長野県側から上高地へ入る玄関口にある「しおり絵」という一風変わった名前の温泉宿があります。初めて「しおり絵」さんを発見したときは、何故にこの名称なのかと不思議に思ったものです。公式HPを見ていると「旅という本を読み返した時にふと心に留まる、しおりの様な思い出を作っていただきたいと願っています」というお言葉がありました。計8室のプライベート感は、前から気になっていたお宿ということもあり、これは是非に人生のtravel bookに「しおり」を挟みに参ることになりました。
旅情
ブルーリゾート乗鞍でskiをしてから、google先生に案内をお願いしたところ、到着したというが入り口や建物が分からない。それもそのはず、上高地へのシャトルバスに乗り換えるバスターターミナルの駐車場の一画にあり施設の一部のように溶け込んでおりました。旅館横手には上高地から流れ出る梓川を眺めます。渓流荘と名が付くのにも納得です。
日が落ちてからは玄関前はライトアップされていました。お宿の前に車を着けると従業員の方が荷物を取りにきてくれました。スキーをしてからのチェックインだったので荷物が多く重かったのですが、気持ちよく対応してくれました。
玄関口は豪雪地帯らしく雪除けの二重扉となっています。
8部屋だけのお宿なので玄関間口は大きくない。旅館と言う感覚ではなく、言い方は適切ではないかもしれませんが、人を雇った自分の別荘に帰ってきたステイでとても落ち着きます。
玄関を上がるとロビースペースに、右手には中庭を臨む休憩スペースがあり、欄干がある橋を渡るとお食事処とフロントがあります。まず、こちらから探険します。
その前にウェルカム茶であるそば茶を貰いながら、夕食のお時間のお尋ねがありました。
休憩処からは中庭を眺める事ができます。ロビーには飲料や軽食の売店、酒類の自販機もあるので、雪景色を眺めながら過ごすのも一興かと。お宿のランク的に、お酒なども頼めば用意してくれそうではあります。
夜の中庭はライトアップされています。雪に馴染がないお客さんは風情が堪能できるかと思います。雪に馴染がない方はむしろこの時期には、しおり絵さんには来ないかもですね・・・。
休憩スペースを左に見て、畳敷きの廊下が奥まで続きます。右手には売店とフロントがあり、奥はお食事処があります。
玄関口ではなく奥まった所にあるフロントと、地物のお土産屋の販売がありました。
一旦ロビーまで戻り玄関上がって反対側を行きます。画像左の赤矢印にはセルフの飲食売店がありました。中央青矢印は男女別浴場と予約制の貸切風呂、画像右の黄色矢印は1階と2階の客室となっています。
ビールと酎ハイの自販機に、ソフトドリンク、カップラーメン、菓子類などセルフで取って、値段表の下にある料金箱にお金を入れるシステムのようです。昨今では珍しくお客さんの良心におまかせする売店です。飛騨牛乳のアイスクリームはフロントまでとありました。
書庫は規則性はなく漫画もあれば、子供向け書籍、郷土本、民話など様々です。
客室は上下階にそれぞれ4室ずつしかありません。2階は一般客室で1階は露天風呂付のお部屋となっているようです。
1階の階段下には白い玉砂利が敷かれた小庭があります。
お部屋の合間に季節の生花が飾り付けてあります。自分は季節の飾りや生花の活け方などは、センスと技術の極まるところなので、おもてなしの1つだといつも見ております。
廊下は反対のお食事処を取り囲むように廊下が付き余裕のある4部屋が並んでいます。
お庭の池は分厚く氷が張っていました。
さて、階段まで戻って2階へ上がってきました。今風の旅館の佇まいで、厳冬期なのに寒さを感じることはありませんでした。
