いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

凌雲閣【新潟県 松之山温泉】~他では味わえない随一の三大薬湯強塩泉とキノコ料理は心身が浄化する~

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 凌雲閣さんは松之山温泉街から少し離れたところにあります。昭和13年に建築された建物は、豪雪に耐えうる建築様式が残されており、歴史的価値があることから平成17年に有形文化財に登録されています。

旅情

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 凌雲閣さんの外観は他ではあまり見ない建物で、手入れもいいのか古さを感じません。玄関に車をつけて荷物を降ろしてチェックインしました。

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 館内に入ると一気に見た目は古風な風景に変わります。訪れたのは年末。玄関には正月飾りがありました。エントランスの車寄せの造りもすごいですが、ロビーの欄間、彫り込まれた衝立、格子天井、フロント周りのデザインも秀逸で見ごたえがあります。

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玄関左手には応接室があり、ここで記帳をしてからお部屋に案内して頂きました。ちょっとした読み物なども置いてあったので、読書も楽しめるようになっていました。

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 玄関の衝立の裏手には、お土産、お酒、特産品などが置いてある売店と、伊藤園の自動販売機があります。ここからエレベーターか階段で上階へ上がります。

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 階段の踊り場にも正月の趣きを垣間見ることができます。階段の手すりには自然木が柱として使用されています。

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 お部屋はすべて正面玄関側に面している贅沢な造りです。裏手はガラス戸になっていて、日の光が差し込みとても明るい。なんとなく学校の校舎のようにも見えます。

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 3階のお部屋は2階のお部屋に比べると、お部屋の造りが凝っています。当時の亭主さんが宮大工を呼び寄せて、1人一室ずつ担当させて腕を競わせたらしいのです。なので、全て趣向が異なるお部屋になっているとパンフレットにありました。

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 3階の廊下には、お部屋の名前に由来した特徴的な飾り窓を見ることができ、職人さんの粋を感じます。

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 館内は本館と別館に分かれており、木造の本館フロント脇から別館へアクセスすることができます。パンフレットが置いてあるところから廊下を進むと、木造の軋む床からコンクリート造のしっかりとした床に変わるのが分かります。不思議と木造側の方が温かい。

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 別館への渡り廊下を進むと夕食処の大広間があります。別館下階は画像の湯上り処に朝食会場です。ここの自動販売機にはビールが売っていました。また、無料で頂ける冷水の用意があります。

 館内の設備は前述してきたとおりですが、周辺には商店などはないので必要な物は揃えておく方がいいと思います。

 

お部屋

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 案内して頂いたのは2階の「寿之間」です。

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 間取りは本間8畳+次の間4.5畳+踏み込み1畳+広縁です。

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 お部屋でお茶を頂戴しました。お茶菓子はとてもフルーティな葡萄の羊羹です。これがとてもおいしかった。

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 玉砂利に飛び石ならぬ飛び木を敷いた踏み込みに、次の間には昔のままのレトロな鏡台と茶箪笥があります。

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 8畳とは思えない広々とした京間?に、床の間の竹の柱と天井飾りがおもしろい。

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 広縁からの眺めは田舎の雪景色が広がります。この年は記録的に積雪が少なく、到着するのに難はなかったのですが、十日町は本来であれば身の丈を超えるほどに雪が積もります。広縁には小さな洗面が付いていました。トイレは共用の物を使用します。しっかりとリフォームされていて安心のシャワートイレです。冬場はさすがに広縁で過ごすには寒いので炬燵にお世話になりました。お部屋の備品としては金庫、冷蔵庫、アメニティ類は一式で足袋もあります。木造なので暖房器具は石油ストーブが備え付けてあります。

 

お風呂

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 凌雲閣さんは男女別の大浴場が1カ所ずつと、貸切の家族風呂が1つあります。浴場は入れ替え制となっており、泉質は同じですが湯舟の大きさが異なります。画像左に行くと大きな湯舟の湯屋で、右が小さい湯舟の浴場と手前に家族風呂があります。泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉となっています。微弱な玉子臭と強烈なガソリンのような匂いがします。味もパンチのある海水のような塩味と、にがりのような苦みが印象的です。味と匂いは強烈なのに、肌触りはちゃんとツルツルした感触があります。わずかに黄緑色がかったようなお湯は、味、香り、感触とさすが日本三大薬湯です。

大浴場(大)

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 浴場に入ると濃厚な油の香りに包まれます。この匂いは本当に癖になります。湯舟の大きさは10人以上が余裕をもって入れる大きさがあります。湯使いは循環とかけ流し併用ですが、もともとの湯の成分が濃いので湯の弱りを感じることはありません。

