いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

湯元 すぎ嶋【岐阜県 神明温泉】~奥美濃にある生け簀の釣り堀がある源泉かけ流しの秘湯宿、生け簀から直揚げされた新鮮川魚と飛騨・季節の食材で彩られた里山会席は無二であり秘境のスロータイムは浦島太郎~

 奥美濃と呼ばれると、スキーをしている身としては白鳥、高鷲というイメージです。すぎ嶋さんはスキー場とは無縁の西美濃といったほうがいいのか、郡上八幡ICから山の奥々に35分も入る秘境の地。「日本秘湯を守る会」の会員宿でもあり、温泉の良さは折り紙付きです。しかし、正直なところ、お料理は失礼ながらも期待してませんでした・・・。好みもありますので一言だけ、この宿泊費でこのお料理いただいていいんですか!!?

※記事の内容は宿泊した当時の内容となっていますのでご参考程度に。最新の情報は各々ご確認下さい。

旅情

 15時半に到着。駐車場は山桜?が満開でした。先に入ったお客さんもいたようで、旅館前の駐車場に車を停めると、大女将さんらしき方が様子を見に出てこられました。「ようこそ!」と元気な歓迎を受けながらも、白鳥高原でスキーをしてからの往訪だったので、スキー用品が入った重たい荷物が多く、軽い荷物だけをお願いしました。

 今は門となっているかつての水車小屋を抜けて本館建物へ向かいます。薪がたんまりと干してあるのが見えます。

 門の中には水車小屋の名残り歯車展示と、歯車の反対側では何か煮詰めておられた囲炉裏があります。虫よけかな?

 ランチや会席の日帰りステイも積極的に受け入れているようです。そらそうだな・・・料理をいただいて、ランチや夜会席の日帰り提供されているのは当たり前かと思いました。それ程に料理が絶品です。

 正門を抜けると本館らしき建物が見えます。春の芽吹きの季節にはまだ早く。

 建物に近づくと白塗り漆喰で蔵のような小さな入り口へお邪魔します。

 入り口には桜花が活けてあり美しい色合いを呈していました。館内の至る所に活けられているのは全て生花でした。打ち水がされた玄関前にもてなしを感じます。

 玄関前にある水場にはやはり桜の活けです、ソメイヨシノではない。小さな開きは山桜のように見えます。色違いはバラ科のサクラだが2種。

 玄関戸からお邪魔すると、やけに長い上がり框の廊下が伸びています。沢山のお客さんが殺到しても上がれるようになっています。床は磨かれて照り輝いています。

 上がり框から端まで歩いてきた所から振り返りました。赤矢印がフロントとなっており宿帳への記帳を行いました。

 チェックインの際に食事の時間と貸切風呂の予約を入れました。

 ロビー周辺には新聞や雑誌などの読み物があり、郡上八幡の観光パンフレット等が置いてありました。

 ロビー奥の別角度から、①フロント、②囲炉裏、③お土産処があります。

 囲炉裏は夜間を除いて常に薪が焚かれていました。チェックイン時は濛々と煙が館内に立ち込め燻され状態になっていました。ここで骨酒用の岩魚を燻しているそうです。

 朝一から火をくべるので、館内は薪の匂い一色になり、お部屋にも漂い匂いで目が覚めます。相方はこの薪の「きな臭い」は好き、自分は嫌いではないが燻される程に立ち込めるとさすがに・・・。気になる方は予約時に相談される方がいいかと、お部屋によってはかなり匂いが立ち込めます。

 囲炉裏隣にあるお土産処です。きゃら蕗や味噌、小物など郷土の物が販売されていました。どうやら「すぎ嶋」さんのオリジナル商品がたくさんあるように見受けられました。

 お土産処前には2階客室に上がる階段が付いています。階段下にも廊下があり1階はお食事処がメインで藏造りの客室があります。取り敢えずステンドグラスのある、客室だけの2階を覗いてみます。

 地域的には奥美濃ですが、建物は天井が高く囲炉裏の煙を逃がす飛騨の様相です。

 階段を上り切りるとロビーを見下ろして一望できます。この景色は岐阜県の他のお宿でもよく見る、天井が高い吹き抜けのような飛騨特有建物の特徴の1つかなと思います。

 客室廊下は数部屋しかなく2階はシンプルです。ゆったりとした空間が持たされているので館内は静寂です。本館の2階は朝一の囲炉裏の煙ががっつり上がってくるので、再三ですが気になる方は1階客室をお勧めします。ただ、1階客室が煙臭くないかというと分かりません・・・。

