いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

山里のいおり 草円【岐阜県 福地温泉】~厳かな静寂が似合う大人の温泉宿、季節と郷土の料理は素朴だが極みの下ごしらえに舌を奪われ、湯量が豊富すぎる源泉かけ流しの貸切風呂で時を忘れる~

 奥飛騨には、平湯温泉、新平湯温泉、新穂高温泉、福地温泉、と境は明確ではないが、何となくまとまった温泉街が点在しています。平湯温泉は上高地の玄関口にあることで有名ですが、同じ奥飛騨の温泉地としては福地温泉は知る人ぞ知る静寂の喧噪が似合う秘境のような佇まいです。福地温泉にあるお宿は、それぞれに独特な特徴があり、草円さんには大浴場と3つの貸切風呂、泊まれる有形文化財のお部屋があります。離れの様な旅情と、再び味わいたい料理に誘われ2度目の往訪となりました。

※内容は宿泊した当時の内容となっていますのでご参考程度に。最新の情報は各々でご確認下さい。

旅情

 草円さんに訪れるのは2回目だったこともあり、駐車場へ直接車を停めてお邪魔しました。

 駐車場すぐ裏手の建物は恐らく納屋で、ここから本館へ向かう通路があります。道路右奥に見えるのが表門です。

 駐車場横の納屋のような建物からは、このように表門までの道筋がついています。

 こちらは舗装路を上がってきた表門です。

 表門右手には車寄せがあり、建物には直接入ることはできないものの屋根の下でお出迎えしてくれます。車は駐車場に持って行く必要があるので、元気で足元が悪くなければ駐車場から歩く方が二度手間がないかも。

 門と称しましたが門らしい門はなく、勝手口のような入り口です。前回訪れたのも同じ初夏の季節で、奥飛騨では肌寒く感じる季節。草円さんのお庭は無造作に手入れがしてあるのに自然の景色に調っている不思議な感覚です。

 門を潜ると右手に正面から見えていた「水小屋」と称された建物があります。

 前に訪れた時には囲炉裏に火が入り、飲用ではないが何かを煮詰めたような物が置かれていたような気がします。虫やカビ除けなのか。このたびは囲炉裏には火はなく。

 「水小屋」を後に右手には車寄せの納屋反対側を母屋へ向かいます。これは到着時の風景で、玄関は閉ざしてあります。

 これはチェックアウト時の風景ですが、玄関の戸は開け放たれておりチェックインとは違った演出なのかと思います。前回も同じようにINでは閉ざして、OUTでは開放でした。公式HPを見ていると玄関口は、潜り戸からのチェックインでしたが、背丈のある引き戸となっており、自分が訪れた時より様相が少し違うように見えます。

 潜り戸はしんどいので、ご年配の方への配慮なのかなと思います。館内は下足で土間様式となっているので、足腰に難がある方にはやはりちょっとつらい。草円さんだけではなく、奥飛騨のお宿はバリアフリーは厳しい古民家が多い。足腰が悪くなる前に訪れて堪能するべきエリアです。

 右下の赤矢印が入り口です。入ってすぐの所がフロントで、正面の草履が並んでいる所が囲炉裏のあるラウンジに相当する場所です。

 熊やカモシカの生皮を座布団にしてあり炭と薪がくべられていました。

 ラウンジらしく喫茶にもなっていて温かい物をいただくことができます。

 入り口の別角度から囲炉裏ラウンジの向かいには、売店が併設されたロビー的なスペースがあります。中央の赤矢印は有形文化財の「煙香庵:せせらぎ」というメゾネットタイプのお部屋のようです。

 こちらの囲炉裏にも炭がいこっており、郷土のお土産などが置いてありました。

 好みが分かれる手作りの郷土品なので、人にあげるというよりは、自分用?のお土産が多そうです。

 お土産処の囲炉裏間にはステンドグラスがあしらわれた大正テイスト。

 流行り病によりウェルカム茶は混雑するチェックイン時ではなく「空いている時間で」という案内でした。訪れた時間帯では客はおらず、チェックイン時にお願いすると快く用意して頂けました。

 ウェルカム茶は緑茶と一口餅の餡は初夏なのに「栗きんとん」。餅は焼いて温かくカリっもっちと、栗きんとんは自然の甘さ。前の宿泊では真夏だったので、季節の枝豆「ずんだ餡」でした。訪れるごとに違う手作りの味わいは流石です。餅も毎日突いておらえるようなので自家製です。

