明治期に旅籠として創業した軽井沢にある格式あるホテル。戦後はGHQに接収された歴史を持ちながらも、昭和11年建造の建物は昭和浪漫の情景をそのままに留めています。
旅情
正面玄関は古風な山のホテルを再現したような外観です。しかし、築80年が経過しており、その保存状態の良さと歴史的価値から、平成30年に有形文化財に登録されています。
玄関に車をつけるとドアマンの方がすでに待機されておられ、荷物を取り来てくれました。対応は迅速で格式の良さが伺えます。玄関入ってすぐにフロントがあり、記帳をしてチェックインです。
年末年始ということもあり、レジャー客も多く何となく安心感があります。上質の接客はもちろんですが、若いスタッフの方とお話をすると、意外にも気さくにお話しをされる方もおられ、思っている以上に気が張らない感じです。
文化財に指定された本館には、万平ホテルさんの主要なものが、ギュッと詰まっています。普段は催し物や展示物が置かれているところには、お正月飾りの生け花がありました。画像右はフレンチレストランのメインダイニングルーム入り口です。
玄関入って左側には、京会席の「割烹 能魚菴 」と、ジョン・レノン直伝のロイヤルミルクティーが楽しめるカフェがあります。オープンと共に外来客で常にいっぱいの状態。
割烹料理屋さんの前には夜営業のBARがあったり、廊下をさらに進むと万平ホテルさんの歴史史料室があります。史料室と書いてある案内板が置いてあるカウンターはかつてのフロントのカウンターだとか。
昔の間取り図を見ていると、すべての建物は木造だったようです。現在は本館のアルプス館以外は鉄筋コンクリート造。情景は再現されているので趣は当時のままに。この資料室をさらに奥にいくと別館宿泊棟になります。
玄関入って右側は木製のスキー立てと、パンフレットが収められたリーフレットがあります。丁度、フロント裏手なので右側はスタッフルームですが、奥右手に売店があります。
売店には、万平ホテルさんのオリジナルグッズがずらりと並び、装飾品、ドレッシング、ジャム、お酒、おつまみまで色々取り扱いがありました。また、売店を出ると、お高そうな陶磁器の品々が展示販売されていました。お値段は・・・自分には縁がなさそうなお品です。
売店を抜けると別の客室棟の「アタゴ館」と「ウスイ館」に繋がっています。
こちらはロビー上の木造本館アルプス館の廊下です。木造独特の歩くと柔らかい跳ね返りのある床材の感触。
アルプス館は正面玄関横の階段からも上がることができます。こういう風景はクラシックホテルならではと感じるのは自分だけでしょうか。
建物は3階建てですが、宿泊棟は2階までとなっています。もう1つだけ階段を上がると建物正面に当たるステンドグラスを裏側から眺めれます。
館内にはこのクラスのホテルにしては珍しく、ソフトドリンクとアルコールの自動販売機があります。また、ビジネス長期滞在者が多いのかランドリー、喫煙所も備えてありました。
お部屋
案内して頂いたのは「アルプス館 125」号室です。
間取りはツインベッドルーム+鏡台+応接間+バスの36平米です。
入り口の扉を開けると、通路に鏡台があり、すぐ右手にバスとトイレ。今も昔もホテルの客室はあまり変わっていないことに気付きます。バスタブは猫足と公式HPにありましたが、猫というよりは虎足ぐらいの太ましさ。
左は応接間からの寝室と入り口です。右は寝室から鏡台を見たところ。鏡台も当時のままなのでしょうか。洋服タンスもそうですが、引き出しの開け閉めに引っ掛かりがまったくなく、古い建築物によくある歪みがありません。そして、ベッドルームはカーテンと書院造風の窓によって、廊下と応接間から目隠しを持つことができます。来客時はベッドルームに目隠しを入れる仕様なのかな。
