いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

碧き島の宿 熊野別邸 中の島【和歌山県 中の島温泉】~プライベート客船でしか行けない孤島秘湯のお宿、凄まじい湧出量を誇る源泉かけ流しのオーシャンビュー、海から直送の濁りない精錬された海会席は千万の極み~

 昭和10年の時点で離島において10数部屋で創業。昔からプライベート感のあるお宿だったようですが、真水が出ないので当時は船で水を運んでいたと公式HPに説明があります。現在は本土から水道が引かれています。戦後の古き良き時代には大型ホテルとして増設されて集客されておらたようです。

 昭和10年の時点で孤島において10数部屋で創業。昔からプライベート感のあるお宿だったようですが、真水が出ないので当時は船で水を運んでいたと公式HPに説明がありま

す。現在は本土から水道が引かれています。戦後の古き良き時代には大型ホテルとして増設されて集客されておらたようです。

 景気の頃合いかと思い店を畳もうとすると、常連さんが「そんなこと言わずに続けて下さいよ」とのお願いがあり、お宿を改めてスタートすることになったそうです。そのような情報が館内にあったかなかったか。

※記事の内容は宿泊した当時の内容となっていますのでご参考程度に。最新の情報は各々ご確認下さい。

旅情

 中の島さんは離島の宿なので専用船で渡る必要があります。対岸にある駐車場へ車を停めにいくと、お宿の方々が待機しておられました。記帳などのチェックインはこの駐車場で済ましてしまいます。

 船着き場にくと左方にはすでに船が停まっていましたが、向かいにある「ホテル浦島」さんの送迎船のようです。中の島さんの送迎船はまだ戻ってきていません。

 しばらくすると送迎船が戻ってきました。

 時間の区切りはなくお客さんが到着すると順次出発という・・・舟のガソリン代が高そう。

 もっとこじんまりとした漁船のような物を想像していましたがラウンジ付の豪華な船。

 同時に出発したホテル浦島さんの専用船に手を振ると、向こうに宿泊するお客さんが手を振り返してくれました。

 海水は澄み渡り送迎船の波を立たせてお宿へ直行です。

 かつての「中の島ホテル」の名残が見えてきます。

 搭乗して5分もすればお宿前の船着き場へ到着です。こちらでもすでに従業員の方が待機して待っていました。すでに連絡がいっているようで、到着して間もなく客の名前を呼んで「いらっしゃいませ」と高級旅館でも今時珍しいおもてなしです。

 客室数が少ないというのもありますが、全てのスタッフの方が名前と顔を覚えておられます。昔の高級旅館ではよくありましたが、今時ではとても希少なおもてなしの1つです。そのかわり悪い事はできません。サービスは高級旅館・ホテルですが、接客は丁寧な中にもアットホームさがあります。

 ちなみにこの船着き場で竿1本+オキアミを1000円でレンタルできます。釣った魚は種類や大きさに合わせて夕食で出してくれます。

 とうとう上陸しました。フロントまでは船着き場の廊下を建物まで進みます。

 新しいお宿らしい今時のエントランスとロビーです。

 エントランス入って右手には売店とフロントがあります。フロント横からは客室と浴場への通路となっています。

 通路手前にはエレベーターがありこちらは利用していません。新館の特別室へのエレベーターだと思います。

 エントランス左手にはラウンジスペースがあります。

 ラウンジにはフリードリンクと小菓子の用意があります。コーヒー、紅茶、チョコ、土産菓子が自由にいただけます。

 ラウンジにはテラスがあり前庭とオーシャンを眺めながらティーを楽しみます。

 大浴場と一般客室にはフロント横の不思議なトンネルを進みます。このトンネル部分だけがやけに湿度が高い。山の下を抜けているようですね・・・。

 トンネルを抜けると正面に大浴場、左側には客室とお食事処があります。

 客室とお食事処手前にある大きなスペースは、ホテル時代の建物が残された物ではないかと思います。

 湯上がりスペースにある中庭は、かつては浴場だったのではないでしょうか。ガラスの浮き球が飾られた御影石の枠組みは浴場以外考えられない。しかも右上の壁の向こうは異性風呂の設定では?と思う造り。