生花の活けは正月風に飾り付け。真冬に咲く美しい黄色いオンシジュームと松に目が引かれます。
1階とほとんど同じ造りです。2階の一般客室は1階の露天風呂客室と間取りは大きくは変わらないようです。
無機質な非常口のような客室戸とは対照的に、季節の生花をワンポイントとしてあしらってありました。清掃が行き届いて生け花のくたびれが全くなく、静寂に語るおもてなしに粋が感じられます。無機質な客室戸と申し上げましたが、この画像では分かりませんが戸には模様が入っていました。
お部屋
案内して頂いたのは2階の「りんどう」というお部屋です。
間取りは本間10畳+前室3畳程+内縁3畳程+書斎2畳+洗面所+トイレです。
玄関口の造りはどの部屋もほとんど一緒です。お部屋の内装や間取りもさほどかわらなかもしれません。
板間の前室に入ってすぐ右手にはシャワートイレと洗面台があります。
洗面周りのアメニティ類は高級旅館らしく備え付けは完璧です。画像右側の赤丸には「飲料可能」の表示があります。蛇口は二つあり洗面右側の蛇口は浄水などした物なのかもしれません。爪切りまでありました。
余裕のある本間10畳には機能棚があり備品が入れ込まれています。
さすがに電子レンジなどはないですが、日常に必要な湯沸かしポットから、コーヒーメーカー、蓼科にあるお勧めのお店からのお取り寄せハーブティ、金庫、DVDプレイヤーと充実のラインナップです。
お茶セットは煎茶とそば茶の2種が用意されています。双方の茶がこれまた美味で、流行り病下であっても妥協せず良い物使っておられる。
コーヒーは挽かれた状態で瓶詰にされていました。最近のインスタントも美味しいですが、香り高い挽きたてコーヒーはやはりいい物です。
冷蔵庫は空であらかじめ冷水がセットされているという気遣いです。
部屋に館内着としての作務衣の用意はありましたが、浴衣が好みの方はチェックイン時に自由に選択できます。就寝時、食事の臭い移りが気になる方は使い分けるのもいいかと思います。
お茶請けは、なんと!若女将さんの手作りのおかきでした。油濃さは全くなく焼きおかき?さっぱりと美味しかったです。
チェックイン時に先着で予約を取ることが出来る源泉かけ流しの貸切風呂。この貸切風呂も22:30以降は予約不要になるので、敢えて温泉風呂がない2階客室で予約したというのもあります。
お部屋はシンプルに床の間には生花ですが、モダンな雰囲気の和室に無駄はなく必要な物だけで清廉されています。
マッサージチェアのある縁は雪見を楽しみながら至極の時間を。
窓からは梓川の厳冬の冬景色が広がっていました。
縁の隣は書斎ですが、鏡台があり女性使用となっていました。
夕食中の当たり前にあるお布団敷ですが、お部屋に戻ると一筆を添えたレターが置いてありました。枕の催促も出来るようです。本当にありがたい。使用したグラスとカップはこれまた当たり前のように新しい物に入れ替えてあり、お茶セットもまるっと入れ替えてあるという・・・・諸々のきめの細やかさのおもてなしは、飛騨古川にある「八ツ三館」さんに匹敵するかと思います。
翌日には部屋前の荷物棚に飛騨牛乳が宅配されていました。買えば数百円ですが、こういう機会がないと地物のお品を口にすることはないので嬉しいサービスです。この牛乳は早朝にお部屋にお届けか、朝食時の配膳かを選べました。
お風呂
お風呂はロビーにあります。男女別の浴場が1つずつあり、すぐ隣に予約制の貸切風呂があります。男湯と女湯の入れ替えはなく、湯屋の造りはほとんど同じです。泉質はアルカリ性単純温泉で、湯使いは源泉の温度が高いので加水、衛生管理のため消毒されているようです。視覚的に気持ちのいい白い細粒の湯の花と、少し緑色を呈してツルツルとしながらも若干キシキシするような変わった肌触り。加水循環消毒ですが消毒臭はほとんど感じられず、そんなのが気にならないぐらいの湯力を強く感じることができます。
