパラを中心に巻き、ふわふわの骨切りハモを巻き上げ揚げてあるようです。衣によりハモの瑞々しさをそのままに閉じ込めてあるので、たんぱくな魚なのに旨汁が溢れるほどです。トッピングにはこれまた香ばしく仕上げるスライスアーモンド。

 後方にはタマネギテイストのオリーブオイルのドレッシングに、マッシュポテトとカイワレ、フリルレタス、ミニトマトのお口直し。

 夏の特大ハモに油を吸わせてふんわりとジューシーにしながらも、衣により旨味は逃がさず閉じ込めてあり湯引きよりもハモ味は豊潤です。敷かれたソースは乳化を感じるクリームチーズマヨ? 油が多いようにも感じる揚物ですが、ハモ自体がタンパクということもあり、サクサク衣にマヨソースをがっつり馴染ませてもクドくなく、ハモのうま身と揚げの香ばしさが融け合い、咀嚼するといつのまにか泡のように風味だけを残して口からいなくなります。

 

【食事】:海鮮釜飯 茶漬け出汁 香の物

 釜飯はお腹一杯でオニギリの提案がありましたが、それだと出汁茶漬けが味わえないため、一人前はオニギリで、もう一人前は茶漬けを所望いたしました。香の物は燻りがっこのような深淵をなぞる沢庵、浅漬けだが浅くない白菜。

 海鮮飯にはアサリ、ヒジキ、人参が盛り込まれています。しかも、出汁としてアサリの貝柱まで。油も一緒に炊かれているのか、少しマテっとした食感にチャーハン風にしゃもじが切り込みます。薬味皿にはあらかじめワサビの玉が用意されていたので、それ以外の使用途もなく茶漬けに添えます。かなり甘口醤油で炊いた御飯に、高香なカツオ・昆布だしにより甘口醤油を中性的に馴染ませワサビでキュッと締めてくれます。全部をオニギリにしなくて正解でした。

 一人前はオニギリにして頂きました。

 お夜食としてお部屋へお持ち帰りできますが、お夜食は別に用意してあるという・・・。

 

【本日のデザート】:本日の盛り合わせ

 デザートはアイスとプリンのコンビネーションです。献立名からするとその時々の仕入れで変わるのでしょうか。アイスはバニラビーンズはおだやかなミルク仕立てですが、モチモチとした舌と鼻に居残る甘味は卵の働きによるものか。確かなお手製の味わい。

 季節のフルーツは蜜付けしたかのような刳り抜き完熟メロン、完熟すもも、さくらんぼ、ブルーベリーには生クリームとカラフルチョコ。伊勢でサクランボがあるのかないのか、とても甘かったです。底にはマンゴープリンが敷いてあるのですが、かなりネットリ感が強く香りは強濃だが優しい甘さで生クリームを使ったプリンのような滑らかさ。マンゴージュースから作ったのかな?季節的に伊勢産マンゴーではないかと思います。

 

【夜食】:おにぎり2種 香の物

 デザートを食していると届けられたのは、お夜食のオニギリです。すでに釜飯もオニギリになっているのに追いオニギリです。ヒジキと梅の混ぜご飯とゆかり飯です。

朝食

 朝食も同じ個室での案内です。

 席に着くと、豆乳ジュース、味噌汁、土鍋御飯が運ばれてきます。一夜干しを焼く炭火七輪も。

【ドリンク】:お目覚めのフレッシュジュース

 豆乳にリンゴとバナナを合わせた和製ジュースです。フルーツのテイストがありながらも、後味はまったりとした豆乳風味。自分は好きですが、豆乳風味が苦手な方は飲めないかも。

 

【干物】:備長炭炭火焼き

・鳥羽答志産 干物三種盛り

・焼き野菜三種盛り

 特に説明はなかったのですが干物は恐らくアジ、カマス、カレイエンガワです。野菜にはナス、かぼちゃ。

 席に着いてすぐに炭火の七輪が置かれ、じっくりと炙れるような絶妙な熱量が凄い。焦げるでもなく焼くでもなく、遠赤外線でじっくりとジワジワと炙ります。

 お勧めの味付けである「焼き麹味噌」を付けていただきます。

 一夜干しの魚脂と濃い味の味噌に白米が合わないはずがなく、焼き魚で茶碗一杯ペロリ。

 

【小鉢】:焼き麹味噌 惣菜

 炭火焼きの加味でもあるネギ味噌は白米にも合います。緑の海藻なのですが特有の粘りや糸引きはなく根ワカメとかでしょうか。健やかな優しい海藻の自然な青味には揚げと人参を合わせてありコリコリと食物線維がうまい。紅白なますは昆布を混ぜ込み棘のない酸味と甘味。

 