 ここは湯上がり処にもなっていて、17時までミニ缶ビールが桶で氷水に浸されて待っていました。

 アルコールが駄目な方は湯上がりアイス。

 ビール左手にアイスを右手に堪りません。

 冷水ではなく健康茶の天台ウーロン茶。

 湯上がり処の奥にはお食事度処があり、入り口前には客室へのエレベーターがあります。

 客室は階によって様相が異なって風情も忘れず。

 湯上がり処から表に出ると神社があり源泉が注がれる「かけひ」があります。

 湯上がり処に戻ってお風呂へ向かいます。貸切風呂から露天風呂等々全てこの棟に詰まっています。

 館内の施設は他にも色々とあります。こちらは船着き場の脇にある足湯です。海を眺め眺めながら足を浸けるというよりは、水着で入るかと言うほどの露天風呂のように見えます。。満潮では水没するので、干潮の時のみ利用できます。

 ロビー横のラウンジから表に出てると秘密のトンネルがあります。

 トンネルを抜けるとグランピング用のテントが設営されていました。

 ビーチというには雑多な感じですが、プライベートビーチが併設されています。

※記事をしたためた2023年5月時点では公式HPにグランピングの案内がありませんでした。

 最上階からは中の島の頂上を散策することができます。

 最上階から屋上に出るとハイキング道の案内板があります。

 屋上からはお隣のお宿と露天風呂が見下ろせてしまいます。

 遊歩道の微妙に高度感のある渡り廊下を行きます。

 5分もすると絶景の足湯。

 さらに上っていくと展望広場があります。整備はされているがトイレなどもないのでどのように使われていたのか。

 広場からは木々が伸びすぎて眺望は今一つ。これぐらいのビューイングがある程度でした。

 

お部屋

 案内して頂いたのは一般客室の301号室です。

 間取りは本間10畳+踏み込み2畳+上がり間3畳+洗面+バス+トイレです。

 中の島さんでは最も安価なお部屋です。

 広々玄関と上がってすぐの上がり間も3畳とかなり広い。

 振り返ると玄関右手に水回りがあります。

 やはり、こちらの棟はお食事処や湯上がり処を見る限り、かつてのホテルをリフォームをした建物のようで壁の固定式ドライヤー等年代を感じる装備もあります。バスとトイレは別々です。

 ドライヤーは古いが中の島さんのオリジナル個包装のアメニティ類と、浴衣やタオルもオリジナル刺繍入りで高級旅館の抜かりない備え。

 綺麗にはしてありますが、安価なお部屋ということもあり、高級旅館のお部屋としてはシンプルです。

 新館は船着き場を臨む景色ですが、こちらの景色は裏手の静かなオーシャンビューです。中の島さんのお部屋は全てオーシャンビューの景色が約束されています。漁船が出航する景色をみたりボサっとするには最高です。

 サンセットにはサンロードが伸びていました。正面側ではむしろこの景色がないと思われます。対岸に見えるのは湯快リゾートさんの建物かな。

 お茶セットはオリジナルのドリップコーヒーや香りのよい上物の茶パック、ウェルカム茶はペットボトルと、流行り病もあまり気にしなくなっている時世でしたが非接触対応でした。

 分かり易く敢えて「旧館」という表現を使うと、この部屋からはラウンジは正直かなり遠い。そういう面でも安価なのかと思います。辛うじて湯上がり処のウーロン茶やアイスなどは手が届きます。風呂と食事処は近いです。

 

お風呂

 中の島さんの温泉は超開放型露天風呂でありながらも、泉質と湯量が極上すぎる源泉かけ流しの湯浴みを堪能できるのも楽しみの主軸です。チェックインから夜を境に浴場の入れ換えがあるのですが、訪れた時間割りでは女性メインの時間割となっていました。

 利用はしませんでしたが2ヵ所の貸切風呂もあります。

 公式HPには島内に源泉6本、一日700トン、毎分486Lの湯量とモンスター温泉です。分析表には7号泉もあるようで、現在は4,5,6,7号の自家源泉の混合泉のようです。温度は高めの50度で湯は確かに熱めですが露天では丁度良い。夏場は恐らく熱く感じるかと思います。表記がどこまでなのかは分かりませんが、恐らく内湯は循環濾過消毒加水の源泉投入の放流式とあります。露天風呂はおそらく源泉かけ流しです。

 泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物(低張性・中性-高温泉)で浴場に入るなり、ほのかな硫黄臭を愛で口に入れるとニガリの強塩味と鼻に抜ける腐玉子の極みの臭。肌感はヌルツルとして硫黄で肌は荒れるが纏わりつくナトリウムのシットリ感の相殺がすさまじい。アレルギーに弱い相方はガサガサになっているのに対して、自分はしっとりと体調や体質によって湯上がり感が異なる湯となっています。消毒とありますが全く塩素系の臭いは感じません。

