もともとは、建物を所有していたアダチさんという方が、オーナーを務めておられたそうです。その後、村上さんが経営することになり「落合楼 村上」という名前になりました。そして、2019年のリニューアルオープンにより、歴史的名称を引き継ぐ形で「おちあいろう」と改名され現在に至ります。
創業は明治初期。もともとは眠雲楼という旅館を始めたのが起源のようです。幕臣の山岡鉄舟さんが訪れた際に、木谷川と猫越川が落ち合う場所にあるとして、「落合楼」と名付けたのが「現:おちあいろう」さんの始まりです。眠雲楼と落合楼は楼が二つあることから、明治14年に「眠雲閣 落合楼」となりました。また、明治天皇さん、大正天皇さんのお忍び宿でもあったそうです。残念ながら当時の建物は失われてしまいましたが、歴史と共に歩んできた現存する築80年の木造建築は、国登録有形文化財に指定されています。昔の落合楼が見てみたいと伝えると、わざわざ昔の写真集を持ってきて下さいました。その記録から画像を抜粋させて頂きました。
旅情
とにかくびっくりお値段ですが、それに似合うホスピタリティは素晴らしく至れり尽くせりの「おもてなし」の旅館です。おもてなしポイントを※『』でアピールしてみました。今回は見所が多いので、長丁場の内容となっています。お付き合い頂ければありがたく思います。
玄関に車をつけると、若い男性の方が出てきてくれたので車をお願いしました。玄関はこじんまりとしていながらも、文化財らしい趣きのある重厚感です。一歩足を踏み入れると異質の空間が広がります。
かつての帳場と下足箱があったと思われる場所には、季節の展示「桃の節句」が飾られてありました。
玄関からライトアップされた通路を抜けていきます。ここの窓からは、アダチさんが自宅として使用していた建物が目に入ります。
通路の終わりにはフロントがあります。ここには自分のような庶民にはあまり縁のない売店があります・・・。旅館の中でマザーグースのダウン布団が売っています。た、たけぇ・・・。
フロントの前にはロビーと思わしき寛ぎの空間が広がっていて、奥にはラウンジがあります。館内は昔のまま残された部分と、現代風なリフォームが融合した内装です。
ラウンジにはソフトドリンクの他にビール、ウィスキー、ワインなどの用意もあります。生ビール、地ビール、マッカラン、山崎と他にもあり種類が豊富です。※『一部有料となっているようですが、基本的には宿泊料金にすべて含まれているので、お好きな時に利用できるようになっていました。』
ロビーとラウンジを後にして、中庭を眺めながら通路を進みます。建物は玄関と中庭を囲む回廊造りの「本館」、大広間とお食事処のある「眠雲亭」から成ります。画像右手がロビーで、左奥に進んで行くと「眠雲亭」と大広間があります。
こちらは中庭の風景です。右画像中央にある洋館の建物は、宿泊者を訪ねて来た来客を通した応接室なんだとか。
かつてはお部屋にお客さんを通すという習慣がなかったので、ここでお客さんのお客さんをお出迎えしていたそうです。画像は1階部分です。2階部分は現在お食事処として使っておられるようでした。
ロビーからの廊下を進み切ったところには宿泊部屋が連なっています。左手通路を進むと大浴場があります。
同じ場所から2階への階段があり、上階も宿泊部屋が連なっています。
ここは「眠雲亭」の廊下です。画像左手の通路が本館に繋がっています。奥に行くと眠雲亭の宿泊部屋があります。そして、この撮影場所すぐ右手には4方向式交互階段があります。「何ですのんそれ?」と思った方、2つ後の画像で理解して頂けると思います。
上画像の反対側からです。こちらは眠雲亭1階の宿泊棟となっています。比較的新しくリフォームが成された雰囲気がありました。
