いい温泉宿、おいしい料理宿

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再び訪れたいお宿探訪と趣味のブログ

明賀屋本館【栃木県 塩原温泉】~鄙びの川岸露天風呂の旅情は格別。美味しいのは秘湯の露天風呂だけではく料理も美味しい~

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 塩原温泉街から少し外れたところに明賀屋本館さんはありました。県道から林道のような道に入り少し不安になりましたが無事到着。2月にも関わらず、この年は雪も少なかったようで苦も無い道路でした。

旅情

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 外観は昭和の良き時代に建てられたと思われる出で立ちです。下調べをしていたのでコンクリート造の建物であることは知っていたのですが、あの川岸露天風呂の景色を想像するとお宿を間違えたかなと思わされました。明賀屋本館と書かれた看板の下には蛇口があり、温泉という表記ではなく水質検査とありました。明らかに温泉のようですが湧き水という扱いなのか。

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 こちらは太古館と呼ばれる建物。本当はこちらに宿泊したかったのですが、当日は宿泊プランがなく断念しました。玄関があるので古さからするとこちらが本館だったのかもしれません。

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 館内は綺麗にしておられるのですが少し暗い雰囲気。バブリーな感じがする廊下とロビー。この時点でも秘湯感や湯治感を連想させる感じはありません。ロビーに喫茶ラウンジと、お土産コーナーがあります。公式HPではBAR、宴会場とかもあるようです。チェックイン時では端的な対応だったのですが、お食事の配膳時などは丁寧な中にフレンドリー感のある気持ちの良い接客をして頂きました。

 

お部屋

 案内して頂いたのは一般客室の10畳+広縁+シャワートイレ付です。2人で利用するには十分の広さでした。お部屋の設備は、お茶セットから浴衣まで旅館アメニティは一式あって、冷蔵庫や湯沸かしポットもあります。不便はありませんでした。

 

お風呂 

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 明賀屋本館さんの温泉はいずれも自然湧出の源泉掛け流しとなっているようです。そして、姉妹館の「彩つむぎ」と合わせると5本も源泉を保有しているのだとか。その内、明賀屋本館さんで使用されているのは2本と思われます。源泉の温度はいずれも高く、公式HPでは一部加水しているとありました。平成24年の東日本大震災で新たに黒っぽい単純温泉が湧いたそうです。他に貸切風呂もあり、宿泊者は「彩つむぎ」のお風呂も利用できるそうです。

川岸露天風呂

 露天風呂への道のりは険しいです。まずエレベーターで地下1階へ。

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 そこから何とも危なっかしいかつての宿泊棟であろう木造廊下と88段の階段を使って、風情のある木造の建物を通り川岸に下って行きます。

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 歩くと軋む、階段を降ると軋む。木造建築が悲鳴をあげます。進んでいくと昔の建物の名残が見えてきます。

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 そして、ようやくたどり着いた脱衣所。急な階段が苦手な方はかなり厳しいと思います。元日本の秘湯を守る会の会員宿だからというわけではないですが、秘湯感が半端なく良い意味でこういう癖のある温泉は何とも言えません。ただ、帰りの上りが・・・。

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 明賀屋本館さんといえば混浴の川岸露天風呂です。この露天風呂を目的に訪れる方がほとんどではないでしょうか。露天の湯船は5つあります。1つは女性の脱衣所からしか入れない女性専用露天風呂。残念ながらそちらは男性は入ることができません。男性が入れるのは混浴部分の岩風呂、2人ほどで適人数の四角の浴槽が2つ、の大きめの半露天風呂の4つになります。

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 お目当ての2つの正方形の湯船は蛇口から源泉が注がれています。蛇口は2つあってもう1つは加水用かな。脱衣所は男女別になっていて、奥の3段の階段の向こうの扉が女性の出入口になります。また、奥の階段を上がると半露天の浴槽があります。

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 滞在中、何度か入浴しましたが、常にお湯が溢れ出ていて、新鮮な温泉が堪能できました。浴槽に浸かったときに溢れ出すお湯が川に流れていく様が何とも気持ちがよい。