 入ってきた玄関を振り返り、赤矢印のお土産囲炉裏間の裏手には1室だけお部屋があります。

 裏手には「せせらぎ」と対を成す、煙香庵の「いちい」という有形文化財に指定された一室があります。こちらは昔ながらの平屋造り。

 「せせらぎ」の部屋の前、囲炉裏ラウンジを回り込むと左手に階段と、奥へ続く廊下が目に入ります。

 階段を下に下ると「草庵」という宿泊棟があります。駐車場から見えていた建物です。

 草庵へ、ちとお邪魔してみます。

 階段降りてすぐ右手には懐かしいピンクの公衆電話と、ちょっとした読み物が置いてある出窓のようなスペース。まるで居酒屋の一室のようで飲み始めると止まらなくなりそうなほど新緑に包まれた景色。

 さらに奥に進むと室内灯は点灯しておらず、訪れる方が少なかったためか、お部屋を休めているようでした。

 せっかくなのでちょいと電気を着けさせてもらいます。画像ブレブレですが、木をくり貫いた天然水で冷やした飲み物販売と製氷機があります。画像は空ですが、前回は飲み物が冷やされておりました。

 せっかくなので電気を着けさえせてもらい「草庵」の廊下の情景です。館内見取り図を見ていると最奥「つゆ草」は少し広いお部屋のようです。この棟は8室のみ。

 さて、階段のところまで戻ってきました。廊下奥には共同浴場と、お食事処、木庵の宿泊棟があります。この案内板の裏手には小部屋があります。

 お風呂から上がってきて休憩する、いわゆる湯上がり処に相当します。こちらにも草庵の宿泊棟にもあった、飲み物の販売に製氷機が設置されています。

 草庵にもあった木をくりぬいた自然水で冷やした? いや、氷でおもむろに人工的に氷で冷やしたソフトドリンクの販売がありました。前に訪れたときは、この木船に贅沢にソフトドリンクが泳いでおりましたが、温暖化もあるのか夏場の天然水では冷え切らないのか・・・。

 飲み物をとったら伝票に部屋番号を記載して甕の中へ入れるというシステム。ミラクルピースジャパンでは自己申告制。海外では考えられない100%善意におまかせのシステム。自動販売機にすると盗難なく解決ですが、こういう風情いつまでも残ってほしいものです。

 湯上がり処から更に進むと、こちらは明らかな鉄筋コンクリ造の渡り廊下。掲示物には温泉のことなどが書かれた物。興味がある人は見入るかもしれません。奥にある引き戸手前に木庵の2階に上がる階段があります。

 階段を上がると宿泊棟で、最も共同浴場に近いお部屋かと思います。

 引き戸を越えると下り階段があり、下りきったところには米を炊く直火の竈があります。食事前には足元が寒かろう方に膝掛けが置いてありました。

 竈前には一枚扉があり、立札のある場所がお食事処の入り口です。

 お食事処の立札があるところを回り込むと、木庵宿泊棟の1階は食事処となっており、障子の向こうは食堂です。共同浴場へはお食事処を回り込んで行きます。

 突き当りまでいくとここからは、屋外を行くことになります。続きはお風呂の項で。

 

お部屋

 案内して頂いたのは前回と同じく、有形文化財である煙香庵の「いちい」というお部屋です。

 間取りは、本間8畳+副室8畳+広縁4畳程+上がり間2畳+玄関土間+洗面+トイレです。

 扉を開けると靴脱ぎ石が見え、上がり框は30㎝以上の高さがあります。入り口からして完全に一軒家の古民家です。

 摺りガラスに組子のような菱の細工があしらわれ、玄関のサイドにあるにしては珍しい大きな窓というより引き戸。もともとこの場所にあった物ではないのかもしれません。

 上がり框からの2畳間は広くとってあります。

 手前の本間に隣の副室?は同じ間取りです。二間の平屋造りです。

 本間にはテレビが設置されていて文化財にしては装飾などは少なくシンプルです。宿泊を目的とした建物ではなく、家屋として使っていたのであれば派手さは必要がないのかも。

 テーブルの上に何やら置いてあります。

 前回の宿泊でもあった3段引き出しの手作り茶菓子です。牛蒡チップス、甘夏羊羹、大学芋、風呂上りに一杯やりながら、つまみとしても合います。前回は甘夏羊羹ではなく栗羊羹だったような。

 奥の副室は違い棚や書院、床の柱など飾りはおとなしめで、お布団はこちらのお部屋に敷かれました。

 副室から本間を見ると一気に風情が増し増しになります。2度目の滞在ですが、このお部屋はやはり空間の居心地が良すぎます。

 欄間は今までに見たことがない画風の掘り込みで新しく見えるが・・・

 梁には竹と梅?襖の取っ手には黄金の菊が彫り込んであります。

 窓は2重窓になっており、文化財の部分である内戸は波が打つ手作りガラス。外戸は現代のサッシ窓がはめ込んであります。

 草庵の棟が目の前にあり正直景色はあまりよくない。庭に出て建物を見てみると文化財の雰囲気はなく、外装は現代風飛騨古民家の様相です。

 書院からの広縁の景色は揺り籠タイプの椅子があり、本を見ながらスマホをいじりながら、キコキコキコ・・・・時折り庭を眺めてキコキコキコ・・・この広縁の情景が何とも落ち着きます。