【湯豆腐】:絹ごし豆腐

・薬味一式

・伊賀のはさめず

 絹ですがしっかりとした生地の大豆が濃厚ではなくマイルドです。薬味にはネギと擦りショウガ。味付けには地元福田醤油店さんのブランド商品、塩が立つ高級醤油「伊賀のはさめず」です。

 

【サラダ】:生野菜

・ドレッシング二種

 生野菜にはフリルレタス、レタス、トマト、たまねぎです。ドレッシングは胡麻ドレッシングと紫蘇ドレッシングの2種です。いずれも胡麻と紫蘇の香りが強く感じられる自家製でしょうか。夕食の肉料理に使われた漬けダレとはまた違う。水炊きのポン酢替わりにも使えそうなほど高香としています。

 

【香の物】:二種盛り 海苔佃煮 温泉卵

 二種盛りは大根と高菜を合わせた物と梅干しです。大根はかなりの塩味がついており醤油で付け込んだようになっています。漬物以外にも温泉卵と、岩海苔ではなく伊勢名物の青さ海苔のあっさりとした佃煮です。

【食事】:土鍋ごはん 青さ粥

【みそ汁】:浅利汁

 土鍋御飯はふっくら熱々に炊き上げてあり焦げが付いて香ばしい。配膳されてすぐに「青さ粥の用意もありますが」とのお尋ね。もちろんお願いしました。青い海苔の香りがやさしく米一粒しっかりとした形を残した3口ほど。好みで追い味には炒り塩。 味噌汁は濃厚な大豆風味のコクがあり、2杯分ぐらいのたっぷり量にワカメと巻麩の盛り込み。

 女将さんのお勧めは白米を一度食してから最後は温泉卵の玉子掛け御飯がお勧めだそうです。湯豆腐にあった。「伊豆のはさめず」を使うと絶品なんだとか。卵の黄身は深く濃く、塩が強いので少しの醤油で卵を活かされます。黄身はやや硬いがコク濃でピンピンのコシヒカリのような艶米は朝食の極み〆。

 

 【デザート】:ヨーグルト 果物二種盛り

 ヨーグルトは乳臭さがないすっきりとした物。ブルーベリーソースの甘味薫りは強くヨーグルトとの馴染みがよい。献立には二種とありますが果物は完熟パインの一種でした。

・自家製プリン

 これまでのプリンの概念が覆されるお品でした。表面は砂糖を焼いてパリパリにキャラメリゼのブリュレにしてあります。

 ただ、生地はプルプルとか、しっとりだとかではなく、バターを口の中で溶かし玉子黄身とバニラが融合融解するという、乳と卵のこってりとまったり・・・コクコクのどっしり重いプリンは罪悪感しかなく極わっています。総合量は3口。洋菓子店で500円販売なら目玉商品になるほどの美味しさです。

 

まとめ

 1階の一般客室を予約したのですが、リフォーム中で貸切露天風呂が使えないということで、リニューアル済みの露天風呂付客室へのグレードアップさせて頂きたいと、宿泊5日前ぐらに電話連絡がありました。正直なところ貸切露天風呂を目当てに行く予定だったのですが、今後、お値段も上がっていくことを思うなら、お部屋に温泉があるのであればと了承しました。

 ロケーションとしては温泉街があるわけでもなく鄙びの漁村の一画に建ち周囲にはなにもありません。なので情緒は今一つですが、「ねぼーや」と銘打つぐらいに静かで、何もせず又は読書や文化的な趣味に没頭するには最高のゆったりまったりタイムを過ごせます。

 温泉に関しては源泉掛け流しと表記されている時期もありましたが、現在は減湯した分だけの追加式のようでした。もしかしたら、貸切露天は掛け流しだったのだろうか?と思ってみたり。泉質はだれにでも優しく、改修が終わったら是非に貸切露天風呂にも入ってみたいです。

 実のところ料理はあまり期待はしていませんでしたが、往訪して最も満足したのは料理でした。メインは定番のようですが揚げ物などは季節の物などに変わってくるのかなと思います。同じ料理であっても安定した美味しさがあり、今回の献立であれば1年後に再訪しても満足のいく食事が約束されていることは間違いありません。

宿泊料金

 予約は一般客室最安値の料金で当時最高級料理のプランでの予約です。この宿泊ではじゃらんのブロンズ会員以上で10%OFFに加え、ゴールド会員クーポン6000円を使用して45000円で宿泊していますが、特別室+料理高グレードだと正規料金は70000円~の料金帯もしくはそれ以上になるのではないかと思います。

宿泊日:2024/夏季

旅行サイト:じゃらん

プラン:【五大味覚】松坂牛・松坂豚・伊勢海老オーブン焼き・鮑・貝ブリフィックス付きプラン

部屋のタイプ:1階 和室 10畳 ⇒ 特別室にアップグレード

合計料金:51480円(2人) ブロンズ会員10%OFF引き

クーポン:ゴールド会員6000円クーポン

支払い料金:45480円

加算ポイント:1542

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