雲仙観光ホテルさんは昭和10年に建設されて築80年以上経過した木造建築のホテルです。これまで泊まったクラシックホテルと同じく、雲仙観光ホテルさんもやはり米軍に接収された歴史をもちながらも、当時の姿が保たれています。現存する木造3階建てのホテルは希少価値が高く有形文化財と文化遺産に登録されています。
旅情
雲仙温泉街の中でも一際目立つ門構えと、ホテルまで続く市松張り石畳のアプローチが目を引きます。お金持ちさんのお屋敷のような雰囲気があり、始めて訪れた時は入っていいかどうか迷いました。もちろんホテルなので、この石畳みの道を車のまま玄関まで乗りつけることができます。
季節は12月。訪れた時には前庭にクリスマスのデコレーションが施されていました。前回行ったのは2016年の夏。冬の方が装いがよく。勝手が分かっていたので、車を玄関前の駐車スペースへ。荷物を持ってエントランスからお邪魔します。
ちなみに夜間のライトアップもあり、とても幻想的な景色を見ることができます。再訪しても、やはりクラシックホテルらしい重厚感のある外観は美しく引き込まれる。訪れたお客さんの多くはここで記念撮影をしていました。
ホテルの大きさからすると、小振りのエントランスは高級感増し増しで緊張します。
ロビーにもクリスマスツリーが飾ってありました。エントランス入って左手にフロントがあり、さらに奥には階段を上がって、お食事処のダイニング、喫茶スペースのラウンジ、BARがあります。古い建物なので館内にはエレベーターがなく、お足元が不自由な方はご注意を。
階段を上がった所はラウンジとなっていて、お茶やケーキなどのスィーツもいただけます。左手がダイニング、右手にBARがあります。
時間になると開放されるダイニングでdinnerとbreakfastをいただきました。
普段、ホテルのBARなどは利用しないのですが、ちょっと覗かせてもらうと高級な雰囲気に酒の種類が豊富。安い焼酎をあおってるぐらいで丁度よい自分には、見学だけでお腹一杯です。
フロント前に戻って、エントランス右側のロビースペースを見ます。
ロビースペースからは廊下が付いています。ロビー横にはブライダルサロン?、売店、書庫、ビリヤード部屋、映写室がならんでいます。
ロビーすぐ隣にあるブライダルサロンのお部屋。訪れた時には流行り病のこともあり、結婚式というwordも難しい・・・。
ブライダルサロンの隣には、いわゆる高級ホテル仕様の売店があります。お土産とかの物ではなく嗜好品の売店です。高級宿にしては珍しく天然水やお茶などの販売もありました。
廊下のショーウィンドには戦後の米軍接収時代を経た、当時の銀食器などが飾ってあります。戦前から営業していたクラシックホテルや旅館は、戦後は米軍の管理下にありました。雲仙観光ホテルさんもそのうちの1軒です。奈良ホテルさんなどは強引に改修された箇所もあると聞きましたが、当時の米軍もJapanese traditionalな文化的価値を残すという粋な計らいも有ったか無かったかというお話をどこかで聞きました。
ショーウィンドの隣にあるのはビリヤード場です。ステンドグラスがあしらわれて,あります。当時の物にしては新しく見える。
ビリヤード部屋の隣には書庫があり、読み物に興味がある方は読み耽っていました。
さらにビリヤード場の隣にある映写室。本来であれば映画などを上映しているのか、リクエストすると流してもらえるのか。前回訪れた時はずっと流し見、といった感じだったような・・・。
さて、上階の探訪に向かいます。エントランスの真ん中にある階段を上がっていくと客室があります。
階段を上っていると床の軋みが聞こえ、見た目は重厚でも木造建築の柔らかさが感じられます。そういえば純和風建築とは違い館内は一律に暖かい。セントラルヒーティングのような物があるのか。もともと雲仙温泉は火山地帯なので、外を歩いていても地熱があるのか暖かく感じられます。