 広縁の端は水屋とトイレです。ちなみに館内にある全ての蛇口からはは福地の天然水が出ます。

 お茶セットはインスタントですがコーヒー、紅茶、お茶、冷水と飲み物は抜かりなく。冷蔵庫は空でお好きな物を入れることが出来ます。草円さんのクラスだとコーヒーなどは追加でいただけそうな気がします。

 バスタオル2枚、浴衣と作務衣の2着でアメニティ類はこのクラスのお宿では必要最低限です。しかし、化粧品類等の備品は浴場に備え付けてあります。

 車で10分程度で平湯温泉のバスターミナル、新平湯方面にはコープや酒屋がありますが、秘境の地なので必要な物は事前に揃えておくことをお勧めします。

 

お風呂

 お食事処を奥に進むと全ての浴場の案内が一度に。とにかく浴場が多いので1つずつ解説を。福地の共同泉を使用した「釜湯」「岩湯」の露天風呂は単純泉、自家源泉の男女別大浴場は重曹泉となっています。また、玄関前の道路を挟んだ反対側の建物には自家源泉のアルカリ性単純泉に満たされた3か所の貸切風呂があります。大浴場と露天風呂は入れ替え制となっています。貸切風呂は空いていればいつでも利用できるという嬉しい仕様です。どれも飲泉することも可能で、口に含むと緩やかな鉄サビ臭があるが基本は無味です。肌触りはツルリとした湯は誰にでも優しく、豊満な湯量を源泉掛け流しで常に新鮮湯が楽しめる贅沢さは草円さんならではに尽きます。季節や天候により濁りや風味も異なり、これまた違う湯の楽しみ方があるのもいいです。

 前画像の所から青矢印に進むと半露天風呂である「福の湯」、一旦外にでて渡り廊下を行くと露天風呂の「森の湯」があります。まずは「福の湯」から参ります。

福の湯

 湯屋にたどり着くと、ぶら下げタイプの椅子が2基置いてあります。

 扉を中へ入ると湯上がり処とになっています。飲泉所もあり析出物びっしりぎちぎちだが、湯は満たされておらず感染症が流行っていたので時節柄。

 湯上がり処には有料の牛乳とアイスが入った冷蔵庫があり、こちらも自己申告制で食したら、伝票に記入して投函します。

 脱衣所に入ると向こうには浴場が見えています。

 脱衣所からは最初に洗い場があり、中央の扉はスチームサウナ風のサウナ、右扉が大浴場となっています。

 スチームサウナはじわじわと汗をかきたい方にはいいのかも。高温の源泉口に加え、大浴場からのオーバーフローした流れ込みもある自然資源の再利用方式。10分程蒸されましたが・・・汗は出ず。好みですな。

 開放的な空間がとられており、ほとんど男女対照的な造りのようです。

 半露天風呂というよりは屋根があるが露天風呂です。並んで6,7人は余裕の大きさの湯船には茶色の析出物が付着しています。源泉はなかなかの「あつ湯」となっていますが、外気により適温で心地いい。こちらの湯舟は短時間でもかなりの温まりがあり、いつまでもポカポカが止まりませんでした。

 温泉宿のHPによくある、こんこんと言う表現がふさわしいぐらいに、湧き出る贅沢な源泉量はダバダバと湯船に注がれます。茶色の析出物らしく口に含むと、どの湯舟よりも強く感じる鉄サビ臭。

 湯舟の縁からの溢れ出しはほとんどなく、流れ出していく先は足湯のサウナへ再利用です。

 風呂からの景色は初夏の青葉が繁りゆっくりと入れる季節でした。厳暑の季節だと長湯は難しいかもですが、夜の奥飛騨は肌寒さを感じるぐらいなので丁度いい具合に入浴できそうです。

森の湯

 風呂の項冒頭画像の渡り廊下を潜る赤矢印を行くと、ダートの道が川岸露天風呂まで伸びています。

 露天風呂には洗い場もなければアメニティもなく、お湯と景色を楽しむ浴場となっていました。

 やがて、「釜湯」と「岩湯」の分岐がやってきます。入浴は20時までで、翌朝には男女が入れ替わります。

釜の湯

 傍らに川が流れ木々に囲まれる雰囲気がたまらない隠家的な露天風呂です。

 チェックインしてすぐに行くと、お湯はまだ溜まり切っていませんでした。湯船は丸い釜を模し中心にはテーブルが設置されています。お風呂に入りながら宴会ができそうです。知り合い同士なら気兼ねないですが、知らない人だとちょっと同席するには、ためらいがでる湯舟。

