いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

あらや滔々庵【石川県 山代温泉】~小京都の色が残る加賀山代にあって、最高の湯量を誇る自家源泉かけ流しの温泉を堪能、目で食し口で食せれば至極の味覚の温泉宿~

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 あらや滔々庵さんは山代温泉街の中心にあり、温泉街のシンボルでもある共同浴場の古総湯の目の前という何とも好立地な所にあります。そして、前田家の入湯宿としての湯番頭の命を受けて、現在は十八代目の歴史ある温泉宿です。

旅情

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 面持ちはモダンな風情がある建物です。玄関部分だけ木造建築のようで、2階が宴会場、建物右が玄関、左には直営の売店、後ろのグレーの鉄筋造の建物が宿泊棟となっています。

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 到着すると玄関にドアマンの方がすでに待機されていました。荷物と車をあずけてお邪魔致します。

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 暖簾手前で左を向くと直営売店への入り口がありました。大人のお土産屋さんと言った感じで、あらや滔々庵さんのオリジナル商品、小物、器などが販売されていました。

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 暖簾右側に返って見ると朝食用の温泉玉子が源泉かけ流しで調理中です。

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 上り框の角をとってある広々とした玄関です。到着からスタッフの接客が高級旅館のそれで、スタッフの立ち振る舞いが素晴らしく。

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 中庭を眺めるゆったりスペースの琉球畳のロビー。

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 中庭のお手入れは完璧で美しい。ここで宿帳への記帳を済ませて、お部屋に案内してもらいました。

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 玄関を振り返ると左手にショーケースが数点。魯山人さんが度々訪れたという加賀。館内の至る所に陶磁器の品々が飾ってあり好きな方にはたまらない?

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 ロビー左手にあるフロントの前から、中庭を回り込むように廊下が付いています。

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 廊下途中にあるフロント横の水屋では、135ml缶の発泡酒、スパークリングワイン、天然水のサービスがありました。確か、18:00までの利用となっていました。他のお客さんが夕食後に来て「酒がなくなってる!」と言うてましたので、ご利用はお早めに。

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 廊下を端まで進み振り返るとエレベーターがあります。左下のピンクの菊花の所から階段が付いています。ここにもショーケースがあり陶磁器の展示と、エレベーター横の棚には周辺の観光案内が置いてあります。

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 エレベーター前には大浴場への廊下があります。

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 エレベーターで上へあがると宿泊棟となっています。外観の灰色の建物に相当する棟です。見取り図で数えると18部屋しかないのに6階建てとなっています。この4階の廊下の先には木造の有栖川山荘という文化財のような建物があります。

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 廊下の角を左へまがると勝手口のようになっており、履物を履き替えて一度表へでます。

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 廊下は外の外気です。温かい恰好をしてきたが、日が傾いてきた11月の山代温泉は結構寒い。廊下を30mぐらい進みます。

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 廊下の先には古めかしい外観の一軒家が現れます。この建物は明治天皇さんの来館に合わせて建築されてたそうです。その後も皇室の方々が利用していたのだとか。

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 玄関は開放されていて履物を抜いで、上がらせて頂きます。

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 真ん中にある部屋を取り囲むように廊下と縁が付いています。こちらは建物裏側の廊下です。

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 廊下の端まで行くとエスプレッソマシーンが置いてありました。高級旅館やホテルに泊まると目にする、ちょっといいやつです。

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 コーヒーを入れて振り返ると・・・中廊下のように真ん中に畳を敷き、左右と奥に部屋がある何とも不思議な間取り。

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 まず右のお部屋から。裏庭を眺めるように置かれた椅子。建物入って一番手前にあるので、もともとは応接室のような部屋だったのでしょうか。

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 左を見ると和式のカウンターにリフォームされています。お隣の居室と繋がっているので、もともとは次の間かな。本来であれば有栖川山荘(ありすがわさんそう)は夕食後にBARとして営業するそうです。時勢柄、お酒提供を控えて日中のコーヒーを楽しむ場にしているようでした。大きなお皿がカウンター内に置いてあり、おばんざい等も出しておられるのか。