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 岩風呂は赤矢印の部分にあります。湯口はジョボジョボと滝湯のようになっています。他の湯船に比べると少し濁りがありぬる湯でした。周りが岩に囲まれているので景観が臨みにくい。その反面、混浴なので視線が気になる方にはいいかも。

 それぞれの浴槽は湯温が違い好みの湯温で入り分けできるようです。でも、長く入ったのは、やはり川岸の正方形の湯船です。泉質はさらっとした触感に僅かな鉄錆びの匂いがしました。オーバーフローは川への掛け流しなので、ここでは石鹸類の使用が禁止となっています。女性は湯浴み着を利用することができます。 

内湯

 女性は「やすらぎの湯」、男性は「太古の湯」と言う名前が付いてます。コンクリートの壁に、明り窓がないので、露天とは対照的に閉塞感があります。

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 浴室入って手前の小さな浴槽は、露天風呂と同じ鉄錆びの香りがするお湯。

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  奥にある大きな浴槽は地震後に湧出した黒湯が注がれています。この黒色はマンガンによるものだとか。とにかく湯気がこもってしまっていて、上手くとれなかったので見にくいです。こちらにはシャワーがあるので、洗髪洗体はこちらで。内湯はご覧の通り蒸気がこもりのぼせが早い。せっかく明賀屋本館さんに来たのなら、私的には川岸露天風呂を楽しみたい。ただ階段がね・・・。実際、内湯に入ったのは湯感を確かめるのとシャワーを利用するためだけでした。

 

食事

 夕食、朝食ともにパッと見は普通の旅館料理ながらも、手作りなのでどれもおいしいものばかり。普通と言ってもお値段からすると食材は豪華でほとんどが山の物です。お食事は別室で用意して頂きました。お献立がなかったので女将さんから聞いた内容と、食べた感触から献立を作っています。個人的な感想なのでご参考程度に見ていただければ幸いです。

夕食

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 お膳の料理の一気出しの夕食です。温かいものは暖かく提供して下さっていました。宿泊したのは2月で火を使う料理が2品あったのはうれしい。見た目は色が少なく素朴で地味なのですが、よくよく見ると素材の単価が高そうです。干瓢や湯葉などの郷土料理としての味わいもあります。

 

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【食前酒】:梅酒

【先付】:生湯葉のお浸し

食前酒は自家製でしょう。酒度がきつくない、ほんのりと甘い梅酒。 湯葉はこの辺りでよく見る噛みごたえのあるものです。これを醤油の効いたお出汁に浸してあります。日光、塩原のあたりは湯葉を湯波と言うようで、京風のトロリとした口溶けではなく、グモグモ食べるタイプのしっかり触感の物だそうです。噛めば噛むほど濃厚な豆腐?大豆?の風味がします。彩はエノキと水菜を合わせた物とワサビの薬味。

 

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【前菜】:柚子干し柿巻き、帆立の甘煮、人参とほうれん草の卵寄せ、蓮根と筍干瓢巻き

 このあたりはさすがにお取り寄せ品かなぁというラインナップ。普通においしく可もなく不可もなく。でも、お酒の当てには前菜の味わいが有るのと、無いのでは食事の賑やかさが変わります。

 

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【酢の物】:ワカサギの南蛮漬け、干瓢と大根の桜漬け

【蒸し物】:茶碗蒸し

 酢の物は底に敷いてある大根は、ピンクに色付けして桜の葉を模して切ってありました。こういう趣向は好きです。お酢は爽やかに、栃木県名産の干瓢に滲みて珍味的郷土料理としての一品。 お出汁が少し滲む柔めのスタンダードな茶碗蒸しです。かなり熱々の提供なので、食事の最後に頂いても美味しい。

 

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【刺身】:岩魚と磯荒い

刺身はイワナとイソアライと。磯荒いは別名ムラサキインコガイというようです。港などによく群生しているやつです。見た目は一枚貝のようなんですが実際は2枚貝。イワナの刺身はプリッと淡白、磯荒いも歯ごたえがり癖のない味です。あしらいは大根けん、大葉、ワサビ。

 

