いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

渓雲閣【栃木県 奥塩原温泉】~湯けむりが舞う山肌から湧き出る硫黄酸性泉。山里料理というには豪華な食材の手作り料理~

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 県道19号線を車で走っていると唐突に現れる奥塩原温泉。小さな温泉街にある日本秘湯を守る会の会員宿である渓雲閣さん。

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 山間部によくある鄙びた温泉地と思いきや、源泉地はまるで火山のごとく山肌のいろんなところから蒸気があがっている風景に圧倒されます。

旅情

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 渓雲閣さんの正面玄関は、一見平屋造りのように見えます。しかし、山の傾斜に沿って建てられてあるので、フロント・ロビーが一番上で客室とお風呂は階下にあります。

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 館内は落ち着いた雰囲気で、平日ということもあってかしっぽり。フロントは木作りの重厚さがあって飾り窓がかっこいい。色紙から察するに著名人も多数こられているようです。

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 ロビーには湯あがり後の冷茶のサービスがあります。翌朝は同じ場所でコーヒーを頂くことができます。

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 こちらはロビーからフロントへの眺めと、併設された小さな売店です。お酒、お菓子、お土産などがおいてありました。

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 塩原には狸が傷を癒しに来たという謂れもあり、たくさんの狸の置物がお出迎えしてくれます。塩原地区ではいろいろな物に狸さんがプリントされてあるので、マスコットキャラクターなのかな。

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 1階下がると宿泊階となります。下画像の奥に貸切風呂があります。温泉街には小さな商店が1つだけあるのですが、必要な物があれば事前に揃えていくほうがいいと思います。館内には1階のお風呂を出たところに自動販売機がありました。

 

お部屋

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 案内して頂いたのは「観月」というお部屋です。

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 本間10畳と椅子机の談話スペースが付いているという珍しい構成です。

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 お部屋に入ってすぐ左手に冷蔵庫と水屋があって、右に洗面と安心のシャワートイレがあります。手洗いと口に入れる水場を別にしてくれてあります。お部屋食だったので座卓がしんどい人のため用の椅子席でしょうか。お湯沸かしポット、冷蔵庫、一通りのアメニティが揃っていて不便はありません。夕食後に御布団敷きがあります。

 

お風呂

 湯屋は男女別大浴場と庭園貸切露天風呂が2つあります。100%源泉掛け流し。泉質は硫黄弱酸性泉です。肌触りは意外にもさらりとしていてカサつかず、玉子味の微酸っぱいお味。白濁したお湯には小さな白い湯の華が大量に浮遊していました。 

大浴場

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 源泉の投入量はほどよく、視覚的に気持ちのいい量が溢れ出していきます。体を沈めると洗い場にザー!!とお湯が溢れる至福の時です。そして浴室内に漂う硫黄とも玉子とも言える匂いがたまらない。

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 洗い場にはシャワーは4基。お宿の規模からすると十分な備えです。脱衣所には髭剃りとドライヤーがありました。

貸切庭園風呂

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 2つある貸切風呂はほとんど左右対称の造りとなっています。源泉投入量は少なめで、訪れた冬の時期では、少しぬる湯ではあったのですが寒さはなく適温に入ることができました。こちらにはシャワーがないので、大浴場で洗髪、洗体をすることになります。

 

お料理

夕食

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 御膳出しの和洋折衷料理です。お膳といっても仕出し料理のような冷えたものではなく、温かいものは温かく提供して下さいます。また、すべて地の物で作っているというこだわり。なにより食べ終わってみると、何とも絶妙な適量な夕食でした。

 お品書がなかったので、仲居さんから聞いた内容と、実際に食べた感触から献立を作っています。お味などの表現は個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

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【食前酒】:柚子酒

【スープ】:海老芋のポタージュ

 甘さ控えめの柚子の風味は健やかなさっぱり加減。 ポタージュは舌触りは粗さがあり、裏ごしはせずに牛乳で溶いているのかな。海老芋の甘味と粘りが残る触感を残してあります。公式HPをみても洋スープが料理に写っているので、ポタージュは季節の素材を使った定番メニューなのでしょうか。違う季節の素材でもぜひ味わってみたい濃厚なポタージュです。

 

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【前菜】:ワラビとナメコの和え物、糸鰹節とイクラを乗せて

 ワラビとナメコを鰹出汁で炊いたと思われるものを、鰹粉で風味を増しイクラで贅沢に彩を添えてあります。ワラビとナメコの噛み心地も程よい触感。宿泊した時期にはワラビはとれないはずですが、青々としているので保存をどうやっておられるのか。

 