 露天風呂が開放的すぎて、漁船からお隣のお宿からと視線が通るため、女性には湯浴み着の貸し出しがあるので気になる方は無料レンタルがお勧めです。

1階大浴場・露天風呂

 内湯は無色透明だがほのかに香る硫黄の薫りは温泉好きであれば、肺一杯に吸い込みたくなる。すでに湯舟からザブザブ溢れる湯量に惜しみがありません。

 普段お好みのシャンプーがあれば利用できるシャンプーバイキング。

 20人以上が余裕を持って入れる湯舟に誰も入っていないにも関わらず、縁から溢れだす豊富すぎる湯量は勿体ないに尽きます。

 湯舟の真ん中にある、こちらは源泉の注ぎ口かと思われます。口に入れるとニガリの強塩味と緩い玉子臭にかなりのあつ湯。

 内湯は吸い込み口があり循環放流型の掛け流しなのかなと思います。例え循環であっても気にもならない湯量と溢れ出しです。

 内湯から露天風呂へ海辺に降りていきます。

 露天風呂はチェックイン直後に行く、と鮮やかなコバルトブルーに軽い濁りはありましたが透明を保っていました。夜はお客さんが入ったand外気にさらされて酸化したのか青い乳白色の濁り湯となっていました。

 源泉の湯口は炭酸泉なのかというほどにシュワシュワと弾けるように湧き出しています。口に含むと強烈な玉子臭とにがり風味に、本来は強塩味なのだろうが硫黄臭がきつ過ぎてあまり感じない。

 内湯側を眺めながら・・・マッタリと浸かっていると東京から来たという年配の旦那さんに話掛けられました。

 大阪にまず新幹線で移動したのちバスで来たがとにかく遠いと言う。確かに温泉好きなら中の島さんの湯を楽しみに来たかろうと思います。関東方面からは名古屋まで新幹線で、そこからはレンタカーが最もアクセスが良好ではないかと思われます。

 このご主人かなり温泉好き&宿マニアのようで、マニアの行きたいところはやはり似たり寄ったりで温泉談議で情報交換をのぼせるまでしました。

 湯船全体に白い析出物がついており温泉成分の濃さが伺えます。露天風呂からは湯快リゾートさんと漁港の明かりが幻想的でした。こちらから見えているこということは向こうからも見えている。まぁ、野郎は気になりませんが女性は気になる方は湯浴み着を。

 最後の湯を頂きに23時に行くと源泉はとまっていた・・・自然湧出ではないようです。

2階大浴場・露天風呂

 中の島さんのメインと言ってもいい露天風呂。チェックインから夜間までは女性専用、翌朝は男性専用に入れ替わります。中の島さんは女性のスパタイムを優位にとっておられます。

 内湯は大きくは変わらない仕様のようです。ただ、湯が満ちていないのか朝一番は溢れ出しはありませんでした。

 内湯から暖簾を潜り人工芝のトンネルを往くと南国の雰囲気のある洞窟から外へ。

 そして、いきなり開放感を楽しむはずが・・・翌朝の男性タイムは地獄の土砂降り大雨です。これは困った・・・屋根などは一切ないので晴天では最高の絶景の開放露天風呂の諸刃の部分です。

 どうしようもないので冷たい雨を浴びながらも湯は温かい。

 傘が欲しいですなぁ・・・。湯は透明度はなく雨によってかき混ぜられて白濁としていました。

 屋根にあるところから眺めます。雨天になるとゆっくりと入っていられない。ただ、この30分後には一転して晴天になり最高の入浴タイムとなりました。

 屋根のある所には雨天を考慮してか洞窟風呂があります。

 中はライトアップされて硫黄の臭いが立ち込めています。

 洞窟内には源泉と思わしき湯口があり周辺には白い析出物がへばりついていました。自然湧出・間欠なのかコポコポと不規則にかなりの湯量が贅の如く投入されています。ニガリと玉子臭がかなりきつい。

 露天風呂は二層となっており、洞窟風呂から赤矢印へ、最後青矢印の海側の浴槽へ湯が溢れ出ていくシステムとなっていました。 なので洞窟風呂が最も新鮮湯?で「あつ湯」ピリピリとするほどの湯感があり、夏場はさらに熱くなるかと思います。

