いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

奈良ホテル【奈良県 クラシックホテル】~古都にある伝統ある100年以上経過した木造建築の名ホテル。日帰り客も多く訪れるメインダイニングで極上のフレンチを食す~

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 奈良ホテルさんは日本のロイヤルファミリーも度々足を運んだホテルでもあります。また明治創業以来、アインシュタインやオードリー・ヘップバーンなど海外の著名人も訪れているびっくり宿です。

旅情

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 終戦直後は米軍に接収され、事業主変更や経営が難航した時代を乗り越えて、今もなお当時の姿を留め古都の地にあります。

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 本館の建物は有形文化財に登録されており、少しずつ補修と改築を加えながら100年以上も変わらぬ風情を守り続けています。かつてはGHQにペンキで塗装を施す命令を受けたことあったそうですが、当時の従業員の方の働きかけにより、何とか現在の面持ちを維持することができたとあります。

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 圧倒される重厚感がある車寄せです。こんなにもせり出した車寄せは類を見ません。これが木造でしかも100年以上経過しているというのだから驚きです。通常は車をあずけてのチェックインだと思います。しかし、流行り病対策のためセルフで駐車です。

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 正面玄関からお邪魔すると、なんとも木の風情が漂うクラシカルな佇まいです。訪れた日は、宿泊客が同時間帯に殺到したのかチェックインに列を成すほど。お客さんは自然とsocial distanceにマスクで予防と良識なマナーのある方ばかりでした。

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 奈良ホテルさんの見所は、玄関とエントランスの吹き抜けです。とにかく天井が高く、格子状のあつらえが多い空間は建築美に見惚れてしまいます。

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 別角度からもう1枚。多くの宿泊客がこの情景をいかに収めようかとシャッターを切っていました。

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 フロントから併設されたロビーです。チェックインはお客さんが殺到したためこちらで待機しながら、奈良ホテルの歴史にまつわるお話を聞かせてもらいました。この真上に上皇天皇さんが泊まったロイヤルスィートルームがあるのだとか。

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 何が凄いって歴史もそうですが、アインシュタインが演奏したとされる現存するピアノと当時の写真が残っています。もはや世界遺産じゃないですか・・・。現代科学の祖が引いたピアノが眼前に。

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 上皇天皇さんが天皇に即位したのを記念して設置された「平成の大時計」。それでも30年の歳月が過ぎた年代物。現在は使用されていませんが、館内至る所にあるスチーム暖房も装飾がやけに凝っています。

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 ロビーを出るとショーケースには、著名人が訪れた時の写真や昔の献立などが飾られてありました。

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 ロビー反対側にあるフロント横の廊下には、売店と突き当たりにレストランがあります。

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 売店には奈良ホテルオリジナルのお菓子や小物、お酒とお土産類など充実のラインナップでした。奥には奈良ホテルさん自慢のフレンチレストラン「三笠」があります。

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 売店前を左に曲がると新館への廊下があります。進んでいくと新館のロビーに着きます。

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 ここには日本料理「花菊」があります。新型コロナの影響もあってか、日本料理の提供はお休みでビアレストランになっていました。是非、奈良ホテルさんで生ビールも飲んでみたいです。

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 新館ロビーの隣には伝統的な銀食器や皇室ご用達の陶磁器が展示してあります。この食器類は九州にあった「長崎ホテル」由来の古い物なんだとか。奈良ホテルさんで「N.T.L(Nagasaki Hotel Limited」と掘られた食器が出てきたのだそうです。この展示場は結婚式利用時の両家待合室も兼ねているようでした。

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 ロビーから一階下がると広縁会場にもなる宴会場があり、もう1つ下がると新館の客室があります。客室数は想像していたよりも多く、意外にも大規模なホテルであることにびっくりです。鉄筋コンクリート造ですが、天井飾りがクラシカルです。

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 さて、本館に戻りフロントスペースからの大階段から2階へ。かなり幅のある階段と開放感抜群の立体的な階段に心躍らせながら上がっていきます。

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 階段を上がると木造建築なのに柱の一本もない広々とした空間。ここも人気スポットで2階に居ながらにして1階の状況がよく分かる立体的空間は、当時としては斬新なデザインだったのではないでしょうか。