大浴場
貸切風呂で満足したお客さんが多かったのか、大浴場は貸切で利用できました。
アメニティ類の備えはぬかりなく備えてありました。
脱衣所には湯上がりの冷水の用意もあります。
脱衣所から浴場に出ると最初に目に入るのが洗い場です。
浴場への扉を開けると、洞窟のような雰囲気にダンジョンからの出口が見えます。
露天と内湯?の間にはガラス戸の区切りを取り付けてありました。冬だと外気がかなり寒くなるので内湯を楽しむ工夫でしょうか。
分かりにくいですが、内湯には岩の間にある塩ビ管から源泉と思われる注ぎ入れがありました。この周辺だけ変色が強くがあり、湯口はかなりの勢いで湯が出ており、しかも結構な熱さを感じます。
戸を出た所から見た景色は哀愁感じる雪化粧です。お湯の温度が高いので冬に露天風呂に入るには丁度よく、いつまでも入っていられます。雪見酒をしたくなるような風情です。
夜には周囲の景色は失われます。しかし、静寂の中でお湯の流れる音だけをしみじみと聞きながら浸かるのも一興です。
戸を出てすぐ左手にある析出物が付着した湯口は、恐らく加温循環したお湯だと思われます。
岩造りの湯舟は不思議な形状を成しています。ガラス戸で区切られた内湯からお湯が露天風呂へ流れていくと、奥にある寝湯を通って、1人用の丸い座湯?に行きついてお湯が溢れていました。
一番奥の丸い湯船からの溢れ出しは、温泉成分により黒く染まっていました。加水があるとは言え、気持ちのよい量がオーバーフローしています。
振り返ると洞窟風呂のような演出で本当に変わった趣向の湯屋です。
ちなみにですが、こちらは女性側の露天風呂です。ほとんど対照的な造りとなっているようでした。景色は男湯の方が良かったそうです。
貸切内風呂
貸切風呂は洞窟風呂のすぐ隣にあります。チェックインの際に予約を入れるシステムです。22:30以降は予約不要で入ることができました。アメニティ類は大浴場と同じ物が備え付けられていました。
畳敷きの洗い場に檜?の湯船は和の装いです。縁からのオーバーフローと明るい浴室に気持ちが逸ります。
眺めは目隠しの塀により何も見えません。むしろ目隠しがないと駐車場側から丸見えになってしいます。赤丸の立札には「すべります」とあります。縁がかなりツルツルと滑り一度ドボンしてしまいましたw
こちらは循環なく加水ありのかけ流しです。洞窟風呂よりも湯力は一段と強く感じられます。気のせいかオイリーな味と匂いがたまらない。朝に予約を入れているお客さんはおらず、へたりのないスーパー新鮮なお湯をいただきました。
午前中はずっと空いていたので朝食後に、フロントで利用させてもらえないかと尋ねたところ、こころよく了承して頂けました。夜の予約の要らない時間に一度楽しんで、早朝に予約を取って、朝食後と3度堪能しました。
お料理
朝夕ともに宿泊棟の反対側にある半個室のお食事処でいただきました。
行灯の傍らにはひざ掛けの用意がありました。上高地入口は厳冬です。寒いのが苦手な方は一枚お借りするのがいいかと思います。
奥まで歩みを進めると各々の個室があり、他のお客さんに気兼ねなく食を楽しめるようになっていました。季節によって多少内容が異なるお料理と定番メニューの組み合わせとなっているそうです。一品一品の作り込みや味付けは丁寧にしてありながらも、分かりやすい物から繊細な物と、バラエティーに富んだ信州の秘境らしい献立となっています。