 雨が降る左露天側と右洞窟側では透明度が異なります。雨によってかき混ぜられて硫黄の酸化が進むのでしょうか。

 このように洞窟風呂から源泉が上段の湯、海側の下段の湯へ溢れ出ていきます。

 下の湯は海に最も近く「ぬる湯」好きにはたまらない湯感を堪能できます。源泉好きは「あつ湯」を、長湯好きには下段と、温泉好きの好みが熟知された構成です。

 行き所のない源泉は惜しみなく海へ捨てられていきます。

 しかし、雨がちべたい・・・。

 快晴ではありませんが、雨天でなければ透明度のある湯を楽しめます。このような景色が広がります。女湯タイムでは全く濁りはなく雨にかき混ぜられた湯の酸化がありませんでした。

 真の温泉好きは極まった硫黄泉と海に広がる絶景に魅せられて集ってくるのに納得です。確かにリピーターからすると、この湯の損失は人類の損失並みかと。

 中の島さんに宿泊の際は、お風呂も存分に楽しむためには、天気予報もチェック要項に入ってきます。宿泊当日の女湯タイムは、どこも透明度のある新鮮湯で最高だったようです。

 こちらの露天風呂は2階構造となっており、洞窟風呂の上にも赤矢印の所にも湯舟があります。

 洞口風呂前から階段が付いているので上っていくとやがて二階部分が見えてきます。

 階段を上がり切ると寝湯がある、こちらも源泉かけ流しの湯舟があります。同じアングル撮影ですが、左は前日雨無しで右は翌日の雨天で白濁化。見た目に濁りが好きな方は雨は恩恵か?

 下階に劣らず湯量豊富に源泉かけ流しの湯舟ですが意外と人気がなく人がいない。

 むしろ、人がいないのは個人的には有難い。

 ただ、1階部分に比べると開放感が圧倒的に弱い。

 2階の露天風呂の溢れ出しも申し分なく。

 極限の湧出泉は島に長く逗留して堪能したくなります。

 

お料理

 朝夕共にお食事処「熊野の恵」でいただきました。

 オープンスペースですが、衝立を立てプライベートスペースが確保されています。

 料理は海の幸を中心とした会席となっており、那智勝浦の名品であるマグロを中心に、季節の梅ダイやハモといった豪華な食材が盛り込んであります。京風の味付は食材の旨みを活かすため物。繊細な出汁と塩味加減の絶妙さは全ての味の「真ん中」を置いています。言うなら味付けで濃く感じるのは「玉利醤油」ぐらいではないかと。

 何が凄いかと言うとテーブルの状況が常に把握されており、運ばれてくる料理は絶対に重なることはなく、食べるペースが遅くとも次の料理が押し出されることはありません。水1つにしても常にテーブルの状況が把握されており、常にベストな状態でテーブルに料理が運ばれてきます。

 献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。内容に関しては説明して頂いたものと、実際口にした感想を交えて記してあります。釣りで水揚げしたガシラの唐揚げなどは献立には載っておりません。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

【先付】:季節の先付け

 最初の配膳からいきなりのびっくり先付です。

 箱膳にたっぷりのクラッシュアイスを敷き詰めて、ジュンサイが見えるギヤマンの御猪口が冷やしてあります。ご説明では「ジュンサイとハモのゼリー寄せ」です。

 ゼリーとの説明でしたが、ジュンサイを使った料理によくあるジュレのような物だろうと思ってスプーンを入れると・・・か、かたい!!こんにゃくゼリーぐらいの硬さがあるゼリー地を掬うと、カツオとやや強めの塩味に、酒のようなほのかな甘さがあります。ジュンサイのコリコリとした食感の他に、しゃきしゃきとした歯応えもあり、薫りは強くはないが恐らく軸三つ葉の食感。夏らしいハモの湯引きを刻んだ旬の涼です。

 

【前菜】:

①姫ひじき白和え  ②バイ貝旨煮

③手長海老素揚げ  ④錦玉子

⑤サーモン錦糸巻き ⑥鯛の子

 ①ほおづきの器に盛られている白和えは甘さがあり「おから」のようなしっとりとしたコクもあるが、もしかしたら西京味噌を合わせてあるのかもしれません。 ②バイ貝はお酒を使い醤油味は濃い目にグッと炊き上げてあります。 ③口に残らないぐらいにカラカラに揚げて、軽く塩を振り揚げ海老の香ばしさがたっぷりです。 ④錦玉子は黄身と白身をそれぞれ裏漉しにして、黄身には砂糖甘さを強く持たせて、白身は寒天で固めてあるのかプルっとした食感があります。ケーキカステラのような食感です。 ⑥タイの子は見た目はタラコのようにも見えます。しかし、玉子はかなり細粒で口の中で潰すとザラリとした舌触りに、浸してあるカツオ出汁がよく馴染み木の芽を添えます。この手のお品にはショウガが付き物ですが自然の味です。