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【造り】:岩魚のカルパッチョ

 普通なら半身を薄造りにした2人前では?という身の大きさ。大ぶりの切り身は三枚下ろしの両面を使用。薄造りなんてしょぼくれたものではなく、極厚の弾力のある歯ごたえは新鮮さを証明しています。ドレッシングは自家製でしょうか。甘味と酸味があり、玉葱と柚子?にオリーブオイル?かなぁ。川魚に合うドレッシングです。味は脂が乗っているけども、川魚特有の淡白さがあり、これまで食べた川魚のお刺身NO.1です。魚にうるさい相方も大絶賛していました。添え付けに水菜、赤茎ほうれん草のサラダが敷いてあります。

 

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【揚げ物】:揚げだし豆腐

 この揚げだし豆腐は揚げたてで提供され、衣がサックリ、豆腐はトロリとなんとも気持ちのいい味付けと触感に、温かさがほっこりと口の中が幸せになります。豆腐の水気のコントロールが絶妙で上手に閉じ込めてあります。季節には早いですが梅の花を模した麩揚げと青ネギの色は食思をそそります。これを鰹出汁の餡でいただきます。

 

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【蒸し物】:生湯葉、持ち麩の餡かけ

 生湯葉の塔の上に梅持ち麩。これでもかというぐらい生湯葉が巻いてあります。風味がしっかりしていて、湯葉ってモリモリ食べるものなのかというぐらい食べました。噛み応えだけでなく味も濃厚。「日光たぐり湯葉」という物だそうで、日光の方では湯葉を一枚ではなく二枚折で重ねることが多いと調べたらありました。食べ応えもそこからきているのだと思います。湯葉でお腹いっぱい感触は初です。

 

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【台の物】:和牛の鉄板焼き

 和牛をバターで頂きます。野菜は南京、玉葱、筍、赤パプリカ、しし唐です。脂の風味は確かに和牛。公式HPを見ると栃木黒毛和牛となっています。赤身で柔らかく脂が強くないので、食事終盤でもおいしく頂けます。火をつけるタイミングはセルフでさせて頂いたのでご飯と一緒に焼肉定食で。

 

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【食事】:契約農家さんのコシヒカリ、味噌汁、香の物(胡瓜の古漬け、大根の酢漬け)

 コシヒカリはとても甘くお肉と一緒に頂きました。お味噌汁には湯葉と毬麩、これでもかというぐらい三つ葉が入っていいます。少し濃い目の味噌汁は寒い季節にはとてもありがたい。

 

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【デザート】:パンナコッタ苺ソース

 手作りパンナコッタは弾力がありクリーミーで優しい口当たり。使っている牛乳は那須高原産かと想像してみる。道の駅に「とちおとめ」が売ってあったので、苺のソースも自家製でしょうか。甘すぎず最後のお口直しにピッタリです。

朝食

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・烏賊そうめんの海藻サラダ

・豆乳豆腐とポン酢

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・温泉卵

・ふきの炊いたもの鰹節まぶし

・焼鮭、昆布の佃煮

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・高菜のちりめん山椒

・味噌牛蒡

・沢庵、つぼ漬け、胡瓜の醤油漬けの3種盛り

・地元の牛乳(那須高原産?)

・山葵海苔

・白米と白味噌汁

 朝食もお部屋食です。味が濃い目で山の幸が多くヘルシーです。もしかしたら珍味はお取り寄せ品かもしれませんが、全体としては手作りのスタンダードな朝食です。牛乳と温泉卵の味がとても濃ゆい。どのおかずもお米が止まらない物ばかりで、朝食では優しい白味噌のみそ汁が胃を温めてくれました。冬の旅館朝食ってついつい食べ過ぎてしまいます。

 

まとめ

 湯治に最適な落ち着きのあるお宿です。日本秘湯を守る会のお宿は、どこも「旅とは何か?」と物思いにふける様な雰囲気があります。お宿の雰囲気もそうですが、従業員の方の接客も良い意味で独特なのがいい。お料理は一見地味なので普通の里山料理かと思いきや、内容はよくよく見ると、手作りポタージュ、イクラ、大振り岩魚の刺身など食材は豪華で、丁寧な手作り味付けもポイントが高い。休前日では15000円前後のお値段なので当然と言える内容です。また、お部屋の数も多くないので、お客さんが少なく湯船はいつも貸し切り状態で、硫黄の香りに包まれて体も心もゆったり癒すには最良でした。

宿泊料金

 さて、宿泊料金です。前述したように、平日料金のお値段からすると「この温泉が入れて、このお料理で、このお値段でいいんですか!?」という内容でした。休前日は平日料金から3000円ほど料金が上がりますが、それでも充実した内容ではないかと思います。今回は冬季の限定プランがあったのでさらに安く、奥塩原温泉は外湯があるのも宿泊した理由の1つです。

宿泊日:2019/2(平日泊)

旅行サイト:日本秘湯を守る会

プラン:秘湯サイト限定、冬にごり湯&雪露天満喫秘湯キャンペーンプラン

部屋タイプ:8~10畳本館(ウォシュレットトイレ付き)

合計料金:22980円(2名分、入湯税、消費税込み)

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