いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

オーベルジュ豊岡1925【兵庫県 豊岡市】 ~地方の商店街の並びにクラッシックホテルのようなオーベルジュがある。自然派料理のフレンチを食し、眺めのいいラウンジで贅沢な時間を過ごす~

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 兵庫県豊岡市には、おいしいフランス料理を提供している文化財のお宿があります。文化財といっても近代建築の重厚感があるオーベルジュです。

旅情

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 オーベルジュといってもホテルとしてのサービスを提供しておられます。しかし、オーベルジュというぐらいなので、やはりメインはレストランでしょうか。建物にはホテル側とレストラン側にそれぞれ入口があります。こちらはホテル側の入り口です。

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 レストラン側の入り口は冒頭で使用している画像の玄関になります。商店街のアーケードとのミスマッチ感はシュールですが、時代が交錯して逆に良い味が出ています。

 

f:id:SiWaSu_CaT:20191019181738j:plain ホテルの入り口から中へ入るとロビーはなく、案内図がありフロントはレストランにありました。右画像の廊下はレストランの一部になっており3つの個室があります。そちらの1室でチェックインの手続きをしました。

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 個室に案内して頂いてウェルカム茶とお茶菓子を頂きます。お茶は「コウノトリ米を使った玄米茶」、お菓子は「抹茶とチーズの1口ケーキ、蜂蜜のかりんとう」です。

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 お茶を頂いた個室も当時のままの姿が残っており、ここでかつては商談が行われていたのでしょうか。お食事の時にはプライベート個室としても使われていました。

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 ホテルの廊下です。なんとなく海外のモーテルのような雰囲気があります。客室も昔は商談室だったのか。2階からはラウンジと談話室に出ることが出来ます。

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 ラウンジにはカフェスペースがあり、レストランのホールを臨むことができます。

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 もともと銀行として建築されたこともあって、海外の映画に出てきそうな大きな吹き抜けになっています。ここはレストラン兼フロントになっています。2階のラウンジから見下ろすと高度感があって開放的で気持ちがいい。

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 文化財としての当時の景観は残しつつ、落ち着いた基調の家具を使う事で当時の趣が再現されています。ウェディングや宴会も受け付けておられ、公式HPを見ているとレストランホールを貸切会場にするそうです。また、レストランをカフェとしても営業されておられるようです。

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 宿泊者は2階のラウンジでアルコールとソフトドリンクを好きなだけ飲むことができます。瓶ビール、ウィスキー、スピリッツ、焼酎、ワイン、カクテル系、コーラ、果物ジュース、お茶、コーヒー、ノンアルコールビールまで種類は豊富です。日本酒だけはなかったかな。それなりのランクのお酒があり、セルフなので気を使わずのんびりと楽しむことができます。ボトルキープは駄目ですが、グラスや紙コップに注いでお部屋に持ち帰って楽しめます。

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 夜の幻想的なホールを眺め、お酒を頂きながら記事を書きました。普段は、ちょっと高いなぁと思うお酒もあったので充実した時間を過ごせました。

 

お部屋

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 案内して頂いたのは2階の「5」のお部屋です。前室のような間取り4畳ぐらいの玄関と書斎、6畳ぐらいのベッドルーム。本当に無駄のないお部屋です。

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 これにシャワールーム、洗面、トイレが付いています。洗面所とトイレは同室内にあるユニットタイプですが、スペースには余裕があります。

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 お部屋には電話やテレビがありません。そのため、お部屋からフロントへの連絡用として屋外でも使えるスマホを借ります。ネット利用もできました。

 アメニティは一式過不足なくバスローブまであります。金庫と冷蔵庫もありホテルの備品としては問題ありません。冷蔵庫にはミネラルウォーターも入れてくれています。建物は古くても、トイレはもちろんシャワートイレです。湯船はありませんが、車で20分ほどのところに城崎温泉があり、予約をしておけば無料送迎をして頂けるようです。どうしても湯船に浸かりたい方は、お隣にスーパーレトロ銭湯「京極の湯」があります。

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 とにかくビックリレトロな文化財のような湯屋で、薪で炊かれた「やわらかいお湯」でした。薪湯はガスや電気と違った湯感があるので私的には好きです。銭湯から戻ってきてすぐにラウンジでビールを飲む!最高です。ホテル側出入り口を出て徒歩10秒なので気になる方は是非!!