 朽ちてしまいそうな程に使い込まれた湯口からは多くはない源泉です。いや、他の温泉地からすると、とても多いのかも。露天風呂は福地温泉の共同泉ですが、草円さんの自家源泉と比べると鉄錆臭はほとんど感じられず、とてもまろやかな湯で湯の花もかなり少な目です。

 訪れた前日は大雨で見ての通り濁流となっていました。最近は水量が多くなっているので、奥飛騨温泉街では道路の崩落などが目立ちます。洪水にならないように治水工事が盛んに行われているようでした。

岩湯

 脱衣所から外へ出ると巨石の間に一本の道が通っています。

 巨石の間を抜けると「釜湯」とは対照的な、拓けた景色がある露天風呂です。夜間に大雨が降ったようで、前の川の濁流は変わらず、むしろ勢いが増し山にはガスが掛かっています。

 釜の湯もそうですが、自家源泉よりも中性的で泉質は優しく感じらます。キャパシティは3人と言いたいですが2人かな・・・。見知った仲なら4人。

 湯は薄い緑白色を呈しており、季節や天候などにより濁りが着くのかと思います。岩湯には屋根はなく張り出した巨石が屋根代わりになっています。大雨だと入るのは難しかと。湯量は釜湯と同じぐらいで湯舟としては「ぬる湯」でいつまでも入っていられる温度です。濁りとは裏腹に鉄錆臭はほとんどなく、やはり「まろい湯」です。

 脱衣所の小屋を振り返ると、釜湯と相をなして隠家的な雰囲気は変わらず。誰も来ないので貸切状態でボサっとしながら、ぬるいのでダラダラ湯をいただけました。

貸切風呂:自家源泉水ワケの湯

 貸切風呂へのアクセスは玄関を出て道路反対の砂利道を進みます。

 草円さんの敷地なのだが、もともとは別の旅館だったのでは?と思わしき路地。

 やがて、貸切風呂への折り返しの入り口が現れます。本館玄関から50mぐらいです。他のお宿を買収したのか、お風呂以外の施設は、従業員さんの宿舎になっているようでした。贅沢な使い方をしておられる。

 外廊下を行くと貸切風呂の入り口には草履があり先客がいらっしゃる。

 下足を脱いで中に入ると完全なる一軒家の様相です。

 手前の扉を開けると囲炉裏がある湯上がり処です。冷水や冷茶の一杯の用意が欲しいところですが以前も今回もなく。給水機などは是非に置いて欲しいところ。貸切風呂のハシゴ湯をするなら自身で飲み物を持参した方が良いかと思います。

 このように3カ所の個室の貸切風呂があり、それぞれに湯舟の大きさも異なるので入り比べも面白いかと思います。

貸切風呂 その1

 3か所の貸切風呂はほとんど一緒のあつらえですが、湯船の大きさや露天風呂の景色が若干異なります。特に名称は無かったので建物入って一番近い湯屋から順番に。こちらは2畳ぐらいある「ぬる湯」と1畳ぐらいの「あつ湯」浴槽が並んだ内湯。

 ぬる湯は35度設定、熱湯は44度設定。35度はぬる湯フリークにはたまらない、ずっと入っていられるたまらない湯温です。二つの浴槽は白い濁りがありましたが、以前の往訪では全ての貸切風呂は無色透明でした。季節や天候などの要因により湯の性質が変わるのは面白くもあり、入浴するにしても楽しみでもあります。

 源泉かけ流しだが湯口の温度もそれぞれ違う。加水はしていないはずなので、どのような調整がしてあるのか謎が深まりますが、両口ともやはり確かな鉄錆臭を感じます。前の宿泊では鉄錆臭はほとんど感じなかったのも不思議です。

※この画像は2018年往訪時のものです。濁りや湯の花は全くありませんでした。

 白い湯の花が浮遊しており湯感は最高です。 しかし、2つの湯船の間仕切りの下2㎝ぐらいは繋がっていて、「あつ湯」が「ぬる湯」へ流れ込むようになっています。「あつ湯」と「ぬる湯」を比較すると、あつ湯は濁りがあり、ぬる湯は透明度が高い。

 捨て湯の先は玉砂利となっており、さらさらと勿体ないほどに大量の湯が溢れ出ていきます。そして、この捨て湯は湯舟の底からサイフォン方式で出ていくので湯の使いが丁寧です。身体を沈めると玉砂利の捨て湯場に豪快に溢れ大洪水になるという至極の贅です。 あつ湯の湯船には縁には自然流出を抑えるさらに高い淵が設けられ、自然に流れ出すのは「ぬる湯」側から捨てられていきます。