 ⑤これがかなり迷いました。甘い薄焼き卵の内には焼き海苔、さらに内には酢飯のように見立てた白い物は?恐らくタイを昆布と酢で締めて叩いた物で、さらに緩く火を入れて焼き香ばしさを出したサーモンを巻いた一品かと思います。まるで巻きずしのように口にできる不思議な巻きです。

 

【釣りの収穫】:カサゴの唐揚げ

 献立には載っていないお品です。

 船着き場での釣りでカサゴを2尾ゲット致しまして、10㎝から15㎝の大きさでしたが調理をお願いした所、唐揚げにしてもらえました。

 背骨を抜いて背開きにして、丸っとカリカリに唐揚げにしてあり、温かくはなかったものの頭から尾まで揚げ香ばしく水揚げ直後なのでもちろん美味しいに決まっています。抜いた背は骨煎餅として一緒に唐揚げにしてありました。

 30㎝ぐらいのチヌも掛かったのですが、タモ(網)が間に合わずバレてしまい惜しかった・・・。チヌならどんな料理をしてもらえるのか。

 最初の針に掛かった金魚のような名が分からない魚。「こいつも調理できますか?」と聞くと「さすがにこれは・・・」とフロントで言われましたが、一緒に揚げてくれていました。

 

 「お手間ですが一仕事をお願いします」と、造りの前にやってきたのは「本わさび」。ワサビの産地である長野や静岡の物と比べると、どのような摺り方をしても、やけに瑞々しく辛みはなく甘味と爽やかなワサビ風味しかありません。水質、地質、収穫時期に依るかもしれませんが、和歌山県の印南町で育てている希少な「真妻わさび」だったりするのかと想像してみる。いつも造りには素材の味を楽しみたいので、ワサビを付けない自分ですが、中の島さんの造りにはワサビを添えた方が食材の旨さがよく感じられました。

【お造り】:勝浦産鮪 梅鯛 障泥烏賊 活車海老

 お重でやってきた造りは「玉手箱です」と配されました。蓋を開けたあとに「年とったんちゃう?」と相方に聞くと配膳係の方が「若返りの玉手箱です」と機転を効かし、隣のグループに配膳する際は最初から「若返りの玉手箱です」と説明していましたw 順応早すぎでしょ!!ww 加味のこってりたまり醤油は、今回のクセのないタンパクな造り達を、底上げするかのような絶品のセレクトです。 

 蓋を開けるとドライアイスの煙りがムワッと立ち込めた玉手箱のように演出してあります。 勝浦産のマグロはキハダのようで瑞々しく透明感のある赤身の旨味です。見た目の赤身は本マグロに見えるほど。 梅ダイは梅酢エキスで養殖した和歌山のブランド魚?本質は真ダイでありながらも、アマダイのような、ゆったりとした甘味と脂があります。 イカはアオリで熟された甘深い物ではなく、イカの純なコリっとした旨さで新鮮な歯切れがよい。 車エビは頭部は茹でにしてあり殻を外してエビ味噌を食べやすくする一手間。つまは、こよりキュウリ、大根けん、大葉、紫蘇花。

 車エビのメインの尾は洗いのように氷で締めてあり、尾の真ん中の尖りをくるりと巻いて身にぶすりと刺しこんであるという見たことのない飾りです。トロリと甘い海老ではなく締めも相まってゴリっとした食感に透き通る海老の手間があるコク出しです。

 

【料理長からの一品】

 献立には載っていない料理長からのサービス品です。那智勝浦の名産であるクジラの造りです。こちらは大根けん、大葉に加え、アカトサカノリ、薬味の擦りショウガ。

 一枚に見えた盛りですが、後ろに切り身をもう一枚重ねてありました。血合いのような極赤身やクジラベーコンは何度も口にしたことがありますが、このような霜降りは初見です。造りの「濃口たまり」とは対照的な「薄口のたまり」が脂に実に合う。ただ、脂は多く見えますが、同じ哺乳類でありながらも牛や豚のギットリとした物ではありません。まろやかというわけでもなく、脂の旨さが変に中性的というのも変ですが、臭みもなければ角もない。むしろ、極赤身の方が主張が分かり易いですが、この切り身はロースのような脂もあるが旨味もしっかりとある上品な食べ口。噛めば噛むほどにとにかく困惑のマイルド。

 

【追肴】:活け鮑酒蒸し 黒牛 和歌山県名手酒蔵店

 ワゴンで運ばれてきた陶板の蓋を開けると、湯気が立ち上り日本酒とバターの薫りが放たれ嗅覚を突きます。和歌山市にある酒蔵さんの「黒牛」という銘柄で酒蒸したという拘りの一品です。