 

お料理

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 夕朝ともにレストランホールで頂きます。素材は但馬の地物を使って調理されておられ、口にしているとその新鮮さが良く分かります。食べた感触としてはオーベルジュ豊岡さんのお料理は、素材を活かすというのが根本にあって、洋食を食べたのに和食を食べたような口当たりです。お宿のコンセプトとしても地物と自然の味を大事にしているとあります。

 献立は頂いた献立表をもとに書いてあります。味や献立表に載っていないものに関しては、実際に口にした感想と配膳して頂いた際の説明を交えて記載しています。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

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 夕食の内容は8000円ぐらいのコース料理だったのかな。調理方法は洋風なのですが、味がこってりとしたフランス料理とは異なります。フランス料理だけど、会席料理のように素材を活かした味付けに仕上げてあり、食材も和の物を積極的に取り入れておられるのが分かります。食材の旨味を引き立てるソースと、あっさりとした塩味が印象的。ソースはどれもさっぱり味で種類も豊富で主張し過ぎない。旨味風味で味わうお出汁みたいなものでしょうか。配膳時には、とても丁寧にお料理の説明して下さいます。実際に口にしているものが分かるのはうれしく好印象でした。

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【アミューズ】:季節の地場野菜のガルグイユ

 調理名称に弱いのでカルグイユを調べてみました。「創作料理の一種で、何十種類もの野菜をそれぞれに調理したものを一皿に絵のように盛り付けた野菜料理」だそうです。お皿が置かれた瞬間から焼き蟹の香ばしい匂いが物凄く漂っています。蟹爪は身ぶりが大きく、甲羅の切り口は不揃いで手作り調理感があり、味は蟹の甘みと焼が芳醇。何十種類とはいきませんが確かに野菜が多い。アイスプラント、インゲン、金柑、グリーンピース、大根、ビーツ。ソースはビーツのソースと酸味の効いた蜂蜜のビネグレットソース(フレンチドレッシング風)が添えてあります。

 

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【前菜】:蛍烏賊と独活のエスカベッシュ 柑橘の薫り

 エスカベッシュはオリーブオイル、ワインビネガーで漬ける和食で言う南蛮漬けです。お皿の左にホタルイカとサクッとした触感の独活(ウド)のマリネが並びわさび菜を添えてありました。そして、お皿右は蛍烏賊のフリッターです。衣は天ぷらに近いような感じで、口に入れると暖かい。

 調理方法が違う同じ食材が冷と温を分けて1つのお皿で共存しています。磯の香りは柔らかく、噛むとしっかりと蛍烏賊の味が染み出てきます。付け合わせの彩野菜は、大根、胡瓜、ミニトマト、赤大根、紅芯大根、紫レタスかな。この盛り野菜の下に、アンチョビ、オリーブ、香草、マーマレイドを合わせたペイストがあります。献立の「柑橘の薫り」はマーマレイドを表したものでしょう。塩は弱くほのかなビネガーの酸味があるペイストです。

 そして、5種の彩ソース。細かな説明がなかったので口にした憶測で。ソースは黒く見える小さいのが青紫蘇、オレンジが人参、フリッター右がアミューズと同じビネグレットソース、左上2点の黄色がハニーマスタード?お皿一番下は烏賊墨?かな?

 

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【パン】:丸いパン、フランスパン

 荒削りの黒コショウが入ったオリーブオイルで頂きます。フレンチではパンのお供はバターが多いのでオリーブオイルは珍しいです。朝食時にお取り寄せの物だと分かったのですが、暖かくホッコリ状態で提供してもらえます。フワっとしていて、モチっと軽めの触感。丸いパンは最初だけで、追加を頼むとフランスパンのみでした。フランスパンはビネガーブレッドのような味がしていました。お料理のソースと頂いてもおいしい。

 

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【魚介料理】:但馬鮮魚と蟹の組み合わせ 但馬の銘酒“香澄鶴”の薫りと共に

但馬の甘鯛を卵で溶いた香住蟹のオムレツで包み、香澄鶴のソースを周りにあしらってあります。ソースは日本酒の酒粕風味とほんのり甘味があり、甘鯛と蟹オムレツを一緒に食べてもそれぞれの素材の味がはっきりと分かります。塩味はやさしく、鯛と蟹が香り高い。サイドにクレソンと菜の花が添えてあり、その下に焼き白アスパラガスと小ぶりの焼きタマネギが仕込まれています。白アスパラガスと玉葱の焼きは、とても甘く熱を入れることで素材そのものの甘味が増しているのか。

 

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【肉料理】:但馬牛フィレのロティ 北村さんの山葵ソース

 噛めば噛むほど旨みのあるお肉の味が出ます。赤身のフィレ肉は脂が少なくレアで頂くと柔らかく上品な味がしています。これまでのお皿同様に、味付けはソースの味で楽しみます。ソースは北村さんの山葵ソース。北村さんって誰だろう・・・調べてみました。豊岡市日高町のわさび農家さんのようです。これはフォンドボーと山葵を合わせているとのこと。ソースを口にした瞬間「和sabi」でした。やはり塩は控えめにお肉の風味を楽しむためのソースです。彩に生花山葵、焼きしし唐、焼きヤングコーン、焼き椎茸でした。特に椎茸は大きくて甘い。椎茸が甘いという不思議な感覚。

 

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【デザート】:苺のクレームダンジュ、練乳のスフレグラッセ添え