 露天風呂へ出るとシャクナゲの花がボトリボトリと大きな花を落としていました。木々も程よく剪定された露天風呂です。

 湯舟は4人ぐらいはワイワイ入れそうな大きさがあります。

 水と掘られた瓦屋根にありそうなレリーフからは、析出物の付き具合を見て頂くと明らかに水ではなく源泉です。湯口はやや熱めの湯。

 捨て湯口の筒には水位が満たされておらず、まだ湯溜めが不十分な状態でした。夜に行くと捨て湯口から素敵な程に湯が捨てられていました。

貸切風呂 その2

 こちらは一番小さな貸切風呂です。「その1」と同じように洗い場がついています。

 「ぬる湯」も「あつ湯」も一人前一畳の大きさです。源泉投入量は他よりも少なく見えましたが、湯舟の大きさからすると最も新鮮な湯がいただけるかも。やはり、こちらも白濁の濁りがあります。

 「あつ湯」側には堰が足してあり溢れ出すのは「ぬる湯」から玉砂利へ。あつ湯とぬる湯の隔たりの下は「その1」と同じように繋がっているので湯舟の底でお湯が移動します。

 露天風呂へ出るとシャクナゲの花が終わりを迎えていました。

 露天風呂も一番小さく2人で一杯です。緑白色の濁りは変わらず。くどいようですが、前回とはかなり様相が異なります。この画像では湯口周辺の析出物と茶褐色の鉄成分が如何にも温泉という情景です。

※2018年の湯舟は濁りはなく、温泉成分の付着もなく純アルカリのような泉質に見えます。源泉の注ぎを換えられたのか、季節や環境によるものなのかは不明です。にしても濁り、味、匂いの変化があるほうが私的には好きです。

 かつてはアルカリ泉ぽく、今は岐阜県の濁河温泉のような鉄泉のようにも見えます。源泉の湯口はゴテゴテに張り付いた析出物と鉄成分の茶褐色。何が勿体ないかというと、手前の筒が捨て湯口なのですが、源泉湯口から直に捨て湯しているほどに近いw 勿体ないw

貸切風呂 その3

 ここは内湯と露天が最も大きい貸切風呂です。

 湯量は若干ながら他の貸切風呂より多いように見えます。「あつ湯」と「ぬる湯」それぞれ2畳程の大きさがあります。ファミリー向けですね。

 仕様は他の貸切風呂とは変わらず、隔たりの下は開通しており「あつ湯」から「ぬる湯」へ湯が移動して「ぬる湯」の端から玉砂利の捨て場へ溢れ出ていきます。

 しかーし!露天風呂は源泉の調子が悪いということで、露天風呂は入浴できず。これは自然の物なので仕方がありません。

 露天風呂は覗きに行くことが出来たので、湯船は濁り湯となって湯は張られていますやん?というが荒れている・・・。手を浸けるとと「冷たッ!!!!」 源泉の調子が悪くなってからはそのままのようでした。

※同じ湯舟の2018年です。湯面の高さに析出物はありますが、明らかに透明で濁りがないのが分かるかと。源泉が変わったのかは分かりませんが、温泉というのはやはり面白い。

 森の湯の露天風呂を除いた、内湯と貸切風呂には化粧水、乳液、髭剃り、シャワーキャップ、綿棒、等々は不自由なく揃っています。

 

お料理

 朝夕共にお食事処でいただきます。奥飛騨らしい地物と季節の旬の物を盛り込んだ料理ですが、田舎料理のような雑や大雑把さはなく、京料理のように素材を活かし丁寧に仕込み味付けを施した極上の会席料理に昇華してあります。素朴の中に見える盛り込みも美しいですが、飛騨牛や飛騨サーモンなどの贅沢な食材も堪能できる内容となっています。

 献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。内容に関しては説明して頂いたものと、実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

 訪れた時はお客さんも少なく、個室状態でいただくことができました。

 囲炉裏の席には、炭がくべられ五平餅とイワナがすでに炙られていました。囲炉裏の炉縁には前菜、先付、焼物の取り皿。

 往訪時は感染症の具合により岐阜県は特に厳しめで、酒類の提供は難しいという案内が電話でありました。その代わりと言っては何ですが、ノンアルコールのビール・酎ハイをサービスでとの、ご配慮がありました。こういうちょっとした気遣いがやはり再訪したくなるお宿なのかなと思います。

【食前酒】:苺

 苺の香りは豊満で擦り流しにしたような舌触りがあります。甘味もほどよく、酸味は酢をゆったりと加えてあるのか珍しい苺酢に仕上げています。さすがに苺酢は初食だが面白い組み合わせです。

 