ここは2階と3階の間にある踊り場から見下ろしています。客室は廊下だけでなく、踊り場付近にもあります。前回来た時は古びた感じもありましたが、姿はそのままに内装をやり直したような様相です。
2階と3階の装いは異なり、造りが同じでないところも粋があります。当時の職人さんのこだわりなのでしょう。
2階は重厚な感じを受けますが、3階は光が良く入って明るい印象を受けます。
2階と同じく細い廊下の左右に客室が並でいます。建物正面と後ろにお部屋があるので館内はすべて内廊下となっています。
客室廊下の最後には細い階段があります。またまたギシギシと木の軋みと柔さがある階段を下りて行きます。
階段を1階まで下りると正面に大浴場への入り口が見えてきます。ここを右の扉を行くとフロントに戻ることができます。
大浴場入り口前には貸切風呂があります。手頃なお値段で利用できます。
大浴場手前には湯上がり処があり、庭を臨むようにリラックスチェアが並べてあります。
湯上がり処にはウォーターサーバーが備えつけてありました。旅館ではないので旅情としての楽しみは少ないですが、高級感のあるしっとりと落ち着いたクラシカルな過ごしやすさは流石です。
お部屋
案内して頂いたのは3階の「312号室」です。
一般客室のツインルーム20平米です。昭和築ですが大正や明治のようなクラシカルな和ホテルの雰囲気がたまりません。
玄関戸の間口は小さい。確か・・奈良ホテルも同じように間口が小さかったように思います。万平ホテルは通常サイズだったか。川奈ホテルは通常サイズでした。建てられた時代背景もあるのでしょうか。
前回は奮発してスーペリアルツインのお部屋で広々利用でした。お部屋の大きさでお料理の内容が大きく変わるものでもないので、手狭ではありますが佇まいは良く、セミダブルのベッドなので就寝するには困りません。
これまで宿泊したクラシックホテルでは、新築マンションなどにある近代的な一体型のユニットバスにしてあるのに、雲仙観光ホテルさんのバスはやや古風なタイル張りです。雰囲気を壊さないようにという配慮と演出でしょうか。ちなみにバスは温泉ではありません。
建物背面のお部屋ではバルコニーはなく景色も山でした。今回は玄関側で外に出れるスペースがありました。前は塗装の剥げもあったような、やはりベランダ柵も塗り直したように綺麗になっている。
バルコニーからは雲仙温泉街を一望できます。
洗面台には巾着が置いてあり、中身はミニシャンプー、石鹸から洗体タオルが1人1セット巾着、髭剃りとシェイビングフォームも。部屋着のパジャマもあり、不便がないほどのアメニティの備えがありました。ただ、前回はランクが上のお部屋だったからか、アメニティの質は前よりも低い。もしかしたら時代の流れによる変化も・・・。
冷蔵庫はとても小さい簡易の物です。有料の飲み物が少しだけ用意があります。
ティーセットも前のほうが良い物でした。備品は部屋のランクによって変わるのかもしれません。お水も常温でアルカリ水の用意。
ティーセットの中に用意されていたお茶請けは、抹茶のマカロンとバタークッキー。マカロンは歯にまとわりつかないサックリタイプで、ほんのり抹茶風味。クッキーは上質なバターが香るサックリタイプで手作り感満載でとても美味しく。
館内の備品は完璧ですが、温泉街にはコンビニはありますが夜間は閉まります。都会でのコンビニと呼ばれる商店はなく、必要な物は事前に用意してのチェックインがお勧めです。
お風呂
雲仙観光ホテルさんでは、クラシックホテルという分類では珍しくかけ流しの温泉を味わえます。源泉温度の高さから夏場は加水もあるようですが、湯使いに循環はなく泉質や湯感に申し分のない温泉を堪能できます。男女別の内湯には露天風呂が併設されており、それぞれの浴場が対照的な造りとなっています。貸切風呂も1ヵ所あり2000円で利用できるという良心的な値段設定です。温泉を楽しむだけなら大浴場で十分なので利用しておりません。湯口から流れるお湯を口に含むと、マイルドな硫黄味(硫化水素)にやや鉄サビ臭がする・・・そして酸性泉特有のレモンのような酸っぱさがあります。泉質は酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩泉でph2.0と程よい酸性泉です。入浴中はサラリとしているのに、湯上がりはキシキシとした感触が特徴的です。