献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。内容に関しては説明して頂いたものと、実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。
夕食
通して頂いたのは「かぜ」という一室です。最初の配膳はなく全て一品出しです。
【食前酒】:梅酒
最初に配されたのは食前酒と前菜です。食前酒の梅酒は酒度はなく、誰でも気軽に飲めるようになっています。甘味は程よく梅風味が豊かで明らかな自家製の味です。
【前八寸】:①くわい煎餅 ②菊蕪 ③法蓮草の菊花浸し ④あん肝 土佐酢ジュレ ⑤叩き牛蒡 ⑥白子豆腐
①くわいは厚めの輪切りにしてあり、素揚げしてからゆるりと塩を持たせてあります。厚みがあるので食べ応えがあるパリパリのチップス。 ②菊蕪は甘酢漬けにしてありコリコリとした歯ごたえに鷹の爪で色を添えてあります。 ③ほうれんそうのお浸しのお出汁は強めにシャキシャキとした食感を残し清く、カツオ節と菊の花びらを散らしてあります。 ④あんこうの肝は下ごしらえによるものか、こてこて感はなくアンコウの旨味はあるがあっさりとしています。ホロリと砕け酢が強い土佐酢でさらに口当たりがさらにいい。 ⑤ゴボウのたくましい繊維と土の香りはそのままに火を入れて、ゴマをまったりと絡めて香ばしく。 ⑥使っているのはタラの白子でしょうか。白子のまったり感を切り捨てて、食べ口はクリアな磯風味、食べ進めるとほのかに薫る白子味はとてもマイルドに品があります。
【お吸い物】:鶏肉 酢橘 うぐいす菜
塩は控えて雑味のない透明感のあるカツオの清汁はとても上品。献立では「うぐいす菜」となっていましたが、この日は結び湯葉が初いていました。酢橘はお出汁の風味を邪魔しない程度に味を締め丁寧に纏めてあります。
水面には脂がギラりと浮き、炙った鳥のモモ肉?を入れ込んであります。地鶏なのかとても歯ごたえがあり、鳥脂が清汁に漂いコクに一味を咲かせます。鳥真丈や、つみれのような寄せではなく肉の塊を清汁に合わせるのは珍しいのではないかと思います。じっくりと焼いてあるのか、蒸してから炙りにしてあるのか、本来の出汁を壊ない丁寧な仕上げです。
【お造り】:信州サーモン炙り 昆布締め
画像左が昆布締めで右が炙りとなっています。敢えて同じ種類の魚で2つの調理法食べ比べです。昆布締めは熟成タイプですが歯ごたえはしっかりとしており、昆布の旨味と信州サーモン独特の中性なまろ味が引き立っています。炙りは皮が付いている方を焼き霜に仕上げてあり、たたきのようにいただけます。火が入ったことで信州サーモンらしからぬ脂加減を強く滲ませています。炙りの焦げ香ばしさが、良い意味で荒さが引き立っています。加味は薄口のたまり。つまは海藻クリスタル?、大葉、本山葵、しおりを模した大根と人参の飾り。しおり絵さんらしい大根の飾り付けが粋ですね~。
【揚物】:岩魚の唐揚げ
丸っと一匹を開きにして唐揚げにしたものです。ワタを抜き、頭から尻尾まで食せるように2度揚げしているそうです。外はパリパリで身はふっくらの熱々。付け添えは青唐と、玄米餅を胡麻団子のようにしてあり、表皮はしっとり中はもっちりと玄米が薫り高い。
2度揚げ効果で水分が飛んでいるのでジューシーさはなく、パサッとしているが一夜干しを揚げたかのように岩魚味が凝縮し旨さを閉じ込めてあります。正直なところ、川魚が苦手な人はまず口にできないほどに川魚の旨味が込められ「THE KAWAZAKANA!」です。味付けはミネラルたっぷりの抹茶塩、柚子仕立てと思われるポン酢。特にポン酢は相性が良すぎて美味すぎです。単体でもお出汁のようで飲み干してしまいました。
