いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

明石屋【鳥取県 岩井温泉】~蒲生川と田園風景のどかな温泉街にある創業400年の老舗旅館、湯量豊かな源泉かけ流しのお湯と鳥取の海幸をいただく~

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 かつては賑わいを見せた岩井温泉も、今や3軒のお宿のみとなり、さらに営業しているのは2軒だけです。残ったお宿の1軒が、今回お世話になった創業1615年の老舗旅館「明石家」です。これまで、はす向かいにある岩井屋さんにお邪魔したことがありました。そして、明石家さんも前々よりいつかは訪れてみたいと思っていたお宿の1つです。

 明石家さんに訪れる前に寄って扇ノ山のハイキングの記事もよければ合わせてどうぞ。

旅情

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 赤石屋さんは岩井温泉の共同浴場の目の前にあり、のどかな鄙びの温泉街の情景を作る建物の1つです。パッとみると数部屋だけの小さなお宿に見えますが、奥行きがあり中庭を有する木造3階建ての旅館です。

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 古い唐破風(からはふ)という屋根を一段上に残しながらも玄関は現代風の面持ちです。

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 荷物を下ろして建物裏手にある駐車場へセルフで停めます。建物は木造のままに内装もモダンに改装してあります。

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 フロントスペースから反対を見るとロビーと2階への階段がついています。

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 フロントから一番奥まで来た場所です。岩井温泉街には酒屋さんはありますが、お土産屋さんがないので、館内のお土産処は充実しています。ここには新聞が置いてあり、ちょっとした喫茶スペースとなっていました。

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 喫茶スペースにはアイス、飲料、タバコの自動販売機があり充実しています。

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 見た目はレトロだけど現代仕様の公衆電話の備え付けもあります。どこのお宿も撤去しているところが多く珍しい。

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 四角のテーブルからはさらに奥にも寛ぎスペースが続いています。こちらで記帳をしてお部屋に案内してもらいました。

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 お寛ぎ処からは中庭を眺めることが出来ます。晩秋の庭にはまだ深々とした青さが残っていました。この中庭にの中に貸切風呂と露天風呂があります。

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 ロビーからは玉砂利の廊下が続きます。内廊下なので窓がなく少し薄暗い館内です。

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 途中、中庭にある貸切風呂と露天風呂へ行く勝手口があります。

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 さらに進むと女性風呂があり、奥には客室が並び2階への階段があります。

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 1階の廊下の果てには裏玄関があります。こちらは閉じられてありましたが、かつては勝手口として使われていたのでしょうか。

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 少し戻って細い階段を2階に上がってきました。昭和の香りがする客間の扉です。2階には大広間もありますが3階へ上がってしまいます。

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 階段を上って振り返ると客間が並びます。綺麗にされていますが、何とも懐古的な旅情を誘う廊下です。仲居さんの履物が客間の前に、どうやら他のお客さんの案内をされている様子。

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 上画像の廊下を端まで行くと、ゲームコーナーと卓球台がありました。子供のお客さんの宿泊が無かったためか終始稼働はしていませんでした。

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 お土産屋さんの前にある階段はここに上がってきます。階段を囲むように部屋があり吹き抜けのようになっています。

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 吹き抜けの階段を2階に降りると左手には大広間が見えます。

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 3階とほとんど同じ造りとなっていてます。このフロアは少しハイカラな洋の面持ちもあります。

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 建物はL字型となっており、一番奥は最初に上がった階段があります。

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 50畳以上はある立派な広間です。最近では大広間を利用する団体客は少ないですが、地元の方などの寄合などで使われたりするのかな。

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 階段を1階まで下りるとフロントスペースが見えてきます。1階から3階にかけてL字の建物を立体的にぐるりと1周してきました。

お部屋

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 案内して頂いたのは高砂(たかさご)というお部屋です。

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 間取りは、和室8畳+踏み込み1.5畳+バス・トイレ・洗面です。