大浴場
浴場に入ると硫黄(硫化水素)の香りが漂います。その時代時代で変貌を遂げた湯屋は、原点回帰をしてこのドーム状に戻ってきたとあります。ドーム状の天井はダンスホールのようで実に洋館らしい面持ちです。
掛け湯にある獅子の注ぎ口もどうやら温泉のようです。ん~・・・じょ~~という感じは・・・獅子らしくない注ぎです。
横並びならゆったりと5人ぐらいは入れそうな変則的な内湯です。
女性側もシンメトリー(対照的)な造りはコンセプトの1つのようです。湯舟の形にも意味がありそうですが・・・分かりません。
壁と一体化した湯口からは源泉93.5度に加水した「あつ湯」がサササーー・・と静かに注がれます。水面に顔を近づけると、レモンのような酸性泉の酸っぱさと硫黄の匂いが感じられ極上のコラボです。いつまでも嗅いでいられますw
湯口では湯量は多くないように見えますが、切り口を見ると気持ちいい程に溢れています。身体を沈めると淵全体から洗い場いっぱいに流れ出ていく様は最高です。
こちらは女性側。湯舟から洗い場方面をみるとテロマエ・ロマエを感じますが、高級すぎる雰囲気は逆に自分には落ち着かない。 でも、いいお湯です。
内湯から脱衣所から、どちらからも露天風呂へアクセスできます。露天風呂には小さなお庭もついています。
手すりがど真ん中についているので、ゆっくり入るには、ほどんど1人用仕様でした。
女湯の露天風呂もまったく同じ構成です。日当たりの問題からか植木の育ちがこちらのほうが弱い。
トロトロと流れ出していますが、内湯と同様に見た目以上のお湯が張られていきます。
湯舟に対しする湯量はたっぷりと、ザブザブと切り口から流れ出ていました。やはり、こちらも身体を浸していくと、豪快にお湯がザーザーとオーバーフローを起こし至福の温泉タイムです。
髭剃り、櫛、化粧水からアメニティ類は、すべて揃っています。タオルはフェイスとバスタオルも完備してあります。ロビー付近を除いて、お風呂までは館内着(ぱじゃま)での移動もokなので、朝目覚めてから目覚ましの朝風呂へ手ぶらで向かえます。浴場前には冷水もあるので、しっかり補水して温泉が楽しめます。
お料理
ダイニングに入ると、まっさきに「いらっしゃいませ」と対応して頂けました。気付いたというより常に見ておられる。とにかく配膳や、御客のテーブルの状況や動きの気配りが凄い!前回も恐縮しましたが、その接客は変わらず素晴らしい。決まったドレスコードはないようですが、他のお客さんは女性はワンピースに男性は襟のある服装で、それなりの恰好でダイニングに訪れていました。
文化財に指定されたホテルでも洋食だけでなく、和食中華を提供しているところもあります。雲仙観光ホテルさんは夕食は洋食一本です。メニューはフランス語で表記されているので表記通りで、( )内は調べて日本語で追記しております。極力会話を控えてという事もあって、料理の説明は最小限とされているようでした。聞くとある程度は答えてくださるのですが、他のテーブルでもかなりの最小限を徹底されている感じでした。なので、内容は勘ですw 和食が得意というわけでもありませんが洋食の解釈は複雑で分かりません。参考程度に見てください。前回の料理と違うなぁと思い、家に帰って確認すると5年前とは料理長さんが変わっていました。昔ながらから今風の料理にモデルといった感じになっています。
夕食
5年前と同じ席に案内され、意図的なのか偶然なのか「前回と同じ席だわww」と、相方と顔を見合わせて笑いました。前と変わらない磨き上げられた純正の銀食器は変わらず流石です。