眠雲亭2階へは4方向交互式階段があります。「おちあいろう」さんの見所の1つです。昔ながらの階段は幅が狭く、1段1段が高く造られていました。しかし、この階段は1段の高さは女性の着物の裾が気にならないように設計されています。また、お料理を配膳する際に昇降に待ちがないようにと、降りる人と昇る人が往来できるように幅を広く持たせてあります。当時では物凄く珍しい配慮のある設計だったそうです。
階段を下ると、現在は稼働していない様相の個室宴会場があります。これからまた手を入れられるのでしょう。
※『館内探検をしていると、わざわざ大広間の電気をつけて下さいました。』上階の大広間は108畳の大きさがあって圧巻です。これは舞台向きの角度。天板は屋久島から取り寄せた樹齢500年以上の屋久杉を使っているそうです。
こちらは反対側の床の間向きです。他の歴史ある木造建築でもよく聞きますが、おちあいろうさんの大広間も、すべてこだわりの建材が使われています。
一文字幕には「眠雲閣 落合樓」とあります。現在は使用されていない眠雲閣とあるので、ずいぶん前に寄贈された物でしょう。書院には明かり取りの小窓に、組子細工が素晴らしい。この大広間は1周できるように廊下が設けてあり、過去にも今にも珍しい造りになっています。
床の間の大黒柱は日本では採れない物で、中国からの取り寄せなんだとか。この大広間の名前にもなっている「紫檀」という木で、直径20㎝になるのに200年かかるそうです。直径40㎝以上あったので想像もつきません。しかも、この大広間は2階に当たるのですが、1階の個室宴会場まである通し柱となっています。※『といった説明が聞ける歴史ツアーを宿泊日と翌日に催されます。他にも事細かく説明してくれるので勉強になりました。』
本館に戻ってラウンジ下には、かつて卓球場があったとされる娯楽室があります。
娯楽室から裏庭に出ると吊り橋があります。建物裏側を眺めることができます。吊り橋からは2006年ぐらいまでは営業していた「眠雲閣」を一望することができます。現在使われていない部分も合わせると、かなり大規模な旅館であったことが分かります。
吊り橋から見えていた本館と眠雲閣を繋ぐ渡り廊下です。窓からは「おちあいろう」さんの名前の起源となった木谷川と猫越川が落ち合う所が一望できます。
館内情報です。お宿の周辺には車で5分のところにコンビニがあります。飲み物に関してはラウンジでも頂けますし、お部屋の冷蔵庫も宿泊代込みなので買い足しはいらないかと思います。冷茶や冷水は頼めば当然のように出してくれそうな雰囲気です。足りないものと言えば、おつまみぐらいでしょうか。
お部屋
案内して頂いたのは「葵」というお部屋です。大浴場に一番近いお部屋です。
間取りは本間10畳+寝室10畳程+広縁2畳+踏み込み廊下+洗面+トイレ+内湯です。
お部屋でウェルカム茶をいただきました。お茶は地元の「くき茶」と、小豆を練りこんだチョコレート生地の洋菓子でした。あしらいの桜の葉は塩漬けにされた物です。
玄関戸を開けると、とても広い踏み込みと廊下があります。※『踏み込みと廊下には床暖房が入っていて、常にスリッパが温められているという気遣い。』廊下向かって右手に水屋があり左手が居室です。
洗面にはあって欲しい全部のアメニティが揃っています。浴衣も最初から2枚用意があり、無いものを探すほうが難しいぐらいです。洗面奥には内湯があり、チェックインした時には、すでに湯が張られていました。内湯はもちろん源泉かけ流しです。大浴場の湯量がとんでもないので、こちらは試しに一回だけ入っただけでした。
「おちあいろう」さんのお部屋は、建設した棟梁のお弟子さんに、1部屋ずつ任せて作らせたそうです。競い合うように作られたお部屋はすべてデザインが異なっています。
本間から繋がる寝室はモダンにリフォームされています。※『売店で販売していたマザーグースのダウンで快適に眠ることができます。』最上級布団の寝心地は違います。
広縁からは庭園を臨むことができます。気軽に庭散策もできるようになっています。