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 そして、一番奥にあるお部屋も今風に内装が改修されていました。明治天皇さんはどちらのお部屋でお休みになったのか・・・。訪れた時の見学時間は17時までとなっていました。次の日の開放はなかったので、気になる方は早めに往訪するのがいいかと思います。通常うちの宿泊では、旅館やホテルに付属するBARは普段行かないので、通常営業だと中を見ることが出来なかったかもしれない。むしろ、ここでお酒が飲めるなら、営業が再開したなら是非一杯やりたいものです。

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 他の設備としては3階の茶室には、器の展示だけでなく書画の展示もしております。

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 2階には玄関棟の上にあるお食事処と宴会場への廊下があり、ビールやワインが置いてあった水屋の真上になります。さてさて、お部屋に戻ります。

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 もう1つ。有栖川山荘は翌日の開館がないため、朝は1階の水屋でコーヒーをいただけました。

 

お部屋

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 案内して頂いたのは初蝉(はつぜみ)というお部屋です。

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 お茶出しはお部屋で「麩餅」と「抹茶」。麩餅は手作りで、すごくもっとりとしているが、餅よりも粘りがなく弾力がある。餡子が甘さ控えめでものすごくキメが細かく滑らか。さすが食のお宿です。

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 間取りは玄関2.5畳+踏み込み2畳+書斎1.5畳+本間13畳+洗面+バス+トイレです。やや薄暗いお部屋は、和室の旅情感を出すため光量を控えた演出なのだそう。

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 玄関戸を開けると土間に当たる所と、上がった踏み込み部分と合わせて4.5畳と広々玄関。

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 踏み込みからの洗面はトイレとバスに繋がっています。化粧水や乳液などの備品類は完璧です。トイレは最新式。

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 小さいながらもヒノキのお風呂も付いています。残念ながらこのお部屋のお風呂は白湯で温泉ではありません。18部屋中9部屋に源泉風呂があるようです。

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 違い棚と琵琶棚に相当するところにはテレビと冷蔵庫。その隣には広縁があります。さらに隣には書斎の小部屋。

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 床の間にはジュウガツザクラとリンドウが美しく活けられています。

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 1.5畳のひっそりとした書斎は、小窓があってこちらで記事をしたため・・・・なかったですw 書き者屋気取りをしてみましたが、どうも机の奥行きが足りない。

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 広縁のセットというよりはリビングセットの一画です。

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 ここで1階の水屋で注いだワインを一献、ぼっさりといただきます。

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 窓からは裏庭を眺めます。カエデが沢山植わっており、紅葉時期には、さぞ素晴らしい景色になるのではないでしょうか。そして、先ほど見学してきた有栖川山荘への渡り廊下を見下ろします。

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 チェックイン時には、あらかじめ冷水とその日の夕刊が用意してありました。文箱の中には、切手が張られた絵葉書が入っていたので、記念に自分への手紙を相方が書いていました。手紙はフロントに渡すと郵送しておらえます。冷蔵庫には有料飲料、金庫などのアメニティ類は抜かりはなく。

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 夕食を終えてお部屋に帰ると、着替えの浴衣が置いてありました。また、お夜食の手作り羊羹も添えてあり。さらにはお茶セットと冷水の入れ替えも。

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 さらにさらに鍵は2本、翌朝には扉の傍らに朝刊が置いてあり、朝食後のお布団上げの際にはお茶セットだけでなく、冷水までさらに入れ替えてありました。チェックインが14時チェックアウトが11時と、高級旅館ならではの余裕のある時間を過ごせます。

 

お風呂

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 あらや滔々庵さんのお風呂は全部で4ヵ所あります。「瑠璃光」「原泉閣」という趣向が異なる大浴場は、男女入れ替え制となっており、内湯にそれぞれ露天風呂が付属しています。2回入れ替えがあり、チェックアウトギリギリの10時半まで入ることができるのがありがたい。また、デザイナーズバスのような「烏湯」という男女時間制の浴場があります。泉質はナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物泉となっており、微塩味に石灰のような匂いと、脂分がしっかりと剥がれるツルツルした湯感です。源泉の温度が64度でどの湯舟も「あつ湯」で、自家源泉1日約10万リットルの凄まじい湯量は、もちろん源泉かけ流しです。