席を表すサービスプレート?アンダープレート?はとても華やかです。このような料理が並ぶ現れでしょうか。お店の顔ともいいます。
日本酒は多少自分の好みぐらいは分かるので頼みます。いつもはお酒には触れないのですが、敢えて雰囲気で白ワインを。日本酒が分かるというわけではないですが、同じ醸造の葡萄酒であるワインは全く分からない。でも、洋食に合うのはやはりワイン。いつもたくさんは頼みません。酔いが過ぎるとせっかくの料理の味が濁るので程々にいただきます。
【Les champingnon(きのこ)】
雲仙産舞茸のカプチーノ 椎茸シフォンケーキ 玉葱のタルト
キノコのオードブルです。 シイタケのシフォンケーキはしっとりとした質感に、風味は優しくほんのりと甘い。乾燥えのきとエシャロットワイン煮?の添え付け。散らしてある赤身はピンクペッパーのクラッシュかな? 台座のタルトは薄力は弱くしっとりとして、茶色にこんがりとローストしたタマネギを盛り付け、極スライス生ホワイトマッシュルームと黄色の菊花で飾り付け。タルトにもタマネギが練り込んであるのかとてもタマネギが香ばしい。
舞茸が香り高い、泡々の牛乳仕立てのポタージュです。もともとカプチーノは泡をクリーム状にしたものを言います。バターでソテーしたマイタケを器の底に敷き、マイタケをミキサーでポタージュにした出汁を注ぎ込んで、さらに舞茸パウダーを振ってある一品かと。マイタケしかないマイタケを活かした、洋というより素材をいかした和の使いに近い。
【Pouler(チキン)】
長崎産ハーブ鶏の燻製とフォアグラ サラダ仕立て 柿のソース、ブレッド
とても熟された鶏とフォアグラは恐らく桜チップの燻製。燻されて旨味が閉じ込められた鶏はささ身かな。これをスライスにして瑞々しいほうれん草と水菜をロールupして品のある白フレンチドレッシングで。 フォアグラも表面は皮で包んだようにしっかりとしていながら、ナイフを入れるとプツッスルリと入る。まったりとしたフォアグラではなく、さっぱりとした口当たりで燻の香りで包まれて美味い。 彩りの黄色の柿ソースはミントのような爽やかさがあり、白色のソースは鶏と同じくフレンチドレッシング。少しわかりにくいですが、料理をぐるりと囲んでいる透明のソースはハチミツとレモン?のように甘酸っぱい。添え付けには柿コンポート、トウモロコシをのしたエスニック風のトルティーヤのようなチップ、大根素麺なます、滑らかなヨーグルトキューブ。色々な味付けや組み合わせで楽しめるプレートです。
同時にフランスパンの配膳です。保温してあるので温かい。雑味のない発酵バターでいただきます。しっとり生地のフランスパンがまた旨く、2回お替りしてしまいました。
【Riso al salto(焼きリゾット)】
トマト風味の焼きリゾット 烏賊 海老
スープの入ってないお皿がまず配膳されてからホールの方がスープを注いでくれるという演出。長野県の明神館でも同じような演出がありました。最近の流行りでしょうか。トマトと魚介の出汁のスープで私的にはエビのような甲殻香ばしさが濃いような気がしましたが・・・とにかく品と透明感がある。あらかじめトマト風味に味付けされたもっちり米を円柱状に焼き上げ、たぶん・・トランペット茸、蒸したエビ、こんがり焼いたイカにパルメザンチーズを散らしてあります。スープが注がれると、トマトとお米が融合して完全に洋雑炊になります。
【Sabre(サーベル:剣)】
橘湾産太刀魚の米粉ムニエル 牛蒡のソース
献立の訳が「サーベル」?なんで?と思っていたら、太刀魚⇒剣という掛詞と気づき、その上手さに笑ってしまいました。太刀=剣たしかに!HAHAHA!!ほんまこんな感じでしたわ。 付け合わせにはトロトロの揚げナスが下に仕込まれ、そびえ立つナスチップスは、向こうが透ける程薄く、一夜干しにしてから焼いたのかパリパリ食感で、このような調理方法をナスに適するとは思いも付きませんでした。「ソース、トロトロナス、ナスチップスで違う食感と味の変化をお楽しみください」との説明でした。食感と風味のコントラストは確かに面白い。ゴボウのソースからは土の風味に加え、馴染みのあるタマネギやニンジンのような甘味もあるチャコールソースの様です。