建物の夜景と庭からの全景です。上画像にある玄関のような入り口は、現在は露天風呂への出口になるのですが、昔はこの棟の玄関か勝手口のような物だったのでしょうか。
お部屋に用意してある飲み物がとにかく充実しています。お茶は「くき茶」と「ほうじ茶」の2種類、自分で挽くコーヒーセット。※『冷蔵庫には甘酒、富士の天然水、地ビール、日本酒とすべて宿泊代に含まれています。』
夕食後に「お夜食におにぎりはどうですか」というお尋ねがあり、お腹いっぱいだったのですが、せっかくなのでお願いました。※『お部屋で寛いでいると玉手箱をデリバリーして下さいました。開けると、いい大きさのおにぎりが入っていました。充実のサービスは他にもあって、夕食中にお茶セットやコップを新しい物に入れ換えてあり、この時に冷水も用意して下さっていました。朝食後も同様のサービスがあり、タオルも新しいものになっています。何より驚いたのがトイレの掃除まで成されていました。ん~凄すぎる・・・。』
お風呂
「おちあいろう」さんの湯屋は「天狗の湯」、「星の湯」、「月の湯」と3ヵ所あります。天狗と星は2カ所1組セット、月は1ヵ所での男女入れ替え制となっています。泉質はカルシウム‐ナトリウム‐硫酸塩泉となっています。湯感はツルツルしており微塩味です。また、どのような表現が適当かわかりませんが、普段馴染のない石膏?のような匂いを感じました。そして、もちろん源泉かけ流しです。「おちあいろう」さんの凄いところは、かけ流し量がとんでもなく豊富です。湯舟はどれも大きいのに、その大きさに勝ってしまうほどの投入量は涎ものです。
天狗の湯
通称、洞窟風呂と呼ばれる「おちあいろう」さんの代表的湯屋です。浴場に出ると洗い場があって奥に進んでいくと湯舟が見えてきます。
洞窟から出ると何とも雰囲気のいい屋根付きの露天に出ます。
岩造りの湯舟は15人ぐらいでも余裕で入れそうです。いや、もっと入れそう。
かけ流し口は洞窟内の滝湯になっている箇所と、露天中央部にある岩の間から勢いよく噴出しています。湯量がとんでもないので、淵から川のようになって溢れ出ていきます。湯舟がとても大きいのに、お湯がすごい勢いで入れ替わって新鮮なお湯を味わうことができます。信じられませんが、過去には滝湯がぴたっと止まったことがあるそうです。自然とは分からないものです。
脱衣所には化粧水から何でも揃っています。フェイスタオルとバスタオルも常に新しいものが用意してあり、他の2つの浴場にも同じものが備え付けてあります。
星の湯
星の湯と掲げられた暖簾をくぐると勝手口があり、一度外に出て石畳を進んでいくと湯屋が見えてきます。
脱衣所から浴場に出ると、これまた味わい深い景色に早く入りたくなります。
天狗の湯に比べると少し小振りですが、それでも5人でも余裕の大きさです。星の湯は貸切風呂として利用されていた時期があったそうで、この大きさを貸切とは贅沢の限りです。
かけ流し口には析出物がびっしりと付いており、豊かな源泉はどんどん溢れ出していきます。
月の湯
こちらはリフォームされた新しい湯屋のようです。湯舟は10人以上でも余裕のあるキャパシティ。
湯口からは相当量の源泉が注がれていますが、浴槽の中からも噴出している場所がありました。浴槽の切り口からお湯が豪快に流れ出ていきます。
洗い場には昭和の建物に見られるような、ガラスをはめ込こんだ壁があります。脱衣所にも昔の建物の名残を所々みることができました。昔の写真をみると楕円形のタイル張りの浴槽があったようです。洗い場から外に出るとサウナがあります。
夜に行くと、えらく幻想的なサウナがお出迎えです。サウナ下は池ではなく水風呂となっています。かつては半露天風呂のようになっていて、この水風呂も湯舟として使用されていたようです。