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 脱衣所には常に新しいフェイスタオルとバスタオルが備え付けてあり、アメニティ類も考えられるものはすべて揃えてあるので手ぶらで浴場へ行けます。ウォーターサーバーもあるので入浴前後の補水も完璧です。

瑠璃光

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 ヒノキの匂い?と思ったら壁板はヒバの木なんだそうです。蒸気が蒸し森の中にいるように薫る。

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 湯舟の形がとても歪に台形のような四角です。真ん中には隔たりがあります。隔たりの向側には湯口があり「あつ湯」、手前が「ぬる湯」ではないが適温で入れる温度となっていました。

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 湯口からは視覚的に気持ちの良い湯量を見てとることが出来ます。さすがに源泉温度が高いので近くまでいくとかなり熱い。

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 切り口からは並々と溢れ出ていますが、出ていく量の方が多く感じる・・・。

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 それもそのはず、ちょうど湯舟の真ん中あたりに足元湧出の湯口が付いています。ここを足で踏んだ時、足の裏が瞬間的に熱せられて、かなりびっくりしました。湯の滞らない配慮かな。

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 木造りでヒバの香りが豊かに落ち着く湯屋。客室数からするとシャワー・カランは少な目。ただ、半分が露天風呂付のお部屋のためか、大浴場では他のお客さんに会うことは、ほとんどありませんでした。

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 さて、露天風呂へ出ると小振りのL字型の露天風呂があります。露天は外気にさらされるので、内湯に比べると入り易い温度です。

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 切り出し石造りの露天風呂は、えらく下へ沈み込むような感覚で、建物に囲まれていることもあってか圧迫感があります。背中をあずける所が難しくゆっくりできない感じです。

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 源泉の湯口は無造作に置かれた小石群に、塩ビ管からゆるゆると注ぎこまれています。投入量を敢えて少なくすると温度が低下するので、湯量による温度管理を行っているようにも感じます。湯舟の壁には謎の穴が空いており、どうやらこれが捨て湯口となっているようです。

原泉閣

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 瑠璃光から一変してとても明るい浴場で、湯舟もこちらの方が大きい。柱や壁の絵は魯山人さん作でしょうか。画像中心にある奥の扉から露天風呂に続いていますが、1度湯舟の中を歩いて行かないと行くことができません。

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 手前にある湯口には白い析出物がついてあります。そして、やはり熱い!!

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 切り口からは贅沢に洗い場へ、だばだば流れ出ていきます。湯口の量よりも流れ出しは多い。他からの投入があるのかな。洗い場の床は温泉によって温められてさながら床暖房です。

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 瑠璃光の湯舟と同じように、柱に間仕切りのような隔たりがあり、間仕切りの奥が熱く、手前が適温になっていました。しかし、他のお客んさんと会わず、この湯舟が貸切状態。ここのお湯が一番ツルツル感を強く感じました。

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 瑠璃光側に比べると、深さも適切で圧迫感もなく露天風呂はこちらのほうが入り易いです。しかし、何となく身体のあずける場所がなく、やはり落ち着かず。瑠璃光と同じく、やぱり内湯の方が入りよい。

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 湯量はそれほど多くはなく、湯温は適温なのでゆるりと入りたい方には具合はいいかもしれません。

烏湯

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 こちらの浴場は一面黒い雰囲気を呈した浴場となっています。絵のようですが、湯舟の背景にある横長の窓には、モニュメントのような白い石物があります。黒と白の対比のアートかなぁ・・・。

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 大きな湯舟と小さな湯舟が隣合っています。溢れだしはトロトロとあり、湯量は多くないようです。

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 小さな湯舟は「あつ湯」となっていましたが、他の大浴場に比べると湯温だけなら入り易い温度です。横に3人並ぶと丁度程の大きさ。

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 源泉口の湯量はこんな感じでしたが湯舟の中の湯は熱い。確認したのですが、他の湯口はなく。

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 大きな湯舟は「あらや滔々庵」さんの湯舟の中では、かなりの「ぬる湯」です。