 お問い合わせを。

 さて、一階の階段下の廊下にはレトロな電話BOX。中はプッシュ式のピンクの電話が現役で置かれていました。最近では公衆電話を知らない若者もいるぐらいで、彼らからすると「公衆電話」そのものが不思議な空間でしょう。

 公衆電話前から 1階の廊下を進むと個室のお食事処が並んでいます。

 かつては客室だったのか客室1部屋に対して1室の用意があるぐらいに個室がいっぱいです。

 廊下の途中には暖簾の掛かった水屋があります。暖簾を開けると製氷機が置いてありました。暖簾で目隠しはしてありますが、宿泊客が使えるようになっていました。

 大広間として利用されるであろう食事処も間仕切りを設けて個室にしてありました。

 1階奥にはいきなり現代的な自動ドアが現れます。暖簾の向こうには2部屋の蔵造りの特別室があります。

 赤矢印が先ほどの蔵造りの特別室。青矢印が貸切風呂への道順となっています。

 貸切風呂へは新造されたかのようにピカピカです。小階段を上がって表へ出ますが、バリアフリー仕様はなさそうです。

 赤矢印から出てきました。建物はやはり新しく納屋が造られた所に貸切風呂へのアプローチも造ったといった感じでしょうか。

 竹林の完璧舗装された道先には東屋のような物が見えます。流行り病下で客足が遠のいた時に舗装されたのか、とても新しく今まではダート道だったのかという雰囲気。

 東屋ではなく貸切風呂の湯上がり処といった趣きです。

 湯上がり処を奥に進むと2ヵ所の貸切風呂が現れます。距離的には本館から100mぐらいでしょうか。

 大浴場は貸切風呂の正反対にあります。一度、ロビーに戻って今度はフロント前、囲炉裏横にある廊下から大浴場へ行ってみます。

 長い廊下の終着には手前に女性浴場が現れ、真ん中に湯上り処、奥に男性浴場が見えます。

 湯上り処には暖炉があり、ロビーと同じような雰囲気です。田舎宿ではなく和洋の良い雰囲気を演出されています。

 湯上がり処には自動販売機があります。車で30分走らないとコンビニもないのに、とても良心的な一般価格です。

 湯上がり用のウォーターサーバーが置いてありました。敷地内に湧き水があるので天然水でしょうか。

 館内の探険が済んだところで表に出ましょう。すぎ嶋さんは川魚の養殖もされているようで釣り堀が併設されています。

 お宿横には釣り堀が設けてあり、生け簀をみると凄い数の魚影が見えます。エサを垂れると一瞬で釣れそうですw 釣った魚はデイユースだとその場で、泊りなら夕食でいただけるそうです。生け簀だけ見ていると何種の魚がいるのか・・・。釣ってすぐに炭に炙るなど最高の食材でしょうねぇ。

 

お部屋

 案内して頂いたのは「山萩」というお部屋です。一番小さなお部屋での予約だったのですが、ご配慮でアップグレードで囲炉裏付きの部屋になりました。このアップグレードがいいのかどうか・・・。1階客室が2階客室になったことで朝の囲炉裏の煙が、お部屋にかなり侵入してきたので、朝一の燻しが気になるなら1階客室は固定のがいいかと・・・。

 お部屋で到着のお茶を入れてもらいいました。お茶請けはオリジナル菓子の麦落雁(らくがん)です。現代風にアレンジとあり、落雁というよりはウェハース調でした。

 テーブルには歓迎の手紙と郷土のお料理へのご案内がありました。

 間取りは本間10畳+囲炉裏の間6畳+大きな踏み込み廊下+洗面+トイレです。

 玄関戸を開けると無茶苦茶広い6畳程ある踏み込みです。

 上がって左手にトイレと洗面所、右手に吊り箪笥と下には冷蔵庫が備えつけてあります。

 洗面台には女性にはPOLAケアセット、男性には資生堂のセット、アメニティ類の不足はありません。備え付けのドライヤーにしては珍しく、しっかりと風が出るものでした。トイレは安心のウォシュレットです。