 「カメラ向けられると緊張しますわ~~!!」と若い板さん。

 熱々で目の前に取り分けていただいた「酒バター蒸し」はバターは控えめのプリプリです。

 殻からアワビを外して裏返してみると肝が緑色ですねぇ。海藻をたっぷりと食べた後でしょうか。相方のキモは緑の色付きはありませんでした。天然物なら市場で買うと3000円ぐらいしそうな大きさです。

 ナイフがなかなか通らずフォークを刺し込んでも弾力が凄まじく弾かれてしまうほどです。伊豆や山陰方面で口にする物は、小物なのか紋甲イカのようにスルっと歯が入りますが、中の島さんのは肉厚でゴリゴリ感かなり強く、とにかく歯切れが悪過ぎるのは天然物でしょうか。確かなアワビの風味うま味が感じられ、皿の下にある蒸し酒に浸して食するにしてもアワビの実味が死なず美味い。蒸し酒は飲むと塩辛いが切った身を浸すと絶品のアワビ出汁。ゴリゴリの触感は旨味がなくなるまで噛んでいたくなります。

 

【お凌ぎ】:漬け鮪握り寿司

 ライブキッチンで握られる凌ぎですが、せっかくのライブなのに見えにくい場所にあるキッチン。このカウンターから握りがやってきます。

 配膳されたのはツヤツヤの本マグロか?と思いきや、造りと同じキハダマグロとのこと。漬けにしてあることで無駄な水分が抜けうま味が引き締まり本マグロに負けず劣らず。脂と赤身の加減は中トロでしょうか。見た目からするとギュッと締まっているのかと思いきや、舌に触れると極滑らかで、脂を感じながら抵抗感なく割ける身振り。口の中は何処にも尖りを感じず、味も口当たりも真丸のまろまろ。微甘味と微酸味の主張は後に控えた酢飯のまろみが極まり、漬けマグロだが塩味はきつくなく、昆布?を使ったような出汁醤油の旨処だけをしみ込ませてあるような丁寧過ぎる逸品でした。キハダでもここまで味が引き出せるのですねぇ・・・。

 

【漁り火】:鱧しゃぶしゃぶ

 具材は大黒シメジ、アジサイ人参?、水菜、白菜の浅漬け?、焼きネギ、豆腐、素麺と、白菜ば酸味があり昆布と酢で漬けたかのようで、ネギも焼いてありちょっとした下ごしらえの手間が凄い。

 火が入る前に出汁を味見するとカツオが強く醤油がやさしい。しかし、火が入って温まってくると酒?みりん?の甘味が増す出汁に変化します。

 「ハモは40秒ほどしゃぶしゃぶして下さい」とのご説明です。タンパクな魚ほど強い追い味を持たせるほうが私的には旨味がよく分かるのですが、このお鍋は出汁にある塩は濃すぎず薄すぎずタンパクなハモに丁度良くハモ味が持ち上がってきます。それ故に、ハモを純粋に楽しむためか薬味はありませんでした。

 料理長さんに怒られそうですが、伊豆流に造りの本山葵で山葵鍋風に溶くと、これがハモにも良く合い白身旨味が立ち、さわやか出汁に変化していくらでも飲めそうです。ワサビが生だと日本人の味覚をツンツン刺激します。

 

 最初から配膳されていた重の蓋を開けると、日本人であれば唾液が滲み出る赤と白のコントラスト。部位は赤身よりのロースっぽい感じです。

【台の物】:熊野和牛ロースの陶板焼き 串本産椎茸 万願寺唐辛子

 薬味には金山寺味噌とワサビ塩の用意です。金山寺味噌は熟されているのか「もろみ」は砕けて、塩も甘味も主張せず麹の香りと共に深みを楽しめます。ワサビ塩は塩の量に対して、ワサビが豊かすぎる程に香ります。ポン酢やタレではなく、薬味塩と味噌だけの味付けは面白い趣向です。

 「焼く前に塩コショウを振っておきましょうか?」と言う申し出がありました。申し出があるということは、ベスト味付けと判断してお願いました。

 お野菜を先に乗せておき、熊野牛を好きな焼き加減で順次焼いていきます。何年前だろうか・・・当時はご当地和牛のブランドが進んでいたが精錬さはなく、最初に口にした熊野牛は、部位にもよるが和牛の味気がない発展途上というイメージでした。