打ち粉をしてバターで表面はカリッと焼き上げ中身はふっくら。食感からすると打ち粉は米粉でしょうか。(読み返して気付いたのですが、献立に米粉とありました)風味はタチウオなのでタチウオには申し訳ないが、例えるならはウナギのような深い脂の旨味があります。
肉料理の最初の配膳はこれです。
配膳後すぐに熱々のグラタンを盛り付けてくれます。グラタンは確かに冷めると美味しさは半減するので、特別なこういう演出も好きです。
【Viande(肉)】
長崎和牛ロースのロティ ドフィノア添え スイス産ピノ・ノワールソース
or
雲仙鹿牧場 鹿ロースのロティ ドフィノア添え スイス産ピノ・ノワールソース(+1000円)
ワンプレートに添え付け物がたくさん乗っている好きなタイプのお皿です。これまでのプレートもそうですが、盛り付けはどちらかというとやはり和の装いをどこかに感じます。紫色で円柱状に寄せた物は紫キャベツのバターソテー。これに揚げたサトイモをころころと転がして、「もものすけ」と言う赤カブを桜色に漬けた物と、レンコンの牛肉挟み揚げを添えます。献立のドフィノアはジャガイモグラタンの意です。雲仙の愛野町でとれたジャガイモで、クリーミーなグラタンを熱々で。
基本は和牛のロティ(蒸し焼き・炙り焼き)で、+1000円で鹿ロースに変更が可能でした。いつもなら和牛と和鹿で一品ずつ楽しむのですが、鹿はこれまでも味わいましたが流石に珍品で・・・怖い物味わいたさもあるが鹿よりもスタンダードに和牛をチョイス。ナイフを入れると弾力があり「あら?硬い?」と思わせといて口に含むと「ジュわ~~~・・・」と肉汁が溢れとても柔く深い!!噛んで口で泳がせると、宮崎牛の極上赤身のフィレの肉汁が止まりません。ソースはピノ・ノワールというブドウから作られたワインを使用しているようです。ワイン特有の酸味もあり、赤ワインソースを作る際はエシャロットやワインビネガーを使うことも多くあります。ソースの牛旨味はやはりフォンドボー(牛骨、スジの出汁)かと。
【Avant desert(最初のデザート)】
林檎のグラニテ
リンゴがとても豊かに薫る3層構造になった氷菓子です。下からリンゴのコンポート、クッキー地のクランブル、リンゴブランデーのシャーベットに濃厚シナモンアイス添え。混ぜて食べて下さいとのこと。ゴリゴリ混ぜると確かに・・・。シャーベットとアイスが溶け出してグランブルとコンポートに驚くほど沁み込み美味。強シナモン、ゆるいお酒、高香リンゴのバランスに甘味の強いグランブルで味も食感も丁度いい。
【Chcataigne(栗)】
UKH秋の味覚 島原産栗のデザート
フランボワーズのジェラートと島原で獲れた栗を使用したモンブランです。フランボワーズはよく知っている名前ではラズベリーを指します。甘いんだろうと口に入れると雪解けの口当たり。しかし、「酢っパ~~~うま~」、寄り添っているラズベリーはジュルりと溶けて「こいつも酢ッパーーー」、ソースも「酸っぱいやんけ~」、いやこれが本来の天然の味なのかと思います。
ジェラートの下にはマイクロチョコが盛ってあります。散らしたココアパウダーと、このチョコがいい仕事をしています。赤いラズベリーソースとココアパウダーにこのチョコを加えてジェラートと、一緒に食べると甘味と酸味のプラスマイナスの加減がとても良い。ラズベリーの強酸味の布石はこれだったのかと気付かされるアイスです。