 吊り箪笥の中にはタコ足コンセントなどもあり、微妙にこういうのは有難いです。

 冷蔵庫は有料の飲料が入っており、冷水もあらかじめ用意があります。

 玄関の荷物置き棚には殺虫スプレー、衣類消臭スプレー、使い捨ての簡易スリッパ、下には照明などが置いてあります。備品の備えは最強です。

 広々10畳の本間の床間には季節の生花が活けられています。隣室は囲炉裏間となっています。

 天井の梁?には古い建材として使われていた名残か切り込みの跡がありました。

 別の角度から。冷暖房完備で踏み込みから本間から両方からアクセスできる囲炉裏間。

 本間からは湯屋を眺める裏庭の景色で、季節の花や芽吹きの季節だと色もあるのかもしれませんが、訪れたのは初春で岐阜の山奥では桜にも早く少し殺風景。

 隣の囲炉裏の間にはすでに固形燃料と炭がセットされています。照明も控えめでしっとりと過ごすにはこのお部屋がいいかも。

 炭は自由にくべることが出来るように用意して下さっています。火事には気を付けましょうとあります。

 その他のサービスとしては夕食時にお布団敷があり、その際にお茶セットと冷水の入れ替えのサービスがありました。備え付けのアメニティや備品は宿泊料金からすると余りある高級旅館と遜色ありません。ただ、日用品などに関しては周辺にコンビニなどはないため、必要な物はあらかじめ用意しておくことをお勧めします。

 

お風呂

 夜間は大浴場への道筋途中にあるフロントには、新しいフェイスタオルの追加と飴玉のサービスがありました。ちょっとした心遣いありがたいです。

 すぎ嶋さんには男女別浴場とそれに併設した露天風呂が1カ所に、貸切風呂が2カ所あります。部屋付きのお風呂を除いて、浴場は4つ、湯舟の数は全部で6つあります。ただ、男女別浴場は入れ換えがないので、両方の風情を楽しむことができません。湯使いは気候によって加温かけ流しで、一部は完全な源泉かけ流しです。露天風呂のみ循環消毒仕様となっています。泉質はアルカリ性単純泉ですが、分析表では飛びぬけて強い成分もありません。ですが、湯感はヌルヌルとした湯感が凄まじく純度の高いアルカリ性泉のためか、一枚皮が剥けたかのように皮脂がとれ、湯上がりは一枚纏い直してシットリと潤う美肌の湯です。かなりのアルカリ成分の濃さを実感できます。臭いは無臭ですが、口に含むと緩やかなオイリー風味が感じらる優しい極楽湯です。

大浴場 男湯 内湯

 内湯は男女共にほとんど同じ構成となっています。浴場へ入ると新しい檜の香りが漂い新造したかのように新しい。横並びに7,8人は余裕を持って入れる湯舟には、端に仕切りがしてあり1畳程の小さな浴槽があります。

 天井には湯気を逃がすための独特の楼が着いています。まるで新築の様な天井や壁。コロナ下で客足が遠退いた時にリフォームされたのだなというお宿は多い。

 大きな湯舟には加温した源泉が気持ちのいいほどに注がれ「あつ湯」にしてあります。

 切り口は大きくとられ、溢れ出しを見ると何とも贅沢な捨て湯量です。

 小さな浴槽は「ぬる湯」となっており、体感では38度から39度ぐらいでいつまでも入っていられます。貸切風呂の時間以外では、最も長く入っていた浴槽です。年齢を重ねると「ぬる湯」の贅沢さが気持ちいい・・・。

 湯舟の大きさに対して、小さな湯口からは加温されていない少量の源泉。と、言っても湯舟の大きさからすると、十分な源泉量かと思います。触れるとやけにひんやりとして30度ぐらいしかないのに、湯に浸かると体感は38度ぐらいあります。どうやら大きな湯舟から仕切りの間を、あつ湯がこちらへ漏れ出ているようです。訪れた4月には絶妙な湯温に調整され最高の長湯が楽しめました。

男湯 露天風呂

 内湯から併設された露天風呂に出ると手入れされた庭の真ん中に湯舟があります。

 三日月のように弯曲した岩風呂。画像では3,4人入ったら一杯では?という見た目ですが、見た目以上にゆったりとした大きさがあります。露天は循環消毒、源泉投入の放流タイプです。

 画像中心上部にある噴き出し口から循環湯が溢れ出て、石造りの注ぎ口を滝と成して湯舟に注がれています。資源を守るための露天は循環しているとありました。湯舟からは消毒臭は全く感じられません。他の湯舟に比べると湯感はやはり弱いようにも感じられます。

 上の噴き出し口以外にも袂に加温された噴射口が付いていました。もしかしたらこれが源泉?