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 いまでは作られていないであろう、ヒビの入ったような模様の擦りガラスに、踏み込みは1畳程の大きさ。予約時は1.5畳とあったので部屋によって多少異なると思います。

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 踏み込みからは前室のような1畳間。左が本間に正面が水屋となっています。

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 バス、トイレ、洗面は別々になっています。お風呂は温泉ではありません。

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 本間は8畳と2人で使うには十分な広さがあります。

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 特に変わった部屋の装飾などはないシンプルな純和室です。気になったのは床の間と箪笥が微妙な配置です。リフォームによるものでしょうか。

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 広縁には冷蔵庫があり中庭を眺めます。

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 向こうに見えるのが玄関のある棟です。なので、このお部屋は一番奥に位置します。中庭は年末のお手入れ前なのかやや鬱蒼としていました。

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 広縁の冷蔵庫には有料の飲料が入っています。流行り病の影響からかウェルカム茶はありませんでした。足袋(たび)や化粧水などの過度の備えはなく、アメニティ類は歯ブラシやタオル類など必要最低限です。また、冷水の用意はありませんでしたが、館内の自動販売機は充実していますし、徒歩10分圏内にコンビニもある好立地です。その他のサービスとして、夕食後、朝食前のお茶セットの入れ替えがありました。

 

お風呂

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 赤石家さんのお風呂は男女別の内湯が1ヵ所ずつ、混浴露天風呂が1つとなっていますが、露天風呂は女性専用タイムあります。内湯の入れ替えはありませんでした。また、有料利用の貸切風呂が2ヵ所あります。泉質はカルシウム-ナトリウム硫酸塩泉で、肌触りはツルリと柔らかく誰もが入れるやさしい湯です。また、タールのような微香と口に含むと微塩味がします。湯使いは源泉かけ流しで新鮮湯を満喫できます。

内湯 男湯

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 こちらは男湯の八角堂のような湯屋です。窓が大きくとってあり明るく旅情感たっぷりです。内湯の入れ替えがないのは、中庭を散歩すると浴室内がわずかに見えてしまうためかと思われます。

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 お尻を底に着けるとどっぷりと首まで浸かる深さと、寝湯に適した浅くとってある2段構成の湯舟です。源泉の温度は高めなので、寝湯がとても気持ちがいい。

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 かつての石造りの湯口からは湯は出ておらず。源泉は湯舟の底にある2ヵ所から湧き出ています。1つは湯舟の壁からの塩ビ管、もう1つは湯舟の底に敷かれた簀の子の間からぷくりぷくり泡が上がる足元湧出です。

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 オーバーフローの見た目にも気持ちがいいほどに溢れ出しがありました。足元湧出なので湯屋は静寂で、お湯の溢れ出る音だけが響いていました。

内湯 女湯

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 窓には格子が入って女湯もまた違った趣きがあります。湯舟の中は男湯と同じように浅い所と深い所があります。

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 ヒノキ?造りの湯屋には沢山のシャワーブースがあるので、お宿の規模からすると混雑することなく使用できそうです。

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 柱にある湯口は元が何であったか分からない程にゴテゴテの析出物が付着しています。馬かな?女性側は足元湧出が無かったそうで、この湯口からはかなりの源泉が注がれていたようです。

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 脱衣所にウォーターサーバーがあり、洗面台には男女物それぞれの乳液や化粧水などが置かれていました。

混浴露天風呂 貸切風呂

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 露天風呂と貸切風呂へは1階廊下の途中にある勝手口から1度外へ出ます。中庭の屋根が付いた石畳みの道を行きます。

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 道途中に「森の箱舟」と「月の雫」と名された2ヵ所の貸切風呂が見えてきます。

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 こちらは「月の雫」の貸切風呂です。利用はしなかったのですが、扉が豪快に開いていたので覗かせて頂きました。2人で入るにはちょっと小さそうです。赤く染まった紅葉が泳いで秋らしい様相でした。