新しく造られたので、まだ桧の香りが残っていました。茶室をイメージしたデザインなんだそうです。※『外にはタオルと脱水予防にお水を置いてくれているので、しっかりと補水できます。』訪れた時はもう1つサウナを増設中とあったので、この後に行かれる方はサウナが1つ増えているかもしれません。
湯上がり処にはお水と柚子茶、そして・・・・※『生ビールサーバー!お風呂上がって目の前に生ビールなんて昇天しますわ。』夕食を楽しむため、できるだけ控えめに。
お料理
朝夕共に個室でいただきました。配膳係さんの説明は完璧で「軍鶏つみれの(つなぎ)はなんですか」と聞くと、その場で「山芋です」と答えれるのはすごい。夕食が季節会席というのはよくあります。「おちあいろう」さんは朝食も季節によってお料理の内容が変わるというのです。丁寧で上品に仕上げているのはもちろんのこと、豪華食材もありながらも素材が選抜されています。最後の「甘味」をいただく前に、料理長さんが挨拶にこられました。30代半ばから後半ぐらいでしょうか、とてもお若い。
献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。内容に関しては説明して頂いたものと、実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。
夕食
着席すると食卓にはお料理ではなく、水に浮かべた河津桜が彩られていまいました。季節の演出から夕食が始まります。
※『夕食時の飲み物もすべて宿泊代に含まれています。』日本酒の飲み比べセット、「磯自慢」という銘柄の日本酒、ワイン飲み比べをお願いしました。
【食前酒】:てまえみそ
食前酒は「てまえみそ」という銘柄の日本酒です。調べると長野県のお酒のようです。キリっとした口当たりの純米酒は、お味噌に合うように作られているのだとか。本物日本酒なので、お酒が苦手な方は事前に伝えておくのが良いかと。
【紅姫あまご 天豆】
炭火で焼き上げた紅身は、ほのかな甘みがあり、プリっとしていながらもふんわり優しい。お味は鮭程の主張はなく、まろやかな口当たり。身部分とは対照的に皮はパリッと焼き上げて、地元農家さんの爽快な山葵味噌で味付け。春らしい青味の炙りそら豆と山葵の花を添えてあります。山葵花は、これがなかなかに山葵本体に負けず劣らない風味と辛味。
【天城軍鶏つみれ】
地産の鳥である軍鶏を山芋を繋ぎにして、ふわっふわっに仕上げた団子です。お箸で持ち上げると、お箸が自然に食い込み、ほろりと割れてしまいそうな緩さがあります。鶏の薫りは芳醇で、やわく塩を持たせた鰹出汁の銀餡に絡めてあります。鶏と餡のコラボが絶妙で、しかも配膳されたときは熱々すぎて、椀の底から餡がぷくぷくと沸騰していました。彩りと味の変化に芹を多く振ってあり、青味と苦味がとてもいいアクセントです。
【造り 鮪藁】
配膳される前に仲居さんが、地産の本山葵を直々に摺って下さいます。葉寄りの部分は水にさらされ辛味が抜け、根は辛味を持つのだとか。擦り方も回して擦ると甘味が増し、前後に擦ると辛味が増します。これは大根と似ていますね。
お品書きには「鮪藁」としか書かれていませんでした。しかし、平目の薄造りも別のお皿で配されました。仕入れによって変わるのかな。このお皿、どう見ても富士山です。そして、平目のピンクの色合いが素晴らしく美しい。これに紫蘇花が散らしてあって、まるで富士山に桜が咲いたようです。コリコリとした歯ごたえは新鮮そのもの。好みによって味付けを選ぶことができます。風味付けの黄金柑は、みかんにほんのり柚子の香りが付いたような物。味付けは、塩が優しく素材の味を活かすための出汁醤油。お塩はミネラルを感じる藻塩です。