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 訪れた晩秋では、相方は寒くて入れなかった。と言っていましたが、あつ湯もぬる湯も好きな自分には、体温よりちょい高い温度はいつまでも入っていられる。ぬる湯好きにはたまらない温度です。お隣の「あつ湯」との交互浴も気持ちよく楽しめます。

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 析出物が付く石の間から湧き出る湯口は、手を当てると・・・あら不思議。最初から温度は低めとなっていました。他の浴場では「あつ湯」が苦手な人は、入れない温度かもしれないのでこちらは温度を下げているのか。

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 この浴場には洗い場がないので、大きな湯舟の裏側にシャワースペースがありました。

 

お料理

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 朝夕ともに玄関棟の上にある、2階の個室でいただきました。

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 流石の小京都と唸りたくなります。風味と素材を活かした純京風の和会席。昨今の料理に慣れていると、「味が薄い」と言われそうな味付けです。表面上の「美味い」ではなく、食材の本来を楽しむという点が特化した「旨い」を楽しむお料理です。優しくも丁寧でいて繊細、すべて手の込んだ味付けは手作りで極品。素材が新鮮でないと成せない料理は、作り置きでは再現できない料理の品々。着席時にはあらかじめ箸を湿らしてあり、料理の粗味が箸に沁み込まないようにしてある気遣いが素晴らしい。

 献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。内容に関しては説明して頂いたものと、実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

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【食前酒】:菊酒

 菊の花びらを2輪、陶器の金盃に注がれた日本酒に浮かべてあります。「夢醸」という銘柄の本醸造酒です。お料理の味を濁らせない辛口のさっぱりとした吞み口。本物日本酒なので、アルコールが苦手な方はあらかじめ伝えておく方がいいと思います。

 

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【先附】:帆立貝 酒入り柿 三度豆 ひら茸 大徳寺麩 胡麻クリーム

 一品ずつ、それぞれに味を施してあります。鉢の中にあって、まるで炊き合わせや八寸のような手の込みようです。 帆立貝には焼きを入れて香ばしく味を締めてあります。柿は緩さがありお酒で炊いたものでしょうか。大徳寺麩は揚げてから煮たものでほんのり甘醤油で。彩りに三度豆を添え付け胡麻クリームを掛けてあります。この胡麻クリームは舌触りが良く味噌と合わせてあるのか?コクはあるが練り胡麻のようなコッテリ感は控えたもので擦りショウガを添えてあります。

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 ひら茸もほんのりと塩味があり、ひら茸の下には献立にはない弾力のある滑らかな濃厚豆腐。大豆?の濃厚豆腐の味ですが、ねっとりとタンパク質が濃い。

 

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【お椀】:鱧葛うち 松茸 玉子豆腐 松葉柚子 つる芋

 配された椀には水滴が。椀に雫を打つことで、椀が保温機に入っていたのではない証明です。椀が保温機に入っていると、椀が熱くなり雫は蒸発してしまうので、直前調理である職人の意思表示なのです。塩加減は品があり浅く清涼なお出汁に、打ち粉をしてふわりと花が開いたハモが浸され、薫り付けに柚子松葉の帯、青味は芋ツルで青色を添え、秋らしく紅葉ニンジンのあしらい。 最奥にある円柱状の繊細な玉子豆腐は、茶碗蒸し凝縮したような玉子地豆腐です。固めた茶碗蒸しをお出汁を浸けるというなんとも風変り。

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 卵豆腐の上へ焼きマッタケ1/8カットを2本浮かべてあり、濃潤な松茸風味は国産の味。驚いたのが1/8カットの2本は、それぞれ違う株から盛られたものでした。同じ一本の松茸を同じ椀に盛らず、味の偏りが出ないようにしてあるこだわりがすごい。

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 ハモはタンパクでさっぱりなので夏に食されるイメージがありますが、冬に向かって栄養を蓄える10月から11月が本当の旬だそう。タンパクさではなくハモの旨味が脂となってギラりと清汁に浮かびます。

 

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【造り】:橋立港におまかせ 能登天然塩とともに 本山葵

 お造りは4種盛です。甘鯛の昆布締め、バイ貝、締め鯖の炙り、焼き海苔の上に甘海老の手巻き握りが乗っています。加味は自家製の風味豊かな鰹出汁醤油と、能登揚げ浜のミネラル塩。