 周囲は山に囲まれているので見える景色は山&山です。野趣があり聞こえてくるのは鳥の鳴き声と川のせせらぎ。本当にのんびりと日頃の喧噪を忘れてさせてくれます。

露天風呂 女湯

 こちらは女性の露天風呂で若干趣きが異なります。大きさはあまり変わりはないようですが、雰囲気は珍しく男湯の方が良い?

 露天風呂からはツボミが硬めの枝垂桜が見えました。相方に露天風呂は循環だと告げると、消毒臭がなかったことに驚いたほどに循環らしからぬ湯だったようです。

 女性が気になる洗い場は、客室数からするとシャワー数は十分にあります。訪れた時は、ほとんど他のお客さんに出会うことなく入浴できたようです。

 脱衣所にはアメニティ類は不足なく揃っており、化粧水類も男性用と女性用とそれぞれの別々の物が置いてありました。

貸切風呂

 2つの貸切は景色の違いも楽しめますが、加温されているとはいえ、湯舟に対しての湯量がとんでもないので是非に両方入湯することをお勧めします。チェックイン順に当日と翌日の朝に1カ所ずつ予約を入れることができるので両方の浴場を楽しめます。

高賀山

 宿泊当日に利用したのは、すぎ嶋さんの近所にある山の名前をとった「こうかさん」の貸切風呂です。春なのにすでに青々しく茂る木々を眺め初夏の箱庭のようです。

 この雰囲気もたまりません。貸切風呂にはシャワーも付いており、洗髪洗体に石鹸も仕様することができます。大浴場にお客さんがいなかったのは貸切風呂で事足りるというのもあるかも。

 ヒノキの湯舟で清々しい香りが残っています。3人はギリギリで4人は窮屈かもという大きさ。

 湯舟には吸い込み口などの細工はなく、加温源泉が遠慮なく注ぎこまれます。湯の温度は少し熱く湯冷ましに石甕を介してから湯舟に注がれます。

 大浴場では目にしなかった白い湯の花が多量に舞っていました。水面にも湯の花が浮き出てくるほどに浮遊しています。

 切り口から注がれた分だけ贅沢に流れ出ていく様が見て取れます。人が2人入ると湯舟全体からザーザー溢れ悦です。とんでもなく新鮮湯を味わえるのは有難いと思いいつつ、投入量は少し抑えても良いのではと思うほどにガンガン溢れ出します。

明神山

 こちらも、すぎ嶋さんから少し離れた所にある山の名前をとった浴場です。脱衣所を出ると最初に洗い場があり、こちらも石鹸類を仕様して洗髪洗体ができます。

 湯舟の大きさはほとんど同じで大人2人がのびのびと入れる大きさです。白い湯の花もたっぷりと泳いでいました。

 湯口は惜しみなく存分に注がれる源泉。湯量は際限なく常に新鮮でヌルヌル感はたまりません。

 湯舟の切り口からは堰を切ったかのように、湯が捨てられていきますが、行先の見た目は何とも無造作で適当に流れていきます。温泉成分が茶褐色に拡がっているのが見て取れます。贅沢な掛け流しです。

 湯舟の淵に立つと釣り堀池から丸見えになります。紅梅のように見える赤い花ではなく、カエデもしくはモミジといったほうがいいのか、季節に似つかわしくはないが真っ赤な紅葉。

 捨て湯の流れから湯屋を見ると、湯舟には屋根がかかるように建てられてあり雨でも入り易いように配慮されていました。

 杉か檜だろうかまっすぐと立つ針葉樹は天への開放感があり、高賀山よりも人気があるのは納得です。木漏れ日を浴びながら、ぼっさりといつまでも入っていられます。

 予約制だったのでゆっくりと何度もという訳にもいかず、いつでもどうぞの貸切風呂だと入り浸ってしまい、大浴場はまず利用しないでしょう・・・。

 

お料理

 朝夕ともに個室食での案内でした。食事の時間になると部屋に電話が掛かってきて、部屋前から係の方が会場まで案内してくれます。川魚のお宿というぐらいあって、これでもかというほどに盛り込んだ川魚フルコースとなっています。旅館の敷地内に養殖場があるのだから、生け簀から直に前菜への入れ込み、捌きたてのお造り、焼き物が惜しみなく配されます。それに加え、春の山菜を使った料理しか出てこないのも凄いところです。生け簀直揚げ+地物山菜の盛り盛り新鮮山の贅を味わうことができる、他では絶対に味わえない料理を堪能できます。