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 フロントスペースの吹き抜けから下階を見下ろすと、次々とお客さんがチェックインしていきます。天井が高いので2階半ぐらいの高度があります。私的には見下ろすよりも見上げるほうが趣きがあるように思えます。奈良ホテルさんメインスポットの立体構造です。

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 本館は玄関とロビーがある棟と、客室だけの横長の棟に分かれています。奈良市街を見渡すお部屋と、庭園を臨むお部屋に分かれているので内廊下となっています。玄関棟と客室棟の分かれ目にだけ風情のある窓がありました。奈良ホテルさんには館内に有名な美術品などがあって、見所がたくさんありウロウロしてしまいます。

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 裏庭には散策路が付いており、建物正面とは違った風景を見ることができます。GHQから本館の塗りなおしを免れた一方、この濡縁にある欄干は寺社仏閣にあるような朱塗りにするように要請された名残だそうです。

 訪れるだけで大正浪漫の風情を満喫できる奈良ホテルさんですが、時代背景を知って美術品などに触れてみると館内を一層楽しめること間違いありません。

 

お部屋

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 案内して頂いたのは本館217号室です。

f:id:SiWaSu_CaT:20200727221957j:plain 寝室+バス・トイレを合わせて21.8平米です。天井細工がいかにもクラシックホテルらしい造りです。最も小振りなお部屋ですが古風な雰囲気が残るお部屋の1つです。

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 実質な居室スペースは8畳ぐらいでしょうか。床はとても柔らかい木造の踏み心地。コンクリート造にはない木造の温かみのあります。寝間着の用意もありますが、着用しての館内の移動はNGです。

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 ロビーにもあったマントルピース(装飾暖炉)がお部屋にもあります。本館のすべてのお部屋に備え付けてあるのかも。女中が薪を運んでマントルピースにくべたという記録があるのだとか。暖炉上の戸袋もしっかりと開いて可動します。お茶セットは緑茶、コーヒー、ミネラルウォーターの用意。インスタントなのにお茶もコーヒーも奈良ホテル仕様なのかとても美味しい。

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 バス・トイレはユニット式となっています。本館の耐震工事と一緒にリフォームされたようで一新されて綺麗です。奈良ホテルのオリジナルバスマット。売店で売っていました。アメニティ類は過不足なく、ボディタオルからシャワーキャップ、1人1つずつシャンプー、コンディショナー、ボディウォッシュが備えてあります。

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 お部屋からの眺めは玄関と奈良タウンビュー。華やかではないですが夜景も楽しめます。お値段に差はないですが、タウンサイドと裏庭側はお好みです。217号室はロビーに近く、私的には玄関上からの眺望は贅沢かなと思います。

 お部屋には金庫はなく空の冷蔵庫がありました。館内には良心的なお値段の自動販売機がありfreeの製氷機もあります。お願いすれば可能な限りの対応はしてもらえる雰囲気はありました。奈良ホテルさんの玄関から2分ほどでお土産屋と飲食店を兼ねたお店があります。ただ、17:00ラストオーダーなので、他には歩いて行ける距離には商店はありません。なので事前の用意をしてのチェックインが好ましいと思います。

 

お料理

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 朝夕ともにレストラン「三笠」でいただきました。格式がある奈良ホテルさんですが、レストランにドレスコードはなく、年配のお客さんは襟のあるものを着ていましたが、若い方はパーカーにジーンズの方もいました。カジュアルに利用できるのはありあがたい。

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 お品書きはなくお客さんが多かったためか、お料理の詳細な説明はなかったので、内容に関しては口にした勘です。あくまでご参考程度に見て下さい。

夕食

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【オードブル】:鶏とフォアグラのパティ

 刻んだ鳥とフォアグラを合わせて玉葱を練り込んだパティです。こんがりと焼かれて香ばしさもあり、フォアグラのコクもあるけども主は鶏です。フォアグラのこってり感は控えめにさっぱりした口当たりで、緩く塩加減を持たせてありハムのように食せます。彩りにはベビーリーフ、菊の花びら?、撫子(なでしこ)の花?、ミニトマト、えんどう豆のつる、サニーレタスです。サラダには白ワインビネガー仕立ての、上品なフレンチドレッシングをあしらってあります。