鮪は藁焼きの叩きのようになっていますが、どちらかというと藁燻製のような風味です。その食感と味は魚というより上等な肉のようです。しかも、マグロはマグロでも、大トロ、中トロ、赤身と部位別に用意して下さっています。付け添えといっていいのか、一口もち米が飾られいます。味付けは平目の出汁醤油と、新たに濃厚黄身醤油も出していただけます。黄身醤油とマグロのコラボは品の良いユッケのように食せます。また、もち米に付けると濃密卵掛け御飯です。お寿司のように食べても美味。
【春山菜天 こん太 菜海苔汁】
山菜の天ぷらは、フキノトウ、タラの芽、ブラウンマッシュルームです。山菜は若いうちに収穫してエグ味はなく風味豊か。ブラウンマッシュルームは富士で栽培しているシャンピ富士です。スーパーで売られているマッシュルーム風味を倍にしたぐらいの香りがあります。これを炒り塩で香ばしく頂戴します。こん太って何?とおもっているとどうやら金柑の銘柄でした。酸味よりも甘味が強い柑橘で、油物の付け合わせにぴったり。
「菜海苔」のスープです。三河湾では、まれに耳にしない海藻をいただくことがあります。菜海苔は伊豆の通の素材のようで、菜の花が咲くころに収穫されることからこのような名前がついたようです。岩海苔よりもシャキシャキとした海藻感が強く、海苔特有の苔香ばしさもしっかりあります。鰹のお出汁と海苔風味が濃厚なおすましは、塩を控えて薫りを楽しむ一品です。
【鰻、骨煎】
お凌ぎに鰻です。浜松が近いということをもあって名物料理としてのお品でしょう。白焼きからのタレ漬けではなく、タレを着けながら焼いている関西風の蒲焼です。引き締まった身は脂の乗りは控えめに、小ぶりながらも鰻味は旨く、お凌ぎに少量口にするのに丁度いいぐらいです。とても香り高いピリリとする粉山椒がふってあり、配膳された瞬間から山椒と鰻の薫りが充満していました。
【筍炭火焼 富士屋岡村牛】
メインのお肉料理と旬彩筍です。赤身のフィレ肉はローストビーフ仕立てです。噛み応えがありグモグモと食べるタイプでありながらも、噛めば噛むほどおにく上品な赤身の和牛旨味が滲みだしてきます。
とても上物の筍は余計な味付けはなく、噛むときに抵抗感がない柔い身は天然の甘味が備わっています。筍畑で収穫された物でしょうか。全く雑味がありません。普段食べている筍がタケノコでなくなる瞬間です。これに相性のよい刻んだ山椒の葉を散らし、青さが味を引き立てます。加味は醤油もろみ、柚子胡椒です。薬味をつけると、お肉と筍ともに一層旨味が強くなります。
【明日葉黒米うどん】
最初、お出汁を味見した時に、何となく合わせ出汁かなと思いつつも妙なサッパリ感を覚えました。どうやら、明日葉と大根おろしを和えて酢を持たせていたからでしょうか。位置づけ的には「酢物」?明日葉はセリの仲間です。黒米うどんは玄米のような香ばしさがあり、「しこしこ」というよりはグモグモと硬いこんにゃくを食しているような感触。
【食事】:桜エビ、猪そぼろ
【止椀】:湯葉味噌汁
【香の物】:春きゃべつ
食事は2種類から選べます。2種類味見してみたいという気持ちが出ていたのか、「よかったら2種類を少しずつ用意しましょうか」と、ご提案していただきました。 1つは、さっくりと揚げられた桜エビに甘ダレを回し掛けた物。海老の甲殻風味が豊かで格のある「かき揚げ丼」のようです。猪そぼろはどちらかというと、佃煮のような感じでエスニックなカレー風味で猪ドライカレーです。 湯葉の味噌汁は優しい白味噌仕立てで、湯葉の旨味がでたのか豆乳風味が優しい。 香の物は春きゃべつの塩揉みだそうですが、えらくシャキシャキしていてサラダを食べているかのようでした。
【甘味】:桜のジェラートorメロンジェラートorみかん、抹茶と金平糖
3種から選択することができます。相方は桜のジェラート、自分はみかんを選びました。桜のジェラートは甘さ控えめに、優しく香る桜風味。桜の花と刻み苺でかわいらしく飾り付してあります。 みかんの品種は「せとか」と「あすみ」です。食べ比べなんて普段あんまりしないので、味わってみると「せとか」は酸っぱさが強く、「あすみ」は甘味が前に出ていました。並べて食べ比べると味の違いがはっきりと分かり驚きです。