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 ほんのり天然の甘味があるアマダイは酢橘と塩が合います。 バイ貝は生け簀からあげて、すぐに刺身にしたかのようにコリッコリッで貝の独創味は極新鮮です。 〆サバはあらかじめ塩味を持たせ炙って、そのままでも美味いトロサバのよう。 つまは大根けん、菊花、山葵、酢橘、桂向きの末に出た大根の柱か。

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 4尾を盛る甘エビ、さらに緑の甘エビ卵を乗せた豪華な握り。あらかじめ醤油が微量に馴染ませてあります。甘海老と磯海苔のコンビは珍しく、咀嚼すると溢れ出る甘エビの甘甲殻旨汁が磯味の焼海苔が受け皿となりシンパシーを生みます。出汁醤油も良いが、天然塩をパラりと振って自然の味わいを堪能しました。

 

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【八寸】:加賀山海佳肴盛り  

 これまでのお品も全て八寸のように、盛り込みをしたためてあるのに、5品目にして何故かここで本格八寸です。さてさて、見た目も物凄く華やかなで彩が素晴らしいですが、味見には大変な細かい仕込み。すべて献立内に記載があったので助かりました。

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左)魳棒寿司 がり 振り柚子

 カマスの棒寿司には焼きを入れて香ばしさを増し、酢飯にはあらかじめガリ(酢漬けショウガ)を混ぜ込んであり、カマスの脂気とさっぱり加減を融合させています。献立には振り柚子でしたが、添えてあるのは酢橘の輪切りでした。

右)厚焼き玉子 子持ち鮎 五郎島金時蜜煮 海老素揚げ 銀杏揚げ 加賀蓮根なんばん

 この盛り込みだけで八寸状態以上。厚焼き玉子はケーキのようにしっとりふっくら。強力粉とか混ぜて焼いてあるのでしょうか。 子持ち鮎は輪切りでサンショウ煮にしてあり、鮎の味を殺さない品のある薄口と山椒の葉の添え付け。 金沢には五郎島町というところがあり、そちらで取れたサツマイモを使っているのかと。蜜煮とありますが自然の甘味も強そうな素材です。 エビとギンナンは素揚げして塩をしっかり目に持たせてありました。驚いたのがこの2品は温かく揚げたてでの盛り込み!!これは本当にすごい。事前配膳では出来ないこだわり。 エビの下のレンコンは、ほんのり酢と塩、シャクシャクとしたしっかりンコンはほんのり酢と塩は、シャクシャク食感とレンコンの土風味を楽しみます。

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左)蒸し鮑加賀太胡瓜肝酢

 加賀野菜の「加賀太胡瓜」は太い寸胴で短い胡瓜。どちらかというと一般的には瓜に近い物です。旨味を逃がさず柔りと蒸しあげたアワビには、アワビの腸(わた)と酢を合わせた肝酢。肝酢は緑がかっており、貝が食べる主食の海藻です。酸味は強くアワビのワタ磯風味は緩く香り、アワビ一色に仕上げた一品です。

右)鯛塩辛大和芋

 鯛はコブダイだろうか、ピンクがかった身振り。腸(わた)風味が少なく食べやすいイカの塩辛。塩辛といっても塩はやんわり、これまた自家製と思われる物です。これを極少に角切りにした粘りの強いヤマト芋に混ぜていただきます。

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左)金時草 焼き舞茸 割りポン酢

右)汲み上げ湯葉 本山葵  

 レモンの器には金時草、菊花、焼きマイタケ、ワカメと山海のお野菜を、これまた自家製らしい優しい出汁ポン酢で和えてあります。 汲み上げ湯葉は一枚一枚は薄く歯ごたえを残しつつ、山葵をトッピングしてミネラル塩を緩く振ってあります。とにかく純粋な大豆しかない湯葉です。

 