 

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【パン】:胚芽パン、オリーブのパン

 パンは2種類と控えめなラインナップです。しかし、熱々での配膳なのでこれがまた美味しく。オリーブパンは口にしたことのある味だが何だろうと迷っていて、ホールスタッフの方に聞いてみて判明しました。確かに言われると合点がいく確かなオリーブの風味。高質なバターと共にいただきます。相方はバターもパンもかなり気に入ったようで、おかわり4回。バターを追加すると4切れも。相方だけでなく周りのお客さんも何回も「おかわり」していました。久方ぶりの美味いパンです。 

 

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【スープ】:トウモロコシのポタージュ

 ブラックペッパーとミルク仕立てのホイップスープです。ミルクベースなので生クリームやバターのようなコッテリ感はなく、トウモロコシの自然な甘味と風味が楽しめます。ただ、トロリとした食感にある濃厚な後味は何だったのか。もともとそういう品種なのか、豆や芋とかと合わせているのか。美味しくも不思議なポタージュです。

 

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【メイン】:牛のフィレ肉

 ナイフを入れると物凄く弾力があり、肉質は硬いのかと思わせといて口の中で頬張るとするりするりと歯が入っていきます。ソースはチャコールソースとのこと。レストラン前のメニューから察するに「国産牛or黒毛和牛」かと思ったのですが、何となく脂の質が和牛っぽくはないような。ビアレストランの追加メニューに「アンガス牛チャコールソース」とあったのでこちらかもしれません。しばらくして同じプランを見ていると和牛となっていました。ダメ舌で申し訳ない。

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 藁焼きの「たたき」のようにレアで焼き上げてあります。フィレといっても「パサッ」としたものではなく、しっとり脂が丁度良く噛めば噛むほど旨みのある肉汁が溢れます。玉葱、ニンニク、赤ワインと醤油で仕上げたと思われるチャコールソースで加味し牛肉の旨味がさらに豊かになります。付け合わせのお野菜は焼いたヤングコーン、グラッセ5種?(赤・黄パプリカ、キャロット、茄子、ズッキーニカレー風味)。この付け合わせも1つ1つ別々に味付けしてあるようで美味。これにサニーレタスとバジルで緑を添えます。

 

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【デザート】:チョコレートケーキ、バニラアイス

 レストラン前のメニューを見ていると、「ラズベリーをきかせたチョコレートケーキ」「上村牧場牛乳使用バニラアイス添え」とあります。融点が低いのか写真を撮っている間にどんどん溶けていきます。撮影もほどほどに急いで口に運びます。バニラビーンズをふんだんに入れ込んだ濃潤な生地は、甘さは抑えても牛乳のミルキーさは密で滑らか。 がっちりチョコ味のチョコレートケーキはしっとり、生クリームで溶いたと思わしきラズベリーとホワイトチョコレートのペーストをサンドしてあります。アイスと同じように甘さは程よく酸味が出過ぎないベリークリームに、ホワイトチョコはゆるりと薫るココアバター。周りには対照的に強酸味のラズベリーソースに、まろやかアーモンドソース?。

 

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【食後のひとくち】:ラズベリーマカロン、レモンマカロン

【食後の飲み物】:コーヒーor紅茶

 ラズベリーマカロンはベリーの甘味と風味だけを取り出して濃縮したようなもの。何より、奈良ホテルさんのマカロンは「歯に引っ付かない!!」お年寄りにはこれ重要です。おいしいのに歯に引っ付かないという気遣いとおいしさが合致した「おごそかな和製」と言えます。コーヒーはまろやかに中性的で飲みやすく。紅茶はレモンティとミルクティが選べました。紅茶も蒸らせるように配慮されていました。

朝食

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 朝食は席に着いてから「茶粥の和定食」と「洋食」から選ぶことができました。和食は茶粥を白米へ変更することもできます。洋食はジュース、シリアル、卵料理まで色々とチョイスが多くあります。