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 湯舟が小さいためか竹筒からの投入量は多くはない。もう1つの「森の箱舟」はヒノキ造りの四角い湯舟のようです。有料なのでプライベート感を重視するなら「あり」ですが、湯を楽しむなら湯量が豊富な内湯で満足できます。

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 貸切風呂の前をさらに進むと、現代では珍しい「混浴」の露天風呂があります。

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 夕刻になると明かりが灯され雰囲気は抜群です。

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 岩造りの露天風呂は10人以上が楽々と入れる大きさです。ただ、脱衣所も男女共有で、お湯も透明なので女性にはかなりハードルの高い混浴風呂です。

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 このような塩ビ管の注ぎ口が2ヵ所あります。屋外だからか内湯ほどのタール臭はありません。

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 日の明るいうちはハードル高めの混浴露天ですが、訪れた時には利用者はなく普通に入っていても誰も来ない。それでも気になる女性の方には夜20時から22時の女性専用タイムでの入浴がおすすめです。

 

お料理

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 訪れた時は朝夕ともにお部屋食でした。海の近くという事もあって、海鮮の食材がたくさん使用された「The和」の旅館料理と言った内容です。一品一品は丁寧に味付けがされており、彩は華やかな盛りは目でも楽しめ、口の中も面白く自然とニンマリとしてしまいます。

 お品書きはなく簡単な説明のみだったので、食べた感触と推測で献立と味を表現しています。ご参考程度に見て頂ければ幸いです。

夕食

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【食前酒】:梅ワイン

 ロゼワインで梅を煮込んだ煮切りワインです。グラニュー糖を加糖してアルコールを飛ばしてあるのだと思います。梅にワインが良くしみ込むように、梅を針で刺した跡がありました。程よく甘く煮切ってあり、アルコールはなく、ワインと梅の風味が楽しめるフルーティーな食前酒です。

 

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【先付】:ナマコぽん酢

 コリッ!コリリっ!!と高らかに鳴る食感は最高潮な新鮮ナマコ。主張せずナマコを押すポン酢は、自家製らしい優しい柑橘酸味と塩加減です。このポン酢のサッパリ感が、ナマコ味をとても引き立てます。薬味にネギと辛味の少ない紅葉おろしでキュッと整えて美味い。酒が進みます。

 

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【前菜】:①えごま豆腐 ②鮭麹焼き ③黄身真丈 ④丸十レモン煮 ⑤干し柿チーズロール ⑥烏賊のあられ揚げ ⑦海老飛子 ⑧揚げ蕎麦松葉

 ①しっかり塩に甘味の浸し汁には、やや柔めの濃厚エゴマ豆腐とクコの実。 ②麹で閉じ込めた鮭の紅身を焼いて、軽く塩を持たせて酢橘を添えてあります。 ③黄身を塗って焼くというよりは黄身とすり身を合わてあります。下段はすり身のままで上段は卵の2層仕上げ。 ④芋は鳴門金時かな?レモン風味はかなり強めで甘さは控えめ。芋の繊維がたっぷりと残っていました。真ん中に相性の良い黒ゴマ。 ⑤干し柿とチーズのロールやミルフィーユは昨今の秋定番のお品。 ⑥イカはするりとした歯応えに、イカの甘味が濃く「あられ」で香ばしく仕上げて。 ⑦ぷりぷりに蒸したエビには黄金色のトビウオの卵のあしらい。 ⑧最初見た時、飾りの松葉か・・・。しかし、よく見てみると、これ食べれる奴やん!乾麺の蕎麦の端を焼き海苔で巻いて素揚げてありました。仕込みが細かい・・・。

 