 献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。内容に関しては説明して頂いたものと、実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

 個室処「かたくり」という囲炉裏がある個室でいただきました。最初の配膳には食前酒、前菜、囲炉裏には焼物であるアマゴの醤油焼き、強肴の牛焼肉、料理の薬味などなど。

【食前酒】:自家製果実酒

 食前酒はカリン酒でした。2欠けの小さな氷を浮かべて、酒度はさほど感じられない。ほんのりとした甘味にカリンの優しい酸味と風味でとても口当たりがいい。カリンの旬は秋。春に出すには強甘々に焼酎で漬け込み、氷で緩めて口当たりよく溶かしているのかな?果実酒は旬の季節の物ではなく、熟成された具材のいい季節に提供しているのかと。

【前菜】:①長良川大鱒押寿司、②クレソンお浸し、③天子南蛮漬け、④うるい玉子とじ、⑤花山葵胡麻和、⑥独活糟漬、⑦粟麩の蕗味噌田楽、⑧地鶏の低温調理だれ

 この前菜が何よりも手が込んでいて素晴らしい。 ②献立ではクレソンとありますが、若葉過ぎて洋山葵のようなクレソン感はなくどちらかというとホウレン草のよう。シャキシャキに甘出汁で炊いてあります。 ③南蛮漬けはアマゴです。衣を持たせて揚げ砂糖の甘みと酢は控え塩を良く持たせふっくら仕上げ。 ④春の山菜の1つである「うるい」はネギと白菜の間のようなお味です。お浸しにしてから玉子を回し掛けた物だと思います。 ⑤献立には花ワサビとありましたが恐らく中身はセリ。若山葵だったにしてもワサビ風味はなく、やや苦味のあるセリかと。これをお浸しのように、お出汁で炊いて摺り胡麻で和えて香ばしく。 ⑥ウドの粕漬けはコリコリとした触感を残して、奈良漬けのように深く酒粕と醤油で漬け込んだ新春の一品。 ⑦アワ麩はもともと京の生麩に粟を混ぜ込んだものを言います。しっとりもっちりとした粟麩は粒を残さず粉状にして練り、焼目を入れてすぎ嶋さん手製の、残り春であるフキノトウのお味噌を塗ってあります。 ⑧地鶏はササミでしょうか。ゆっくりと蒸しあげた低温調理だと思います。ゆっくり仕上げなので、ふわふわで柔く鶏を閉じ込めてあります。低温調理ダレとありネギ味は鶏の旨味を引き立たせる薬味です。

 

 ①大マスのお寿司は炙りではく、湯を掛けまわしたような締め具合でしょうか。大振りの身は、程よく締まっており、噛み心地はゴリッと極肉厚の表面に硬さはあるが、歯が通るとプリリッとしており、口に中で頬張るとゴリゴリとした歯応えがあり、昆布〆のように熟成紅身が濃い!甘い!美味い!

 

【お椀】:よもぎ豆腐、筍、菜花、木の芽

 蓋をあけると最初に顔を撫でていくのはカツオの薫りに続いて葉山椒。清汁は食材の邪魔をせず、底上げをする縁の下の力持ち的に塩はかなり控えめ。若タケノコは焼いてから椀に盛ってあるのか焼き香ばしさがあり、歯を建てると小さい音でシャキ・・・コリリコリリとタケノコ味が純粋すぎる!カツオ出汁がいい仕事してそれぞれの食材を包みます。

 メインのヨモギ豆腐は豆腐というよりも麩に近く、清汁には脂が浮いていて揚げてあるのか?箸で持ち上げようとするが緩くて持ち上がらないい・・・。豆腐よりもっちり感はあるが柔すぎる。どうやって盛り付けたのかというほどにトロトロです。ヨモギの味は大豆風味が喉を通り過ぎてから、ふわ~~と鼻に抜けていきます。「春ですよ」と語りかけているよう。彩りには菜の花、木の芽も若葉なのか匂いは主張せず、よもぎを前に立たせた品のある山里椀です。

 