モンブランは滑らかな舌触りと、きっちりと甘さがあり栗風味が濃密。モンブランの中にはコンポートにしたと思わしき栗が内蔵されていました。また、その下の円盤型の謎の物体はアイスでしょ?とフォークを入れると「サクリッ!」。これは驚きを隠せない。相方が一声に「メレンゲ!しかも茶色!」 風味は分かりませんでしたが栗ペーストを練り込んで焼いてあるのか。これをチョコレートコーティングして台座にしてありました。Hmm...なんという手の込みようか・・・。
【Cafe ou The(コーヒーまたは紅茶)】
【Mignardises(食後の焼き菓子)】
珈琲 または 紅茶 小菓子
紅茶はミルクとレモンから。コーヒーは酸味の少ない好みのマイルドな味。牛乳ではなく生クリームを一緒に持ってきてくれました。お供の焼き菓子は、金柑のマカロン、生チョコ、洋梨のパート・ドゥ・フリュイです。マカロンは柑橘の爽やかな香りが強くエグ味の反動もあるが、まろやかにしたためてあります。歯に引っ付いてもすぐに溶解するお年寄りにも優しいタイプです。生チョコは常温だと溶けてしまいそうなほどに柔く繊細なチョコ味。洋梨は日本でいう「みすず飴」のゼリー菓子です。
2016年のデザート
前の宿泊ではデザートタイムになると、8種類のケーキやジェラートが乗ったワゴンがテーブルに着けられました。好きな物を複数チョイス出来たのでフルで頼んだ図です。料理長さんが変わったから無くなったのか、流行り病により中止なのか・・・。今ではこういうのは古く感じるスタイルですが、楽しみにしていたので期間限定で復活して欲しいものです。
朝食
日が入ると夕食時とはまた別の雰囲気のあるダイニングです。夕食とは違う席に案内されました。和食でいうと白米をおかわりする感覚で、御飯のお供がたくさんの洋食版でパンが捗ります。
テーブルには塩・胡椒、牛乳・砂糖、ホイップバター、UKH特製イチジクジャム、ハチミツが用意されています。ハチミツは濃密でこってりとして上品。前の宿泊ではミツバチの巣から直接流れでるハチミツタワーからの直搾りでした。今回はテーブルへの配膳です。
【ジュース】:オレンジ・ジンジャー・ハチミツのスムージー
甘さを控えたハニージンジャーの清涼感だけを抜き取って、スムージーというよりは荒絞りのオレンジに合わせてあります。前の宿泊にあった朝から飲み放題シャンパンがない!?流行り病により、朝からシャンパンはないのだそう・・・。前回は相方が、朝からシャンパンを堪能して、今回は自分が!と楽しみにしていたのに・・・(-_-)。また来よう・・・。
【オードブル】:仔牛とフォアグラのパティ、エメンタールチーズ、燻製サーモン
ハムテイストのふんわりパティには左上の赤ワインソースが合います。チーズはシットリパサリとしてお口直しに丁度よく溶けます。さくらチップの燻製サーモンはとても柔くプレート右に添え付けたバジルが薫るジェノベーゼソースにマッチします。装飾は紫タマネギとカエデ。夕食の前菜でも遜色のないお皿がきたのでびっくりです。パンを待ってサンドウィッチの具材にしても美味しく。
【サラダ】:レタス、フリルレタス、サニーレタス、ニンジン、紅芯大根、ヨーグルト
ミックスレタスのサラダには彩りの変化に人参と紅芯大根の細切り。フレンチドレッシングは酢を強く持たしたクリミータイプで、やや香りの強い粉パルメザンチーズを混ぜ込んであります。これもまた、パンを待ってサンドウィッチの具材にしました。
サラダと同時に配膳されたのがプレーンヨーグルトとグラノーラ。テーブルに用意してあるイチジクジャムやハチミツで加味すると幸せ。日本人的には先に配膳されても、デザート的感覚があるので最後の果実と共に食事の最後に食しました。
【スープ、パン】:かぼちゃのポタージュ
ほんのり暖かいパンはトーストとクロワッサンです。やっとこさパンが来ました。夕食とは違うバターなのかテーブルにあった、とても柔くホイップしたかのような発酵バターとイチジクジャムでいただきます。
密なカボチャのポタージュは牛乳と生クリーム?仕立てに豊満なバター風味。完全に滑らかにするのではなく、わずかに舌に残るほどに自然に仕上げてあり、かぼちゃの自然の甘味は濃ゆい。パンを浸しても美味です。