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【焼き物】:岩魚の塩焼き、紫蘇の塩漬け、はじかみ

 イワナは冬なのでやや小ぶりでもふっくらしています。少し暖かさが残る程度に配膳され、今回の宿泊料金ではイワナの塩焼きが出るだけでも有難い。小ぶりなので骨も柔く頭から尻尾まで美味しく食せます。

 

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【台の物】:鱒の朴葉香り蒸し

 事前に味噌漬けしてあり、麹の香りがマスに移り香ばしい。サーモンのような脂はなく、淡泊だけどふわりと柔らかい。朴の匂いに蒸されて風味が増します。添え付けにシメジ、キャベツ、玉葱、人参。

 

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【鍋物】:鴨つみれ鍋

 鴨つみれ、葱、榎、ごぼう、白菜。ベースは昆布出汁かな。お野菜がたっぷり入っています。少し塩強めの醤油出汁に鴨の油が出るとさらに旨味が増します。贅沢につみれが5つも入っていました。

 

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【食事】:白米

【止め椀】:海老真丈、あみ茸、白瀧、三つ葉

【香の物】:つぼ漬、胡瓜の浅漬け

 鴨鍋のお出汁があまりにも美味しかったので、火があるうちに白米を入れて雑炊にしてお出汁も最後まで頂きました。止め椀は海老真丈だったかな。カツオと昆布の合わせと思われるお出汁は良い味。

朝食

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・湯豆腐(菊菜、鰹ポン酢)

・山芋とろろ

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・焼鮭

・干瓢、鱒、サニーサラダのマヨネーズ和え

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・牛蒡のピリ辛味噌

・ナメコと蕎麦実の温泉卵

・お海苔

・白米

・お麩とワカメの味噌汁

・胡瓜の漬物

・オレンジ

 朝食のラインナップはご飯のおかずになる物しかありません。とろろは粘りがかなり強く自然薯のようです。温泉卵を浸してあるお出汁はナメコと蕎麦の香りが豊か。これがご飯にかけても合う。干瓢とマスのサラダは組み合わせが面白い。干瓢の噛み心地とマスの風味が不思議なところへレタスの青味でサラダに戻る。とろろご飯、温玉ごはん、焼鮭でごはんと選択肢が広い。冬ということもあって青いものは少ないですが、やはり山の物で仕上げてあって手作りなのがやはりいい。

 

まとめ

 明賀屋本館さんを訪れた理由は、写真でしか見たことのない川岸の露天風呂に入ってみたいというのが本音のところです。写真からは濁りがあって濃厚なように見えますが、実際は酸化されていない新鮮な透明湯で、鉄臭がわずかにあるツルッとした柔らかな湯。そして、お湯は川に溢れ出し湯船から見る景色は最高のご馳走でした。平日泊だったのでお値段も安く、お料理はあまり期待していませんでした。しかし、手作りの田舎料理は素材は豪華で、味付けも旅館味で丁寧にしてあったのには驚きです。先人達の記録を見ていると、季節や仕入れによって微妙に献立が変わるようなので、毎度同じ定番メニューじゃないのも好印象です。

宿泊料金

 さて、宿泊料金です。2018年の台風で露天風呂が冠水しまったようで、その復旧記念として楽天スーパーセールに平日限定でお部屋が売りに出ていました。さらに、生ビール付というのも魅力的でこれは行くしかないと予約。この生ビールのサービスは食事前までにフロントに受け取りに行く必要がありました。お風呂を楽しんでから夕食の少し前に取りに行ったら、お宿の方が「今からビール飲まれるのでしたら、夕食とご一緒に飲まれますか」とお気遣い頂いて、食事時間を早めてもらいお料理と一緒に楽しませて頂きました。こういう心遣いは本当にありがたく、また行きたいと思わせてくれます。

宿泊日:2019/2(平日泊)

旅行サイト:楽天トラベル

プラン:【楽天スーパーSALE】最大5%OFF【川岸露天風呂復旧記念プラン☆生ビール付き】

部屋タイプ:和室10畳(wa10)×1部屋 アウトバス・トイレ付

合計料金:20520円(2人料金)

クーポン:なし

ポイント:0P

支払い料金:20520円

加算ポイント:205p

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