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【蒸し物】:茶碗蒸し

 熱々で後から配膳されました。玉子地は緩くほわほわで、ひたひたのお出汁は鶏の風味。最初は鶏、食べ進めると焼きアナゴに当たり、一気に焼き香ばしいアナゴ出汁に変化。脂の強い鶏と焼きアナゴで、こってり味なのに何とも品がある。具材に紅白かまぼこと季節の銀杏。風味に柚子と三つ葉を盛り付けてありました。

 

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【向付】:季節5種盛

 お造りはサーモン、鯛、スルメ烏賊、カンパチ、赤エビです。さすが海の街という新鮮な味わいです。サーモンは甘味が強く濃い紅味。タイは緩さもありながらもコリッとした歯ごたえがあり脂がよく乗っている。スルメイカは歯を立てるとプツッ!スルスル・・と鮮度が映えます。あま~い濃潤なイカ味。カンパチは出世魚独特の旨味は素晴らしく。赤エビは少しだけ卵が残っていました。殻を剥いた際に取れてしまったか・・・。

 

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【台の物】:鶏つみれ豆乳鍋

 きめの細かい上品な西京味噌を豆乳に溶いてあり、火が入ってからの香りは濃厚な鶏一色に変わります。

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 ふわふわのつみれは鶏の旨味が溢れています。これに海鮮具材のホタテとエビの旨出汁も合わさり一層コクが出ます。また、一手間なのが白菜はあらかじめ丁寧にロールされており、酸味のある浅漬けにしたような下ごしらえがしてありました。塩と昆布で揉んだのかな。豆腐も舌触りと硬さが融合してで大豆が豊か。野菜は白菜の他に、白ネギ、菊菜、エノキ、葛切りです。

 

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【焚合】:鴨と季節野菜の煮物

 とても上品な味付けが成された炊き合わせです。カモは簡単に噛み切れてしまうほどに柔くたたきにしてあります。和牛のように脂のバランスが良くコクのある味わい。正面はもちもちの「よもぎ麩」。里芋は、ほっくりと炊かれ酢味噌をあしらい、箸で持ち上げると箸が容易にめり込むようにやわらかい。青い彩りのインゲンは自然の味のままに。後ろに隠れているのは蕪(かぶ)です。この蕪のお出汁は何なのか分からなかったのですが飛魚(あご)でしょうか。下に敷かれた餡はほんのりと甘味を持たせて、上品で中性的な味わいは蕪の煮汁かな?

 

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【揚物】:キス、らっきょ、青唐、レンコン

 こちらは熱々揚げたてで後から配していただけました。ラッキョは酢漬けにしたものを、火が通り切らないように歯応えを残した珍品です。

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 キスはあおさで磯部揚げにしてあり、さっくりとした衣の中は、ふっくらとしたジューシーな脂の乗った白身。なんとも贅沢に大振り2切れ一匹分の盛り。味付けはあたり鉢で細粒にした藻塩です。

 

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【酢の物】:鶏燻製、鰺南蛮、季節の砧巻き

 菊花の器にとても彩りよく盛り込まられた一品です。この酢の物の凄いところは一つ一つの食材は酢の使い方が異なるところです。器の底に浸してある甘酢は酸味は抑えた甘味の強い物でした。 ①アジは打ち粉して揚げた南蛮仕立てで酢はかなり強く、大根卸しを乗せてパプリカとイタリアンパセリで色を添えます。 ②薄焼き卵で巻き上げたカニ身の中心には磯風味のワカメの砧巻(きぬたまき)、もう1つは大根の桜酢漬けでカニを巻き上げた辛子酢味噌。薄焼き卵とカニの砧は山陰にくると必ず見ます。地物おお取り寄せでしょうか。 ③付け添えのカリフラワーにも甘みと酸味が上品。蛇腹キュウリは自然のキュウリ青味のままで。

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 メインになる鶏の燻製は顔を近づけると桜チップの匂い。軽く燻されてタタキの様な仕上げ、無駄な水分が抜け旨味だけが残された胸肉を甘酢で締め上げてあります。色々な味の違う酢の物が楽しめる、炊き合わせのような盛り込み料理です。