【先付】:新じゃが寄せ

 先付なのに今回最も気に入った一品かもしれません。箸で掴むには柔く、難儀して口に入れるとジャガイモポタージュの風味が溢れ出しました。コンソメでの下味だろうか。しかも舌触りはザラ付きがない滑らかな寄せ・・・浸してある出汁はジャガイモの擦り流しの出汁かと。青い彩りは季節のアスパラガス。

 

【前菜】:合鴨ロース蒸し、蓮根寿司、菖蒲麩、白だつ煎米煮梅肉、芹湯葉和え、茄子揚げ浸し

 合鴨は蒸して肉汁を閉じ込めて、皮に乗った脂と一緒に噛めば噛むほどに旨味が出ます。カモが熟濃で、ほんのり甘いのは脂の自然のものか?加味しているのか? 白たつはウド。炒ったお米と一緒に炊くことで玄米のような焦げ香ばしさが移り香し、ワンポイントに梅肉が合います。 セリの青味は清らかな初夏の味。これにぐもぐもと歯応えのある湯葉に本山葵を添えてあります。 茄子は揚げ油を使って焦げ香ばしく仕上げて、ちりめんじゃこの香りがする浸し出汁に漬け込んだ揚げびたしです。 

 全てのおいて正方形の角を面取りをしたような仕上がりは、ただ見た目に派手さだけを持たした前菜が敵うはずもない味わいです。

 レンコン寿司のネタは微酢を持たせた黄身です。レンコンにも甘酢を持たせえてありますが、どちらもゆるりとしており、黄身のぱっさり感とレンコンの瑞々しさで包み対比も面白いお品です。

 前菜の時点で前回と料理の雰囲気が全く違うように感じる・・・

 

【吸い物】:うすい豆糝薯、姫筍、山菜、木の芽

 熱々の椀は、春の訪れを教示する緑が美しいウスイ豆の真薯です。しっかり地だがふっくらとして、ウスイ豆の青臭さはなく葵い薫りだけを楽しむ上品さ。奥飛騨は標高が高く下界に比べると季節が1カ月程遅い。旬もひと月遅れで筍もまだ若い。お出汁は強カツオで塩味はしっとり、コゴミを浮かべてサンショウの葉を添えて若葉の香りも良く。あれ?奥飛騨素材を使った京風椀になっている?

 

※煙香庵宿泊特典

【強肴】:飛騨牛の握り

 煙香庵の宿泊特典の1つに「飛騨牛の握り」があります。牛脂は程よく赤身が多いロースのような肉質。前の宿泊ではモモのような肉質で叩きのようだったような。 炙ってあるというよりは炭で燻してあるのか炭の薫りが香ばしく、脂は程よくとろけるが、赤身のしっかりとした感じが融合しています。ふわりと香る甘めの酢飯に濃い口のたまり醤油は、口の中で混ぜ合わせると和牛の旨味が際立ち、飲み込むのが勿体ない・・・。今回は肉質もグレードが高いようでローストの具合も絶品でした。

 

【お造り】:岩魚黄身洗い、山葵、あしらい一式、土佐醤油

 青い刺身は青のりを混ぜ込んだ刺身こんにゃくです。ゼリーのようにぷるぷるして柔いが、溶けそうで溶けない不思議触感は自家製?

 前回来た時は、イワナは生ユッケのように仕立てた瑞々しさがありました。今回はイワナは氷水で身を締めて洗いの様にコリップリっとしており、季節によって下ごしらえを変えているのか。締めた後に黄身と混ぜ合わせて盛ってあるのはユッケ風です。加味はカツオが香る甘味のある「たまり醤油」だが、飛騨牛の握りとは別物とは違うようにも感じる。

 あしらいは紫蘇花、蓼、山葵に、底敷き大根は1㎝厚の輪切り。奥飛騨ではまだ旬と思われる冬野菜。甘さがありコリッパリッと天然の美味さ。皿の中全てをいただけるようになっていので余すことなく馳走になりました。

 

囲炉裏

【お凌ぎ】:五平餅(胡麻胡桃だれ)

 最初から囲炉裏に刺し込んであった凌ぎは、クルミ味がたまらない五平餅です。もっちりとしているが、半殺しほどに米触感が残るようにしてあり炭水化物の甘旨味がとても濃い。漬け焼きのタレはゴマとクルミに、加糖した甘味噌を合せた物かと。

 つけダレの味は強くなく品よくいただけますが、薄く感じるようでしたらとショウガ醤油も用意してありました。このショウガ醤油もやさしい・・やさしい・・。浸けると更に味噌だれが引き立ちます。

 