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【焼きもの】:のど黒塩焼き 唐墨まぶし 巣立 茗荷

 日本海名物のノドグロが登場しました。配膳された瞬間からお皿には脂が滲み出ており、ノドグロにある独特の脂の旨さはずっしり、大振りの身はくるりと丸く巻いてあります。

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 巻き上げることで、肉汁が閉じ込めるようにしてあるのか。衣のカラスミは本来塩で漬け込んでありますが、塩辛さはあまりなくこれも自家製なのか!?回しかけ焼くことでノドグロに深みとコクに拍車をかけます。箸で持ち上げている瞬間から脂が溢れだす焼き立てほやほや。添え付けのミョウガも、うっすら甘酢で素材の味を活かし。甘唐は揚げ浸しにし、種ごと調理してカツオ節を纏わせてあります。こちらも種付き調理というのも面白い。

 

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【焚合せ】:合鴨葛打ち 茄子オランダ煮 子芋 小松菜 べっこうあん

 揚げ焼いてから、出汁等に浸したものをオランダ煮と言います。通称は揚げ浸しです。これに緩めに蒸したサトイモ、火の入りは最小限に風味を壊さない青い小松菜で口休め彩り。

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 カモは食べ応えたっぷりに弾力があり、噛めば噛むほど旨さが滲み出ます。低温調理の様に仕上げてあるのか、赤みが残っているのに、歯応えが有り過ぎて天然物かと疑ってしまう・・・。打ち粉によりトロリと絡む合う餡はやはりカツオ。これまでの料理としては醤油と甘みがしっかりとついていました。

 

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【お食事】:秋鮭きの子たきこみ(三つ葉、いくら)

【止椀】:車麩芹赤味噌仕立て

【香の物】:茄子茗荷刻み 長芋 昆布

 車麩を入れ込んだ赤味噌仕立ての汁はやはりカツオが躍る。塩は控えてカツオと赤味噌の風味だけが豊かに薫ります。ナスとミョウガを合わせた浅漬けも絶品で、自家製昆布の佃煮これも醤油は弱く飽くまで引き立て役、サンショウとコンブだけの味。

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 旬の鮭とキノコの炊き込みだけでも美味すぎるのですが・・・さらにイクラ掛けの親子丼です。イクラが弾けることで塩加減が丁度よくなり、サケの紅身の美味さとイクラの濃密な味は幸せしかない。

 

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【水菓子】:加賀梨 無花果 葡萄 柘榴 ゼラミント 渋皮栗アイス

 加賀梨は豊水種のようです。とても瑞々しい。柘榴を散りばめ、やわらかい甘味とミントの爽やかさがあるジュレは梨ジュレか?イチジクは熟した食べごろな旬物。葡萄はシャインマスカットとピオーネかな。栗アイスは渋皮煮にしてから、ジェラートに練り込んだ手の掛かったもので、栗風味が密でかなり美味しい。最後まで手の込み様と素材・食材が堪能できる手抜きのないお料理でした。そして、自分は白、相方は黒、器の色を変えるという、器の1つまで粋な計らい。

朝食

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 朝食も夕食と同じ個室でちょうだいしました。最初の配膳は常温料理をつまみながら白米をいただきます。後々温かい物が配膳されます。朝食の味付けも素材の風味がやさしい京風です。

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【檜(ひのき)のお膳】

①シメジとほうれん草のお浸し

②しらす卸し

③漬物盛り合わせ(蜂蜜梅、キュウリ、壬生菜、大根)

④カジキの昆布締めトロロ掛け

⑤源泉玉子

 全てのお料理は白米に合うように塩加減を調整した味付けとなっていました。①ほうれん草は湯にさっと潜らせて、冷水で締めなおしシャキシャキとして、シメジの風味も豊かに摺り胡麻を香り豊かにまぶしてあります。②卸し汁を絞って代わりに醤油を合わせた大根をあしらったシラス。⑤玄関にある「烏湯」源泉で茹で上げた濃厚な源泉玉子には振り柚子。f:id:SiWaSu_CaT:20210524211219j:plain

 ④昆布-カジキ-昆布-カジキ-昆布とミルフィーユとなっており、夕食の八寸で配されたヤマトイモを使ったと思われるトロロ添え。いわゆる濃い昆布締めをそのままに。厚みのある昆布はとカジキの旨さを包み、醤油を数滴たらし素材を殺さず、口に入れると昆布とカジキの旨味しかなく。トロロも掛けて朝食の一品にさりげなく、手を掛けた一品が入っています。