【卵料理】:4種から
サニーサイド、オムレツ、ポーチド、スクランブルから選べます。自分と相方はそれぞれ王道のオムレツとサニーサイドを選びました。さらにサニーサイドは片面と両面焼きから選べます。黄身がトロミがあるように食べたかったので片面焼きでお願いしました。焼きというより揚げに近い調理です。付け添えのジューシーな厚切りハムは地元のブランド品か。ほくほくふかしジャガに緑のインゲン。ナスとタマネギのトマトソテーはパン、卵料理と一緒に。他の具材をトーストに盛り、黄身をトーストに沁み込ませバターを挟むと絶品。
オムレツは滑らかな表面からは想像できない程に、中はトロッと仕上げてあります。「や、柔らかすぎてすくえない・・・お口でお迎えに行きたくなる。体表を裂くと、あれよあれよと中身が漏れ出てどうしようもない感じを想像して欲しい」と相方のコメント。牛乳で割りバターを溶かしこんであるのか、濃厚玉子をまろやかなに包んだ味だったそうです。パンをおかわりして、他の具材とサンドして一緒に食しました。本来であれば一品一品を楽しむのが上品ですが、どの食材も品が良いので、人目は他所に具材を色々と変更してサンドウィッチにして庶民的にアレンジを楽しむのも一興かと。
【デザート】:果実、コーヒーor紅茶
皮剥きブドウ、完熟肉厚キウイ、パイナップル、ピンクグレープフルーツの4種盛。酸味が少ない大粒のブドウ、グレープフルーツは皮が薄すぎて口に残るような感じが全くありませんでした。ヨーグルトに沈めてもよかったかもしれません。コーヒーと紅茶は夕食と同じく、生クリーム・牛乳・レモンの用意がありました。
2016年 和食朝食
2016年の宿泊では和風と洋風の選択ができました。その時の情勢やneedsによるのでしょう。ここは料理長の采配なのかな。
まとめ
部屋は小さいツインルームですが、お料理の内容は変わらないと判断し、今回はお部屋の背伸びは止めました。前回訪れた時は平日の夏です。その時のことを思うと流行り病の影響によりサービスは縮小されていたように感じます。特にそう感じたのは、お料理の説明でしょう。食事中は極力ホールスタッフの方が会話しないように控えておられました。やはり何を食べてるのか知りたい、むしろそれを知りたいから訪れていることもある。なので、メニューに簡単な詳細があるとうれしいかなと思いました。調べると料理長さんが変わったようで、おいしさと趣向が今風にアレンジされていました。それ以外は、クラシカルな高級ホテルの趣向はそのままに、カジュアルにも気軽に滞在できる良宿であることは間違いはなく。値段は気軽ではないか・・・。小振りの浴場ながらも弱酸性の掛け流し硫黄泉が楽しめ温泉としても大変満足できる宿泊でした。 ただ、夕食時のワゴンデザート、朝食のハニータワー、朝からシャンパンが中止となっていました。この3種のサービスがなく、常連のお客さんが残念阿鼻叫喚なんだとか。感染リスクを上げてしまうのではと悩ましい所だと、配膳係の男性がおっしゃてました。半ビュッフェスタイルは衛生面への配慮が難しいとのことでした。楽しみにしていただけに、落ち着いたら是非に再訪して味わってみたい。
宿泊料金
クラシックホテルな高級ホテルなので通常料金がお高めです。YahooトラベルにあったJTBプランしかなかったので、そちらから予約しました。訪れた時は繁盛期だったこともあり定価は68860円でした。ここからgotoの割引で44759円となっています。大人のゆっくりとした空間と格式は、定価で宿泊してもお値段相応ではないかと思います。
宿泊日:2020/11
旅行サイト:Yahooトラベル(JTBプラン)
プラン:【部屋タイプお約束】本館ツイン20平米 禁煙 お約束プラン
部屋タイプ:ツイン
合計料金:68860円(2人)
goto割引:24101円
支払い料金:44759円
加算ポイント:313p