【一口】:玉子豆腐
カツオの強出汁に浸されている玉子豆腐はプルプルで濃厚です。塩加減は主張せず程よい浸し出汁に、蟹身の赤、絹さやの輪切りの青、黄の柚子皮を豆腐にあしらい華やかです。
硬めのプリン地をスプーンで切り取り口に運ぶと、茶碗蒸しを力一杯に握りしめて無駄を絞り出して固めたような凝縮和出汁プリンです。玉子が豊潤で蟹身の海味を加わえると濃縮された蟹茶碗蒸しになります。蒸し物として一般的な茶碗蒸しを配されるよりも確実に嬉しい一口です。
【凌ぎ】:大鱒寿司
なんとも昆布の繊維が美しく際立っています。酢飯は一粒一粒が立っていて緩いマス味を邪魔しない甘酢仕立て。マスは昆布締めにしてあるのか、マス味が熟されています。配膳時には「すでに味を付けておりますので、そのままでどうぞ」とのこと。確かにほんのりと塩味がついており、米、マス、昆布にそれぞれに透明感のある主張があり上品。トップシートのとろろ昆布は生地がたくましくフレッシュで深いコクがあり、削ぎたてで自家製の物ではないかと思うほどです。それほどに昆布の香りが強く、マスをグッと包み込んでありました。
【地物】:信州牛の炙り焼き 自家製こしょう味噌 ゲランド塩
温かさは十分にある状態で、焼いて切り分けて配されます。部位は希少部位の「肩三角」と「ランプ」です。肩さんかくは腕の付け根に近い所、ランプはテールの起始に近いお尻の上の方です。付け添えはブロッコリー、カリフラワー、ミニトマト、揚げヤマイモ、トレビス、レタスと配色も目を引きます。
左)肩さんかくは霜降りのとろけるような食感がありながらも、口にはしっかりと残るので噛めば噛むほど和牛の牛脂旨味が滲みだします。右)ランプは歯応えタップリの赤身で対極的です。こちらは赤身の肉質旨味が詰まっています。フランス産の希少な天日塩と、甘味の強いとうがらしを練り込んだ赤味噌でちょうだいしますが、お造りとお凌ぎの本ワサビや、揚物の極上ゆずポン酢でいただいても美味でした。
【お食事】:大根ご飯(大根 安曇野放牧豚 こんにゃく)、味噌汁、香の物
旬の冬大根の炊き込みご飯にはゆるりとした醤油味に、同じ長野県にある安曇野の放牧豚とこんにゃくの入れ込み。豚はモモやウデのような赤身で、放牧豚だからかたくましい肉質。ロース等のように脂はなく、生姜の香りを足してあるのかスッキリとした味わい。味噌汁は信州味噌仕立てだと思うのですが、塩は抑えてとにかくやさしい飲み口です。香の物は自家製でしょうか。野沢菜は今まで口にしたことのない甘さが強い醤油漬けで変わった物でした。
【甘味】:りんごとさつま芋のケーキ 苺
リンゴはコンポートにして1㎝角程度に刻み、ペースト状にされたサツマイモに練り込みタルト地へ形成してあります。初口はサツマイモきんとんのような感じだが、黄身を塗って焼いてあるので、甘味をしっかりと持たせた潤いのあるスィートポテトのようでもあります。時折、顔を出すリンゴのシャッキとした食感とリンゴの酸味は、口をリセットし味を飽きさせません。
【お夜食】:お夜食用のおにぎりのご用意があります
夕食を終えてデザートの前に、お夜食はご入用かというお訪ねがありました。もちろん込々のサービスです。「いかほどお食べになりますか」「何個でもどうぞ」と申し出があり2人で4個お願いしました。離席する前にテーブルに持ってきてくださり、部屋に帰って食べてみると生姜味はほとんど感じられず。食事でちょうだいした大根ご飯とは違いました。
朝食
朝食は年明け月と言うこともあり、めでたいお品を盛り込んで、夕食と同じくall手作りの内容となっていました。朝食はどこのお宿も温物が少ないので仕方がないとは思いつつも、お食事処は暖房がかなり効いていたので寒さは気にならず美味しくいただけました。