 最近はどこの地方ブランド和牛もかなり美味しくなっていてびっくりします。同じロースでも但馬や飛騨の和牛に比べると、ランクは分からないもののサシはそこまできめ細やかなではないです。が、牛脂の旨味が強すぎるブランド和牛に比べ、主張控えめな灰汁がない肉質です。

 やはり、年が往く胃袋にはこの食べ方が最も美味しい。辛味のないワサビと清らかな生ワサビに追いワサビ塩を加味すると、強パンチではない和牛と薬味のワンアクションで清らかなサッパリ和牛。脂が濃くないので、しっかりとした歯応えで赤身と脂身の「真ん中」の美味しさです。

 

【お食事】:梅真鯛と枝豆の炊き込みご飯 鯛潮汁 香の物

 梅エキスを使ったエサで養殖した梅マダイを使った炊き込みご飯。鯛の脂は梅効果かあっさりとして米は立たずタイに馴染んで「しっとり&爽やかな」な触感。タイとの一体感が素晴らしく、風味や食感にバラつきがでないように細かいほぐし身。鮮やかな枝豆は色落ちしないように後入れで、時折やってくるアクセントは初夏の味わいでリセット。これまでの料理に比べるとやや醤油を強く持たせて焚いてある濃い味です。 汁椀はラーメンの鶏ガラ出汁をとるように、梅ダイのガラを白濁しないように低温でじっくりと旨出汁を抽出したのではないかと思います。海のミネラルがたっぷりの清汁仕立てには結び湯葉と青さ海苔を合わせてあります。 お酒が進みそうな香の物は大根甘酢漬けと野沢菜です。

 

【水物】:葛切りフルーツ添え

 季節の涼菓はツルツルと歯切れの良い葛切りを柑橘の蜜に浸してあります。箸で掴むとしっかりとした地で、口に入れるとさっくりと切れる葛切り。上品な柑橘蜜の馴染みが良いです。1.5㎝角の立法スイカにも、この柑橘蜜がしみ込むがスイカの風味は壊さず共存しています。

 葛切りはお隣の奈良県名産の吉野葛とかでしょうか。ここでも迷わせてくれるのは柑橘の正体です。口に入れると最初に感じるのはレモンのような酸味蜜。と、しながらも強酸ではなく、甘夏のようで甘味と酸味が入り混じるが、右にも左にも飛び出ずクセがなく特別な爽やかな水菓子で締めました。

 

 夕食後はラウンジでの振る舞い酒をいただきました。地物の日本酒と紀州と言えば梅酒が用意されています。おつまみの用意も。公式HPには3種の梅酒とのことでしたが、流行り病のこともあってか小瓶の1種のみでした。

 お部屋に持って帰ってもラウンジやテラスでも。船着き場にある前庭のライトアップを見ながら一杯やらせていただきました。

 

朝食

 夕食と同じお食事処での案内です。朝は海側のロケーションです。

 席に着くとすぐに椀、白米、茶碗蒸しがやってきます。ハーフバイキング形式となっており、バイキングのおかずを取りにいって帰ってきてから、焼き魚のサンマに火を入れてくれるという、焼きすぎにならない配慮は凄い。

【重膳】:

・釜揚げしらす大根おろし ・ひじきの煮物 ・壬生菜浅漬け

・胡麻豆腐 ・鮪角煮 ・ほうれん草カツオ浸し

 どれも手仕込みのようでもあり、お取り寄せの地物品のようでもあります。 夕食の前菜にあったヒジキは姫で小さく柔らかいものでしたが、朝食の煮物は噛み心地がとんでもない豊かで太い。甘醤油でしっかり炊いた物ではなく自然を活かした味付です。 胡麻豆腐はネットリとしたもちプル触感で、ゆるゆるとミルキーな胡麻風味に摺りワサビを添えてあります。切り口にムラがあり触感や味からすると自家製ではないかと。 マグロの角煮は昆布と胡麻が混ぜ込んである丁度白米によい味付け。こちらは地物のお取り寄せのようですが、もしかしたら作り置きして朝食に出した手仕込みのようにも見えます。

・ざる豆腐 マグロ節

・出汁巻玉子

 大豆濃厚の湯葉にも近い豆腐にはカツオ節ではなく風味軽やかなマグロ節で。 出汁巻玉子はしっかりと巻いてありますが、層にならず丁寧に巻き上げてあり、添え付けの大根おろしにはあらかじめ出汁醤油をほのかに持たせてありました。