洋食

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・ジュース:グレープフルーツ

・セリアル:グラノーラ、牛乳

・プレート:サラダ(イタリアンドレッシング)、ヨーグルト、フルーツ

・卵料理:フレンチトースト、香草ソーセージ、ベーコン、ハム

・パン:バターブレッド、クロワッサン、プチパン、ジャム三種、バター

・コーヒー

 ジュースはグレープフルーツジュース、セリアルはグラノーラ、卵料理はフレンチトーストを選びました。グラノーラのドライフルーツは、とても香りが強い苺とブルーベリーが入っていました。後から思ったのですが、パンが3種もあるので卵料理は他の物を選択したほうが良かったかもしれません。フレンチトーストの誘惑に負けてしまいました。しかし、ふんわりとしているけども、しっかり生地で甘さは優しく熱々に配膳でした。他の卵料理も是非味わってみたいものです。おいしいのだけどもベーコンやソーセージはwamerでの保温かな。物凄い宿泊客数だったので仕方なし。

和食

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・胡麻豆腐    ・ひじきと揚げの煮物 ・蟹身のポテトサラダ?

・ところてん黒蜜 ・エノキとなめこ甘煮 ・オクラと枝豆の昆布和え

・香の物(梅干し、奈良漬け、胡瓜と昆布浅漬け) ・紅鮭、卵とじ

・炊き合わせ(葉カボチャ、瓢箪ニンジン、山芋、インゲン、壬生菜麩巻き?)

・茶粥 ・ナメコの赤出汁 ・生湯葉とお餅の餡かけ

 和食はとても品数が多く丁寧に仕上げたものばかり。胡麻豆腐は水分の多いあっさりとしたタイプに鰹が効いたお出汁に浸してあります。変わった一品としてはカニ身のポテトサラダと、昆布の戻し汁で和えたオクラと枝豆。卵とじは椎茸、松の実、人参、トウモロコシをスパニッシュオムレツ風に仕上げてあります。全体としては作り置きで保温できるものが主ですが、炊き合わせも一品一品炊き上げて盛り込んであり丁寧で美味。奈良名物の茶粥はほうじ茶が豊かで、お勧めするだけあってさすがのお味でした。

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 チェックアウト前にバーとティーラウンジを兼ねた所で、サービスのコーヒーと紅茶をいただいてゆるりとしてチェックアウトしました。

 

まとめ

 奈良ホテルさんは歴史あるクラシックな高級ホテルです。軽井沢の万平ホテルでも感じたのですが、高級感とホテルのクオリティはそのままに、時代に合わせたカジュアルで気取らない雰囲気作りが素晴らしい。何より古いのに古さがなく、ロビーやフロントスペースの和洋建築は、その時代に生きたわけでもないのに懐かしく心をくすぐります。 お料理も格式美を感じる手が込んだものをいただくことができます。肉も美味けりゃパンも美味い。デザートも口に入れると自然と笑みがでます。夕食後はタクシーがホテル前に多く到着していたので、ディナーだけを食べに来ていたお客さんも多くいたように思います。予算があれば・・・すぐにでも再訪して連泊とかしてセレブをしてみたいです。何より「お部屋おまかせプラン」なのに本館でお願いしたところ、希望通り本館に案内して頂いたのは本当にうれしい限りです。

宿泊料金

 さて、宿泊料金です。通常1泊2食付きで50000円~65000円ぐらいからの値段帯です。この旅は、非常事態宣言から営業が再開した特別プランの格安プランの利用なので、通常料金に該当しないと思います。一概には言えませんが、ディナーが8000円のコース、モーニング3200円のコースとしても、ありえない料金で宿泊させて頂いたと思います。2020年9月まで各旅行サイトから予約ができるようなので、日程が合う方は是非にお勧め致します。奈良ホテルさんの和会席も食べてみたいなぁ。

宿泊日:2020/7(土曜日泊)

旅行サイト:一休(yahooトラベル)

プラン:【営業再開記念セール】メインダイニングルーム三笠でご夕食特別プラン【夕朝付

部屋タイプ:お部屋タイプ本館・新館おまかせ(ツイン)

合計料金:30000円(2人)

クーポン:2000円(会員特典)

ポイント:1400P(ポイント即時利用)

支払い料金:26600円

獲得ポイント:266P

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