阿瀬渓谷は前々から行ってみたいと思いつつ足が伸びませんでした。高い山に遊びに行くにはまだまだ季節が早く低山という気分でもなく。温泉にでも行くかと予約したのは七釜温泉。何かアクティビティはないかと探っていたら、ちょうど阿瀬渓谷のことを思い出しこの機を逃すと、また足が遠のくのでお邪魔することに。本来であればオレンジの線のようにぐるりと周回する予定でした。ところが色々あって、往路赤線1時間と少し、復路青線40分ぐらいのハイキングとなりました。
国道482号線から阿瀬渓谷キャンプ場に向っていきます。所によっては細い道もありますが、概ね車が2台通れる広さの道がついています。道の終点は駐車場というよりは広場のようになっていました。
もう1つ上にも駐車場があるのですが、道が崩れているので通行止めになっていました。バリケードの間を抜けてハイキング開始です。
駐車場から下にはキャンプ場の施設がありました。有名なキャンプ場ではないので、のんびりキャンパーさんが多かったのかとても静かでした。焼き肉の匂いが漂ってきます。
上にある駐車場までは舗装路となっています。確かに道は整備されているとは言い難く荒れています。
水が豊富なのか石の間から水が流れ出て苔にしたたり涼しい。
頭の上には終わりかけの天然の藤が咲いています。
10分程歩いたら第2駐車場に到着です。青矢印が駐車場で、赤矢印が遊歩道です。
簡易な遊歩道の案内と、阿瀬渓谷でみれる野鳥、季節の花などの案内板が設置してありました。パネルを立てるぐらいなので良い季節にはたくさんの人が訪れるのか。
上の駐車場は車が入ってこれないのにきっちりと整備が行き届いていました。停まっている軽トラは遊歩道を管理して頂いている地元の方のようでした。
しばらく舗装路を進んで行きます。すると1つ目の分岐に到着です。
分岐ではありますが先で合流するのでどちらから歩いても問題はありません。往路は左から帰路は右から帰ってくるコース取りにしました。
すぐに樹林帯の中に突入します。天気がよく光が良く差し込むので新緑がまぶしい。
「いもじが滝」「鋳物師が滝」とあるが葉が茂り見えない。
左手に滝と清流を見ながら歩くのですが、水流の音は聞こえるがほとんど見えません。この先もそうですが、滝をすべて楽しむなら落葉してからのほうが良さそうです。
沢が近くなってきました。整備がしっかりしてあるので歩きやすい道です。
赤矢印に進みますが、危うい木板で対岸へ渡渉します。
木板の橋から山側の一枚は、水流と若葉のコントラスが気持ちがいい。
向かう「出合いの滝」は階段を上るとあります。シーズンではないのか整備はされているが入る人は多くなく踏み跡が弱い。
開けた場所にでました。左右の山の間にあってまさに渓谷です。
空は快晴に初夏では珍しい入道雲。真夏のそれではないので雨の心配はなさそうです。
おお!!豪快な滝が見えてきました。
落差30mもあるという「源太夫の滝」というだそうです。滝つぼも立派で深さもあります。紅葉シーズンは奇跡の一枚を狙って写真家さんがたくさん訪れそうな景観です。
源太夫の滝の隣には小さな滝があり「出会いの滝」と言うそうで、2本の滝が滝つぼを共有するように出会うからの由来でしょう。
赤矢印がルートですが滝つぼの傍まで行くこともできました。ライトに散策を楽しむならここだけでも十分楽しめそうでした。実際。サンダルや紳士革靴の方もここまでは訪れていました。婦人靴の女性もいましたが、怪我を避けるならちゃんとした石土を踏める靴がよいかと。
順路は赤矢印で金属の階段を上がってきます。青矢印を行くと1つ目の分岐へ戻ります。
さてここからは整備はされていますが、緩い傾斜の登山道の様なダート道になります。靴は運動靴以上でないと立ち入りは難しいと思います。
しばらく進むと滝の案内がそこらに見えるようになってきます。
近くにも下りれそうですが、誰も下りた形跡なありませんでした。整備はされているが、やはり人の入りが少なく通常であれば下への踏み跡がついていそうです。
ゆるやかな上りを進むと一旦沢から離れ、人工的な看板が見えてきました。