・サンマ一夜干し

 旬でもないのに何故にサンマという感じですが、三陸沖から産卵のための寒流にのって和歌山沿岸部で熊野灘でとれるそうです。脂がギュッとしまった一夜干しで火が入ると脂がしたたり、火が止まると食べごろです。シーズンに捕獲&真空保冷なのかな。

・白米

・味噌汁(ワカメ、アミタケ?、麩)

・茶碗蒸し

 白米は食べきれる分だけを盛ってくれてあります。味噌汁は塩控えめの合わせのような風味です。茶碗蒸しは玉子プリンのような地でお出汁が良く香り、具材は鶏、ぎんなん、かまぼこ、三つ葉です。

 

【ハーフバイキング】

 カウンターにはパン類やサラダなどが置かれていました。

・中落ち鮪

・サラダ(レタス、水菜、人参、タマネギ、ミニトマト、貝割れ)

・梅ドレッシング みかんドレッシング

・梅干し3種 焼き海苔

 中落ちマグロは夕食のキハダの物ではないかと思います。美味い味わいは変わりなく、朝からマグロ丼が完成します。 サラダはフレッシュで、売店で販売している2種のドレッシングを味見できます。酸味を控えた上品なホテルドレッシングです。 和歌山らしい3種の梅干し食べ比べは、こちらも売店にあったのかな。塩味や酸味がきつくなく食べやすくお米に絶合。

・クロワッサン 餡子デニッシュ

・ヨーグルト

・フルーツ(キウイ、パイナップル)

 パンもおまけではなくバターがしっかりと練り込んである美味しいもの。味付のいらないほどに塩を持たせたクロワッサン。サクサクのデニッシュにはこしあんを巻いてありました。

・みかんジュース 牛乳 コーヒー

 地物の和歌山みかんジュースと熊野産の牛乳はどこの牧場産でしょう。調べると周辺にいくつか牧場があるようで地物でしょうか。 みかんジュースは酸味はなく温州らしい甘味と風味が強いやつです。 食後のコーヒーの用意も当たり前のようにあります。

 窓の外を見ると釣り船が出航です。

 朝食を食べ終わると、配膳係の方が「イルカのエサやりが始まりますよ」教えてくれました。中の島さんのイルカではなく、向かいの漁港からお世話係の方が船で生け簀までやってきました。時々飛んだり顔をだしたりイルカさんをしばらく眺めていました。

 どこかでイルカが少なくなっているので繁殖させていると聞いたことがあります。

 

まとめ

 チェックアウトして帰路の船が出港。スタッフの方が見えなくなるまで手を振っておられました。高級旅館のサービスは抜かりないのに、人当たりはとても中性的で接しやすく、釣った魚を調理、夜の一杯、料理の手配、顔を合わせると全ての従業員さんが必ず挨拶をするという。昨今では目にしない程の教育レベルで「従業員を大切にする=お客さんを大切にする」という見本のようなお宿だと感じました。客が常に快適に過ごせるようにというホスピタリティは他にはない物ではないかと思います。

 お部屋のチョイスはどこのお宿も部屋によって、大きく料理の内容が変わることがないので一番安いお部屋を予約。どうせ風呂は源泉かけ流しの名物大浴場を利用するので、ラグジュアリーな雰囲気を求めないのであれば安いお部屋で十分。玄関正面のお部屋ではないですが、裏手のオーシャンビューで静かな時を過ごすことができます。

 温泉は大露天等々の湯舟が大きいのに最高の爆量硫黄泉を堪能することができます。管理が難しいのかと思いますが、女性タイムと男性タイムのバランスはどちらかと言うと女性依りにしてあります。女性に好まれそうな宿なので、男性は朝しかメインの露天に入ることができないのは仕方なし。

 料理は和歌山らしい季節の海の食材と熊野牛の山の食材、料理長からの差し入れである勝浦らしいクジラ、葛切りなど季節らしい上品な甘味などなどお値段に負けない内容となっています。ただ、私的には「これは他では食べれないぞ」という創作性の一品があると、尚たのしめるかなと思いました。釣りもおまけ的要素ですが大物が釣れると、どんな料理にしてくれるのだろうかと、また訪れたくなる楽しみの1つです。

宿泊日:2022/初夏

旅行サイト:楽天トラベル

プラン:【楽天スーパーSALE】20%OFF!!専用客船で行く”一島一旅館”【スタンダードプラン】

\部屋タイプ:潮聞亭|和室10畳/オーシャンビュー()×1部屋

合計料金:82880円(2人)

クーポン:14144円【GOGO☆関西】10000円+【高級宿・温泉宿】5と0のつく日5%OFF

支払い料金:68736円

加算ポイント:687p

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