応接間はとても落ち着いた雰囲気で、ベッドルームとの隔ては和室の広縁要素を取り入れたものなのでしょうか。
お部屋からの眺めは中庭ビューです。木々の葉は散り寂しい冬の雰囲気もまた良い。
レトロな机に、入り口扉のスライドする覗き見窓?も和建築の細工が取り入れられています。
ミニバーさながらの品揃えの冷蔵庫に、ワイングラスまで用意があります。冷蔵庫内の飲料はさすがにいいお値段です。
朝には朝刊のサービスがありました。アメニティ類や設備は不足なく揃っており、女性のためのお顔ケアセットから歯ブラシまで良いものを用意してくれています。
お料理
夕食はフランス料理を選択すると冒頭画像のメインダイニングで、和食であれば料亭「割烹 能魚菴 」での案内となります。朝食は朝目覚めてから、その時の気分によって和か洋を選ぶことができます。洋ならメインダイニングへ。和なら能魚菴 へ足を運びます。献立は頂いた献立表をもとに書いてあります。内容に関しては説明して頂いたものと、実際口にした感想を交えて記してあります。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。
夕食
【前菜】:鶏胸肉と季節野菜のサラダ
胸肉の触感は、ふんわりとした柔らかな口当たりで、フォークを刺すとほぐれてしまうほど。肉本来の甘みがあり、しつこくないハム仕立ての様。これを粒マスタードのマヨネーズソースで頂きます。彩り野菜はサラダ水菜、グリーンリーフ、トレビス、紅芯大根、大根、開きエシャロット?
【スープ】:サツマイモのクリームスープ
豊かなサツマイモの香りがする生クリームが濃厚なスープです。きめは細かいながらも、サツマイモの繊維が残るほどに滑らかな舌触り。そして、バターの香りは控えめに優しく、サツマイモの甘さがとても豊かです。何よりも量が多く、芋ということもあってボリュミーです。これに、スィートポテトのようにボイルしたサツマイモを入れ込み、相性のよい摺り黒胡麻をあしらってサツマイモの甘さと風味を引き立てます。
【パン】:全粒粉のパン、はちみつ豆乳パン
パンは温かく提供されて、焼きたてのようにふんわり・ふっくらしています。丁度、篭が空になるころにウェイターの方が、ご入用かどうかを訪ねて下さいます。全粒粉のパンは小麦が香ばしく、はちみつパンは言われなければハチミツに気づかない程度の淡い薫りと甘みに品があります。配膳される料理のソースで楽しむもよし、一緒に配される上質の発酵バターで楽しむもよし。
【魚介料理】:帆立貝のポアレ と キノコと小松菜のソテー
しっかり肉厚と歯ごたえの帆立は、白ワインで蒸し焼きにしているのかな。濃密な帆立のお味にブールブランソースを合わせてあります。ブールブランソースはエシャロット、白ワイン、バターをベースにした魚料理に適したものだそう。わすかな酸味があり、やはり優しいバターの香りに、アメリカンソースのような甲殻類のような匂いもしたような。帆立のお出汁?付け合わせエリンギと小松菜も、上品な発酵バターのようなものでソテーにしてあります。新鮮さもあると思いますが、調理方法もいいのかどれも素材の味が濃ゆい。小松菜の強めの苦みはお口直しに丁度良かったです。
【肉料理】:国産牛のフィレ肉のグリル 赤ワインソース
席に着いた際に、焼き加減のお尋ねがありました。自分はレアで、相方はミディアムレアを選択しました。赤身のフィレ肉はタンパクですが、しっとりとした肉質でナイフを入れるとスッと切れます。2、3噛みすると肉は解けて、赤ワインソースと程よく口の中で絡みます。ソースは玉葱ベースのフォンドヴォー?を使用したような香りで、赤ワインの酸味は抑えて、ほんのりとした爽やかな甘さがあり、あっさりとしたフィレにあっさりソースがよく馴染みます。色を添える野菜は、桜?を模した人参と蕪のグラッセ、蒸しブロッコリーとカリフラワー、レンコンチップス。