 お皿左の緑色のケーキはピスタチオのスポンジケーキです。これに甘味を抑えたフロマージュヨーグルト(チーズを練り込んだ)をかけてあり濃厚です。練乳仕立てのスフレグラッセ(ふんわりと艶を出した調理法)は霜柱のように割けるアイスクリーム。とても甘いですが練乳のまったり感はない。その横にオレンジのチュイール(カラメル化して固めたもの)が苺に挟まれて立っています。オレンジの風味が爽やか。散らしてある粉砂糖も練乳味がしているような薫りがあり苺に合います。お皿は前菜のものと一緒かな。

 

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【食後のお飲み物】

 珈琲と紅茶を選べます。お茶菓子に生チョコとサブレを頂きました。予約の確認電話で「どういった旅ですか?」と聞かれました。誕生日とか結婚記念日とかだと、このチョコレートの文字が記念文字に変わるのでしょう。粋な演出です。

朝食

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・野菜ジュース

・パン3種

・無塩バターと3種のジャム

・フルーツ

・プレーンヨーグルト

・サラダ

・かぼちゃのポタージュ

・朝のメイン

・お飲み物

 朝食は見た目よりも食べるとボリュームがあって、どれもおいしく夕食と同じように味付けは濃過ぎず自然の味を活かしてありました。ジュースは色々なお野菜と果物から作られた口当たりがラズベリー味のスムージー。パンは夕食時の物に1種追加されていました。豊岡市日高にある但馬小麦にこだわった「レガーメ」というお店から仕入れているそうです。お砂糖控えめジャムはブルーベリー、はるみマーマレイド(たぶん愛媛県柑橘)、出石産薔薇ジャム。果物はオレンジとピンクグレープフルーツのシロップ漬け。ヨーグルトは無糖なのでお好みのジャムと一緒に。サラダには夕食のソースとして出たビネグレットソースのドレッシングかな。ポタージュは生クリームで仕上げているのか、かぼちゃの甘味が豊かで舌触りは滑らか。メインの温野菜が絶品で食材の味を最大限に引き出したかのようです。これにまん丸目玉焼きとベーコンが盛り込んであります。このベーコンも何とも言えないおいしさ。

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 最後にお飲み物です。夕食は紅茶にしたので、朝食では珈琲を頂きました。加味はミルクではなく生クリームでした。

 

 

まとめ

 お値段はハイクラス並ですが、敷居は高くなくスタッフも気軽な感じです。ドリンクメニューもホテル価格に比べると少し良心的なお値段で、お料理も和フレンチを意識されているのかとても食べやすかったです。フレンチはところによってはバター・バター&バターのようなところもありますが、オーベルジュ豊岡さんのお料理は食材の旨みを引き出すフランス料理です。自然派で上品なフレンチを楽しむには素晴らしいオーベルジュだと思います。半年経ってこの記事を起こしていて、そういえば夕食にはスープがなかったなぁと思い返していたところ、公式HPのメニューにはスープが追加されていました。ラウンジが24時間利用できるので、エントランスホールを眺めながら、読書などまったりとした時間を過ごすのもいいかもしれません。立地も良く市街地の中なのでコンビニや飲食店もあり不便はありません。

宿泊料金

 さて、宿泊料金です。2020年同月日のお値段は、楽天トラベルと公式スタンダードプランで58000円前後です。お料理のランクはわかりませんが、公式最安値で48000円となっています。今回は楽天スーパーセールのプランで宿泊しました。セールの割引に加え10%ポイント還元が付いて、10000円クーポンも利用できたので実質30%~40%引きぐらいになったのではないかと思います。お値段が高めなので気軽にとは行きませんが、また食べてみたいフランス料理であることは間違いありません。楽天トラベルのスーパーセールに出店されていることが多いので、機会があればまた訪れたい。

宿泊日:2019/4(土曜日泊)

旅行サイト:楽天トラベル

プラン:[楽天スーパーSALE]最大30%OFF&P10倍!泊まれるレストランで地元の旬美食&城崎温泉を堪能

部屋タイプ:ツイン【2名定員】(twin)×1部屋

唯一建築当時のままの寄せ木の床が残っているレトロな雰囲気を楽しめるお部屋や室内に無駄な物を置いていない究極にシンプルなお部屋をご用意

合計料金:21384円×2名=42768円

クーポン:10000円(楽天スーパーセールクーポン)

ポイント利用:0P

支払い料金:32768円

加算ポイント:3276P

おまけ

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 チェックアウト時に楽天トラベルの口コミ投稿で、オーベルジュ豊岡1925さんをプロデュースしているNIPPONIAグループで使える5000円ギフト券を頂きました。丁度キャンペーンをやっていたようです。NIPPONIAグループは関西を中心に古民家などを再生利用して、おいしい料理を提供したオーベルジュとして展開されておられます。NIPPONIAさんの回しものではないですが、他にも泊まってみたいお宿があります。

 最後に。ホテル側の出入り口に「HOTEL」と看板が上がっていました。案内してくれたお兄さんは「オーベルジュです。」って言ってました。

 

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