 

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【食事】:鳥取県産白米

【止椀】:飛魚吸物

【香の物】:マイクロ胡瓜辛味付け、大根桜漬け

 山陰のお米はモチモチというよりパッサリとしています。これが悪いかというとそうではなく、むしろどんなオカズにも合います。あご(トビウオ)吸いはとても上品な塩加減です。入れ込んであるのもトビウオでしょう。水面に全く脂が浮いておらず透き通った京風です。具材は紅葉生麩にエリンギ、青菜にカイワレ大根です。

 

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【水菓子】:サツマイモケーキ、季節の果物

 果物は梨、パイナップルです。梨はシャクシャクとした食べ口で、果汁がじゅるじゅるの豊水のよう。しかし、豊水の季節は終わっているので「王秋」という品種かもしれません。メインはサツマイモケーキです。プチケーキなので見た目は冷凍なのではと思って口に入れると・・・。おお?濃密なサツマイモだ!なるほど上の紫色は皮を模し、果肉は肌色にムースで仕上げ、スポンジは混ざりあうと溶けて消えていく・・・。サツマイモが口で溶けるという表現がぴったりです。お取り寄せだとしてもこれは美味しい。これ自家製でしょうか・・・。

朝食

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 朝食もお部屋でいただきます。スタンダードだけど手作りの品々が並びます。

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・カレイの一夜干し、ウニ椎茸

・湯豆腐(鰹節、ねぎ、摺りショウガの薬味)

 カレイはとても身振りが大きく脂の乗りもよかったです。添え付けのウニシイタケの佃煮はお土産物ですがうまい。湯豆腐はこれまた夕食の豆乳鍋に入っていた滑らかな美味豆腐でした。甘醤油のポン酢でいただきます。

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・豆腐ちくわの田楽、キャラブキ

・出汁巻き卵

・飛龍頭、高野豆腐、ごぼうの煮物

・サラダ(ハム、トマト、キュウリ、キャベツ、紫タマネギ、カイワレ、胡麻ドレッシング)

 山陰でよくみる豆腐ちくわを味噌を塗って田楽にしてあります。焼きが入って香ばしく、味噌は辛子酢味噌と唐辛子味噌です。暖かく配膳された出汁巻き卵は、焼き目が層にならない本物出汁巻き、焼きあがった直後に簀巻にして包んで絞めてあります。飛魚(あご)出汁が後からひたひたと染み出します。煮物の高野豆腐はキュキュとした噛み心地に、ふんわり飛龍頭には甘味の強いお出汁が良くしみ込んでいます。

 

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・味付け海苔

・香の物(つぼ漬け、梅干し)

・麩とワカメの味噌汁

・鳥取県産白米

 滑らかな舌触りの味噌汁は豆乳鍋で使った西京味噌でしょうか。品数がとても多く、夕食と同じく手作り丁寧な味付けは白米が進みました。

 

まとめ

 料理の手が込の込みようと、源泉掛け流しの温泉は素晴らしい物があります。ただ、ご時世柄か食事のタイミングが早すぎて、お酒を楽しむ時間がなかったのは寂しいところです。これまで見た一番安いプランで土曜33000円、平日28000円ぐらいの値段帯でした。JTBプランからか、お部屋or料理がグレードアップなのか、いつも見ていたお値段より若干高めでした。予約時にはJTBプランしかなく選択肢がありませんでした。33000円で同じランクのお料理を出してもらえるなら、是非に再訪したいお宿であることは間違いありません。平日ならお得感しかない宿泊が出来ると思います。

宿泊日:2020/秋

旅行サイト:Yahooトラベル(JTB)

プラン:【部屋タイプお約束】和室8畳+踏込1.5畳 禁煙 夕食部屋食 お約束プラン

部屋タイプ:和室

合計料金:37400(2人)

goto割引:13090円

支払い料金:24310円

加算ポイント:170p

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