【串焼き】:岩魚塩焼き、菊花大根、他

 こちらもあらかじめ囲炉裏にあったイワナの串焼きです。ワタを抜いてあり食べやすく下ごしらえしてあります。

 お皿に取り上げて見てみると、死して尚、何かに噛みつこうかといわんばかりの迫力です。全身にまんべんなく絶妙な塩の霜降りです。なぜか反対側は塩は緩くしてあり、落ち着いた塩加減。囲炉裏に当ててありますが、五平餅と同じく保温効果なので、献立ではこの位置ですが、席に着いたら最初に食べる方が美味しくいただけます。頭からかぶりつくと、ほっくりとした身振りからジュっと肉汁がでてきます。骨の硬さもほとんど感じず、飾り塩などもしていないので頭から尻尾まで全てうまく食せます。

 

炉端

【名物】:飛騨牛ステーキ、温野菜色々、胡椒塩、オリーブ醤油、ポン酢

 なんともワクワクする盛り付けの飛騨牛が到着しました。温野菜はブロッコリー、カリフラワー、ニンジン、キュウリ、ヤングコーンです。野菜を持った器は熱々に熱せられていてホクホクで口にできます。味付けはシンプルに塩コショウ、オリーブ醤油には恐らくケシの実と黒コショウ、ポン酢は柑橘酢ではなく強酸味の米酢かと。

 メインの飛騨牛は表面はしっかりと鉄板焼き風で、中は赤身が残るレアに焼き上げてあります。脂の美味さは絶妙絶品ですが、それよりも赤身の旨味が際立つのはフィレに近いようにも感じるが断面を見ると赤身の肉質ではなくやはりロースやサーロイン。焼き石の上に乗って保温されているのでいつまでも温かい。薬味にはレモンとワサビの添え。

 良肉では塩を合わせるのが好みですが、草円さんのポン酢とオリーブ醤油がとても美味で、噛めば噛むほどに和牛旨味との絡みのシンクロがたまりません。やはり、肉と魚はおよくよく咀嚼して、唾液と加味をよく馴染ませて初めて口腔内調理で完成します。

 

【鍋】:飛騨地鶏みぞれ鍋、木耳、茸、葱

 あらかじめ盛り込んだ陶器のお鍋を、囲炉裏の炭の上へ配されます。沸き立ったところが食べ頃です。お鍋には白ネギ、シイタケ、キクラゲ、鳥つみれを入れ込み、みぞれの大根おろしを掛けて七味を振ってあります。

 献立では終盤にありますが、配膳されたのはお造りと同時です。鳥と昆布?と思われる出汁に、後追いの椎茸と大根おろしの薫りが全体に拡がっています。つみれはパサッとしているが鳥味は地鶏なのか、鶏出汁はかなり濃厚だがエグ味や癖はなく。シイタケとキクラゲも味に深みがあり、普段食べているキノコとは一線を画します。素材がよければ全てが解決する鍋です。日常にこんな素材があればと思いたくなる・・・

 

【酢の物】:奥飛騨サーモン土佐酢ジュレ掛け

 器には蛇腹キュウリと、紫色の山菜らしき物。セリの塩漬けからの塩抜きかと思ったが味は違うようです。口にしたことはないですがホンナとかアイコとかでしょうか。むちゃくちゃ優しい甘酢漬けにしてあり、二十日大根の帽子を被せてあります。

 器の後ろには飛騨サーモンが盛られています。透明ルビーのサーモンは桜チップで燻製にしてあり、旨味が締められ紅味が凝縮されて紅味が握られて塊となっています! ジュレの土佐酢はカツオだしをベースにしたかなりの強酢で/飛騨サーモンの締めに合致。今まで食べた淡水ブランドサーモンの中では最も美味しい透き通る旨味でした。

 

食事

 最後は階段下にあった竈で炊いた御飯。

【飯】:竈釜御飯

【汁】:飛騨味噌汁

【香】:3種盛

 お焦げがある白米は直火らしくホクホクしています。が、ここは正直に言うとボソボソとして米が潰れ、これは炊き込みに失敗したかという触感。おそらく釜の底の方にあったものだと思います。 味噌汁は飛騨らしからぬ塩控えめのまろやかな風味で、旨口で恐らく自家製味噌ではないかと思います。具材は豆腐、青さ海苔、葱。 お漬物は沢庵、ぬか漬けキュウリ、野沢菜です。水が美味いと素材も美味いし調理の仕上がりも美味いが、米の炊きは恐らく失敗ぽい。まぁ、直火なので、そういうこともあります。

 