【お造り】:長良川大鱒昆布〆、岩魚洗い、あまご洗い、蒟蒻、あしらい一式

 川魚だけの3種盛りなんて出来るのは「すぎ嶋」さんだけではないでしょうか。他のお宿で食したことがありません。生け簀直送の活け造りでしょう。 大マスは前菜の寿司と同様に、紅身が昆布締めにしてあるのか旨味が凝縮され強甘を感じ歯応えもコリコリと死後硬直が超絶に活かっています。 岩魚は洗いといっても、捌いてそのまま盛られたようなお品です。これぞ川魚というお味なので、苦手な人はちょっとですが・・・。ただ、新鮮すぎる切り身はこれまで食べた岩魚の刺身では一番美味でした。 アマゴの洗いは初めて口にしました。見て頂くと分かるのですが、見た目がほとんどタイの切り身です。口に入れると「鯛やん」。「鯛です」って配膳されるとタイって絶対言います。それぐらい味はタンパクに類似しているにも関わらず、川魚なのにタイよりも鯛味に深みがあるってどういうことなんでしょうかw お造りには付け合わせの一品に、刺身こんにゃくを添えて、つまは大根けん、大葉、紫蘇花、蓼、山葵。加味は薄口のたまりで、切り身の端っこだけ浸けて食すると素材の味が引き立ちます。

 

【焼物】:あまご醤油焼き、板取名物芋餅、田舎蒟蒻、椎茸、かぼちゃ

 着席する時には、醤油焼きとあるアマゴは炭火で黄金色に焼かれ囲炉裏に挿された状態にありました。

 とんでもなく大きな身振りのアマゴはあらかじめワタを抜いて熟成に焼き上げてあります。

 二度焼きか赤外線低温焼きなのか、とんでもなくじっくりと焼かれているので、尾から頭まですべて食せます。余計な脂と水分は落ち、身はしっかりとしているが、何故かしっとりとした潤いのある質感もしっかりと残っています。醤油で塗り焼くことで水気を閉じ込めてあるのでしょうか。山のミネラルを閉じ込めたような自然の甘味旨味は、お造りの時と同様に川魚らしくない海魚白身だがタンパクさも忘れない。付け合わせの一式はこちらにはなく後々の【強肴】にゆだねます。

 

【お凌ぎ】:自家製手打蕎麦

 蕎麦の風味を損なわないためか純粋な蕎麦味を楽しむためか、新しいお箸も用意されました。細切りの手打ちソバは、しこしこグモグモの歯応えは噛めば噛むほどソバの風味が香り出します。しかし、やけに蕎麦が香ばしい・・・。麺つゆは合わせ出汁のようで醤油が強く、みりん等の甘さは抑えて醤油が先に立ちます。薬味の粗削りの大根卸しとネギ、ワサビを混ぜ合わせていただくと、大根卸しがいい仕事をして麺つゆの醤油をまろやかに包むので、ソバが前に出せとやってきます。そして、やはり最後に口に残るのは蕎麦の香ばしさ。後で別注料理を見ると自家製蕎麦にはクルミが混ぜ込んであるとありました。香ばしいコクの正体はこれか?

 

【強肴】:A5飛騨牛サーロインとリブロース

 メインは蓮(はす)葉の皿に盛られた絶品の霜降り肉と大判の椎茸です。

 和牛の裏側には五平餅のように固めた芋餅に、蒸した南京と串打ちのコンニャクが見えます。

 味付けは好みで、生姜醤油、えごま味噌、粗塩と刻み本山葵。本物ワサビは風味が際立ちが違います。食べ口甘く、強い辛味が後からゴゴゴとやってきます。

 岐阜県板取名物の芋餅はサトイモともち米を練り合わせて作っているそうです。もち米の粘りに加えサトイモのデンプン質が合わさり味が深まります。椎茸も噛むとジュワーと椎茸出汁が溢れ、かぼちゃはホクホクで甘味が強い美味野菜です。

 給仕係の方のお勧めの食べ方は芋餅と田舎蒟蒻にはエゴマ味噌が美味しいそうです。もともと味噌が合う食材なので、炭火で炙り美味しくないわけがない。

 表記はサーロインとリブの2種ですが用意されたのは4種の様に見えます・・・。大霜降り、霜降り、大赤身、朱赤身と、どうみても赤身が混じり込んでいます。大霜降りはサーロイン、霜降りはリブロース、赤身はなんでしょう?赤身に近い部分のフィレや腰肉のランプにも近いのかも。