 

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【温物】:大根の炊き合わせ

 大根はほろほろに炊いてあり出汁が染みてジューシー。盛り込みは、ねじりこんにゃく、水菜、揚げ、の椀に振り柚子です。厚揚げは肉厚のある越前のざぶとん揚げでしょうか。 浸してある出汁は薄味。大根煮汁でもなく、揚げ煮汁でもなく、すべての食材の煮出汁ではない味です。ごった煮物ではなく、それぞれを全て別々に炊いて椀で出合って、注ぐ出汁も別に用意した物ではないかと思います。

 

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【先付】:餡掛け豆腐 

 餡掛け豆腐は「あらや滔々庵さん」からすると濃い目の食べ口です。下味は・・・カツオと昆布かなぁ・・・。醤油とみりん?が強い。食感は木綿のように硬く、でも舌触りは絹。大豆が濃厚でタンパク感は濃く、切り口からお宿での手作りのようです。薬味はネギとショウガを。

 

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【焼物】:鯵ゴマ幽庵焼き、なんばん味噌、ショウガ浅漬け

 串を打った跡があるアジは、丁寧に焼かれた証拠でもあり、とてもふっくらと焼きにムラがありません。アジというには青魚独特の匂いが全くなく。幽庵焼きとありますが、浸け置いたような味ではなく、浸けダレを一回だけ塗って寝かせたぐらいの優しさ。辛味が爽やかなショウガの浅漬けと、1階のお土産屋さんに売ってあったトウガラシ味噌の添え付け。

 

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【食事】白米、しじみの味噌汁

 米はぴんぴんに立って甘味が強い。朝のお味噌汁は白味噌です。大粒のシジミが20粒ぐらい入っています。水が良いのか、ぴんぴんに立った米は美味い。

 

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【水菓子】:フルーツヨーグルト、コーヒーor紅茶

 最後は甘味を加えないヨーグルト。フルーツはメロン、パイナップル、オレンジ、キウイ。甘味がないことでフルーツの甘さが引き立ちます。が、夕食のように果物の一級品のような特別感はなく。美味しいのですけどね。

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 最後の飲み物はコーヒーか紅茶から選べました。

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 朝ごはんで使われていた漆器の器は、マトリョシカのように1つの器に全て収まるというこだわりの器。この漆器は売店で販売されていたのですが、「そら~そのお値段になりますわ・・・」という5桁のお値段です。

 

まとめ

 流行り病が無ければ、おもてなしはさらに素晴らしいのでないかと思います。仲居さんはお話が上手な方が多い。接客も素晴らしく、気が張り過ぎない飾り過ぎない程度に心地よい。温泉は「あつ湯」から「ぬる湯」まで楽しめる湯舟があり、すべてが源泉かけ流しで申し分ありません。あらや滔々庵さんの極みはやはり料理です。素材の味・風味をそのままに味わう純京懐石は美を感じます。八寸の盛り込みのエビとギンナンが温かったのは粋過ぎます。常にテーブルの上の状況を確認されていたので、配膳のタイミングもベストタイムでした。次に訪れた時は有栖川山荘で一杯やりながら上質な時間を過ごしてみたい。

宿泊料金

 通常料金で泊まると、かなりハイクラスの料金帯のお宿です。旅!旅!サンデーのポイント10倍とゾロ目のクーポンが重なった時を狙っていました。それでも15000円引きぐらいかと。訪れた時はまだgotoの期間内にあったので、旅!旅!サンデーの10倍ポイントとgotoの割引での宿泊です。定価は高いですが、間違いなく値段以上と思える宿泊です。

宿泊日:2020/10

旅行サイト:YAHOOトラベル

プラン:北陸・加賀の恵み口福・眼福のひととき【旬の会席】

部屋タイプ:和室

合計料金:92000円(2人)

goto割引クーポン:27000円

利用ポイント:6400ポイント(即時利用)

支払い料金:57600円

加算ポイント:576p

山代温泉 あらや滔々庵 宿泊予約

『Yahooトラベル(一休)』