阿瀬渓谷の植生を楽しめる動植物の案内板でした。遊歩道とは言え看板は明確だし、ハイシーズンであれば人がたくさん訪れるのでしょう。
案内板があるところからの滝はやはり見えない。
周回コースの分岐に到着しました。あら・・・??? 橋にはコーンが置いてあります。
ふむ・・・いきなり周回コースの楽しみは断たれました。まじかよ~~~と思うも危険で閉じてあるので仕方なし。洗心台というピークまで取り敢えずいってみることにします。
座禅の滝を抜けていきます。この辺りから遊歩道から滝が見えるようになってきます。
座禅の滝にちょいと寄り道です。
滝つぼから流れ出る清水は岩を垂直に削り取り、さながらジオラマのゴルジュを形成していました。
左手に滝を眺めながら、時折冷たい谷風に吹かれながら、初夏の山パワーを頂きます。
やがて大きな岩が目の前に現れます。
何々・・・昔々はこの岩の下には空洞があり、往来する人の雨宿り所として使用されていたのだそうです。名から察するに金山で栄えた村が、物資のやりとりにこの道を使っていたが、時代と共に廃村となったとあります。昔の人は満足な装備がないのに恐ろしいほど山を歩いておられます。
さらに進んで行くとツルツルすべる「百畳がふち」を通り抜けます。
画像では完全に池ですが、さすがに百畳はないですが20畳ぐらいはありそうな深い淵は美しい。
淵に注ぐ小さな2段の滝に苔むした緑が芯を潤す。
人工物が突如現れたこの橋は、また何とも危ういが意外にもしっかりとしている。
橋の上からは岩を削りに削ったゴルジュのような溝が見えます。渓谷マニアではないので分かりかねますが、こんなにも表情豊かな渓流は無いのではと思ってしまいます。
一旦、水際からは離れ山の側面をトラバースするように道がついています。
トラバース道はしばらく続き、歩きやすくはあるが少しずつ険しくなってきます。落ちると大怪我するほどの道になってきました。
山側から登山道へ水が流れ出している箇所もあります。苔にしたたる石清水は美麗。飲んでも全然いけそうな感じですがチャレンジはしませんw
ちょっと頼りないが案内板も充実しています。
通行止めにより周回できないので月照滝は下山時によります。この滝が最も景色が良かった。後程。
この辺りはハイキングというよりは登山といった雰囲気になってきます。道はあるが落ち葉だけがあり、たくさんの人が歩いた踏み跡は一切なくなりました。ここからはほとんど人が入っていない。
この画像を見てどう思われたか?
熟練されたハイカーさんなら迷いなんてないかと思います。初心者の自分もこれには道が途切れたと錯覚しました。踏み跡がほとんどなく、やはり人が入っておらず落ち葉が新鮮です。右の右側はかなりの崖で道も平坦ではないので落ちると大怪我に繋がります。
よろいの滝に到着するも若葉により景観は全くなく滝の水音だけが着こまえます。
こちらも案内はあるが滝音だけです。すべての滝を堪能するにはシャワークライムをするしかないのではと思う。
杉林の向こうには水はあるが滝かどうかは分からない。
倒れた標識でも案内は明確です。杉林の樹林で「滝見はないし、いつもの登山よりも見所がないから苦しくね?」と相方のツッコミの48滝は葉が繁ると楽しみは半減か。この辺りも転落に注意です。
古道のような石造りに落ち葉が敷き詰められた階段を上がっていきます。
遊歩道脇に見える小さな段々の滝と滝つぼ。
空が近くなってきました。今回はピークを目指しているわけでもないですが、通過点が見えてくると心も整え易く。
尾根上がってすぐ右にお社があります。金山地区との往来に安全祈願として設けられたのでしょう。かつては今よりも険しく買い出しや物売りにしても命がけだったはずです。山間の生活道には所々にお地蔵さんや神様の社が祀られていることが多く見受けられます。青矢印は上がって来た道で、赤矢印が行く道です。
社の隣に三角小屋のトイレがありますが、すでにトイレとしての機能は失われておりました。
行きついた先はどうやら水力発電ダムのようです。
「電力会社の管理です」としっかり書いてありました。
取り敢えず展望所には足を運んでみようと、ダムの貯水池を右手に進むと前方に案内板が見えます。