 大霜降りは舌で解けるほどの柔らかさで、上質な脂は人を駄目にする美味さです。リブロースも噛めば噛むほど溶けていく旨味が素晴らしい。 赤身部位を口にすると食べ口はハラミよりもモモやウデのようだが、濃い赤身の旨味なのにギュッと脂が乗っている不思議味はやはりロースのような背側の肉質。 朱赤身は歯応えはあるのに、なんという柔らかさ。これはフィレ肉なのでは?脂加減と赤身の旨さのバランスが絶品で、この4種では一番美味しく感じました。

 

【蒸物】:岩魚と生湯葉薯蕷蒸し 占地

  献立には薯蕷(しょよ)とあり、いわゆる長芋の被せた物が来るんだろうなぁ、と想像していました。薯蕷は「やまいも」「ながいも」を指した調理法です。蓋を開けると昆布の匂いが立ち込め上品に香る一方で、第一印象はやっぱりヤマイモで包んだものです。

 ただ、調理の仕方と配膳のタイミングにびっくりの感想です。恐らくですが、水戻し昆布を椀の底に引き、その上に湯引きした岩魚の切り身を乗せ、湯葉で切り身を包み、玉子、白身、ヤマイモを合わせたメレンゲ風生地で包んだのではないかと思います。ここで終わりではなく、その状態で配膳直前に椀ごと蒸しあげて、ふっくらと仕上げ直前に銀餡を掛けたのではないかと・・・。いや、想像ですよ?

 

【揚物】:岩魚利休揚げ、楤の芽、蕗の薹、しし唐

 旬の山菜であるタラの芽とフキノトウは、エグ味はなく柔くサクサクに揚げています。タラの芽は強い甘さを感じるほどで、フキノトウはジューシーで程よい苦味が心地よい。フキノトウはサクサクタイプもいいですが、ジュルっとする蕾の段階でしか味わえない旨味があります。

 利休と名が付く料理方法は、千利休がゴマを使用した料理が好きだったことから、ゴマを使う料理全般を「利休」と付けます。天ぷら生地を薄くつけて、衣にゴマを回し付けて揚げてあります。旨味を逃がさず衣をつけると岩魚旨が逃げずに包まれて味が濃く、ゴマが混ざる変わり揚げはとても揚げ香ばしい。加味は当たり鉢で細粒にした炒り塩です。

 

【鍋物】:山菜と地鶏のつみれ鍋

 もうお腹一杯なのにここで鍋!?と思っていたら、止椀のおすましでした。直火の囲炉裏ではなく、テーブルのお隣にある電気コンロにセットされました。

 給仕係の方が鍋にお野菜を掛けてくれます。季節の4種類の山菜はウルイ、カンゾウ、セリ、シャクです。

【食事】:白ご飯

【香の物】:白菜、菊芋、ぐーちゃん漬

 つやつやに立ち尽くしまくる白米は清水と火加減が素晴らしいことを物語っています。米をおかずに米が食べれそうです。鍋物として配膳された地鶏のつみれ汁は、強弾力のある団子にネギと生姜を練り込んで、お出汁はカツオ?に山菜と鶏の旨味が滲み出て、緩く醤油とみりんのようなお酒の甘味を持たせて上品に仕立ててあります。 元出汁が分からないぐらいの止椀の鍋出汁は雑はなく上品でお腹一杯なのに飲み干してしまいました。 漬け盛りは、自家製と思われる白菜の浅漬け、菊芋は郡上味噌で漬け込んだ物でしょうか。グーちゃん漬けとは飛騨の名物味覚である赤カブの酢漬けです。

 

【デザート】:チーズケーキ、イチゴ、キウイ、オレンジ

 オレンジやキウイも変哲もないようなのに酸味がなくとても甘い。イチゴもチーズケーキに負けない甘さがあり、完熟物なのか郡上付近で売っているのを見かけます。チーズケーキは自家製のようで、レアチーズを使ったと思わしきしっかり生地のチーズケーキで、甘味を抑えて食べやすく、癖のないチーズ味で後味もさっぱり美味です。

朝食

 朝食も同じ個室での用意です。

・前菜盛り(ひじきの煮物、クレソン胡麻和え、牛時雨)

・温泉玉子

・根野菜の煮物(鶏、里芋、蒟蒻、牛蒡、椎茸、人参)