最後にお口直しの抹茶と金平糖です。夕食は種類がたくさんあったのですが、一品一品が適量で最後の最後までおいしくいただけました。1つだけお願いするなら、「おちあいろう」さんの八寸を食してみたい。
夕食後はラウンジで一杯やらせていただきました。宿泊代に込々なので、もちろん一杯では済みませんでした・・・。※『メニューにはなかったのですが、「夕食時にいただいた日本酒をいただきたい」と、お頼みすると快く用意してくれました。』
朝食
・人参のスムージー
・生しらす(生姜、大葉)
・小松菜の浸し(鰹節、炒り胡麻)
・新タマネギの煮物
・出汁巻き卵
・鯵の一夜干し
・白米、ヒラタケ?の味噌汁
・本山葵、粗削り鰹節
・香の物(大根、梅干し)
・苺
人参のスムージーは天然味をそのままに濃厚。 生しらすはぷちぷちと新鮮な触感で、小松菜はしっとりとゴマとかつお節がかぐわしい清いお浸しです。 玉葱の煮物はシンプルですがカツオ出汁にタマネギの甘さがグッと出ています。 出汁巻き卵はお箸を入れるとお出しが染み出てきます。うっすらと塩を持たせて鬼卸の大根おろしで。 味の一夜干しは脂の乗りが素晴らしい大振りです。 白米はおかずといただいてもいいのですが、ワサビご飯としての用意もしてくれています。ワサビとかつお節に、お醤油を垂らして混ぜて食するというものです。素材がいいので薫りが充満して、ワサビのさっぱり感で食べ過ぎてしまいました。
朝食後はラウンジで暖炉に当たりながらコーヒーと紅茶を頂戴しました。チェックアウトが11時だったので、文化財のツアーに参加したり、食後のお風呂もゆっくりと堪能しました。※『訪れた冬の季節には、出発時には靴を温めてくれていました。』最後まで、おもてなしに隙がありません。
まとめ
「おちあいろう」さんは、ずいぶん前から知っていたのですが、宿泊料金がとにかくお高い設定なので足が遠のいていました。たまたま、yahooトラベルのゾロ目のクーポン日にポイント倍増プランを見かけて、おそらくこれ以上は安くはならないだろう、ということで宿泊に至りました。実際泊まってみて、どうか?お宿の雰囲気、お料理、温泉、上質のサービス、どれを取っても非の打ちどころがありません。お値段に見合った内容かという所は人によるかなぁと思います。自分的には「そら、このお値段とらないと」というのが感想。ただ、「そんなに過剰なサービスは要らないよ」という方にはどうでしょうか。もともとシニアのお客さんが多いそうで、他のお客さんは上品な方ばかりでした。落ち着いた空間で、食、浴、癒、酒、を楽しむ至極な時間を過ごしたい方は是非にお勧めです。自分的には必ず再訪したいお宿の1つになりました。「おちあいろう」さんの秋の味覚を食してみたいのです。
宿泊料金
さて、宿泊料金です。yahooトラベル経由の一休で予約しました。定価は116000円でしたが、ゾロ目のクーポンが7000円とポイント倍増で19566円分の即時利用をして89434円が最終料金です。公式HPでは136000円となっていたので、「葵」のお部屋に泊まるのであれば底値に近いのではないかと思われます。予約したときは、他のお部屋の売りがなかったので「葵」に宿泊しましたが、別の日には安価なお部屋もありました。それでも通常最安90000円代で、公式HPで平日期間限定春割でも74000円となっていました。
宿泊日:2020/2
旅行サイト:一休(yahooトラベル)
プラン:【一休Plus+参画記念】特別料金&ポイント最大10倍!令和元年9月リニューアルオープン
部屋タイプ:【葵 和洋室】
合計料金:116000円(2人)
クーポン:7000円(yahoo!ゾロ目のクーポン)
ポイント:19566P(ポイント即時利用)
支払い料金:89434円
獲得ポイント:894P