さてはて困りました。案内はあるが、どの道をとっても人が通った跡は皆無です。「金山峠」方面は倒木が遮るが、踏み跡はまぁまぁです。行く先に蘓武岳があるからでしょうか。
自分の行先の「洗心台」は誰も入ったような形跡がないほどに落ち葉がふかふかでした・・・。遠出が難しい世相ながら近場の低山での遭難が増えている。もともと我が家では道が明確でない場合は無理はしないと決めているので、来た道を下山することに決めました。
下山していると上りでは見えなかった滝の様相が見えてくるのも面白い。すでに滝の名は忘却ですが往路では気にもしない滝がよい景色を醸し出します。巨石の間を漏斗のように落ちる清流。
連続した滝つぼの穏やかな水の流れには青矢印のごとく淡水魚の姿がありました。ん~何でしょうか。手頃なところではイワナとかですかね。駐車場はどちらかというと、渓谷歩き客よりも渓流釣り人が多かったです。
展望台での昼食予定でしたが、川魚が泳ぐ清流の真ん中の岩場でランチタイムです。大したものは持って上がらず、コンビニのおにぎりと菓子パンでお腹を満たします。初夏の模様は暑すぎず、お日様を感じながら食事も美味し。最高の新緑を味わいました。
やはり、画像ではどこが道かも分かりずらいほどに人が入っていません。上りは道が明確だけど下りは分かりにくいというは登山有る有るです。人工の金属の渡し橋が見えてきました。
建築現場でよく見る足場に使われる物です。こんな時勢に整備してもらって言うのもなんですが、ミヨンミヨンとたわみがあり恐る恐る渡ります。いや!ありがたいのです!ただ、ちょっと怖いだけです。
ほいほいと急下りでもなく下山をしていると目の前に小動物!!岩穴に入っていく姿を目撃しました。熊!?にしては小さい、穴の中で光る目。
どうやらアナグマかタヌキのようですねぇ。顔貌からするとアナグマかな。登山道すぐに巣があるの珍しい。流行り病で人が入らなくなったので、水辺傍に巣を構えてしまったのかも。
上りでスルーした「月照滝」に寄り道です。ここが最も景色が美しく、水と草木の彩がmatchした場所ではないと思われます。画像は緑ですが、これが紅葉シーズンの朱になると思うと最高の景色があるでしょう。
月照滝は上から滝つぼが覗けます。かなり滑るので要注意です。滝つぼに延々と流れ落ちる清水はいつまでも見て入られます。
月照滝を後に下山を続けます。季節が季節なら、良い写真が撮れそうです。
上りでは見えないやんと思っていた「龍が滝」も見えました。
元は常に片側は崖とは言いませんが安定しない足場です。下りの方が気をつけねばなりません。
滑る「百畳がぶち」を取り敢えず覗きます。下りのほうが雰囲気の良さを感じられる景色で、どれどれ覗いて見ようかという意識に駆られます。
上りでは気にもとめなかった滝が何故か気になる。上りを急いているのもあるのでしょうか。下りの方が余裕があるのはいつもの山行です。
てさて何とか最初の合流に帰ってきました。周回は出来ず展望もないながらも渓谷の美しさと楽しむのも一興です。登頂が最終目標でないのが渓谷、渓流歩きの醍醐味かなと思います。
管理棟とトイレがある小屋を下りていきました。とても整備が行き届いた愛を感じるハイキング道でした。
ハイキング道入り口から見てた滝は美麗です。「いもじか滝」?
ふむ・・・。相方と自分のシルエットが見ているのは、鹿の大腿骨と脛骨。実に生々しい。何故に生々しい骨が落ちているのかは不明です。他の場所でも生々しい鹿のご遺体に遭遇しました。雪深い年だったので自然の色々があるようで、それはまた別の記事で再会することになります。
下山時にみた蝶は黒筋が濃くモンシロチョウというには様相が違うが、調べても種は分かりませんでした。ん~モンシロチョウのなかでもスジグロシロチョウという種なのかなぁ。
駐車場まで帰ってくると、行きには気付かなった鹿の頭蓋骨が岩の上に鎮座しておりました。清流と新緑のコントラストもいいですが、やはり紅葉のシーズンがベストのような気がします。それでも、ふらっと訪れて自然の癒しを求めるには、気持ちのよいマイナスイオンの旅ができそうです。
さてはて、軽い運動をして本日の癒しの温泉は「七釜温泉 七釜荘」さんへ急ぎます。