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 かけ流し口は奥が循環湯?と手前の源泉?の注ぎ口の2つ設置されています。源泉は投入量もなかなかのもの。淵からは多くはないですが、お湯が荒れ出ています。顔を洗うと塩分が濃いので目に沁みります。

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 シャワーは十分な数が備えられているので順番待ちはなさそうです。脱衣所にはハンドソープ、綿棒、髪ゴム、シャワーキャプ、ドライヤーがありました。タオルはお部屋から持参です。

大浴場(小)

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 小さな浴槽は5人ぐらい入ると手狭な広さとなっています。こちらも大きな湯舟と同様に循環と掛け流し併用となっています。

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 かけ流し口も同じようになっています。しかし、湯舟の大きさに対して源泉の投入量は若干少ないぐらいで、お湯の入れ代わりはこちらの方いいかもしれません。飲泉用?のカップが置いてありました。手前はおそらく循環湯なので飲んではいけません。洗い場には十分な数のシャワーが備えられており、脱衣所には大浴槽と同じ備品が置いてありました。

 家族風呂

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 源泉の注ぎは控えめだけど、明確な溢れ出すお湯を見てとれます。

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 シャワーも1つ備えてあります。開放的に入るなら大浴場、源泉を楽しむなら家族風呂でしょうか。お湯は熱めなので湯上がり処でしっかりと補水です。

 

お料理

夕食

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 夕食は別館の2階の宴会場でいただきました。

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 凌雲閣さんの夕食は、普段口にしないような多彩なキノコ料理が特徴的です。また、健康的な調理方法や味付けは、素朴な田舎料理のようでありながらも素材の味を活かしています。

 献立は頂いたお品書きをもとに書いてあります。内容に関しては説明して頂いたものと、実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

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【先付】:なら茸の玉子豆腐

 普段あまり聞くことのない「なら茸」は、松之山では「もぐら」と呼ばれ、秋にたくさん収穫されるそうです。椎茸とシメジの中間のキノコとった感じですが、別物ともとれる新しい味覚。豆腐は豊潤な玉子プリンのようです。そして、「みたらし団子」のような鰹出汁の甘餡は、カラメルソースのように豆腐に馴染みデザートのようです。山椒の葉で彩を添えます。

 

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【前菜】:牡蠣の旨煮、湯治豚 クルミ豆腐、錦玉子、発酵豆腐

 牡蠣はしっかりと煮た物ではなく、緩く全体に熱が入るようにしてあるのか、プリッふわっとした感触に、醤油味は優しく牡蠣の味を前に出しています。 地物の「津南ポーク」を使用した湯治豚は、松之山温泉の源泉でじっくりと火を通した物だそうです。味付けは味噌とあったので、漬にしてから蒸しにしたのかコクがあります。 クルミ豆腐は天然のオニグルミを使用した自家製のクルミ豆腐です。ナッツ系の香ばしさは野の味です。 正月らしい錦玉子です。黄身、白身ともにふんわりと甘く蒸しあげてあります。 発酵豆腐は松之山原産の材料を使用し、さらに4つの発酵食品を合わせたお味噌に漬け込んだものだそうです。口当たりと味は癖のないチーズのようで深みのある味です。 

 

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【椀物】:けんちん汁

 味噌仕立てのけんちん汁には、ワラビ、大根、ニンジン、里芋、昆布、椎茸、平天、鶏肉を入れ込んであります。鳥と昆布のお出汁に、やさしめに加味されたお味噌を加えて、まろやかに仕立てています。裏の味に椎茸もいい仕事している賑やかな椀です。量も4,5口程度で、おいしく適量なのはありがたいです。

 

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【焼物】:鰤の塩焼き

 事前に焼かれた鰤は塩を強めにもたせてあります。脂は少なく身が締まっています。付け合わせは菊花大根、ししとう、レモン、はじかみです。自家製のはじかみは、とてもしょっぱい。

 

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【造り】:3種盛

 サーモンの叩き、マグロ、甘エビです。炙りはよくありますが、サーモンをまず叩きにしようとはなかなか思いません。山奥で海の物?というところですけど、意外と松之山からは海が近いのです。お味は可もなく不可もなく。つまは、蓼、大根けん、菊花、大葉、飾り人参、山葵。

 

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【珍味】:山葵菜とシメジの和え物、ナメコ卸和え、茸と梨の白和え、慈姑チップス

 山葵菜は、かなりピリッとした辛さがあります。シメジと和える際に麹?酒粕?のようなもので絡めてありました。 ナメコのおろし和えは、やんわりとしたお酢の物。菊花の彩と蟹身をあしらって味にアクセントを付けてあります。 ほんのりと甘く仕立てたまろやかな白和えにはブラウンエノキが入っています。アクセントとなるのは梨の潤いに、青い香りの三つ葉で爽やか。 くわいチップスはポテトチップを、たくましく濃密にしたような味。ビールが欲しくなります。 