・朴葉味噌(ネギ、エノキ、椎茸)

・茶碗蒸し(紅白麩、銀杏、鶏、椎茸、三つ葉)

・大鱒西京焼き、蕗の薹味噌、レモン

・サラダ(サニーレタス、水菜、人参、胡瓜、ミニトマト、胡麻ドレッシング)

・トマトジュース

・マンゴーヨーグルト

・味噌汁(揚げ、セリ、玉葱、人参、占地、牛蒡)

・白米

・香の物(沢庵、きゃら蕗、梅干し)

 全てこだわりの手作りの朝食です。前菜の胡麻和えは昨晩と同じく青味はクレソンと珍しい。牛しぐれにはこんにゃくとゴボウで旨味。温玉の出汁はやや塩辛目でご飯にそのまま合います。温かく配されたのは恐らく大マスの西京焼き。ほろりと身が解け味噌味は控えめにやはり素材の甘味が際立ち脂が良く乗っています。また、自家製のフキノトウ味噌と食べても美味しい。茶碗蒸しは玉子タップリの地に三つ葉がっつり盛、煮物はかなりお酒の甘味が強く素材には凍み大根や雪下人参のような盛り込み。この2品も後から温かく持ってきてくれました。トマトジュースはねっとりとスムージータイプで濃厚です。ヨーグルトは角切りのマンゴーを混ぜ込んで、ハチミツを溶かしてこってりと甘味を持たせてあります。味噌汁は郡上の少し渋みと苦味のある赤味噌に具が盛りだくさんでたっぷりと1人2杯分。火にかけてあるのでいつでも温かくいただけます。きゃら蕗や沢庵は自家製で売店に「沢庵いなか漬け」として売っていました。お野菜たっぷりで健康的な朝食は美味しさしかありません。

 

まとめ

 従業員の方々は、男性は素朴で敷居が高いような接客、女性の方は人懐っこいような接客と、えらく明暗の分かれる人当たり。かといって、それぞれが嫌な雰囲気ではなく心地よい。そして、いろんなお客さんが来るのか、冗談への返しの言葉も上手すぎます。 料理はお出汁以外は山の物で海の物は1つも使われていないのでは?という川魚を主とした会席はすぎ嶋さんでしか味わえません。「すぎ嶋」さんで料理をいただくと、川魚の概念や価値観が一新されること間違いないかと。そら目の前の生け簀からお皿の上まで直送スーパーフレッシュなのだから・・。 飛騨牛もA5ランクと外すことなく献立に入れ込んでくるのでバリエーションも豊かな内容です。 ヌルヌルの絶頂美人湯は優しい湯力で、しかも源泉かけ流しな上に湯量はざぶんざぶん。貸切風呂でビールや冷酒をやりながら入れば悦が極まるかと。 喜こびが溢れる一方で、夕食の和牛の香りがお部屋に充満、朝一番ロビーの囲炉裏に薪がくべられると煙さが充満と、煙がかなりお部屋に入ってきました。古民家ならではですが、気になる方は蔵造りの特別室への宿泊がいいかと思います。 先人の記録による料理・温泉の詳細情報が少ない・・・周辺にアクティビティがないので敬遠していましが、再訪してすぐにでも生け簀で吊りをして川魚料理を再び食してみたい再訪宿であることは間違いありません。

宿泊料金

 お部屋やお料理によりお値段の差はありますが、通年同じ値段帯でお部屋を売っておられるように思います。35000円~50000円ぐらいですが、温泉付き部屋などのお部屋に拘りがなければ40000円前後で宿泊できるのではないと。定価で宿泊してもお釣りがくるほどに、料理と温泉のクォリティがあります。各旅行サイトでセール時に5%程度の割引の販売はありますが、宿泊した当時ではじゃらんのクーポン利用が最もお得でした。日本秘湯を守る会の会員宿でもあるので、10%以上の割引が得られないのであれば秘湯スタンプをもらうのも選択肢の1つかと思います。

宿泊日:2021/初春

旅行サイト:じゃらん

プラン:【ぎふ旅プレミアム】個室食事処と貸切露天風呂でゆったり~和室利用~

部屋タイプ:民芸調和室8畳w室/4畳広縁

合計料金:39820円(2人)

クーポン:5000円 じゃらん冬セール

支払い料金:34800円

加算ポイント:1393p

神明温泉 湯元すぎ嶋 宿泊予約

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