・黒豆 ・帆立の有馬煮、数の子
・花蓮根 ・田作り
・紅白生酢 ・金柑ワイン煮
おせち料理の籠盛です。黒豆は正月の縁起もので升に黒々と盛られて、硬さを残し塩は抑えて甘さを出してあります。帆立のいぶりは濃縮されて山椒の香りを持たせてありました。定番の紅白なますは金時人参に酢味が強い甘酢。金柑は縦に切れ目を入れて中までワインが沁みて柔く香りが豊満です。縦になっているので分かりにくいですが、金柑の前には季節の梅を象ったピンクの梅花レンコンが飾ってあります。
・信州りんごジュース ・みかんゼリー
・鯖の塩焼き ・サラダ
酸味は控えて甘味が強いリンゴジュースは売店で売っていた物でしょうか。献立には苺とあったゼリーはゆずゼリーになっていました。鯖もほんのりと温かさが残っており、サラダば新鮮でシャキシャキ水菜にニンジンと紫タマネギとミニトマトの盛りを胡麻ドレッシングで。
・玉子焼き 焼き立てをお持ちします
・味噌汁 ・白米 松本産
玉子焼きは層がない本物出汁巻きで、時間が経つにつれお出汁がじわりと沁み出してきました。塩加減は浅く甘味は卵の自然のままに。お味噌汁には大きなシメジとエノキ。夕食と同じやさしい信州味噌仕立て。白米は言うべくもなく美味い。
・食後のお茶
「お布団上げの際にお部屋にお邪魔して、その際にコーヒーをご用意させていただきましょうか」と、お訪ねがありました。最初は「????」でしたが、とりあえずお願いすると、お部屋に戻るとコーヒーの香りが漂います。コーヒーメーカーに丁度二人分入っていました。朝食後に淹れようとしていたので有難い気配りサービスでした。
まとめ
高級宿の値段帯ではありますが、私的にはそこまで気張った感じはありませんでした。 泊まった時は「ふ~~ん・・・」という感想で、可もなく不可もなくでしたが、記事をしたためていると、いやいや何ともきめの細かいサービスであることに改めて気付きました。
手作りおかき、お夜食、アメニティ類、サービス、温泉、お料理といった内容からすると、私的にはお値段以上の滞在ができたと思っています。よほどのプライベート感を求めなければ1階の露天風呂客室でなくても、源泉かけ流しの貸切風呂は夜間には自由利用できるので2階客室でも十分でした。貸切風呂は最後の時間枠にお客さんの予約が無かったのと、午前は自分だけの予約だったのでそれ以外の時間帯に、入らせてもらってもいいですかと尋ねると、快く「開いているのでどうぞ」と案内していただけたのも嬉しい気遣いでした。上高地の入り口なので夏季、秋季には賑やかになりそうですが、冬の季節では秘境のようになり訪れる方も少ない。雪景色を見ながら、ゆったりと、ひっそりと、静かに温泉と、地物料理を楽しみ、何もかも考えないrelax stayが満喫できるのではないでしょうか。
宿泊料金
おおよそ年間を通して50000円前後での値段帯のようです。1階の露天風呂付のお部屋になると+8000円ぐらいで、3連休などの繁盛期はさらに+5000円ぐらいです。普段あまりお安くはお部屋を売っていないお宿という印象で、記事を書いた時点では「じゃらん」のクーポンやセール引きとの併用が一番安く予約できるのではないかと思われます。
宿泊日:2022/冬
旅行サイト:じゃらん
プラン:【しおり絵No1】メインを選べる懐石料理プラン♪
部屋タイプ:2階 梓川を臨む和室10畳
合計料金:55000円(2人)
クーポン:10000円【10組限定】2021♪年始に使える1万円クーポン♪)
支払い料金:45000円
加算ポイント:1650p