 

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【旬彩】:鰻の蒲焼

 鰤の塩焼きに加え、さらに魚の焼物がもう1品。関西風の串打ちから焼くものではなく、一度蒸してから焼いてあるような柔さがありました。ふっくらとした身振りに、冬眠前の脂がまったりと乗っていてジューシー。冷めてもおいしく白米と一緒に頂戴しました。

 

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【台物】:キノコ鍋

 小鍋に溢れんばかりに盛り込まれた具材は、椎茸、エノキ、豆腐、鳥つみれ、鱈、白菜、白葱、梅人参、紅白かまぼこ、豆腐です。とにかく具沢山です。もうひつだけ分からないキノコがはいっていて、ナメコのようなヌメりはありながらも、グモグモした歯ごたえで、椎茸ではないヒラタケではない味。鳥のつみれは柔らかく鳥の旨味も強い。タラは塩気が丁度良くふわふわです。豆腐は大豆の風味が豊富で、昆布、鳥の脂、醤油がミックスされたお出汁が美味。

 

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【酢物】:モズクの酢の物

 酢を抑えながらも塩をしっかり持たせてある、粘りのあるモズクに針生姜と胡瓜をあしらってあります。口当たりが絶妙でさっぱりとした爽やかな一品。

 

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【お食事】:白米

【香の物】:野沢菜

【止椀】:鯉と三つ葉の味噌汁

 新潟なので白米はツヤツヤで甘味があり、やはりコシヒカリでしょうか。塩が強めの漬け醤油の野沢菜と【旬彩】の鰻で頂きました。止椀の鯉は別に炊き上げているのか、味噌汁に魚特有の臭い移りや脂のこってりとした感じもなく、苦手な方でも口にしやすそうです。育成している水がいいからでしょうか。

 

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【甘味】:白ワインのゼリー、キウイフルーツ

 白ワインを寒天で固めたものです。もっちりとした感触に煮切りワインだけを純粋に使用したゼリーです。酒度はなく、加糖もしていないので緩やかにワインの葡萄だけが薫ります。

朝食

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・湯豆腐(鰹節、刻み葱、卸生姜、ポン酢)、ほうれん草お浸し

・鮭の塩焼き、車麩とぜんまいの煮付け

・サラダ(ハム、トマト、ポテトサラダ、胡瓜、キャベツ)

・きんぴらレンコン、雌株と揚げの酢の物、なめ茸とエノキの和え物 

・納豆、温泉卵、焼きのり

・なめ茸と豆腐の味噌汁、白米、香の物(たくあん、梅干し)

・オレンジ、コーヒー

 凌雲閣さんの定番の朝食です。湯豆腐は濃厚大豆の豆腐とカツオが香る酸味の強いポン酢。塩抜きした極太ゼンマイと車麩の噛みごこちは郷土の味。きんぴら蓮根は薄味に唐辛子を加えて食べやすく、めかぶは朝食らしい控えめのお酢。こう見ると、旅館朝食にしては珍しく、白米によく合うというお料理が少なかったりします。しかし、夕食と同じで地の食材と適度な塩加減の味付けは健康的です。最後に温泉卵、海苔、お漬物で白米を頂戴しました。

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 食後のコーヒーは朝食会場内に用意がありセルフでいただけます。

 

まとめ

 凌雲閣さんはこれで3回目の宿泊です。年末年始はこの辺りでスキーをすることが多く、身体が冷えるとオイル臭のする強塩泉に入りたくなります。静かにひっそりとした秘湯らしい雰囲気も良く、普段口にしないお料理が食べれるのもリピートの理由の一つです。お料理の内容も健康的なのもいいです。特筆するようなサービスがあるわけではありませんが、何故かまた訪れたくなる不思議なお宿です。

宿泊料金

 さて、宿泊料金です。予約を取った時には「日本秘湯を守る会」とじゃらんで、お部屋が売りに出されていました。秘湯の会からは定価での宿泊となりますが、スタンプをもらえるので迷いました。しかし、じゃらんでは3000円のクーポンが配布されていたのと、2%のポイントバックが標準なので、現金の値引きをとってじゃらんから予約しています。

宿泊日:2019/12(年末泊)

旅行サイト:じゃらん 

プラン:松之山温泉×趣の純和風客室◆スタンダード【2食付】

部屋タイプ:本館和室【二階客室】

合計料金:35200円(2人)

クーポン:3000円(期間限定クーポン)

ポイント:0P

支払い料金:32200円

獲得ポイント:644P

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