【水物】:料理長おすすめデザート

 おすすめデザートは抹茶プリンです。寒天で寄せたようなよくある見た目の抹茶プリンに、小振りの甘い苺と杏子(あんず)の密煮、ホイップクリームを飾ってあります。

 見た目は某寒天パパだが、プリンを一口食すると「おお!?」、甘味が全くなく、まろい抹茶だけの大人のほろ苦さは自家製。更に食べ進めると、これまた甘さを極度に控えた餡子が下地にありました。クリームも甘さは極力控え、それぞれの風味を邪魔せず、見た目からは計れない抹茶を押し出したお味で、料理長のおすすめデザートと献立にあるのは正にその通り。濃い味が少なく素材の風味を大切にするような味付けは京風ぽく感じます。

朝食

 朝ごはんは8時の餅つきから始まります。ついたお餅はおかずの一品として配膳されます。夕食の流れのまま郷土の奥飛騨の幸が盛り込まれた手作りの朝食が堪能できます。

 朝食は夕食と同じ席でいただきました。囲炉裏には炭がくべらえて温かい。

・ヨーグルト

 「ヨーグルトです」と届けられたのは、「これクリームチーズですやん?」というほどの濃厚な飲むヨーグルト。どこのお品なのか分かりませんが、おかわりが欲しくなりました。

・生ハムと生野菜(レッドキャベツ、キャベツ、ミニトマト、フレンチドレッシング)

・大根と舞茸の煮物

・山の芋トロロ

・オレンジ

 旅先ではうれしい生野菜にドロッと濃い味のフレンチドレッシングで、地元生産なのか深い味わいで道の駅に売ってそうな高そうな味がしています。 煮物は温かく後から配膳される甘醤油に炊いた郷土の凍み大根です。トロロはよくある山芋ではなく、かなり粘りが強く山の芋ではないかと。風味に青海苔が振ってあります。

・杵つきもち、焼き海苔

 先程、入口でついていたお餅を盛り付けてもってきてくれました。半殺しよりも柔く米の形状が少し分かる程の口当たりに、砂糖醤油と摺りゴマを振ってあり焼き海苔でくるんでいただきます。

・朴葉味噌(舞茸、葱)

・あまごの一夜干し

 飛騨地方定番の朴葉味噌は炭の上で熱します。甘辛いお味噌には大きくな大豆が入っています。香しい黒マイタケと思わしきキノコと葱を大量に盛り込んである御飯のお供です。黒舞茸は飛騨ではなく長野県産の天香のキノコです。朴葉焼きの隣には小振りのアマゴ一夜干しを一緒に焼きます。

・湯豆腐(水菜、生姜醤油)

 湯豆腐は麻のような硬さがありながらも、舌触りは絹というこの辺りでよく見る大豆が濃い豆腐です。水が美味しいところの豆腐とお米は外れがありません。味付けのショウガ醤油は、ほんのりとお出汁で割ってあるようで、豆腐をしっかりと漬け込んでも程よい味加減です。

・竈門御飯

・味噌汁(揚げ、なめこ)

・香の物(カツオ梅、胡瓜、野沢菜)

 夕食と同じく竈門で炊いた白米は夕食のボソボソ米とは違い、艶々のピンピン米でした。夕食のはやっぱり炊きに失敗したのかなww 甘味がある味噌汁は夕食時の物とは少し異なり白味噌かな。とにかく朴葉味噌と黒マイタケのコラボが美味すぎて、白米が3杯ぐらい食べれてしまいました。

 

まとめ

 奥飛騨温泉郷のお宿は、雪国らしいひっそりとした雰囲気がどのお宿にもあります。その中でも福地温泉は時間が止まったような空間。自分的には最もゆったりまったりと至福の時を過ごせるお宿の1つです。温泉は源泉かけ流しの湯使いは申し分なく、大浴場から川岸の露天風呂、貸切風呂が温湯とあつ湯で楽しめるという、非の打ちどころがありません。料理の内容は前回と概ね変わらないのですが、味付けが田舎料理から料亭料理にまとまった感じがあり、尋ねてみたら料理長が変わられたようです。主メニュー変わりはないですが、配膳、下地、素材を活かした配膳は前回の宿泊よりも清廉された物でした。料理のバリエーションが季節毎にあれば、毎シーズン訪れたくなるお宿であることは間違いないと思います。

宿泊料金

 草円さんは普段より大きな割引をされないお宿です。じゃらんの定期的なセールで使用できるクーポン、もしくはYahooトラベルで誰でも10%ポイント還元の即時利用が最安値に近いのではないと思います。泊まったのは文化財のお部屋で割高ですが、他の客室だと休前日では40000円~で泊まることもできるようです。

宿泊日:2021/初夏

旅行サイト:じゃらん

プラン:【基本P】【平日がお得】先着5組のおすすめプラン

部屋タイプ:100年前の風情庄屋の客間「煙香庵」ウォシュトイレ付

合計料金:61820円(2人)

春セールがお得になるクーポン:15000円

支払料金:46820円

加算ポント:1854P