【デザート】:フランボワーズケーキ、バニラアイス
【お飲み物】:コーヒーまたは紅茶
チョコレートケーキを香り高いラズベリーのムースで包んで、チョコソースの上に飾ってあります。ムースは口に入れるとと口溶けはまろやか。バニラビーンズが入ったアイスクリームは濃密でラズベリーソースと一緒に頂くと美味。マスカットも苺もソースに負けない甘さがあります。訪れたのは12月だったこともあってか、彩りがクリスマスを連想させます。 デザートと一緒にサーブしてくれる飲み物は、自分はコーヒーを、相方は紅茶を頼みました。お茶に物申しが多い相方が言うには「美味い紅茶」だったそうです。コーヒーも渋み苦みはなく中性的な味わい。
朝食
【ジュース】
・オレンジジュース/グレープフルーツジュース/りんごジュース/ももジュース
☆上記から一品選択
【スモールサラダ】
・グリーンリーフ、サニーレタス、紫レタス、ミニトマト
・フレンチドレッシング風胡麻ドレッシング
【フルーツ入りヨーグルト】
・ヨーグルト、パイナップル、オレンジ、グレープフルーツ
【パン】
・ホテルブレッド、クロワッサン、レーズンデニッシュ、
・発酵バター、万平ホテルオリジナルジャム(アップル、ブルーベリー、マーマレード)
【卵、肉料理】
・ボイルドエッグ、フライドエッグ、スクランブルエッグ、プレーンオムレツ
・ハム、ベーコン、ソーセージ
☆上記から卵料理と肉料理を一品ずつ選択
・ケチャップ
【お飲み物】
・コーヒー or 紅茶
ジュースのチョイスはグレープフルーツ、相方は「もも」を選択。普通の100%ジュースのようでしたが、「もも」はネクター感があり香りが良い。サラダのドレッシングは程よい酸味に胡麻の香り。ホテルオリジナルでしょうか。ヨーグルトは粘りが強くカスピ海ヨーグルトのようで甘さ控えめで、ジャムを入れて楽しむのもいいかもしれません。パンは熱々でサーブされます。発酵バターと3種の万平ホテルオリジナルジャムで頂きます。フライドエッグは黄身がトロリと良い卵。オムレツもトロトロに柔らか過ぎるほどの口溶けで、柔らかすぎてナイフとフォークから逃げるので口に運ぶのに難儀するぐらい。ウィンナーとベーコンもジューシーで脂の深みがある。軽井沢産でしょうか。コーヒーと紅茶は夕食と同じで日本人テイスト。
まとめ
万平ホテルさんは、高級リゾート地としてのイメージが強く、スーツとドレスをビシッと着込んで行くような敷居が高そうな想像をしていました。しかし、訪れた年末だとレジャーのお客さんが多く、とてもカジュアルで過ごしやすい雰囲気でした。もちろん、夕食時は皆さん襟のあるものをお召しになっておられました。
お料理は伝統のあるクラシックホテルらしく、スタンダードな献立となっています。こってりとしたフランス料理ではなく、ジャパニーズスタイルで深みがありながらも口にしやすい味付けになっています。
次に宿泊するならまたアルプス館に泊まって、和食やロイヤルミルクティーも楽しんでみたいものです。贅沢をいうなら温泉があればperfectなんですが。
宿泊料金
さて、お値段です。yahooトラベルからの予約ですが、現在では使えない「5の付く日」と「旅旅サンデー」のポイント15倍で宿泊しました。現行ではyahooクーポンと「5の付く日」か「旅旅サンデー」の10倍ポイントの併用が一番安そうです。公式HPでも定価は同じ54400円でした。
宿泊日:2019/12(年末土曜日泊)
旅行サイト:一休(yahooトラベル)
プラン:選べる夕食・レギュラープラン【1泊2食】
部屋タイプ:アルプス館クラシックツイン36平米(禁煙)(ツイン)
合計料金:54400円(2名)
ポイント:8160P(ポイント即時利用)
支払い料金:46240円
獲得ポイント:462P